平成19年第3回定例会(自918日 至 1019日)

世田谷区議会会議録

2007年 9月20日 一般質問


○大場やすのぶ 議長 次に、二十三番木下泰之議員。
   〔二十三番木下泰之議員登壇〕

◆二十三番(木下泰之 議員) 下北沢地域の小田急線連立事業の事業費と跡地利用問題についてお聞きいたします。
 最初に、前回答えていただけなかったことをもう一度お聞きいたします。連続立体交差事業については、鉄道を高架化にする方法と地下化にする方法があるわけですけれども、東北沢駅〜世田谷代田駅までの下北沢地域の事業は地下化で行うことになっております。政府の決めた要綱、旧建運協定では、高架事業は都市部では一四%を受益者負担として拠出することになっておりますが、地下化の場合は協議して決めることになっております。
 下北沢の事業の場合、連立事業費六百六十五億円のうち、小田急側の負担は五十億円、つまりは七・五%にすぎません。区が跡地利用問題をまじめに取り組もうとするならば、小田急電鉄側の拠出が七・五%、五十億円で済むことの理由、税金を九二・五%拠出しなければならない理由を、区の担当者は知らなければいけないし、区民にも伝える義務があります。上部利用の土地の評価にも絡む話であります。下北沢の地下鉄化の事業の場合、一体どのような論理でどのような根拠を持って、小田急電鉄側の拠出額が五十億円、七・五%で済むことになったのか。言いかえれば、なぜ九二・五%もの税金が拠出されるのか、明らかにしていただきたいと思います。
 次に、下北沢地区の小田急線連立事業の跡地利用についてお聞きいたします。
 上部利用可能部分については、都市計画事業である以上、公共側が利用を申し出れば、一部は都市計画税を棒引きにすることで、それを超える部分は利用料を払って上部利用ができることになっております。このことも、さきに述べた政府要綱、旧建運協定に明文化してあります。
 世田谷区は下北沢地区の連立事業での上部利用可能面積を二万七千平米としておりますが、世田谷区が整備方針として提示した、区が優先的に検討整備する施設は五千七百五十平米で、これは全体の二一・二%です。今後検討協議する施設としているものは幅四メートルの通路と最大五百平米のポケットパーク及び一千二百台収容の放置自転車保管所にすぎません。自転車等駐車場は電鉄の責任で設置すべき施設としても三千百平米にすぎず、これを合計しても利用可能面積の半分には到底及びません。残りの空間は放棄したことになりますが、これはなぜなのか、お伺いいたします。
 東京都の方針、国の指導、あるいは小田急電鉄との取り決めなどがあったのか否か。あったとすれば、それは、いつ、どのようにして取り決められたのか、お伺いいたします。また、そういった取り決めがないとすれば、今後の跡地利用協議の手順を具体的に教えてください。
 なお、上部利用可能面積は二万七千平米としておりますが、これは交差道路面積と駅施設など鉄道事業上必要とされる施設の面積を除いたものでありますが、差し引いた交差道路面積と駅施設など鉄道事業上必要とされる施設の面積を、それぞれ明らかにしていただきたい。
 駅施設など鉄道事業上必要とされる施設の面積として、これを差し引いておりますが、差し引いた面積は本当に必要な面積なのかどうか、お伺いいたします。下北沢工区は地下鉄化設計であるのでありますから、出入り口さえあれば、上部駅施設はなくてもよいはずであります。また、上部利用との関係で、鉄道側と行政はいかなる調整をしたのか、お伺いいたします。
 次に、今後の跡地利用の検討と事業の見直しについてお聞きいたします。
 先般、東北沢住民が主催した跡地利用の説明会で、区の役人から東北沢駅前のロータリー計画や周辺の上部利用について説明がありましたが、鉄道地下化後の上部を含むロータリー計画について、小田急に頼み込んで跡地を使わせてもらっているかのような言い方を何度も区の役人がしていたので、私は、これに抗議し、これを改めさせました。このような誤解を生む説明を職員やコンサルタントに今後はさせないということを、区は約束していただきたいと思います。
 小田急線の事業は税金を大量に投入して行われる公共事業であるわけでありますが、複雑な制度であるために、本来は公共事業であるのに、事業自体が小田急の事業であるかのように誤解をしている地域住民も多いという事実があります。この誤解をよいことに、跡地利用について、あたかも小田急電鉄に頼み込んで何かをやってもらうような誤った説明をする体質が余りにも多過ぎます。連立事業が都市計画事業である以上、上部利用については、第一義的に行政が計画を立てる責任があるということを明らかにし、住民参加はその観点で行うべきであります。利用可能面積全体を勘案して利用計画を立案するのは行政側の責任の問題であり、跡地を使わせてもらうように、住民が小田急と交渉したりお願いしたりするというような問題ではないはずであります。
 そもそも連立事業の都市計画を提案する際に、上部利用計画は地方自治体及び住民の意向を反映して定めておけというのが建運協定の、つまりは政府方針であったにもかかわらず、これまでの行政側のやり方は、建運協定に定めてあることからも大きく逸脱してきました。
 ところで、他会派の質問に、上部利用については、今後、住民参加の手法を取り入れていくと、理事者は六月議会で答えました。住民参加の手法を取り入れるというからには、連立事業の仕組みを住民によく理解させた上で、小田急線連立事業に関するこれまでの情報をすべて市民に開示し、その検討や、本当の市民参加を経て、全体計画を行政が再立案するという立場で行うべきであると考えますが、区の考えをお伺いいたします。
 住民参加も取り入れて行うと、前回の本会議で答弁していたけれども、具体的に跡地問題については、今後どのように住民参加を行うつもりがあるのか、また、どのような方針で跡地問題について臨むのかをお伺いいたします。
 緑被率三三%を達成するためには、通路の整備などと言わず、全体を基本的に緑道として整備すべきだというふうに思います。区長のお考えをお聞きしたいと思います。
 最後に、関連して二点ばかりお聞きしておきます。
 連立事業を行うに当たって、国から義務づけられて行われた平成十二年の調査報告書には、連立事業で取り外すことになる環状七号線の線路部分については、再度整備し直して、避難路として使えるように整備するということが明記されております。再整備を前提に、地元には説明をすべきだが、現在はそうしておりません、なぜか。また、この方針をどう取り扱うのかについて明らかにされたいと思います。
 世田谷代田駅と東北沢駅の交通広場については都市計画決定を行うのか行わないかについても明らかにしていただきたい。また、都市計画事業としないのであれば、その理由を明らかにしていただきたい。
 以上、壇上からの質問といたします。

