平成16年第3回定例会(自9 15日 至1019日)

世田谷区議会会議録

2004年9月16日 一般質問


○宍戸教男 議長 次に、四十八番木下泰之議員。

   〔四十八番木下泰之議員登壇〕

◆四十八番(木下泰之 議員) 通告に従い、一般質問を行います。

 まず最初に、世田谷代田〜喜多見間の小田急線複々線化連続立体交差化事業についてお聞きいたします。

 小田急線の駅舎には、あちらこちらに世田谷代田〜喜多見六・四キロメートル複々線化十二月完成という宣伝ポスターが掲げられております。しかし、このポスターをよく見ると、複々線化が完成するとは言っているけれども、連続立体交差化事業が完成するとは一言も言っておりません。かつては「二〇〇四年度に複々線化・連続立体交差化事業完了予定」というポスターが張られておりました。最近では小田急線の駅舎には一枚もこのポスターは張られておりません。

 それもそのはずであります。高架連続立体交差化事業と言った場合には、関連側道を完成させなければ事業は完了いたしません。現在、側道で未買収の部分が明らかに存在しております。そして、来年三月までにこの側道を完成することを既に行政はあきらめているはずであります。このことは、認可時に二〇〇〇年三月末完成と言っていた複々線化・連続立体交差化事業を二〇〇五年三月末まで延期したにもかかわらず、それでも完成できなくて、さらに延長せざるを得ない状況に追い込まれたことを意味します。

 延期した期限の二〇〇五年三月末の完成のめどは立つのか立たないのか。立たないとすれば、事業期間の再延長申請手続を東京都はいつ行うのか。また、いつまでの期限を設定するのか。世田谷区は地財法で事業費を出しているのでありますから、知らされてしかるべきであります。お教え願いたいと思います。

 加えてお聞きしたいと思います。世田谷代田〜喜多見六・四キロメートル複々線化十二月完成と小田急電鉄は宣伝しているけれども、そもそも側道も完成しないうちから、複々線が完成したとして高架線上に電車を走らせることは、連続立体交差化事業認可の事業要件にも、さらには国が事業手順を定めた建運協定や関連通知に違反しているのではないかということであります。違反しているとすれば、区民の健康と安全を守る立場から、側道なき高架複々線走行はさせてはならないと私は思います。区長のご見解をお伺いいたします。

 次に、下北沢地域の補助五四号線道路計画についてお伺いいたします。

 補助五四号線は広域道路として位置づけられております。本来ならば、東京都が施工すべき道路ということになるはずなのに、世田谷区が施工を請け負うに至った経過について説明していただきたい。あわせて、小田急線連続立体交差化事業での交差道路についての都と区との調整ということで、この区施工が決まったと私は認識しておりますが、そのように認識してよいのかどうか、お尋ねいたします。

 また、下北沢の補助五四号線については、区が施工することになっているけれども、都が施工する場合と区が施工する場合の道路事業費の区の負担の違いを明らかにしていただきたいと思います。区が財政負担を引き受けるようになった以上、一体総額幾らかかるのか、区の負担金総額を明らかにしていただきたい。

 補助五四号線と小田急線連続立体交差化事業、建運協定の関係についてお聞きしておきます。

 連続立体交差化事業の手続やルールを定めているのは旧建設省と旧運輸省の建運協定であり、これにより事業の定義が定められております。建運協定の定義によりますと、鉄道と幹線道路が二カ所以上で交差し、鉄道と道路を同時に三カ所以上において立体交差させなければいけない。下北沢地区の小田急線の連続立体交差化事業では、既存の幹線道路の環七と概成の補助幹線道路である補助二六号線とで幹線道路が二カ所交差しております。しかし、都市計画道路をもう一本立体交差させなければ、連続立体交差化事業の要件に満たないわけであります。そうすると、補助五四号線を事業化することを前提としなければ、小田急線の連続立体交差化事業は成り立たないという関係になります。結局、全く別の都市計画道路を新設するのでもない限り、既存の都市計画道路である補助五四号線を事業化することは、小田急線連続立体交差化事業の必要条件であった、そういうふうに理解してよろしいのかどうか、お聞きしておきます。

 次に、幼稚園の存廃、幼保一元化問題についてお伺いいたします。

 教育委員会と区長は、七月に二園の廃止方針を打ち出したわけでありますが、一体何を議論していたのか、さっぱりわかりません。三月に教育委員会がまとめた世田谷区の幼稚園教育の現状と課題は素材の提供だと、教育委員会の事務局は説明しておりますが、このレポートは表題とは裏腹に、幼児教育再編のレポートであって、幼稚園教育の現状と課題のレポートにはなっておりません。

 教育委員会は、六月一日にほとんどおざなりな議論をしただけで、六月二十九日には、事務局が突然持ち出した二園廃園方針をほとんど議論もなく決定、この決定を受けたという形で区長部局も同調し、文教委員会、福祉保健委員会に報告したのみで、議会の大方の理解を得られたと勝手に解釈して、父母の反対を押し切って、八月十五日には廃止方針を、九月一日には募集中止方針を相次いで広報するという挙に出ました。

