平成12年第3 回定例会(自920日 至10 19日)

世田谷区議会会議録

2000年9月21日 一般質問


    午後五時開議

○山内彰 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 一般質問を続けます。
 五番木下泰之議員。
   〔五番木下泰之議員登壇〕

◆五番(木下泰之 議員) 通告に基づき一般質問を行います。

 本日は、世田谷区の建築行政やまちづくりのあり方について、具体的な事例を三つ挙げて質問いたします。

 まずは、小田急連続立体化に伴う不動産開発の拠点である(二字削除)で起こっている事態について質問いたします。通告の(五字削除)の(二字削除)氏の建築基準法違反、都条例違反と(二字削除)駅周辺街づくり協議会についてであります。

 (二字削除)周辺地域の有力地主といいますと、幾つかの系列があります。その一つである(二字削除)氏の(五字削除)の(六十七字削除)昨今、周辺に違法建築が頻繁に建てられるようになり、近隣紛争が絶え間ない状況になってきております。そういった中で、(二字削除)駅周辺街づくり協議会の(四字削除)である(三字削除)氏が屋敷の一角に鉄筋コンクリートの建築物を現在建築中でありますが、この建物が建築基準法に照らし少なくとも六十センチ以上も高さ制限をオーバーしており、近隣への大幅な建物の接近など、そのほかの違反事由も含めて違法なものであることが近隣住民の指摘により明らかになり、現在工事はストップしている状況にあります。

 この建物は、建築計画が持ち上がった平成十一年五月のころから近隣から問題にされ、中高層条例に該当することから、近隣が計画や工事に対して注文をつけていた事案でありました。建築申請が平成十一年六月十日、建築認可がおりたのが何と半年後の十一年十二月十三日、工事が始まったのは本年が明けてからです。ところが、結局は大幅な建築違反があった。確認申請とかけ離れた大きさの建物が実際には計画され立ち上がってきたときに近隣から指摘されて、ストップせざるを得なかったわけであります。これは確認申請に近隣と行政に虚偽の説明をして違法建築を強行したのであり、極めて悪質な建築違反の事例と言わなければなりません。

 そこで、この(三字削除)氏の建築基準法、中高層建築条例違反と区の指導についてお聞きいたします。

 第一に、経過と違反の具体的な実態を明らかにしていただきたい。

 第二、近隣から指摘されるまでなぜ指導を入れなかったのか、また、少なくとも六十センチもの高さ制限違反という明確な建築基準法違反(三十字取り消し)が明るみに出たにもかかわらず、なぜ赤紙を張らないのかをお答えいただきたい。

 さて、(三字削除)氏は(二字削除)駅周辺街づくり協議会の(四字削除)ですが、(二字訂正、二十二字削除)氏は同街づくり協議会の(二字削除)であります。次に、この(四字削除)氏による大規模駐車場経営の届け出義務違反の事実と区の指導についてお聞きいたします。

 屋敷の裏に五十台以上も収容できる駐車場がありますが、これは(四字削除)氏の経営、管理する月ぎめ駐車場であります。近隣からは、隣接する部屋が車の出入りによるライトや騒音、排ガスで使えないとの苦情を聞いております。ところで、この駐車場、無届けであることが明らかになりました。

 そこで、お聞きいたします。(四字削除)氏の駐車場の規模と東京都公害防止条例での届け出義務及び罰則について明らかにされたい。また、同駐車場はいつから無届けで営業しているのかを明らかにしていただきたい。また、私がこの事実を指摘するまで何らの対応も区はしなかったのはなぜか、罰則を適用するおつもりはあるのか、また今後どのように指導をするのか、お伺いしたいと思います。

