平成16年第2回定例会(自6 9日 至618日)

世田谷区議会会議録

2004年6月11日 一般質問


午後三時十分開議

○宍戸教男 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 一般質問を続けます。

 四十八番木下泰之議員。

   〔四十八番木下泰之議員登壇〕


◆四十八番(木下泰之 議員) 一般質問を行います。大項目三つの質問のうち一項目めの質問は、時間の関係から割愛させていただきます。

 小田急線下北沢地区の連立事業は、三月二十三日に事業認可告示を行い、五月二十五、二十六、二十七日に工事説明会を行いました。説明会で質問が多かったのは、鉄道が地下に潜った後の事業用地がどうなるかということでした。区の担当者の答えは、駅間の上部利用計画については、小田急電鉄の土地であるから、小田急と今後相談して決めるというものでした。

 連続立体交差事業は税金を使った公共事業として行われます。同事業を律している建運協定では、公租公課分については無償で、それ以外は有償であっても、都市側が公共の用に供するために事前に申し出れば、優先的に公共側に使用させなければならないように定められているのであります。建運協定九条、十条、細目協定十五条を読めば、そう書いてあります。

 問題は、なぜ区は、あるいは都は、上部の利用計画を区民、都民と相談の上、事前に決め、取得を決めないのかということであります。このことをまずはお聞きしておきたい。

 鉄道地下化の跡地は、公共事業によって全く新たに生まれる土地です。今回の事業では、東北沢付近から世田谷代田駅先の羽根木公園あたりまで、およそ三十メートル幅から二十二メートル幅で二キロも続く広大な敷地が生まれるわけでありますから、その利用計画こそ、まちづくりのメーンでなければなりません。

 連立事業はまちづくり事業である、下北沢は防災が重要だと言ってきたのは行政であります。商店街も住民も反対する新都市計画道路補助五四号線のみは突出して優先整備を図りながら、防災にも役立つ広大な上部土地の利用計画を放棄し、これを小田急電鉄に任せてしまうことは、都市計画やまちづくり自体の放棄であると考えます。事業を凍結し、上部の公共利用を含めた周辺まちづくりや都市計画の抜本見直しを行うべきであります。ご所見をお伺いしたいと思います。

 公共利用を示さぬまま、小田急電鉄のものになる土地をなぜ売らなければならないのか、地下鉄完成後にはもとの場所に戻れないのかとの疑問の声が地権者から説明会で出されました。当然の疑問です。公共の利用計画が確定していない以上、工事で一時立ち退きしたとしても、もとの場所に戻ってくる権利はあるはずであります。説明会では、買収をお願いしているとの一方的な答えしかありませんでした。買収ではなく、一時立ち退きが可能であれば、そのことを明示することが説明責任というものです。法律的に言ってどう解釈されるのかをお示しいただきたいと思います。

 次に、北烏山に建設予定の大京の超高層ファミリーマンション計画に絡む畦畔――あぜ道ですね。すなわち国有地の時効取得処理についてお伺いいたします。

 北烏山の超高層マンションの事業は、昭和大学病院が敷地の半分を売りに出し、これを大京が取得して事業がなされています。この超高層マンション計画は、総合設計制度を使って容積率緩和を受け、事業が成り立っているわけでありますが、これは甲州街道への接道が条件とされております。ところが、この接道が昭和大学によるたった四・三六平米の畦畔の詐欺的違法登記によって成り立ったとの強い疑惑が明るみに出てまいりました。パネルを用意いたしましたので、示します。  私は、この事件を甲州街道超高層扇のかなめ事件と名づけようと思っております。ここが甲州街道であります。それで、こちらが烏山通り、そしてここまでが長年にわたり昭和大学病院が占有してきた畦畔であります。これは問題ありません。しかし、ここのオレンジ色で囲った部分、ここが問題の四・三六平米の畦畔であります。ここはまさに昭和大学の占有の事実がない公衆用道路であります。その証拠に、警察のマンホール、雨水枡、世田谷区公共基準点があります。区が管理していたわけであります。

