自分カウンセリングができるまで
ver.02/09/10
カウンセリング…で何やったっけ?
うつ病がひどいときに、カウンセリングを受けていました。
だんなさんは「いづみの考えていることが知りたい」と言って
毎回ついてきてくれました。
記憶力・判断力などなどがひどく低下していたため、
カウンセリングの流れや要点などは一切覚えていません。
覚えているのは、つらかったときのことを思い出して泣いたこと。
あとは、だんなさんに言いたくてもいえなかったことを、
カウンセラーの立会いのもとで、だんなさんに正直に話したこと、
そしてだんなさんも冷静に受け止めてくれて、わりとまともな
話し合いになったこと、などです。
私にとってのカウンセリングは、自分の感情に気づき、それを上手に
表に出すための訓練の場だったのかもしれません。
何かを考えて答えが出た、というような記憶は残っていません。
自己否定の嵐
そして、カウンセリングも終わりになり、うつ病の最悪の時期も抜け、
ある程度は自分で考えることができるようになってきました。
ただ、時々襲ってくるのです。
「自分はだめな人間だ…」という自己否定の悪循環。
家事ができない自分。
寝てばかりいる自分。
だんなさんに迷惑ばかりかけている自分。
研究をやりとげられなかった自分…
そして、生きていても仕方ないと、何度も何度も思いつめました。
認知のゆがみ
その頃読んだ本(参考文献に挙げておきます)に書いてありました。
それは、「認知のゆがみ」についてです。
恣意的推論:証拠が少ないのにあることを信じ込み、
思いつきで勝手に物事を推測し判断する。
二分割思考:あいまいな状態に耐えられず、
いつも白黒をつけていないといられない状態
選択的抽出:自分が関心を向けている情報にばかり目がいってしまう状態。
関心のある特定の事柄だけを選び出して、抽象的に結論づける態度。
拡大視/縮小視:自分が関心を向けていることばかりを
大きく考えてしまう傾向。自分の考えや予測に合わない部分は小さく見る。
極端な一般化:ごくわずかな事実を取り上げて、「決めつけ」てしまう状態。
自己関連付け:なんでも自分と関係していると考えてしまう。
情緒的な理由付け:そのときの自分の感情状態から現実を判断する。
自分で実現してしまう予言:自分の心の中で否定的な予測をしてしまったために
自由な行動がとれなくなり、その結果その予測が実現してしまい、
更に予測が確信へと発展していく状態。
う〜ん、非常にイタいですね(^-^;
これを読んで、全部に当てはまるなぁ…と思ったでしょう?
私も、ただでさえうつなのに、これを読んだときは相当へこみました。
ここで大事なのは、
「自分の持っている認知のゆがみはどのパターンか」
ということではありません。
決して、分類しただけでよくわかった気になってはいけません。
認知のゆがみと向き合うときに重要なのは、
1.「自分のもっている認知のゆがみは何か」を知ることが半分。
2.「自分のもっている認知のゆがみを修正する」ことが半分です。
1.「自分のもっている認知のゆがみは何か」について
私の認知のゆがみは「○○ができない自分はだめな人間だ」
というものでした。気がつくと、その言葉で頭がいっぱいになっていたのです。
このように、自分自身の言葉で認知のゆがみをとらえることは
非常に大切だと思います。
2.「自分のもっている認知のゆがみを修正する」について
そして、それを修正するためにどうすればよいのか?
「○○(課題)」、「できない」、「自分はだめな人間だ」のそれぞれに分けて
よく考えてみました。
・「○○(課題)」
→自分で課題を必要以上に大きくしているのではないか?
・「できない」
→本当に何もできないのか?少しくらいは何かできるのではないか?
・「自分はだめな人間だ」
→この結論は、今の自分の気分にまったくぴったり合っているが、
決してうれしいものではない。改善したい。
私の場合は、こんなかんじでした。
だんなさんの問題解決方法
「認知のゆがみ」と戦うときに、私を助けてくれたのは、
だんなさんの問題解決方法です。
だんなさんは、私が家事ができない…と落ち込んでいる時に、
よくこう言ってくれました。
「できない時は仕方ない、工夫すればいいんだよ、」と。
たとえば、ごはんが作れないとき。
外に出ることができるのならば、外食にする、または買ってくる。
出かけられないなら、だんなさんに電話して、帰りにコンビニで何か買ってきてもらう。
それもできない時は、電話で宅配ピザを頼む。
電話がかけられなければ、だんなさんに頼んで注文してもらう。
たとえば、お茶碗が洗えないとき。
放置しておいて、できるときに少しずつやればいい。
できなければ、だんなさんに頼んで食器洗い機にかけてもらえばいい。
だんなさんも忙しい時なら、そのままほっておけばいい。
こんな感じで、できない程度に応じて、無理のない範囲で
解決していけばいいのです。
「できる時に、できる人がやればいいんだよ。
いづみができなきれば、俺がやればいい、
俺もできなければ、ほっておけばいい。
無理したって、仕方ないよ。」というだんなさんの考え方は、非常に合理的です。
うつうつのときには、自分で自分の考えを混乱させているところがあるから、
こうやってすっきりと頭に入ってくる内容はありがたかったです。
自分カウンセリングルーム
いま、それを思い出して、「あのやりかたを何か簡単にできないかな?」と
考えてみた一つの答えが「自分カウンセリングルーム」です。
その成立過程をみると、自己否定の悪循環に陥った時に、
何かの役に立つのではないかという気がします。
生きることをやめたいとまで思いつめた人間は、少しずつ変わっていくものです。
そのときに、わかりやすく、使いやすい道具があればいいかなぁと。
おわりに
自分を治すのは、自分自身。
けれど、助けてくれる人やものは、たくさんありますよ。
【参考文献】
『「うつ」を生かす』―うつ病の認知療法―、大野裕著、星和書店、1990、2330円(税別)
ISBN 4-7911-0205-3
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認知療法の入門書としては、読みやすく、わかりやすいと思います。
内容もかなり詳しいので、おすすめです。