平成20年第2回定例会(自611日 至 620日)

世田谷区議会会議録

2008年 6月13日 一般質問


《平成20年第1回定例会》平成20年6月13日・一般質問

○大場やすのぶ 議長 次に、二十三番木下泰之議員。
   〔二十三番木下泰之議員登壇〕

◆二十三番(木下泰之 議員) 最初に、下北沢地区の小田急線連立事業での上部利用についてお聞きします。
 下北沢駅に世田谷区が都市計画事業として事業を進めている区画街路一〇号、いわゆる駅前広場につきましては、駅前マーケットもつぶして計画されており、その広さは導入部を含めて七千百平米の広さがあります。そのうち小田急線の連立事業の鉄道上部について二千五百平米の使用権を、更地価格の七割を計上して事業費を算定した上で事業認可をとっています。七割というのは地上権の利用ということで一般的な算定だということを、区の担当者からは聞いております。
 しかしながら、旧建設省街路課が建運協定の解説書として執筆した連続立体交差事業の手引によりますと、上部利用については、鉄道事業者の定める貸付規則による使用料を払えば利用できるのではないでしょうか。その貸付規則が更地価格の七割だというのでしょうか。これではべらぼうに高いと言わなければなりません。まずはお答えください。
 ところで、建運協定によると、連立事業の一五%分が、同地区の連立事業では二千二百平米が公租公課分として無料で使用できることになっております。連続立体交差事業の手引によりますと、公租公課分として使う箇所は、駅の中心から可能な限り近い地点で利用を行うことが了解されているということになっております。駅の中心点から可能な限り近い地点というのは、言いかえれば地価の一番高いところということになるのは言うまでもありません。
 下北沢について言っても、駅前広場を計画しているところは一等地であります。そうすると、下北沢駅前広場の一部を公租公課分のなぜ無償扱いとしないのかというのが疑問として出てまいります。二千五百平米のうち二千二百平米を公租公課分として無料で賄えば、三百平米のみに支払いをすれば済むということになります。その結果、事業費六十八億円中、概算ですが、二十億円近くを節約することができます。
 事業認可申請の事業費見積もりがいいかげんでよいわけはありません。既に積み上げた数字は、連立事業の協議会の中で決められたものであるのか否か。この事業地を公租公課分を適用しないということで極めて高上りに、つまりは小田急電鉄に極めて有利に取り決めたことになりますが、その理由はなぜか、どのような経緯でこうなったのか説明していただきたい。
 連立事業の交差道路の交差部分の処理についてお聞きします。
 平成十六年二月二十三日付の東京都建設局道路建設部長からの文書、十五建道建関第四百六十九号の二についてお聞きしておきます。交差道路に対する協議文書です。交差道路に関する用地処理について、なぜ世田谷区が行うのか。制度的枠組みと区が行うことになった経緯を明らかにしていただきたいと思います。また、区の負担は幾らでしょうか。
 下北沢連立事業について、小田急電鉄の負担金が五十億円である積算根拠について再度お聞きします。
 高架の連立事業の際には、この負担金は一四%であるにもかかわらず、協議で決めていることになっている地下化のこの事業では、その負担金は都市側連立事業費六百六十億円中の七・五%にすぎません。既に本会議で理事者は、区が答える立場にはないと答えておりますが、五月二十九日の公共交通機関対策等特別委員会では、既に区が情報を把握していることが明らかになりました。そのとおりですね。そうであるならば、積算根拠とその概算を明らかにしていただきたいと思います。また、これまで隠してきた理由を説明していただきたいと思います。
 次に、下北沢連立事業関連道路事業と立ち退き問題についてお聞きします。
 平成十五年に線増連立事業の都市計画決定がなされましたが、旧都市計画では下北沢の駅前マーケットは複々線の駅舎のために立ち退きを迫られていました。しかしながら、平成十五年の都市計画決定では線増連続立体事業について、この地域については二線二層の地下方式で行うようになったので、その幅が狭まり、駅前マーケットは鉄道事業地から外されました。問題は、今度は五千三百平米の広大な駅前広場の中に事業地として組み入れられることに駅前マーケットがなったわけです。事業認可では百平米ふえて五千四百平米にもなっております。駅前広場の広さの決定経過について明らかにしていただきたいと思います。