 そして、これは隅切りラインでありますけれども、世田谷区はわざわざ昭和大学病院に申し入れて、百八万円をかけて隅切り工事を行っております。隅切り工事を行うわけですから、権利関係には注意を十分払っていたはずであります。しかし、むしろ権利関係をわかりにくくするために工事が行われたという疑念を持たれているということが問題であります。

 こちらは隅切りを実施する前の写真であります。マンホールも、そして雨水枡もその跡がありますけれども、外にあることがよくわかります。隅切り工事をやった後ですけれども、ちょっとどこがコーナーかがよくわからなくなっておりますが、実は、これは時効取得前の写真です。これは昭和大学病院が関東財務局に申請したときの写真のコピーです。みずから線が引かれておりますけれども、これは、まさにマンホールのところまでは取得していない、取得する意思を当初は示していなかった、つまり占用していないという事実をあらわすものであります。そういう事実関係がわかってきたわけであります。

 ところが、問題の箇所を昭和大学は時効取得してしまったわけでありますが、これはまさに不法な時効取得であります。問題の箇所は、本来は区が国からもらい受けるべき対象のはずであります。そうである以上、区は昭和大学による時効取得の無効を今からでも主張すべきであります。

 実は、平成十三年三月七日に東京都の要請を受けて、当該地についての公共用地境界立ち会いに世田谷区の役人が立ち会っております。立会報告書には、出田課長、橋本係長、山澄係員の印が押してあります。立ち会いを求められた際、昭和大学への時効取得の無効を主張しなかったのはなぜか。事態の経緯を説明し、世田谷区及び他の行政機関の責任所在を明らかにした上で、登記を取り消すよう各方面に働きかけるとともに、違法な登記を前提とした超高層マンション事業の即刻中止と白紙撤回を求めるものであります。どうか誠実にお答えいただきたいと思います。

 以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)


◎株木 都市整備部長 私からは、まず小田急小田原線代々木上原駅〜梅ケ丘駅間の連続立体交差事業に関連しまして、鉄道上部の公的利用計画を明示しないことへのお尋ねについてお答えいたします。

 鉄道上部敷地の利用につきましては、平成十五年四月に世田谷区が策定しました駅周辺街づくりの整備計画におきまして、東北沢駅、下北沢駅、世田谷代田駅、三駅の駅前広場などの整備イメージを一部お示ししておりますけれども、詳細につきましては、今後、東京都及び土地所有者である小田急電鉄と協議を進めてまいります。

 本事業は、完成までおおむね十年という長期間を要するものですけれども、地下化後の上部利用につきましては、今後、地元の要望や社会情勢の変化、区の財政状況なども十分踏まえた上で、利用計画を策定してまいります。

 次に、事業に伴います地権者の方の一時立ち退きが可能ではないかというご指摘でございますけれども、開削工法となる今回の事業区間におきましては、地下構造物が完成して埋め戻すまで長期間を要すること、また、地下化されたとしても、鉄道敷地としての一体性の確保なども考え合わせれば、一時立ち退きをし、完成後に鉄道上部で再建するという方法は現実的ではないものと認識しております。(「法律だよ」と呼ぶ者あり)法律上できないということではございませんけれども、複々線事業の事業主体である小田急電鉄も、事業用地については買収によって取得していくということを言っておりますし、先ほど言った現実的ではないというような認識のもと、私どもは考えているということでございます。

 以上でございます。

◎佐藤 烏山総合支所長 北烏山六丁目のライオンズマンション、いわゆる百メートルマンション計画における畦畔についてのご質問がございました。

 まず経緯でございますが、平成七年にこの畦畔と道路敷、水路敷の境界確定が東京都財務局によって行われております。区はこの際、道路管理者として立ち会っております。その後、平成十二年に昭和大学がこの畦畔を財務省より時効取得したと聞いております。また、その後の平成十三年に、昭和大学所有地と道路敷、水路敷との境界確定が同じく東京都財務局により行われ、この際にも、区は道路管理者として立ち会っております。