 さて、(四字削除)氏は(二字削除)駅周辺街づくり協議会の(二字削除)であり、その(二字訂正、六字削除)氏は同協議会の(四字削除)であります。最近、NPOの役割が強調され、世田谷区も今議会でも再三その重要性を説いております。NPOといってもいろいろありますが、道路づくりや、都市計画や、用途地域変更の方向性をも打ち出す仕事をするまちづくり協議会ほど、当該地域の私権の制限を含めて強大な権限にかかわる事案を決めていく立場にあるNPOはないのではないでしょうか。その(二字削除)の(二字訂正、六字削除)が公然と建築違反を犯す。(二十三字取り消し)そして、(二字削除)本人の管理、経営する大規模駐車場が無届けで近隣に公害をばらまいている。こんなことがあってよいのでしょうか。私は、この両名がまちづくり協議会の(二字削除)、(四字削除)としてふさわしくないというふうに考えております。区長の見解をお伺いいたします。

 また、このような市民規範を守らぬ人たちが主導してきたまちづくり協議会は解散すべきであるし、まちづくり協議をやり直すべきであるというふうに考えますが、いかがか、お答えいただきたいと思います。

 ところで、私の今回の質問通告について、個人名を出すのは好ましくないとの議運理事会見解の伝達が議運委員長からあったのみならず、同様に名前を出すことを牽制する執拗な意見が議運の席で自民党や公明党からなされました。既に私は体育協会の坪内氏の実名を挙げた質問通告をしたことが過去にございます。その際は何の問題にもなりませんでした。今回の言論弾圧とも言うべきこの執拗さに疑問を持ちまして、いろいろと調べました。ここに世田谷区議会の選挙公報がございます。平成三年の公報で(二字削除)在住のI区会議員の(十二字削除)氏の名前が掲載されており、平成七年の同I議員の(四字削除)に昇格して名前が掲載されております。十一年の公報には(四字削除)自体が推薦者として掲載されておりませんので、現在も(四字削除)であるかどうかは不明ですが、(四字削除)氏がI議員の有力な(三字削除)であることには間違いありません。議会での私への言論弾圧がまさに問題の本質を象徴しているわけですが、こういった一党一派に偏した方が(二字削除)の町の運命に深くかかわるまちづくり協議会の(二字削除)であってよいのかどうか、あわせて区長の見解をお伺いしたいと思います。


 次に、松原四丁目六棟現場の街づくり条例、小規模宅地要綱違反と区の対応についてお聞きいたします。

 小規模宅地要綱は、世田谷を乱開発から守るかなめであります。住宅条例で区長は最低敷地基準を決めることができるとした上での要綱であり、条例に根拠を持っております。ところが、最近これが全く守られていない。松原四丁目の六棟現場では四十五平米から五十二平米のまさにウサギ小屋のようなミニ住宅が建設されようとしております。住民は計画段階から問題にし、粘り強く区担当者や区長及び業者に働きかけてきましたが、結局、住民の努力は無視され、現在工事は強行されております。

 住宅条例は、良好な住生活を主体的に営むことができる権利を有するとし、区、区民及び事業者は相互に協力して基本理念の実現に努めなければならないとしておりますが、これでは結局区民が努力しているだけではないかとの声がふつふつとして上がってきております。役人は役人の持つ権能をすべて使って小規模宅地違反を押さえ込もうとしていないし、現在の条例、要綱をぎりぎりまで使い込む努力さえ区の役人はしていないというのが事実であります。

 そこで、お聞きします。住宅条例、小規模宅地要綱に基づく指導を徹底できないのはなぜか、区職員に条例、要綱を忠実に実行する義務はないのか、このことをお答えいただきたい。条例、要綱違反への遵守勧告がなされないのはなぜか。行政手続条例に基づきペナルティーとして違反業者氏名の公表を実施しないのはなぜか。同種事件で勧告や氏名公表がなされたことがあるのかどうか示していただきたい。また、最近の違反の統計を示していただきたい。

 ところで、松原の六棟現場では確認申請がなされないまま工事が強行されました。明確な建築基準法違反です。この違反是正を機に認可をストップさせ住民との話し合いを促すことができたはずなのですが、原状復帰命令さえ区の役人は出さないばかりか、住民との話し合いも済まないうちに業者に認可を与えてしまったのです。なぜこういうことをされるのか、お答えいただきたい。