 区のアンケート調査でも、広い駅前広場を望むのは少数意見であって、一時期は区の委託調査で三百平米から千八百平米の駅前広場が検討されたこともあり、下北沢街づくり懇談会の中でも、平成十二年の四月にはそのように議論されていました。しかし、その後、同年七月になって、補助金をつけるためには五千平米以上が必要だというような議論を区の役人がして、覆されたという経緯があります。なぜそのようになったのかを明らかにしていただきたい。
 長らく秘匿されていたので、後から判明したことですが、既に昭和六十二年、昭和六十三年の連立事業報告書で、五千四百八十平米の駅前広場が必要であると書かれております。結局、平成十二年十月にまとめられた連立事業調査報告書でも五千三百平米とこの数字をほぼ踏襲しており、行政側の強引な誘導が見てとれますが、合意形成をどのように行ったのか、明らかにしていただきたい。
 三月議会で道路認定がなされたことから、補助五四号線用地も含めて立ち退き交渉が始まっておりますが、立ち退き対象になっているお店の当事者からお話を聞くと、行政は事業の代替地や営業の再建については何ら腹案を示してくれないという話を耳にします。区は、下北沢で商売をする人々の将来設計について、一体責任を持とうとしているのかどうかお聞きしたいと思います。借地権や店舗借りで営業しているお店が下北沢では圧倒的です。
 平成十二年度の連立事業調査報告書には小田急線跡地上部に商店街モールを形成するようなプランも示してありますが、そのようなプランを世田谷区は具体的に考えているのか否か、また、小田急電鉄関連の商業施設についてのプランは一体どうなっているのか、また、区としての小田急電鉄への要請方針はあるのか、区は下北沢での商業スペースについての方針を持っているのかどうかお聞きしたいと思います。
 次に、豪徳寺井伊家の墓所の国の史跡指定と彦根市、東近江市との交流についてお聞きいたします。
 豪徳寺の井伊家の墓所が彦根市及び東近江市のそれぞれの墓所とともに国の史跡に指定されました。国の史跡指定というのはなかなかとれるものではありません。世田谷区がこの史跡指定に熱心であったということは聞いたことがないわけですが、今回の国の史跡指定がどこのイニシアチブで行われたのかお聞かせください。
 昨年は彦根市では彦根城築城四百年で、マスコットであるひこにゃんは、いわゆるゆるキャラブームの先鞭ということで話題になりました。また、ことしは井伊直弼が行った開国から百五十周年で、彦根市では大きなイベントも用意しております。昨年の世田谷のふるさとまつりにはひこにゃんが訪れて、二十分だけ歴史クイズをして帰ったとの報告がありますが、それだけの関係でよいのかと思います。
 世田谷は江戸時代に彦根藩の領地として二百三十五年の歴史があったわけですけれども、彦根市のイベントについて積極的なコンタクトがないのはなぜか。また、松陰神社との縁で、萩市とはそれなりの交流があるのに比して、旧彦根藩との交流が疎遠だった経緯は世田谷の七不思議の一つでもあります。それなりの理由があるはずであります。その理由を調査していただきたいと思います。
 国史跡指定や、ことしの開国百五十周年を機に、新たな交流を進めていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 彦根市は、桜田門外の変を起こした水戸藩の水戸市とでさえ、敦賀市を仲介役として歴史的和解をした上で、親善都市として交流しております。また、世田谷区と同じ飛び領地であった栃木県の佐野市とも親善都市として結びついております。世田谷区が彦根市の親善都市でないのが不思議なくらいです。
 開国百五十周年を機に、これから百五十周年が幕末史とともに幾らでも出てきます。区役所を挟んで、吉田松陰と井伊直弼の墓が対峙している世田谷区の役割は幾らでもありますし、観光資源ともなります。区長と教育長にご提案したいと思います。地域を大事にするということは、歴史を見詰め直すことから始めるのが一番であります。古代史、中世史も含め、世田谷地域が果たしてきた歴史的価値を再認識していくような文化事業を積極的に企画するとともに、都市間交流なども、これを機会に発展的に見直していただきたいと思うが、いかがでしょうか。
 壇上からの質問といたします。