◎春日 交通政策担当部長 連続立体交差事業につきましてご質問をいただきました。
 まず初めに、地下化の場合の鉄道事業者の費用負担につきましてお答えいたします。
 小田急線の代々木上原〜梅ケ丘駅間におきましては、都市計画事業の連続立体交差事業と鉄道事業者の複々線化事業があわせて行われております。連続立体交差事業による費用負担につきましては、建運協定において、連続立体交差事業の事業費のうち、鉄道事業者は受益相当額を負担するものとされており、その額は、地下化の場合にあっては、都市計画事業者と鉄道事業者とが協議して定めるものとされております。
 鉄道事業者の受益相当額は、踏切除却益、踏切事故解消益、地上貸付益などを積み上げて算定することとされております。当該区間では、公租公課相当額で上部利用する既設部分の貸し付け可能面積の約一五%に相当する部分を除いて算出した地上貸付益と、踏切除却益などを積み上げた結果、鉄道事業者の受益相当額が五十億円になったと聞いております。
 続きまして、交差道路と駅施設の面積でございます。
 交差道路の面積は約五千七百平米、駅施設などの面積は約六千平米でございます。この駅施設に関する必要性についてお答え申し上げます。
 駅施設などの鉄道事業上必要とされる施設につきましては、都市計画事業施行者と鉄道事業者との協議により決められたものでございます。鉄道上必要なものと受けとめております。
 以上でございます。