 次に、環七野沢地区南部沿道地区計画の緑地保全区域における沿道法違反の森林伐採と区の対応についてお聞きします。

 野沢三丁目の本多邸は、昭和初期に建てられた旧子爵の邸宅として映画のロケハンにも使われるようなうっそうとした屋敷林を持った邸宅でした。ここが伐採されてしまった。この事件ほど、世田谷区がいかに開発圧力と闘おうとしていないか、言いかえれば緑地保全などを全く考えていないかを示した例はございません。東京建物による森林伐採の経緯を示していただきたい。また、同事件と沿道法に対する区の認識はどのようなものであったのか、経緯を示していただきたい。

 緑地を保全すべき区域で沿道法に違反して大量の伐採が行われた以上、当事者である区は告訴し、二十万円以下という罰金という罰則を適用させるのが区や担当公務員の義務であるが、いまだ怠っているのはなぜか。周辺住民は告発の準備を進めているようだが、当事者である区が即刻告発すべき事実ではないのかをお伺いしたいと思います。


○山内彰 議長 以上で木下泰之議員の質問についての発言は終わりました。どうぞ、お席へ。

◎小畑 世田谷総合支所長 私からは、経堂一丁目の建築ほか二件のご質問にお答え申し上げます。

 まず、経堂一丁目の経過等三点についてでございます。

 ご質問の建築は、中高層建築物等の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例に基づきまして、地元説明並びに標識の設置、届け出が行われた後、平成十一年六月に建築確認申請の提出、十一年十二月十日に確認済証が発行されて、現在工事中のものでございます。本年八月三十日に現場を調査した結果、高さと配置において確認申請書と異なる工事がされておりました。区としましては、その時点で事実を確認、以後、指導に入ったものでございます。現在、工事の停止を指示し、実態についての詳細な資料の提出を求め、指導を行っているところでございます。

 赤紙をなぜ張らないのかというお尋ねでございますが、赤紙は、区の再三の指導にもかかわらず是正の意向も示さず工事を続行するなどの悪質な事例について張っているものでございます。本件は現在、設計者と施工者に工事の停止を指示した上で、建物の配置、高さ等について正確な実態の把握とその資料の提出を求めているところでございます。この間、工事が再開されていないことを現場のパトロールを繰り返し確認しております。今後とも、建築物が適法なものとなるよう指導してまいります。

 二つ目のご質問は、経堂駅周辺街づくり協議会に関する二点のご質問でございます。

 経堂駅周辺街づくり協議会は、地域の住民の方々が経堂駅周辺のまちづくりに取り組むため、平成八年十一月発足した自主的な組織でございます。協議会設立に当たっては、地域住民から成る協議会会員の総意のもと、会則を定め、この会則に基づいて協議会員の互選、承認による運営委員及び会長が選出され、住民主体の運営が行われていると認識しております。これまで熱意ある議論のもと、まちづくり計画原案の作成など、さまざまな活動を行っております。

 こうしたことから区といたしましては、同協議会は、住民の自由な参加のもと、主体的かつ民主的に運営されていると理解しております。お話しのような協議会の役員と協議会の運営事項等はあくまでも協議会会員の自主的な判断に基づいて行われるべきものと考えております。

 次に、環七沿道地区の緑化推進保全区域に関して二点ご質問がございました。

 まず、樹木の伐採の経緯と区の認識についてでありますが、本年六月八日に世田谷野沢プロジェクト新築計画に関する陳情が提出されまして、同日現場調査等を行い、地区計画で定められた緑化推進保全区域内での伐採の事実を確認いたしました。事業者によりますと、樹木の伐採は五月十五日ごろに行われ、その後土地の移転登記がなされ、所有権が事業者に移ったとのことでございます。

 幹線道路の沿道の整備に関する法律、いわゆる沿道法では、緑化推進保全区域内での木竹の伐採について事前の届け出を規定しております。区といたしましては、当初の樹木の伐採の前に届け出がなされるべきものであったと認識しております。