◎工藤 交通政策担当部長 下北沢地区の上部利用につきまして、まず公租公課分についてお答え申し上げます。
 世田谷区では、下北沢駅の交通広場を初めとして、東北沢や世田谷代田の駅前広場などを含めた上部利用方針を策定し、東京都及び小田急電鉄に提示しております。下北沢地区の上部利用において公租公課分をどこに充てるかにつきましては、現時点ではまだ決まっておりません。また、価格については、今後協議の中で決まってくることと考えております。
 今後、都市計画事業者である東京都、土地所有者である小田急電鉄と協議を進め、全体の上部利用計画を定めた上で、建運協定に基づき諸条件を考慮した上で、公租公課分の配置を決めてまいります。
 次に、交差道路に関する用地処理を世田谷区が行うのはなぜか。また、その経緯、そして負担についてお答え申し上げます。
 平成十五年度に、区は東京都と建運協定に基づく協議を行っており、小田急線と補助五四号線が交差する部分の道路の用地処理について、世田谷区と小田急電鉄の間で調整することとなっております。建運協定では、連立事業と道路事業を同時施行する場合の交差部の用地につきましては、鉄道側が買収し、原則無償で使用することも可能とはなっていますので、今後、その方向で小田急電鉄と協議してまいります。
 次に、積算根拠についてお答え申し上げます。
 五十億円の内訳でございますが、踏切除去益、踏切事故解消益、地上貸付益など、鉄道事業者の受益を積み上げた鉄道事業者負担額として算定されたものと聞いております。これらは東京都と小田急電鉄との協定により定められたものであり、適切に処理され、国の事業認可を受けたものと理解しております。
 区といたしましては、協定を結んだ当事者ではございませんので、積算根拠の詳細について答える立場にございません。
 以上です。

◎志村 道路整備部長 私からは、連立事業に関連して、道路事業についての質問にお答えさせていただきます。
 まず駅前広場の広さを決定した経緯でございますが、下北沢駅前の交通広場の整備につきましては、小田急線の連続立体交差化の動きも見据えながら、平成十二年より検討に着手いたしました。広場の形状や必要面積などにつきましては、過去に都市計画協会等で作成された複数の算定式に基づき必要面積について検討を進め、必要面積を算定しております。十三年四月には小田急線連続立体交差へ向けた都市高速鉄道第九号線の都市計画変更素案と同時に、交通広場の素案を地元の皆様に提示し、ご意見をいただいた上で、平成十四年二月に都市計画案を作成し、その後、必要な手続を行い、平成十五年一月に世田谷区画街路第一〇号線として都市計画決定を行っております。
 それから、補助金を導入するために、街づくり懇談会で誘導したというようなご質問がございました。
 駅前広場の交通広場につきましては、都市計画施設として必要な面積五千三百平方メートルを都市計画として決定を行ったものでありまして、補助金を導入するために五千三百平米としたものではございません。街づくり懇談会の場におきましても、あくまでも交通広場の区の考え方を説明したものでございます。
 次に、広場の必要面積が初め少なかったのに、五千三百平米にふえたのはなぜかというようなご質問がございました。
 平成十二年に世田谷区が実施しました下北沢駅周辺地区街づくり調査では、利用形態により広場がどの程度必要になるか、ケーススタディーとして検討、整理したものでございます。その後、広場面積算定式により面積を算定し、現況地形や周辺道路との接続、駅前景観や環境空間等を加味し、比較検討の上、必要面積を決定しております。
 次に、都市計画変更に当たっての合意形成のご質問がございました。
 平成十五年の都市計画変更につきましては、東京都が行った都市高速鉄道第九号線及び補助線街路五四号線の都市計画変更とあわせて、先ほど申し上げましたように、十三年の四月に都市計画変更の手続を進めてまいりました。十三年四月には素案の説明会、それから十四年の二月には都市計画案の説明会を開催し説明させていただいております。それで、平成十四年二月には都市計画法に基づき案の公告・縦覧を行い、区民のご意見をいただいた上で、都市計画審議会への諮問、答申を経て、平成十五年一月に都市計画変更を行っております。そのほか、区の広報、そういったことでお知らせしながら進めてきております。
 次に、道路事業に伴います立ち退きとか再建計画についてのご質問がございました。
 都市計画道路用地の買収につきましては、土地の代金や移転補償等について金銭により補償させていただくことを原則としております。しかしながら、各地権者の皆様の再建につきましては、できる限り各地権者のご意向を尊重し、再建に向けた支援をさせていただくことが必要であると考えております。
 今後の用地交渉におきましては、各地権者から再建に関するご要望を十分お伺いした上で、区が所有する代替地のあっせんなど、必要な支援に努めてまいります。
 以上でございます。

