平成17年第3回定例会(自9 14日 至1018日)

世田谷区議会会議録

2005年9月27日 平成十七年度世田谷区一般会計補正予算(第二次)への反対討論




○菅沼つとむ 議長 これより意見に入ります。
 なお、意見についての発言時間は、議事の都合により十分以内といたします。
 発言通告に基づき発言を許します。
 四十八番木下泰之議員。
   〔四十八番木下泰之議員登壇〕

◆四十八番(木下泰之 議員) 議案第八十三号「平成十七年度世田谷区一般会計補正予算(第二次)」への反対討論を行います。
 今回の第二次補正予算に対しては、主に二つの理由で反対いたします。
 一つは、今回の補正予算には、幼保総合型整備事業費として、いまだ廃止を議会も認めてはいない区立幼稚園に、極めて不明瞭な形で予算がついたことであります。五百万円の予算です。内訳は、旭幼稚園の電気施設の設計委託費に二百万円、羽根木幼稚園の調理室と電気設備の設計委託費に三百万円、これは子ども部が担当すると言います。教育委員会の施設なわけです。なぜ子ども部が予算をつけるのか、これはおかしいと思います。幼保一元化とは言うけれども、世田谷区の教育委員会は管轄外になるのを見越しての予算づけです。これは、今世田谷区が進めようとしている幼保一元化を象徴しております。
 幼稚園を民営化してしまったら、教育マターの管轄は東京都生活文化局の私学部に移ってしまいます。世田谷区の教育委員会は直接には関係なくなるということを象徴しております。まだ区立幼稚園を廃止しているわけではないのに、教育委員会管轄の施設に子ども部が予算をつける、予算のつけ方が異常であります。こんな既成事実化予算を認めることはできません。
 国も、いまだ一元化の明確な方針を持っているわけではありません。その中での無理やりの既成事実化は幼稚園民営化するべきではありません。幼保一元化の実験を区の責任でおやりになるなら、区立幼稚園、保育園同士の実験こそ通常のはずであります。区は父母から積極的に支持されてきた幼児教育の現場を捨てるべきではありません。幼児教育に目を配るということは、教育委員会みずからが運営してこそ生きてくるものであるというふうに考えております。これが私の持論であります。一番身近な政府である自治体が幼稚園についての責任を放棄することによって、犠牲になるのは園児であり、父母であるということを改めて申し上げておきます。
 補正第二次予算について、もう一つ重要な反対理由があります。砧総合支所の建てかえ問題で、同支所の改修計画が、区議会に明確な理由を示さないまま改築に方針を切りかえ、改築を前提とした、砧総合支所の建てかえにかかわる基本構想委託料が計上されていることであります。
 世田谷区長の、二〇〇四年、平成十六年六月九日の第二回区議会定例会の招集あいさつがございました。これを紹介しておきましょう。「小田急線連立事業に関しましては、梅ケ丘駅〜成城学園前駅にかけての複々線化がこの十二月の完成見込みに加え、世田谷代田駅〜東北沢駅間にかけては工事説明会を既に終え、今秋着工の予定です。さらに駅周辺まちづくりにおきましては、経堂駅の高架下駅前広場、成城学園前駅の西側暫定広場を今年度中に整備してまいります。特に成城学園前駅周辺につきましては、今年度、国土交通省で創設された、地域主導の個性あるまちづくりを支援する、まちづくり交付金の申請を行ったところでございます。区民の交通利便性を向上させ、地域の生活拠点である駅周辺のまちづくりの推進に向けて、積極的に取り組んでまいります」。これが区長の招集あいさつでありました。
 まちづくり交付金については、この区長の所信表明演説に先立ちまして、五月二十八日の都市整備委員会で、また、庁舎特別委では五月三十一日に、改修して交付金申請をしたいという報告がありました。
