平成19年第4回定例会(自1128日 至12 7日)

世田谷区議会会議録

2007年11月29日 一般質問


《平成19年第4回定例会》平成19年11月29日・一般質問

○大場やすのぶ 議長 次に、二十三番木下泰之議員。
   〔二十三番木下泰之議員登壇〕(拍手)

◆二十三番(木下泰之 議員) 最初に、第三回定例会に続き、下北沢跡地問題についてお聞きします。
 下北沢の小田急線連続立体交差事業における鉄道地下化の後の跡地利用の問題といいますと、最近始まった問題のようにお考えの方も多いと思いますが、そうではありません。下北沢の連続立体交差事業については、当初は東北沢駅〜喜多見駅までの区間について事業が計画されていて、連続立体事業調査も一九八七年度と八八年度の二カ年にわたって行われたのが最初です。調査は完了し、調査過程では、下北沢地区については鉄道の地下化方式を選んで、その前提で関連事業や上部利用の方針も記述されているにもかかわらず、調査報告書は下北沢を後回しにし、梅ケ丘駅〜喜多見駅までの事業を、成城学園前駅付近を地下化、その余を高架化で先行して行うこととしました。今でこそ裁判などによって全文が公開されておりますが、当時は秘匿されたままでありました。これが当時の連続立体事業調査です。B4で七センチあります。
 下北沢地域については、二〇〇〇年に二度目の調査を実施してから、都市計画決定を経て現在事業が行われているのはご案内のとおりです。これも市民には秘匿されていたばかりか、世田谷区はこの調査に関与してきたにもかかわらず、調査報告書が市民に公開されるまで報告書を東京都から受領したことはないと言い続けてまいりました。
 ところで、連続立体交差事業は国の道路特定財源から二分の一の補助金をもらって都道府県が行う街路事業であり、公共事業です。そういった性格から、事業主体である都道府県に国は国庫補助をつけて調査を義務づけています。その調査が連続立体交差事業調査で、この調査は単に鉄道の構造形式を決めるためだけに行うのでないことは言うまでもありません。
 国はこの調査の要綱を定めていて、調査の位置づけとして次のように書かれております。本調査においては、単に鉄道の設計を行うのではなく、広域及び周辺市街地の現状における課題を把握し、連続立体交差事業の必要性を明確にした上で、都市計画の総合的検討を踏まえて関連事業計画、高架下利用計画と一体的に鉄道、側道などの設計を行い、さらに計画の総合的な評価を行うため総合アセスメント調査を行うこととしている。ここで大事なところは、高架下利用計画と一体的に鉄道、側道などの設計を行いというところであります。鉄道の地下化であれば、跡地利用と一体的に設計を行うことを義務づけていると読みかえることができます。
 そして、要綱は調査体制も規定しております。区との関係では、関係市区町村、鉄道事業者、その他関係機関との連絡調整を十分行う必要があると明記されております。
 九月の議会では、理事者側は、東京都の行った二〇〇〇年の連立調査は鉄道の構造形式を決めるにすぎないと答えておりますが、これは明らかに調査要綱の調査の位置づけからも、実際の調査の内容からも逸脱した回答であります。連続立体交差事業は東京都の事業です。世田谷区が上部利用についての委任を受けているにせよ、調査報告書で示された上部利用方針を踏まえたものであるはずです。
 そこでお聞きします。一九八七年度、八八年度及び二〇〇〇年度の連立事業調査と二〇〇五年三月発表の区の跡地利用方針などとの関係についてお聞きします。調査委託コンサルタント、区の調査への関与、調査についての把握、報告書の受領はどのようにされてきたのか、歴史的経緯も含めて改めてお聞きします。
 ところで、区が跡地利用について二〇〇五年三月の計画を立てるに当たり、二〇〇〇年の連立事業調査を踏まえているのか否か。連立事業調査報告書に明示されている小田急線跡地の上の幅広い緑道、耐震性貯水槽や演劇の町の一翼を担う野外劇場、地下駐輪場、モール型商店街などの計画が区の利用計画では抜け落ちておりますが、これはなぜか、明らかにされたい。
 一方、下北沢駅周辺地区地区計画に書かれている京王線土手の利用については、既に一九八七年度、八八年度の調査報告書及び二〇〇〇年の調査報告書にも書き込まれております。調査報告書と下北沢駅周辺地区地区計画との関係についても明らかにしていただきたいと思います。
 さて、九月議会でも聞いたことでありますが、重要なことなので、次の二点について再度聞きます。わからないのであれば、いずれも速やかに都や国から聴取すべき課題であったはずであります。
 下北沢地区連立事業につき、小田急電鉄の受益者負担五十億円の積算について、受益者便益の積算明細と根拠を明らかにしていただきたい。これが一点目。
 二点目。制度上、複々線部分も含めて利用可能面積二万七千平米を公共利用することは可能か否か、利用料金はどのように決められるのか。既に一五%を超えている区の利用計画でありますので、幾らかかるのか、明らかにされたい。
 ちなみに、連立調査に先行して世田谷区が川上秀光東大教授を委員長にしてまとめた一九八七年六月の「小田急沿線街づくり研究会報告書」を読んだところ、次のような記述を発見いたしました。「地下式の場合の街づくり」の項で「地下式は高架式の一・六〜一・七倍の建設費がかかるので、それによって生み出される空間は直接沿線住民のためだけでなく、広く区民に役立つ公共的空間づくりが必要となる。そこで、鉄道を地下化した後に残る地表部について、公共側が鉄道事業者から利用権を取得した場合に、公共空間としての利用が考えられる」として、補助幹線道路機能の確保や公園・緑地、遊歩道などが挙げられ、五二ページには複々線上部の全部に地上権設定を行う図も添えられているのであります。これがその川上委員会の報告書であります。一九八七年の段階で区は、地下化の際、地上部全部の公共利用を考えていたわけで、今になって利用不可能ということはあり得ないと言っておきましょう。
 次に、経堂駅東地区地区計画と経堂駅周辺の利用計画についてお聞きいたします。
 地区計画も当然のことながら連続立体事業の関連事業として行われているわけですから、経堂駅周辺の再開発計画の全容を示した上で行うのが真っ当なやり方だと思うのですが、そうされておりません。
 そこでお聞きいたします。経堂の駅ビル、小田急の跡地利用計画、駅周辺の再開発計画など全体計画はどうなっているのでしょうか。また、東地区の地区計画のとき、都市計画法十六条での地権者意見で、賛成意見は何件、反対意見は何件か、教えていただきたい。
 二階建てを中心とした低層住宅街が高度地区として四十五メートルを絶対高さ制限としている地区への区の意見聴取では、これが維持されることへの懸念が再度多数表明されました。今の町並みを守ってほしい、そういう声が表明されました。法定意見書の多数意見が再確認された以上、都市計画法十六条での手続をやめて再出発すべきであります。見解をお伺いいたします。
 また、都市計画審議会では、やり直しの意見や説明会の開催、複数案の提示、車庫跡地の小田急電鉄の計画の提示、将来ビジョンが見渡せるビジュアルな説明の必要性などさまざまな注文がつきました。しかし、区はその注文にこたえず、十一月二十二日に都市計画法十七条の公告縦覧を予定どおり行ったのはなぜか、説明会を実施しないのはなぜか、お伺いいたします。
 最後に、京王線連立事業の対象事業区間と連立事業調査についてお聞きします。
 一九八七年度、一九八八年度のやはり連立事業調査、ここでも行っております。今回日程に上がっている連立調査との関係について教えてください。また、既に行った連立調査報告書を区は受領したのか、内容の把握はいかに、区の関与はどうか、実施主体と受託コンサルタントはどこか、教えてください。既に調布地区が地下化である以上、この区間と笹塚駅間をつなぐ連立調査がなされてしかるべきであり、区はそのように働きかけるべきであります。区の見解をお伺いいたします。
 以上、壇上からの質問といたします。(拍手)