 幼稚園の廃止は、区議会で学校施設の廃止条例の可決が必要であります。逆を言うと、もし幼稚園を廃止し、新しい施設への移行を構想するのであれば、廃止条約から新しいものをつくるために必要な条例案とを用意し、具体的な再編日程も含めて、区議会で徹底的に議論すべき性質のものであります。

 ところが、新しいビジョンについては、幼保一元化が必要だというだけで、中身はいまだ何も示されておりません。少なくとも区議会議員として私は全く納得しておりません。議案として提出もされていないものを納得しようがないわけであります。大方の理解が得られたとよく言いますが、何についての理解が得られたと思うのか。また、大方の理解が得られたと思うところの根拠を示していただきたいと思います。

 さて、教育委員会の議事録を読んだ限りでは、廃止方針を決める際には、教育委員は幼稚園の教育の中身については一切議論をしておりません。議論をしているのは、具体的な教育実践の評価抜きの再編論議のみです。

 また、最近示された教育ビジョンを読んでも、表題は「幼児期にふさわしい教育の推進」とあるにもかかわらず、これまでの幼稚園教育実践についての評価や反省はおろか、これまで区立の幼稚園が何をやってきたのかさえ触れていない。それでいて、「幼児教育にかかる研究の推進」であるとか、「幼稚園教員・保育士の資質向上の推進」や、小学校との連携の推進を目指すなどと書いてあります。

 甚だ空疎で奇異に映りますが、一体、教育委員会は世田谷区が行ってきた幼稚園教育のあり方についてどのような議論をしてきたのか、お示しいただきたいと思います。その上で、区立幼稚園教育について、区の教育委員会のこれまでの評価と今後の方針について具体的に聞かせていただきたいと思います。

 また、同様に区長としての考え方を聞かせていただきたい。私の認識では、区教育委員会も区長も区立幼稚園についての定量的な把握はしているかもしれないが、定性的な把握は、これまでまないたにものせてこなかった。これではどの方向であれ、今後の幼稚園教育や幼保一元化への対応はできません。区長が人事権まで握っている、唯一の世田谷区の教育実践体である区立幼稚園の教育実践の実情を知り、評価を見定めることのイロハのイから始めるべきであります。

 区長及び教育委員会は、区民との協議機関を設置し、二園廃止方針は白紙に戻して、根本問題から議論することを求めるものであります。何らかの協議会はつくるとおっしゃっておりますが、大事なことは、白紙に戻して、内容をきちっと見定めて、幼稚園教育はどういうふうにするべきか、どうあるべきか、そういったことを根本から話し合うべきだと思います。区長及び教育長の見解をお聞きいたします。

 以上で壇上からの質問を終わります。

◎株木 都市整備部長 私からは、世田谷代田〜喜多見間の小田急線複々線化・連続立体交差化・事業についてのご質問、それから補助五四号線と建運協定との関係との質問にお答えいたします。

 まず、平成十六年度完成のめどは立つのか否か、立たないとすれば、事業期間の延長申請手続はいつなのか、いつまでの期間を設定するのかというお尋ねでございますけれども、小田急線の連続立体交差化事業に関する都市計画事業の認可につきましては、現時点では平成十六年度末までとなっております。

 平成十六年度完成のめどは立つのかというご質問でございますけれども、鉄道部分については、本年十二月に複々線化が完成する予定と聞いております。鉄道及び側道の認可区域内の土地については、現時点で未取得の物件もございますが、東京都は、本年度の完成に向け、鋭意事業の推進に取り組んでいるというところでございます。

 二点目の側道のない高架走行は建運協定などに違反するのではないかとのご質問でございますけれども、側道用地につきましては、平成六年の事業着手以来、東京都が権利者の方々に協力のお願いを続けてまいりましたが、残念ながら、一部未取得の土地がございます。しかしながら、側道の整備が高架橋上における鉄道運行の要件ではございませんので、建運協定違反とは考えてございません。

 それから、補助五四号線と小田急連続立体交差化事業と建運協定の関係についてでございますけれども、補助五四号線の整備につきましては、小田急線の代々木上原駅〜梅ケ丘駅までの区間の採択当時の建運協定における、鉄道と幹線道路とが二カ所以上において交差し、かつその間の距離が三百五十メートル以上あるという必要条件を満たしていたことを受けて、この事業が採択されたものと考えております。

 以上でございます。

◎真野 北沢総合支所長 私からは、補助五四号線のご質問につきまして、三点ほどお答え申し上げます。

 まず五四号線を世田谷区が請け負った経緯についてでございます。

 都市計画事業につきましては、区市町村が施工するのが原則でありますが、特別区におきましては、大都市行政の一環として、都区の協議において施工区分が決められております。下北沢地域の補助五四号線につきましては、平成十二年二月に開催されました小田急線東北沢〜梅ケ丘間整備方針検討会におきまして、東京都から当区間におきまして区施工との提案がありました。