 次に、告訴しないのはなぜかということでございますが、地区計画は、届け出、勧告という緩やかな規制のもと、地権者の協力を得ながら誘導的な手法によりまちづくりを進めていくものでございます。本件は、土地所有者が個人の事情により、やむなく所有地を手放さなければならなかったこと、長年にわたり個人の努力により緑を保全してきたこと、また、本地区計画において緑化推進保全区域内の緑の保全は地権者の協力を得て行っていくものとし、建築計画がある場合も一定規模以上の緑化を求めていること、以上の点を勘案いたしまして、届け出の有無のみで画一的に沿道法に係る告発を適用するのではなく、建築計画に対して極力緑化を求めていくとの判断に立ったものでございます。

 以上でございます。


◎永山 環境・災害対策室長 私からは、駐車場に関してご答弁申し上げます。

 駐車場については、収容能力が二十台以上の場合に東京都公害防止条例による届け出が必要となります。これまで未届けの駐車場が判明した場合には、届け出の指導を行っております。

 なお、都の条例には、届け出をしない者に対し五万円以下の罰金を科す規定がございます。これは、あくまでも届け出、指導を優先し、届け出制を担保する罰金制度であるとされております。

 お話しの駐車場につきましては、出入り口や区割りを別とした三つの駐車場として整備され、収容能力はそれぞれ二十台弱程度となっております。また、駐車場の開設は二十年以上も前で、当時は持ち主が別であったと聞いております。現在、所有者または管理者、近隣住民の意向等を調査しておりますので、該当するようであれば届け出を指導してまいりたいと考えております。

 以上でございます。


◎濱詰 北沢総合支所長 松原四丁目の六棟建築に関する区の対応について、三点ほどお答えを申し上げます。

 まず初めに、小規模宅地要綱に基づく指導等についてお答えを申し上げます。  この小規模宅地開発指導要綱は、法律等で強制的に実現をできない良好な住環境の基準を、事業者等の任意の協力によって実現をしていくものでございます。したがって、要綱はあくまでも行政指導であるため、口頭または文書等の指導で協力を求めているのが現状でございます。本件につきましても十四回に及ぶ指導を行ったところでございますが、要綱に強制力がないという法的限界もあり、結果として協力が得られなかったものでございます。

 また、条例、要綱の執行に当たりまして、職員は条例、要綱の目的を十分認識し、その目的を達成するため条例等の運用を忠実に行っているところでございます。今後とも、こうした姿勢を強く堅持し、良好な世田谷の住環境の維持に努めてまいります。

 次に、条例、要綱違反への遵守勧告及び行政手続条例に基づく業者名の公表等についてお答えを申し上げます。

 この小規模宅地開発指導要綱による勧告制度は、事前協議を行わない場合や合意事項の遵守違反があったものについて行うものでございます。事前協議を行ったものについては勧告の対象となっておりません。本件事業者は事前協議を行っており、したがって勧告を行っておりません。

 また、行政手続条例に基づく事業者名の公表につきましては、行政手続条例による公表要件やこれまでの行政指導に対する事業者の対応等を総合的に判断して決定していく必要がございます。本件は、要綱に基づく事前協議がなされており、また要綱に定めた勧告も行っていないことから、行政手続条例に基づく氏名の公表は難しいものと判断をしております。

 また、最近の要綱の運用状況でございますが、平成十一年度における要綱対象件数八十五件のうち約五二%の四十四件が適合しております。また、要綱に基づく勧告は三件となっております。

 次に、確認処分以前の工事着工に対する区の対応等についてお答えを申し上げます。

 工事は確認済みの一棟と合わせて、まだ建築確認がおりていない他の四棟の根切り工事が同時に行われたものであります。区といたしましては、直ちに工事を停止させ、事業者に厳重注意をするとともに、根切り工事による土どめの補強など工事の安全対策を講じさせたところであります。

 原状復帰につきましては、埋め戻し工事にかかわる工事車両の騒音、路面の汚れなど周辺住民への悪影響を考慮し、また、前日来の雨天による地盤の緩みなどに対する安全性を考え、現実的な対応をとったものであり、この点につきましては、周辺の住民の方々に説明をいたしまして、理解をいただいているところでございます。

 また、他の五棟の建築確認は、建築基準法に適合するものであることから確認処分を行ったものでございます。

 以上でございます。

○山内彰 議長 以上で木下泰之議員の質問は終わりました。
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