2001年10月5日決算特別委員会質疑<区民生活委員会所管>


○小畑 委員長 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。

◆木下 委員 小田急線の訴訟の判決が十月三日に出たわけですけれども、その中で環境アセスについても触れているんですね。高架式を採用すると、相当広範囲にわたって違法な騒音被害の発生するおそれがあったのに、これを看過するなど、環境影響評価をしんしゃくするに当たって著しい過誤があったというふうに書かれているわけです。

 それで、この環境アセスについての問題点、現状の工事が進んでいる喜多見から梅ケ丘までの間のアセスについて、私はこの議会でも何回か問題点を指摘してまいりました。そして、今度、梅ケ丘から東北沢までの間のアセスについても、そのアセス項目等についての公表があって、それについての意見も世田谷区は出したというような経緯もございます。アセスについてはきちっと慎重に対応していかないと、やはりいろんな責任が問われることになるのではないかというふうに思っております。

 今回の判決で、原状回復の義務は法的に発生するものではなくというくだりがあるんですが、これは政治にボールを投げたぞ、市民にもいろいろ考えてもらいたい、そういうことで今後の対応を、法的なものではなくて、むしろ政治セクターに投げかけたということだと思うんですが、そのくだりを言う前の段で、本件各認可が取り消されても、その手続自体、または、それに必要な公金の支出に関与した公務員が何らかの意味で責任を追及されるなどの可能性はないではないがというふうに書いてあるんですね。

 つまり、今回の判決は官僚の責任についてかなり厳しく問うているということだと思います。ですから、世田谷区は直接の当事者じゃないからというようなことで、結構さまざま逃げの答弁が今まで多かったわけですけれども、今後の都市計画のあり方とか、あるいは環境アセスをやっていくに当たって、やはり真摯にきちっと対応していかなければ、ご自身の責任も追及されるというようなことがあると思うんですけれども、そういった意味で、役人としての心構え等について、助役、何かございますか。


◎水間 助役 環境アセスメントにつきましては、これは、今後、環境を大切にしていくということからは大変重要なことであろうというふうに思っております。

 それから、今回の判決についていろいろ出ておりますが、これは地裁の段階でございまして、法の段階での最終的な決定ではなかろうというようなことで、私どもも内容的には、今委員のおっしゃったようなことについてはやはり注目をして、今後の動向を見守らなければいけないと思いますけれども、今回の判決につきましては、これからのこともございましょうし、そういった意味では、今コメントは差し控えさせていただきたい、このように思っております。


◆木下 委員 何かというと一審だからということで逃げますけれども、裁判官という資格を持っている方が、しかも、合議制でいろんな検討をされて一つの司法判断を示したわけですね。少なくともそういうことについて直接法的に拘束されるかどうかということは別として、やはり役人に対して司法の方から、今までのやり方というのはまずいのじゃないか、そういうことを言われているわけですから、やはり素直にそういうことについては注意しますぐらいのお答えがあってもいいのではないかというふうに思います。

 それで、環境アセスについてお聞きしますけれども、今度、梅ケ丘から東北沢までのアセスをやりますけれども、アセスの範囲というのはどういうふうにして決めるものですか。というのは、影響が及ぶところについてのアセス項目はどういうふうに決めるかという一つのルールというのはありますか。


◎城倉 環境課長 今行われているアセスは東京都の環境アセス条例に基づいて実施しています。それで、アセスの項目等については条例、規則で定められています。


◆木下 委員 つまり、環境の影響の及ぶ範囲について、あらかじめアセス項目を決めていって、それでアセスを行っていくわけですけれども、例えば今回、下北沢地区の工事のアセスを評価するに当たって、つまり、下北沢が複々線になるということは、今の工事区間についても、将来はそれと同じ本数の列車が通るということになるわけです。つまり、梅ケ丘までしか工事が完了しないときにはたしか八百本が八百三十本ぐらいにしかふえない。ところが、下北沢が全部あくと、一千本以上の列車が通ることになるわけですね。

 そうなりますと、今回の事業によって影響が及ぶということで言えば、現在工事をしているその区間についても、重ねてそこで通る列車が千本になったとき、どういう影響が周辺に及ぶか、そういうことについてきちっと調査すべきなんじゃないですか。また、それについて、区はそういう意見を述べるべきなんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。


◎城倉 環境課長 アセスについては、今委員がおっしゃったような考え方もあろうかとは思うんですが、一つ、条例の手続にのっとってやっていくということがございます。あと、今のアセスの中で、今回の判決のあった事業区間、それから梅ケ丘以東の事業区間、それぞれ違ったアセスの手続でやっているということはございますけれども、あと、事後評価ということがあると思いますので、そこでどうなっているか、そこら辺はちょっと正確には申し上げられないところがあるんですけれども、関係してくるのかなというふうには思います。


◆木下 委員 私は、アセスをきちっとやるときに、アセスというのは、要するに環境影響を評価して、それを未然に防ぐためにやるわけですから、しかも、現在の工事区間はまだ工事が終わっているわけではない。そして、これからアセスメントをやろうとしている区間があって、そこが完成すれば確実にふえるということはわかっているわけですから、そういった場合にきちっとしたアセスをやって、現在の工事区間の問題点もきちっと洗っていく、そういうことまでやらなければ、本当の意味での説明責任を果たしたことにはならないというふうに思っております。

 それからもう一つ、環境アセスについて、下北沢地区をやるに当たって、二六号線と五四号線についてアセスの対象になっていないんですね。これは変な話で、もともと連続立体交差事業というのは道路と鉄道の立体交差が問題になっているわけですので、当然、道路が新たにつくられた場合にどういう変化があるかということについてやらなければいけないと思うんですが、そういうことも世田谷区は述べていないわけですけれども、それについてはいかがでしょうか。


◎城倉 環境課長 今委員おっしゃったところについて言いますと、都の条例でも、対象事業についてはというくだりはございます。ただ、その対象事業というのは、またこれは条例、規則で定められている部分がございまして、今委員のおっしゃった方の五四号のことなんですけれども、それからは外れるのかなというふうには考えております。


◆木下 委員 そういうしゃくし定規にというか、勝手に規則で決めてそういうのは除外していく、そういうことはやはり非常にまずいのではないか。今回の判決が出たことをきっかけにぜひ改めていただきたい。そのことを要望して終わります。


○小畑 委員長 以上で無党派市民の質疑は終わりました。

   ──────────────────