 区といたしましては、小田急線連続立体交差化事業等を契機に、交通渋滞の解消、それから歩行者空間の確保、防災の観点などから、駅周辺まちづくりの事業との関連を重要視し考慮いたしまして、都市計画道路の整備が必要と考え、東京都と協議し、区が施工することといたしました。

 次に、都が施工する場合と区が施工する場合の道路の事業の負担の違いを明らかにせよということでございます。

 下北沢周辺におきます補助五四号線の整備につきましては、都と区の施工別の事業費試算等は行っておりません。一般的に申し上げまして、都市計画事業として行う道路事業におきましては、都または区施工といった事業主体の違いによる事業費が異なるということはございません。

 次に、総額は幾らかかるのか、また、区の負担金総額を明らかにせよということでございます。

 以前にもお答えしてございますが、下北沢地域の補助五四号線第一期区間におきましては、現在、事業認可に向けて用地測量作業等を進めているところでございます。総事業費につきましては、事業に係る土地面積等を確定していきながら算定していく予定であります。総事業の算定は、用地費や補償費の積み上げによるものでございますので、現時点では示せる状況にはございません。事業認可後に明らかにしてまいりたいと考えております。

 また、ご質問の区の負担金総額につきましては、国庫補助金の導入など検討を進め、事業認可取得後にお知らせできるものと考えております。

 以上でございます。

◎庄司 教育次長 幼稚園教育について申し上げます。

 世田谷区の幼稚園教育は、その大部分が私立幼稚園に依存しております。区立幼稚園の設立経緯でございますが、昭和三十年代から幼児人口が急増したことに伴い、私立幼稚園の補完的な役割として区立幼稚園を設置してまいりました。その後、幼児数の減少により廃園する私立幼稚園が多くなる中、平成六年より区議会において、区立幼稚園の役割は終わった、区立幼稚園のあり方について基本的な見直しを行いたいとの表明を行っております。

 こうした認識のもと、「世田谷区の幼稚園教育の現状と課題」を本年三月にお示しし、四月に発足した子ども部と連携して検討を重ねるとともに、教育委員会での議論も経て、今回の二園の用途転換方針を打ち出しております。

 施設の改廃手続についてお尋ねがありました。

 幼稚園施設の改廃手続のお尋ねでございますが、今回の二園の幼稚園を用途転換する方針につきましては、教育委員会で決定するとともに、区の政策事項として判断し、区議会の常任委員会にご報告しております。その報告において、今後の手続等もお示しした上で、大方の理解を得たと認識いたします。「区のおしらせ」等で広く区民の皆様に今回周知したものでございます。二園の幼稚園の廃園につきましては、しかるべき時期に、学校設置条例の一部を改正する条例として区議会へ提案することになります。

 最後に、根本問題から議論せよというご質問でございます。

 今回の区立幼稚園の当面の対応につきましては、区民の代表であります議会に報告、ご相談して進めております。

 なお、幼稚園と保育園の機能を一体化した新しい形の総合施設につきましては、その構想案作成のために、関係者の方々のご意見を伺う場を設けて、検討を進めてまいる予定でございます。

 以上でございます。

◆四十八番(木下泰之 議員) 幼稚園の問題ですけれども、補完的な役割で始まったと。役割は終わったと。一体、今後その幼稚園の機能を利用して何をやろうというんですかね。つまり、何をやってきたかについての検証が一切ないんですよ。それでいて再編の話しかしていない。だから、幼稚園教育についてどういう方針を持っているのか。少なくとも二園は廃止したって、しばらく残っていくわけですよ。あるいは永遠に残るかもしれないんですね。そういったときに、どういう教育を幼稚園教育として区としては構想するのか。そういった視点がなければ、私立に教えを垂れるなんていうことはできませんよ。幼保一元化だってできない。そういったことについて、私はさっき聞いたつもりですよ。通告もした、一切答えていない。教育長、答えてください。

◎庄司 教育次長 就学前のすべての幼児に対する教育の質の向上を図ることを基本的な考え方として進めております就学前幼児教育のあり方に関する検討を踏まえて、当面の対応として、民間活力を活用して総合施設を開設するというものでございます。

 今後、この検討の中で、幼児教育についての検討もあわせて行っていきます。

 以上でございます。

◆四十八番(木下泰之 議員) 一番大切なものが忘れられて議論をしている。これでは本当に幼稚園児がかわいそうだ、そのことを申し上げておく。

 それから、小田急線の問題につきましては、これは決算特別委員会で十分やっていきたいと思います。何も答えていない、答える必要があるのに答えていない、それに非常に問題があると思います。

 以上です。

○宍戸教男 議長 以上で木下泰之議員の質問は終わりました。