◎春日 交通政策担当部長 小田急線連続立体交差事業及び京王線の連続立体交差事業についてご質問いただきましたので、お答えいたします。
 まず初めに、小田急線でございます。昭和六十二・六十三年度及び平成十二年度の連立調査についてのご質問にお答えいたします。
 今申し上げました二つの連続立体交差事業の調査は、事業の必要性及び緊急性について検討するため、東京都が実施したものでございます。両調査とも受領しておるところでございます。調査につきましては、東京都が鉄道事業者と協定を結び、鉄道事業者が作業したものと聞いております。また、調査におきます区の関与につきましては、まちづくりに関し、区の基本計画などのほか、平成十二年度に区が行った駅前広場構想作成調査について情報提供を行っております。
 続きまして、小田急線の立体交差事業の鉄道事業者の受益者負担についての質問でございます。
 小田急線代々木上原駅〜梅ケ丘駅間の連続立体交差事業は東京都が施行する都市計画事業でございますが、鉄道事業者は建運協定に基づきまして約五十億円を負担しております。この負担は、踏切除却益、踏切事故解消益、地上貸付益など鉄道事業者の受益を積み上げた鉄道事業者負担額として算定されたものと聞いております。これは東京都と鉄道事業者との協議により定められた事業費の負担の枠組みを決めるものであり、適切に算定され、国の事業認可を受けたものと理解しております。積算明細等につきましては申し上げる立場にございません。
 続きまして、京王線でございます。京王線の連続立体交差事業の調査についてお答えいたします。
 東京都が実施いたしました昭和六十二・六十三年度調査報告書に関しましては区にございません。したがいまして、同調査に関する内容及び委託先についても承知しておりません。東京都におきましては、京王線の連続立体交差事業に関しまして、代田橋駅〜八幡山駅付近について国に新規着工準備採択の要望を行ったところであり、この区間について今後構造形式などを含め事業化に向けて必要な調査を行っていくと聞いております。
 この調査とお尋ねの昭和六十二・六十三年度の調査との関係につきましては、調査は東京都が行うものであることから、また、昭和六十二・六十三年度調査報告書を区が有していないことから、区としては判断できない状況にございます。
 最後に、京王線立体化交差事業の調査のあり方についてお答えいたします。
 区内の京王線につきましては、二十三カ所もあかずの踏切が集中することから、すべてのあかずの踏切の解消を目指し、開かずの踏切解消促進協議会や沿線の街づくり協議会など、議会や町会など区民、各団体と一体となって取り組んでまいりました。区といたしましては、代田橋駅〜八幡山駅付近に続き、八幡山駅〜仙川駅付近につきましても事業化に向けた調査の対象区間となるよう、また、新たな事業化区間に選定されるよう、引き続き東京都などに対して働きかけてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