◎真野 生活拠点整備担当部長 私からは、小田急線関連の商業施設について区の方針はということにお答え申し上げます。
 小田急電鉄側の商業施設に関します利用計画につきましては示されておりません。区としても把握しておらない状況でございます。
 いずれにいたしましても、小田急電鉄関連の商業施設も含めました駅周辺地区におきましての駅周辺まちづくりにつきましては、調和のとれた商業市街地の形成を目指していきたいというふうに考えております。
 以上でございます。

◎萩原 生涯学習・地域・学校連携担当部長 豪徳寺の井伊家墓所の国史跡指定の背景や、これらを契機に、彦根市、東近江市など他自治体との交流を進めるべきではないか等のご質問をいただきました。あわせてご答弁申し上げます。
 ご指摘の彦根藩主井伊家墓所の国史跡指定は、滋賀県彦根市が進めてきました彦根城の世界遺産登録へ向けた取り組みに際し、彦根市、それに隣接する東近江市及びここ世田谷区にまたがり存在する彦根藩歴代藩主すべての墓所が良好な形で保存されていることに国が着目し、当該三都市に働きかけ、本年三月に一括して実現したものでございます。
 彦根藩は、例えば萩の長州藩が世田谷に江戸屋敷を置いていたのと異なり、世田谷領が江戸での経済的な基盤を支える領地にすぎなかったことなどから、これまで区民まつりでの出店等のほかに目立った交流が行われなかったものと思われます。
 今回の指定を契機といたしまして、三都市による史跡を通した交流の持ち方等を研究してまいりたいと考えております。また、世田谷の成り立ち等を視野に入れた文化事業や交流等のご提案につきましても、今後参考にさせていただきたいと考えております。
 以上でございます。

◆二十三番(木下泰之 議員) まず小田急線の問題ですけれども、駅前広場の問題ですが、二十億円も無駄になるって私は指摘したわけですよ。更地価格の七割で計算していくこと自体おかしいと。それについて何ら明確に答えていないですよ。もう一度その辺について答えてください。
 それで、五十億円の積算根拠も、それはその問題について、今後の跡地利用の問題とも絡んでくる、商業施設の問題とも絡んでくるわけですよ。そういった意味で真摯に答えていただきたい。
 それから、彦根の問題については、先ほど答えでは、長州藩は江戸屋敷があったが、彦根藩は領地にすぎなかったので、経済的なものを支える領地にすぎなかった、そういうふうに言っていますけれども、江戸屋敷というのは抱え屋敷であって、世田谷のように領地にしていたわけではないわけですよ。いかにも不当だと思います。区長、この辺について答えていただけませんでしょうか。

◎工藤 交通政策担当部長 七割の積算根拠ということでございますけれども、まだ価格についてはこれから協議して決まってくるということでございますので、七割ということについては、あくまでかなり抽象的な、一般的なレベルのお話というふうに考えております。

◎萩原 生涯学習・地域・学校連携担当部長 今後も世田谷の歴史をゆかりのある日本各地の史実や史跡と関連づけて、理解の輪を広げられるよう工夫してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

○大場やすのぶ 議長 以上で木下泰之議員の質問は終わりました。
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