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『小松左京フライバイガイド』 2000年9月号


−−−−−−−−−−−−−−− 刊行予定 −−−−−−−−−−−−−−−−−

◆9月1日                             三天書房
 ホラー傑作短篇集T 「血」(結城信孝編)に「くだんのはは」収録。

◆9月10日                         角川ホラー文庫
 「TAROT BOX塔の物語」に『高層都市の崩壊』が収録。

◆9月26日                           NHK出版
「趣味悠々」『京都狂言紀行』に「狐と宇宙人」が掲載されます。
これは、10月から11月に放送される番組で、取り上げられる予定です。
−−−−−−−−−−−−−− 講演・放送 −−−−−−−−−−−−−−−−−

◆9月17日                         新潟県新発田市
 防災フェスティバルで講演。

◆9月27日 午前11時から12時。            東京ビッグサイト
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)創立20周年記念
 「NEDOフォーラム2000」で講演。
 演題は「科学・技術・人・自然」。
 問い合わせ先(日刊工業新聞 03-3222-7196)

−−−−−−−−−−−−−− 臥猪庵 hic −−−−−−−−−−−−−−−−−

 平成12年ながつき(9月)1日

 小松左京賞の選考を終え、ホッとしている。第一回の応募作品が一つも来ないので
はないかと心配していたが、271編も来たと聞いて驚き、さらに5000枚とか1
000枚を越える作品がたくさんあると聞いておびえ、どうなることかと思っていた
が、最終選考に残った作品はどれも力作で、長さには閉口したが面白いので最後まで
読ませる力のある作品ばかりだった。第一回小松左京賞受賞作品「エリ・エリ」の作
者、平谷美樹さんは、岩手県の中学の美術の先生。私が20年前短い間だが教授をし
ていた大阪芸術大学出身。まさか僕の授業は聞いていないと思うけど、40才だから、
少しはダブっているかも知れない。
 「小松左京マガジン」では、小松左京賞の受賞者にも書いてもらおうと思っている
ので、お楽しみに。


 平成12年ながつき(9月)9日

 今日は重陽の節句。べーやん(米朝師匠)と紀一(福田紀一さん)に全日空ホテル
で会い、「小松左京マガジン」の設立同人になってもらうことの確認と、これからど
んなことをしたいのか、を話す。三人で話していると、話は自然に李白、杜甫、万葉、
古今、歌舞伎、狂言、能と広がるが、それらが江戸時代には「落語」「講談」の話の
なかに庶民の基礎教養として織り込まれていたんだよね、とあらためて「口碑文芸」
の伝統に驚かされる。こんな事を、「小松左京マガジン」で取り上げたいわけ。狭義
のSFだけじゃないのです。


 平成12年ながつき(9月)17日

 新潟県新発田市に防災フェスティバルで講演するため伊丹空港から行く。新発田市
は新発田重家が上杉に破れたあと豊臣秀吉の家来、溝口秀勝が赴任しから明治維新ま
で、殿様が代わることなくつづいた城下町。自衛隊の駐屯地もあって、フェスティバ
ルでは、ブラスバンドのパレードにも参加していた。東京都みたいに、戦車の行進は
なかったけどね。蕗谷虹児さんの出身地で、ベネチア風のしゃれた美術館が文化会館
の隣にできている。堀部安兵衛もこの街の出身で、家が断絶したので赤穂藩の堀部家
に養子に入ったとのこと。
楽屋で出されたお茶とコーヒーがおいしくて、さすが城下町だね、と感じた。硬軟取
り混ぜた、いい街でした。


 平成12年ながつき(9月)18日

 宇宙物理学者の佐藤勝彦さんの研究室に電話して、「小松左京マガジン」創刊号で
の対談を依頼する。外国からお帰りになったばかりとのこと。お忙しいのに、快く引
きうけてくださる。ありがたいことだ。「宇宙と文学」などと、べらぼうなテーマだ
が、私の永年のテーマなので、おつきあいいただく。まったく次々と宇宙の観察精度
が上がって、いままで見えなかったものが見えてくると、これから先、どんなストー
リーが展開されるのか、わくわくしてしまう。「虚無回廊」の続編がなかなか書けな
いのも、わかるでしょ。(なに、だからこそ早く読みたいって? ムムム……)


 平成12年ながつき(9月)25日

 この週末(23,24日)、久しぶりに家族総勢10名で、鳥羽に行って来た。私
は、孫が4人もいる「じいさん」である。「おじいちゃま」と、小さな孫の口から呼
ばれると、「はい、はい」と、まなじりさげて、口元がゆるんでくるのは、何ともだ
らしない限りだが、仕方ない。こんなに孫がかわいいと思うようになるとは思ってい
なかったが、現実なのである。

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