 庁舎特別委で河上総務課長は、「砧総合支所庁舎、区民会館改修の検討でございます。これにつきましては、成城学園前駅周辺地区について、駅周辺の整備促進や町の再生と活性化を進めていくことを目的に、国土交通省が今年度創設したまちづくり交付金制度を活用を図って、財源の確保を図るよう準備を進めているところでございます。このまちづくり交付金制度につきましては、新しい制度でございまして、総合的なまちづくりを進める制度でありますけれども、具体的には、都市計画道路二一七号線、地区計画で定めた広場、街路の整備とともに、砧区民会館のバリアフリー化などの改修などをまちづくり交付金の対象として申請をしていくというものでございます」と述べているのであります。
 つまり、平成十六年度の四月一日より実施された都市再生法を根拠とするまちづくり交付金事業に世田谷区は申請して、平成十六年度から、そのくくりで交付金を活用しているということであります。
 まちづくり交付金申請の際にはルールがあって、都市再生整備計画として詳細な計画書を提出することになっております。インターネットでとってみました。これほど、かなり詳しい説明が必要であります。成城学園前駅周辺地区に適用されたわけであります。
 従来、連続立体交差事業として街路事業予算や道路予算のみから成り立っていた事業にまちづくり交付金が加わったことにより、面的な整備もやりやすくなった。このまちづくり交付金事業の都市再生整備計画作成の中で、砧総合支所の改修としたわけであります。
 庁舎問題は随分以前から検討されてきたわけですから、本当に改築が必要であれば、この平成十六年四月の段階で改築を主張すべきであったというのが本当のところではないでしょうか、国にまで申請するわけですからね。改修で計画申請したものを、なぜ今さら改築に変更する必要があるのでしょうか。
 企画総務の議論でも、まちづくり交付金の変更申請をすると言っているけれども、それが認められるのは難しいという答弁すら、区の担当者が行っているのであります。改修であれば、バリアフリーを含めて、国が四割を見てくれるというところを、三十億円から四十億円丸々、世田谷区は単費で行わなければならない改築にこだわる背景には、何か裏があると言われて仕方がありません。委員長報告の中で下条議員が述べたとおりであります。
 しかも、砧が改築ということになればなぜ、玉川総合支所が顕著ではありますけれども、他の公共施設について改修で甘んじなければならないのかということにもなってしまいます。そうであるからこそ、賛成した自民、公明、区民連、政策会議も、ひとしく区の説明不足を言っているのであります。
 ところで、まちづくり交付金が何であるのか、どんな申請書を出したのか、そういったことは議論になっておりません。補助金システムの転換を含めた構造的な把握は、委員会の中ではまだされていないのであります。こんな状態で、説明不足ではあるけれども、賛成というのはいかがなものでしょうか。議会の見識が疑われるものであります。説明不足のものは、また、わけのわからないものは通すのではなくて、少なくとも継続審査とし、審議を尽くすべきであります。
 残念ながら、この議会には、区提出の議案が審議未了廃案になったり、継続案件になったためしがありません。これは議会のチェック機能が全く失われているという証左であります。区と賛成した委員は猛省すべきであり、議案は通すべきではないと訴えます。
 今回の問題、まちづくり交付金の問題が、これがかなめであります。ところが、その議論はされていない。申請には詳細な申請書が必要であります。この申請書は、先ほども紹介しましたけれども、インターネットを見れば読むことができます。
 今まで道路事業費として、連続立体交差事業の関連事業として申請していたものを、それとは関係なしに、道路事業を離れて、面的な整備も含めて建物等にも使える、文化的な予算にも使える、そういったものがまちづくり交付金であります。それの支出の申請を定めたのが都市再生整備計画であり、その作成の手引きまでできているわけです。この中で改修を申請したわけですから、これはそのときに十分総合的に検討して、改修を申請したということになるわけであります。それが一年たって、これが改築に変わってしまう。裏に何かがある、そう思われたって仕方がありません。これは決算の中でも十分追及していくつもりであります。
 以上、反対理由を述べます。

○菅沼つとむ 議長 以上で木下泰之議員の意見は終わりました。