2001年10月3日決算特別委員会質疑<企画総務委員会所管分>


○小畑 委員長 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。

◆木下 委員 本日十時に、東京地方裁判所は、小田急線の連続立体交差事業、複々線化も伴う事業ですけれども、この事業認可に関して、事業認可の認定が違法である、そのことを認めた判決を出しまして、原告側が全面的な勝利をおさめたということになっております。もうニュース等の速報で流れておりますし、皆さんのお手元にも何か事務局から配られたそうですので、ご承知のこととは思います。

 問題は、昨年の秋に、私は、やはりここの決算のとき及び本会議でも申し上げましたけれども、建設省に対して裁判長が和解勧告を求めたときに、世田谷区には一切相談がなかったわけですね。それについては、理事者の皆さんも認めているわけです。今回の違法判決が出たことによりまして、やはり小田急線の工事について何らかの見直しをしなければいけないという事態になるとは思うんですけれども、まず助役に、今回の判決を聞いた感想と、それから今言ったような国との調整、そういったことについてどのようにお考えか、お聞かせください。

◎水間 助役 判決につきましては、結果としては聞いておりますが、詳しい内容についてはまだ伺っておりません。

 それから、国との関係でございますけれども、これは行政を進めていく上でいろんな手法はあろうかと思いますが、直接工事にタッチいたしておりませんので、詳しくコメントはできません。


◆木下 委員 直接事業には参加していないというふうにおっしゃったけれども、そうではないという事実が、もう委員会でも議論しましたし、それから本会議でも議論をしています。まだ十分には答えられていませんけれども。

 例えば地方財政法二十七条の三というのがございまして、世田谷区は負担金を出しているわけですね。そうしますと、当然、この小田急線の事業について、例えば側道などについては、小田急がやる事業として初めから認定されている。そういうことも含めて、まず世田谷区が出した金がどう使われているのか、それから、世田谷区はやはり自分が事業にも参画するわけですから、その全体像がどうなっているのか、そういったことについて十分に把握しなければいけないわけですけれども、それについてどうも今まで把握してこられなかったということがあると思うんですよ。

 そういった意味でも問題だし、それから地財法の二十七条の三は、建設大臣に対して違法な支出というか、そういうものの疑義がある場合には、それは出さないことを申し出ることもできるわけですよ。そういう検討について、なさるおつもりはございませんか。


◎平谷 政策経営部長 結論的に申し上げますと、先ほど助役が申し上げた答弁に尽きるんです。つまり、まだ詳細な状況はわかりません。被告が基本的には建設大臣と都知事だということで、中身に関しましては、私の記憶ですと、事業計画の中身ですとか、その手続ですとか、あるいはいわゆる事業認可の部分、そういった部分が主な論点であったと思います。ただ、先ほど助役が申し上げたように詳細はわからない。

 二点目に地方財政法のお話が出ておりますが、条文は引用しませんが、基本的にはいわゆる都知事の方で負担を求めることができるということで、それに対して区市町村はそれをやっていく。今、委員おっしゃるように、その部分で何かあれば、改めて自治体としても言えるという道を開くという意味だと思うんですが、それが今回の判決の中身そのものとどのように関連してくるのか、正直申し上げて、全文ももちろんですが、いわゆるポイントになる部分もまだ詳細に分析しておりません。ですから、恐れ入りますが、そういうことでお許しをいただく以外ないだろうと思います。


◆木下 委員 十分に把握されていないということなんですけれども、きょうの判決で特徴的なのは、アセスメントとかいろいろやりましたね。これは世田谷区の意見書も出しています。それから、さまざまな事業についての計画についての説明会等もありました。そういった経過をすべて含めて、例えば第一に、高架式を採用すると、相当広範囲にわたって違法な騒音被害が発生するおそれがあったのにこれを看過するなど、環境影響評価を参酌するに当たって著しい過誤があり、本件事業区間に隣接する下北沢地区が地上式のままであることを所与の前提とした点で、計画的条件の設定に誤りがあり、第三に、地下式を採用しても特に地形的な条件で劣るとは言えないのに、逆の結論を導いた点で地形的条件の判断に誤りがあり、第四に、より慎重な検討をすれば事業費の点について高架式と地下式のいずれがすぐれているかの結論が逆転し、またはその差がかなり少ないものとした可能性が十分あったにもかかわらず、この点について十分な検討を経ないまま、高架式が圧倒的に有利であるとの前提で検討を行った点で、事業的条件の判断にも著しい誤りがある。

 当時の小田急線の騒音が違法状態を発生しているのではないかとの疑念への配慮を欠いたまま都市計画を定めることは、単なる利便性の向上という観点を違法状態の解消という観点よりも上位に置くという結果を招きかねない点において、法的には到底看過し得るものではないし、事業費について慎重な検討を欠いたことは、その点が地下式ではなく、高架式を採用する最後の決め手となっていたことからすると、確たる根拠に基づかないで、よりすぐれた方式を採用しなかった可能性が高いと考えられる点において、かなり重大な瑕疵と言わざるを得ず、これらのいずれ一方を見ても、優に本件各認可を違法と評価するに足りるものと言うべきである、そういう判決内容なんですね。

 つまり、世田谷区は、議会も含めて、かつては地下化推進を全会派で決めていた。それが、ある時期から区長も高架に乗っかる形で事業をどんどん進められてきたわけですね。基礎調査についての情報等も出すべきだというふうに何度も言ってきたにもかかわらず、それは東京都からいただいていない、それから、例えば地財法の関係で、では、どこが工事の予算をつぎ込んでいるのか、そういう報告もあるのかと聞いたところ、そういうものも一切ないと。そういうことをずっと答え続けてきたわけですね。

 地方分権とか言われていますけれども、まさに今回のこの事業は、本来は、世田谷区の区長がノーと言えば高架にはできなかったはずの事業なんですね。それから、皆さんも、多少進んだところででも、いろいろ問題点があった場合には、それに耳を傾けて対応すれば、それは是正できたはずなんです。しかし、それはもう全然世田谷区は関与していないと。実は大いに関与しているわけです。そういった点で、説明責任といった意味でも、この点一つとっても──今度、情報公開条例で十月一日から説明責任というのが入ったそうですけれども、説明責任についてどう考えているのか、そのことについて最後にお聞きしたいと思うんですが、いかがですか。


◎平谷 政策経営部長 具体的なお話でございますから、当然、裁判の中身を十分しんしゃくしてご答弁せざるを得ない、こういうことでございますから、ただいま委員からご紹介いただいた中身そのものも、被告である当事者も分析するでしょうし、区としても改めて検証をしてみたいということだと思います。

 したがいまして、個々具体に何が説明云々であるかというのは、本日のところはなかなか難しいのではないか、こういうことでお許しをいただきたいと思います。


◆木下 委員 本日は岩國哲人さんも応援に駆けつけてくださいましたり、大分状況も変わっているんですね。各政党も支援されるようなことになると思いますので、高架を推進してきたということもあるかもしれませんけれども、やはり今から見直せることについてぜひ十分いろいろお考えいただきたい、そのことを要望申し上げまして、終わります。

○小畑 委員長 以上で無党派市民の質疑は終わりました。

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