◎真野 生活拠点整備担当部長 私からは、小田急線につきまして三点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、十七年度の区の計画を立てるに当たって、東京都の調査を踏まえているのかというご質問でございます。
 これまでも答弁してまいりましたとおり、平成十七年三月に策定いたしました区の上部利用方針に示す各施設につきましては、区が実施した駅前広場構想案作成調査、三駅の駅前広場整備構想、十四年に行いました駅周辺街づくりの基本計画、十五年の駅周辺街づくり整備計画等々の中で考え方を方向づけまして、まちづくりの観点から区として必要な施設を位置づけたものでございます。東京都は、都の調査をもとに上部利用方針を決定するものではなく、上部の公共利用は地元区が検討すべきとしておりまして、世田谷区が作成した計画案が都の調査報告書と異なるものであっても、これに対して問うものではないという見解を示してございます。
 次に、調査報告書と下北沢駅周辺地区地区計画及び街づくり計画との関係につきましてご答弁申し上げます。
 下北沢駅周辺地区の街づくり計画や地区計画は、区上部利用方針と同様に区が実施した調査をもとに策定してきてございます。一方、昭和六十二・六十三年度及び平成十二年度の都の調査につきましては、連続立体交差事業の必要性及び緊急性につきまして検討することを目的として調査をしてございます。先ほどご答弁申し上げましたとおり、都の調査報告書は区が資料を提供いたしました駅前広場構想案作成調査等を一部参考に作成してございます。ということで、区の街づくり計画に共通する部分もあるかと思われます。
 続きまして、上部利用の公共利用が可能か否か、使用料金はどのように決められるのかということにご答弁申し上げます。
 建運協定では複々線部分につきましても協議できるというふうに解釈をしております。また、公租公課相当面積を超える分の利用につきましては、鉄道事業者が定める貸付規則によりまして算定する使用料を支払うことを明記されてございます。区といたしましては、今後区の上部利用方針に基づきまして、施設の配置や公租公課相当面積の充当箇所につきまして鉄道事業者等との関係機関と協議をしていくこととなります。使用料につきましてもこれらの協議終了後に鉄道事業者が算出することになりますので、現段階においては提示されておりません。
 以上でございます。

