3 Minutes World 3Minute World 3Minutes World 3Minutes World 3Minutes World 3Minutes World 3Minutes World 3Minutes World 3Minutes World

救命艇の叛乱-文化出版局
救命艇の叛乱


スーパーマンはつらい Limiting Factor シオドア コグスウェル 訳:浅倉久志 の あらすじ


ジャンの目の前で、恋人は出て行った。

「それで良い!」
窓の外から、声がした。
ここは高層ビルの上階、声の男、ファーディーは、空中で拍手しながら、窓から入って来た。
「僕を見張っていたのか!」

「いやあ、空中浮遊よりエレベータの方が良いねえ。気が抜けると、落下しそうで、本当に疲れるよ」

「しかし、僕達は超人だ」
「そうそう、君は超人だよ。あの娘とは別れて、僕達のプロジェクトに参加すべきなんだ。
   普通人の彼女がいなくなったから、もう障害はなくなったよね」

「しかし僕は人間でもある。地球で暮らしたいんだ」
「そりゃ、今はいいさ。まだ超人は一握り。物めずらしい内はね。
   しかし、我々の子供の時代、孫の時代はどうだい?
   戦争が起きるぜ。普通人同士だって、戦争が起きるんだ。
   普通人は超人と同じには暮らせないさ」

「しかし...」
「あ!ちょっと待って。テレパシーだ。カールがお呼びだよ。
   しかし、テレパシーは好きかい?俺は使っていると頭が痛くなるんだよ。嫌だね。
   電話の方がよっぽど好きだね。産まれついてのトランシーバは、迷惑だね」

二人はリーダー、カールの基地へと飛んだ。
エア タクシーで?
いや、ここは空中浮遊で。


今日は、超人グループの大事なプロジェクトの日だ。
カールも、宇宙船の乗組員として参加する事になった。

機関室には丸テーブルと10個の椅子がある。
ここにカールも座った。

10人で協力して、この宇宙船をアルファ ケンタウリへと飛ばすのだ。
超人達が幸せに暮らせる新天地を目指して。

ファーディは言った。
「カール、念力で超空間を進むのは、疲れるよね。精神労働と肉体労働の違いはあるけど、
   結局のところ、俺達は馬車を引っ張ってる馬と大差ないと思わない?」

宇宙船は、ワープ空間に入った。

カール司令官は言う。
「さあ、航海の安全は君達にかかっている。死ぬ気で頑張れ!」

宇宙船はアルファ ケンタウリに到着した。

主星は真っ赤に燃えている。
その回りの惑星に、我々の住める惑星があるのか?
そして彼らは、第三惑星へ。

「着いた!...が、軌道上に浮いている、ありゃ何だ?」
モニターに写っていたのは、山高帽をかぶった小男。
プレスの良くきいたビジネススーツに、書類カバン。

手に持ったパネルには「乗船させて、いただけますか?」

小男は入ってくるなり、
「私はグリタスリー輸出会社の営業員、スウィスカムです。フォーマルハウトからの出張の
   途中で、皆様のご到着を知り、お声をかけさせて頂きました」
「はああ」

「お見かけしたところ、太陽系から...やはりそうですか。このアルファ ケンタウリに
   居住惑星をお探しで?...
   やっぱり、そうですか。それでしたら、この第三惑星は没落民族の特別保護地になっていますから、
   申請が必要です。超能力による、人種抗争を避けた結果、ここは活気のない星に
   なってしまいましたけどね。それでは、私、次の予定がありますので...」

「ちょっと、待ってくれ。君達の惑星にも超人はたくさんいるのか?」
「はい、原子力の解放に続く、テルスカの力の解放は、どの種族にも起きうる事です。
   我々は、あなた方が火を発見した頃に、テルスカを得たのです。では、失礼致します」

小男が去り、超人達は話合っていた。

「われわれが地球を離れると、人間社会は崩壊してしまうんじゃないか?見てはいないが、
   第三惑星の没落民族は、きっと超人族が出た後の普通人の成れの果てだろう」

「とは言っても、このまま地球に居続けては、争いは避けられない」
「しかし、人間社会を見捨てるわけにはいかない。争いを避けて、地球にいるしか仕方ないんだ!」

ふと、外のモニターを見ると、にこにこしながら、拍手をしている小男がいる。
スウィスカムだ。まだいたのか?
「いやあ、皆様、ご賢明な決断です。皆様は、地球に戻られた方がよろしい」

「しかし、超人と普通人との抗争はどう避けたら良いのか?」
「そこは皆様のご努力で」

「しかし普通人が没落してしまうと言う事を、我々は見過ごす事はできない」
「普通人が没落?ああ、皆さんは、勘違いしています。
   第三惑星の没落民族は、移住した超人達です」

「ええ?どう言う事です?」
「我々の世界に、こんな噺があります。

二人の男がいました。
一人は馬を持ち、もう一人は何も持っていなかった。

馬を持った男は、たくさんの荷物を運ぶことが出来た。
馬を持たない男は、幼稚な車を発明した。しかし、大して重い物は運べなかった。

馬を持った男は、馬を鍛えた。馬は更にたくさんの荷物を持つことができた。
馬を持たない男は、更に、大きな車を発明した。でも馬にはかなわなかった。

時間が経ち、馬は強くなった。
しかし、馬を持たない男の作った車は、馬の100倍の輸送力を持つようになった。

生物の力の伸びには限界があるが、機械の性能の伸びの制約はもっと自由だ」

「..そうなんですか..」

「あ、ちなみに、私は普通人です。このスーツが宇宙服+宇宙船ですので、
   ちょっと旧式ですけど、最新式のはもっと凄いんですよ!」


..............


なるほどね。
つくづくと、科学的、統計的で、展開も充分、楽しい。
こう言う話が、50年代的ですね。

記:2011.04.30


  3 Minutes World 3Minute World 3Minutes World 3Minutes World 3Minutes World 3Minutes World 3Minutes World 3Minutes World 3Minutes World

三分 小説 備忘録

  [どんな落ちだっけ?]




・ホーム
・海外SF1トップ
・インフォメーション
・掲示板
・お問い合わせ