「無党派市民」平成21年度予算要望

 

いまこそ、政策転換し、エコロジカル・ニューデールを牽引せよ!

 

 

100年に1度の危機が始まった

 

 米国発の金融危機から始まって世界的な経済危機がやってきました。100年に一度の危機と云われています。

 その原因は、国家財政、貿易収支とも赤字であるにもかかわらず、ドルが基軸通貨であることをよいことに、債権を湯水のように発行し、世界からドルを集め、実体経済から離れて金融経済のみ発展させ、その意志に全世界の経済体制を従わせようとしてきた米国主導の世界政策そのものにあるというべきでしょう。

 米国は冷戦時代の軍拡競争やベトナム戦争による疲弊から、金本位制を廃止し、ドル本位制を作り上げることで、その危機を回避しようとしましたが、このことはお金を右から左に移すことで巨額の富を得る金融産業のみを増大させ、実体経済ではなく輪転機によるドル札印刷で危機を回避する消費賛美のキリギリス国家への誘い水となりました。また、新自由主義の興隆とあいまって自由貿易絶対主義ともいうべきイデオロギーを振り回すことによって、最貧国からの収奪や世界の勤労者に低賃金を押しつけました。そのうえ、湾岸危機や911テロを口実として中東に戦争を積極的に起こして力によって石油利権を独占しようとしてきました。

 日本は中国と並ぶ米国への債権国ですが、この間、日本はアリのように低賃金で勤労者を働かせ、超赤字国の米国にせっせとものを売りながら、米国の赤字が増えると米国債を買い、いわば、お金を貸しつつ米国に浪費を奨励することにより経済を成り立たせてきました。

米国は日本の経済システムの規制緩和と内需拡大を迫り、米国の金融と農畜産物の参入を狙ってきました。そこに生じたのが日本のバブル経済であり、その崩壊とその後の格差社会の現出であったというべきでしょう。

もっとも、この道行きは米国と日本が手に手を取り合って行ってきたことではあります。日本バブルの破綻の際には、ゼロ金利・超低金利政策という国民の富の簒奪をもって、年金破綻と福祉切り捨てという犠牲の上に、土地投棄セクターと銀行を救い、また税金を湯水のように銀行に投入することで日本発の世界経済危機はかろうじて回避されました。しかし今回のように、危機回避のための財政出動の原資を、もはや国債発行に頼るしかない米国の場合、金融破綻に発する株式市場の暴落は世界への波及をもたらさざるをえないわけです。

そして、その経済破綻は「帝国」の没落と世界の経済システムの再構築の必要をもたらさざるを得ません。

 

新自由主義・自由貿易原理主義の破綻と

ケインジアン政策の再評価

 

行き過ぎた自由貿易論は農産物価格を下落させ、最貧国に矛盾を押しつけてきましたし、日本においても食糧自給率を低下させ、中小企業野技術力や地方経済を荒廃させ、中国においてさえ、食糧自給を成り立たせなくさせ、一方の急激な工業化は社会を不安定化させています。

これから始まる経済危機からの離脱政策に対して、日本政府がどの様な対応をとるかが正に重要です。

あれだけ新自由主義を喧伝していたブッシュの米国も、金融救済となると国家財政出動を余儀なくされました。これまでの事態から大統領選は民主党のオバマが勝つであろうが、万が一共和党マケインとなった場合でも、これまでのような新自由主義やマネタリズムの政策をとることは不可能になるでしょう。1929年の危機を習い、ケインジアン的な政策が再評価されるはずです。

その際、大事なことは、世界のまさにニーズであるところの地球環境の保全や食糧危機の回避といった全世界の持続的発展のために、実需を喚起し、そのための選択的な投資を行うための経済システムを再構築していくことであると考えます。かつての穴を掘って埋め戻せばようというようなケインジアン政策では経済効果は期待できませんし、ましてや環境破壊や新たな戦争を引き起こすことによる需要喚起では困るわけです。

 

エコロジカル・ニューディ-ル政策を今こそ

 

すでに、会派「無党派市民」は、平成10年度の日本の金融危機の際に、「土地本位制」制からの脱却を訴えたのを皮切りに、「エコロジカル・ニューディール」政策を実現すべしと云うことを訴えてきました。

84万の区民を要する大都市東京の住宅都市世田谷区での行政施策は日本全体のみならず、世界に影響を与えることができます。

一人会派「無党派市民」は、その成立の経過から云って、連続立体交差事業問題の迷宮に深く入り込み、行政裁判という手法も駆使しながら、そこで行われている不正や、行政施策上の問題点をえぐり出してきました。

 

土建国家解体から環境先進国へ

 

政策決定における官側の専権専横はいつのまにか戦後の政治経済システムの王座を握った土建勢力と深く結びつき、土建国家を形成しています。

この土建国家を解体し、本来の技術や勤勉さを基礎としたイノベーション国家たる環境先進国として再生させることが何よりも必要です。都市のありかたは地方のありかたとともにあります。都市に緑と人間性を回復し、食糧自給を高め農畜産業や林業の再生を図ることがもとめられています。

超低金利政策が年金危機や福祉切り捨ての元凶です。普通の金利政策に戻すことを要求するとともに、金利政策のひずみは政府や地方政府が責任をもって是正すべきです。

既に政策提言は、10年にわたって行ってきました。会派「無党派市民」として誇れることは、これまでの提言を何ら変える必要がないと云うことです。

いずれにせよ、100年に一度の経済危機は、世界と日本の政治経済状況を大きく変えていくでしょう。

大事なことは、区長を含め日本の政治家が新自由主義、市場原理主義、自由貿易原理主義といった信仰から離脱し、人間と地球のための政治を行うことです。

平成21年度予算への要望については、これまでの各年次ごとの予算要望や議会での提言の履行を求めるとともに、世田谷区政こそ、真っ先に変わって欲しいということを述べるにとどめます。