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救命艇の叛乱-文化出版局
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マリアーナ Mariana フリッツ ライバー 訳:浅倉久志 の あらすじ
マリアーナは暮らしている屋敷の中に、秘密の制御盤を見つけた。
いつもジョナサンから、「勝手に触るな」と言われている大制御盤。
その隅にある空白の部分。
そこを何気なく押したら、隠し蓋が落ち、6つのスイッチが現れた。
一番上だけ、「林」と表示が光っていた。
夕方帰って来たジョナサンに、マリアーナは尋ねた。
「ねえねえ、あの『林』ってスイッチは何なの?」
ジョナサンはまず、ロボット給仕に、足りないナイフを命じると、ステーキを頬張りながら、答えた。
「そりゃ、家の周りの林だよ。電送映像さ。この家の周りは殺風景だから、松林にしたのさ」
「じゃあ、全部、幻なの?」
「幻って言ったって、触れば感じるし、伐採するのに手間もかかる。本物と同じさ」
「どうして隠してあるの?」
「隠して置いたのは、君に変えられたら、落ち書かないからさ。切るなよ」
翌日マリアーナは、我慢できず、ジョナサンの出かけた隙に「林」のスイッチを切って見た。
しばらく、部屋から外を見ていると、やがて松林は薄くなり、
ブーンと音を立て、点となって消えた。
後には、どこまでも続く砂漠だった。
マリアーナは気が滅入り、部屋の重力調整を変えた。
1/6の月の重力にして、得意のムーンダンスをすると、少し気が晴れた。
ジョナサンが帰って来る前に、元に戻そうとしたが、もう「林」の表示は消えていて、
スイッチは押されたままで、戻す事はできなかった。
「大変だ!」
でも、ジョナサンは意外に怒らなかった。
「あああ、せっかくの松林が消えちまった」
「ごめんなさい。でも私達は、周りに誰もいない所で暮らしていたのね。
私は外に出られないから、全然気がつかなかった。それで制御盤の、林の下に、
今度、『家』っていうスイッチがあるの、あれは何?」
「家?この家は、本物だと言うから買ったんだが、もしかしたら電送住宅だったのかな?どのスイッチだい?」
「ねえ、ねえこれよ、ほら!」
マリアーナは得意気に、そのスイッチを指差した。力余って、つい、押してしまった。
「あ!馬鹿!押すんじゃない!」
マリアーナはスイッチ戻そうとしたが、一度押されたスイッチは元には戻らなかった。その間に、
家の天井から白い渦巻が現れ、あった言う間に部屋を包んだ。
壁や家具は膨らみ、消えた。
「この間抜け!」
怒り狂うジョナサン。
「ごめんなさい!」
制御盤には、新たに「ジョナサン」の文字が光っている。
「どうして、押したんだ!」
ジョンサンはマリアーナの肩を掴んで激しく揺さぶる。
マリアーナは恐くなって「ジョナサン」のスイッチを切った。
今、マリアーナの回りには、林も家もジョナサンも無く、
ただ頭上には、星が輝いていた。
制御盤にも「星」の文字が。
(「星」?その次は何かしら?)
マリアーナは「星」のスイッチを切る。
星は消え、代わりに次のスイッチの文字が光った。
「医者」
医者?
よく見ると、このスイッチはオフのままだった。
マリアーナは、おそるおそる押してみる。
頭の上から声が聞こえた。
「これは願望充足療法です。中断致しますか?それとも、このまま医者を待ちますか?」
マリアーナは、怖くなって「医者」のスイッチを切ってしまった。
そして、6番目、最後のスイッチが光った。
これは、まだオンのままだ。
そこには、こうあった「マリアーナ」
..............
落ちや展開は途中で判ってしまいますが
話は最後まで楽しめます。
古典的であり、普遍的。
記:2011.04.28
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