◎四元 世田谷総合支所長 経堂駅東地区地区計画につきまして幾つかお尋ねがございました。
 まず、全体計画はどうなっているのかを問うということでございますが、経堂駅周辺の地域につきましては、平成十六年六月に駅周辺での今後のまちづくりの取り組み方針について、地元の方々とともに取りまとめた経堂駅周辺地区地区街づくり計画を全体計画として、現在まちづくりを進めております。区といたしましては、この地区街づくり計画に基づき、小田急線車庫跡地を中心とした経堂駅の東側地区においてまちづくりの方針を具体化するため、地区計画の策定を進めております。
 次に、東地区の地区計画のとき、都市計画法十六条での地権者の意見で、賛成意見、反対意見はどうであったかということのお尋ねがございました。
 経堂駅東地区地区計画におきましては、都市計画法第十六条手続について約五千通のお知らせを配布し、本年七月十七日から三週間、地権者の方を対象に意見書の受け付けを行い、三十七名の地権者の方から意見書の提出がございました。意見書では建物の高さ規制に関することや建物の壁面後退など、地区計画原案の内容等についてご意見やご要望をいただきました。いただいたご意見等につきましては、その要旨を整理し、それぞれに関する区の見解をニュース等によって地域の方々にお示しいたしました。
 次に、法定意見書の多数の意見が再確認された以上、都市計画法十六条の手続をやめて再出発すべきではないかということでございますが、地権者の方々からいただいた意見書の中に、本地区計画の中で中高層住居地区内の建物の高さを規制してほしいといったご意見がありましたが、このご意見について区では、地権者の皆様からのさらなる意見の聴取が必要と考え、さらにご意見を伺わせていただきました。この意見聴取では地区内の新たな高さ規制について規制を望まない意見等もあり、具体的に解決すべき点も多く、策定中の地区計画への反映は難しいものと考えております。
 経堂駅東地区全体の良好な町並みの形成を図るためには、地区計画制度の活用によるまちづくりのルールをできるだけ早く定める必要があると考えており、都市計画法第十七条に基づく手続を進めております。
 次に、都市計画審議会での報告での注文にこたえないで、都市計画法十七条の公告縦覧を予定どおり行うのはなぜか、説明会を実施しないのはなぜかというお尋ねでございました。
 平成十九年十一月十六日に開催された世田谷区都市計画審議会では、委員からわかりやすい説明に努めてほしいなどのご意見がありましたが、区では、これまでもわかりやすい資料の作成に努め、計画内容の周知を図ってきたことを説明いたしました。また、地区計画案につきましては内容をわかりやすく説明したニュースを地区内の全戸に配布するとともに、ホームページなどにより、より広く計画の周知を図りながら、現在都市計画法に基づく手続を進めているところであります。
 以上です。

◆二十三番(木下泰之 議員) 九月の答弁と違っていたんですよね。一万平米ぐらいしか使えないと。つまり半分しか使えないというのが区の最初の答弁だったんです。下北沢の上部利用についてね。そうすると、それを前提で今の計画がある以上、もう一度全体が使えるという観点でやり直したらどうですか。それをもう一度答えてください。
 それから、緑について三三%やらなければいけないわけですけれども、二万七千平米の下北沢の上部、それから経堂では車庫跡地一万八千六百八十平米あります。利用するおつもりはありませんか。貴重ですよ。区長、答えてください。

◎真野 生活拠点整備担当部長 上部利用方針につきましては、先ほどもご答弁申し上げましたとおり、さまざまな調査を重ねてまいりまして、区としてまちづくりとして大変必要であるということでございまして、それに基づく計画ということで進めてきてございます。ですから、位置につきましては、今後さらなる住民等のさまざまな意見をお聞きしながら、上部利用方針から計画づくりに進めていきたいというふうに考えてございます。
 そういった中で、今お話しのように緑につきましても大変重要というふうに考えてございますので、当然上部利用方針の中で緑については我々としても考えていくというふうなことでは、今までも同じような形でご答弁をさせていただいておると思っております。
 以上でございます。

◎四元 世田谷総合支所長 経堂の関係につきましても、世田谷区みどりの基本条例に定める緑化率以上の数値の緑化を地表面に置いて行うことを定め、新たな緑の創出を目指しております。
 以上でございます。

◆二十三番(木下泰之 議員) 八七年、八八年の段階で、これではもう地下化が下北沢については決められているというか、書かれているんですね。それについてずうっと二十年も秘匿してきた。それから、一万平米しか使わない、二倍使えるわけです。二万七千平米使えるわけですよ。条件が変わったんだから、もう一度やり直すことは必ず必要です。そのことを申し上げます。

○大場やすのぶ 議長 以上で木下泰之議員の質問は終わりました。