 しかしながら、時効取得につきましては、区は関与しておらず、昭和大学と財務省の間で行われたことであり、その経緯等については存じておりません。したがいまして、その過程における瑕疵の有無についても存じておりませんし、ご指摘の白紙撤回の要求についても考えておりません。

 以上でございます。


◆四十八番(木下泰之 議員) こちらに道路台帳平面図というのがあるんですよ。これを立ち会いのときに持っていっているんですね。その持っていったことは書類にも書かれています。つまり、世田谷区は十分知り得る状況にあったわけです。

 そして、この扇のかなめ事件ですが、この問題は四・三六平米の問題ではありますけれども、大きい問題です。このかなめが崩れれば、超高層は、まさに砂上の楼閣であります。甲州街道に接道しなければ、烏山通りから二十メートルセットバックしなければ違法になるという事案。いい地形をつくるという意味で、このかなめ石というか、そのかなめのところは数十億円の価値を持っているとも言えるものであります。

 ところが、国と都と区を働かせなければできないようなこういったことができてしまっている。バックに大きな力でもなければ、どうしてでもばれてしまう、そういう話であります。外部監査制度も導入するわけでありますから、最初の大きな事案として取り上げるべきであります。きょうは徹底調査をお約束していただきたいと思います。それから、そのことについて、区長にお答えいただきたいと思います。

 それから、小田急線の上部でありますが、殊のほか、これは広いということがよくわかります。三十メートルから二十二メートル、それが二・二キロに続いてあくわけです。これについてきちっとした計画を示さないで、何がまちづくりであるか、都市計画であるか、下北沢のまちづくりであるかということであります。ですから、これを示すまで、事業は凍結すべきであります。そうしないと、どういう事業になるのかわからない、そういった問題でありますので、きちっと答えていただきたい。

 それから、立ち退くことが現実的であるかどうかということについては、まさに立ち退かされる本人が決めることであって、法的にはそれができるんですよ。そういったことを示した上でなければ、公正な立ち退き交渉にはならない。そのことについてどう考えているのか、もう一度答えていただきたい。

 以上です。

   〔平谷助役登壇〕


◎平谷 助役 外部監査制度と本件、議員おっしゃっている事案との関係でございますが、いずれにしまても、先ほど支所長が答弁しておりますように、時効取得それ自体に関して私どもは関与しておりません。なおかつ外部監査に関しましては、今議会に上程をさせていただくという状況でございます。

 以上でございます。(「区長に聞いているんですよ、区長に。大きい問題ですよ、これは」と呼ぶ者あり)


○宍戸教男 議長 ご静粛に願います。


◎佐藤 烏山総合支所長 道路等の関係につきましては、これは東京都が判断する問題と考えております。

 以上です。


◎株木 都市整備部長 鉄道の上部利用のお話でございますけれども、建運協定などでも、鉄道事業者がみずから必要とする場合を除き、関係の地方公共団体等に優先的に有償で譲渡をすることができるということでございますので、当然お金のかかる話でございますし、当然その利用についてはいろいろな計画をした上で判断していかなくちゃいけないということで、今後、小田急、東京都、あるいは地元の意向なんかも勘案しまして、上部利用は決めていきたいと考えております。

 それから、一時立ち退きの話でございますけれども、先ほどの繰り返しになりますけれども、やはり長期間にわたる工事でございますので、その間、一たん立ち退きをして、また戻るというのは現実的じゃないというふうに私どもは認識しております。

 以上でございます。


◆四十八番(木下泰之 議員) 立ち退きの問題ですが、上部がどうなるかによって、その土地の価値だって変わるわけですよ。更地になって、非常に一等地になる可能性だってある。だから、戻ってきたいという人がいたって構わないわけですよ。それから、上部の利用によっては、それは立ち退いてもらわなければいけないことがあるのかもしれない。そういうことをきちっとやることが都市計画であり、まちづくりだというふうに私は思います。

 それから、烏山の問題については、これは本当に、区長、今からきちっと調べないと大変になることであると思います。これは国の財産をごまかして取得した。この畦畔は全体では五億数千万円もするんですよ、そういった問題です。


○宍戸教男 議長 以上で木下泰之議員の質問は終わりました。