◎真野 生活拠点整備担当部長 私からは、上部利用につきまして何点かお答え申し上げます。
 まず利用面積の半分にも及ばないではないかというご質問でございます。
 小田急線連続立体交差事業の鉄道地下化に伴う上部利用につきまして、議員ご指摘の二万七千平米につきましては、鉄道事業者が行っている複々線化事業により生ずる土地も含まれてございます。建運協定では、連続立体交差によりまして生じた土地の利用について、あらかじめ協議できるものとしております。その土地は約二万七千平米の約半分程度に当たります。したがいまして、この土地に対しまして、区の上部利用方針に示す、区が優先的に検討整備する施設、今後協議検討する施設、鉄道事業者へ要望する施設を合わせますと、上部利用の相当の部分の割合になると思っております。
 公租公課分での利用につきましては、既に駅前広場の整備に必要な面積で公租公課分を大きく上回っている状況でございます。公租公課分を超える部分につきまして、鉄道事業者の定める貸付規則により算定する使用料を支払うことが、建運協定に定められております。
 区といたしましては、まちづくりの観点から、駅前広場や通路などの公共利用に特に必要な施設として、上部利用に伴う財政負担も考慮して方針に位置づけております。区はこの上部利用方針をもとに、今後は権利形態なども含め、鉄道事業者等の関係機関と協議してまいります。
 次に、小田急との取り決めがあったのかどうかというご質問でございます。
 東京都からは、国の定めた建運協定に基づきまして、交差道路や駅施設を除く既設相当面積のうち、一五%に相当する約二千二百平米を公租公課相当額で、渋谷区も含めた都市側が利用できると聞いておりますが、それ以外に取り決めがあるとは聞いておりません。
 また、ないとすれば、今後の手順は具体的にどうなのかというご質問でございます。鉄道跡地の公共利用につきましては、公租公課相当額利用分の一五%を含め、地元自治体である世田谷区と渋谷区がその公共利用を行うものとし、現在、東京都を含め、関係機関と検討を進めているところでございます。
 今後の上部利用計画の策定に当たりましては、施設の配置や規模、権利形態等について検討整理いたしまして、東京都、世田谷区、小田急の三者において協議し取り決めていくこととなる予定でございます。
 次に、住民参加につきまして、全体計画を行政が立案するという立場で行うべきではないか、また、今後どのような住民参加を行っていくのかという二点につきまして、まとめてお答え申し上げます。
 上部利用につきましては、平成十二年、駅前広場構想案作成調査で住民アンケート調査を実施し、広く地元の皆様の意見をお聞きしながら、平成十四年、駅周辺街づくりの基本計画、平成十五年には駅周辺街づくりの整備計画の中で考え方を示してございます。そういった中を受けまして、平成十七年三月に、区といたしまして上部利用方針を取りまとめてきております。
 この上部利用方針の中で、区が優先的に検討整備する施設として位置づけております東北沢駅、世田谷代田駅の駅前広場等につきまして、既に地元の皆様の話し合いが行われております。今後、住民の皆様からのご意見、ご提案をいただけるものと思っております。また、住民参加につきましては、懇談会や説明会、ワークショップなど、多様な手法を柔軟に取り入れながら進めてまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、今後、上部利用方針をもとに、地域の方々のご意見をいただきながら、東京都や鉄道事業者、関係機関と権利形態を初めとした調整を図り、協議を進めてまいります。
 それから、都市計画決定についてご質問をいただきました。
 世田谷代田駅と東北沢駅の駅広場につきましては、駅の利用状況や乗降客、整備方法等を勘案いたしまして、都市計画施設とすることにつきましては考えてございません。
 また、環七横断橋につきましてのご質問もいただきました。環七横断橋につきましては、地域の皆様からも残すべきというふうな声は聞いております。しかしながら、連立事業におけるトンネル工事につきまして、橋の土台となるくい基礎を切断して、不安定な状況になります。現在、再利用が可能であるかどうか、技術的な課題等も含めながら、小田急電鉄との、関係機関との協議を図りながら調査検討を行っている状況でございます。
 以上でございます。

◎安水 北沢総合支所長 九月五日の東北沢住民の求める跡地利用の説明会での区側の説明についての質問にお答えいたします。
 東北沢駅前広場は、先ほど申し上げましたとおり、上部利用方針に示す、区が優先的に検討整備する施設として位置づけ、今後、地元住民からの提案等を踏まえまして整備計画案をつくる予定でございます。地元では、駅前広場等の整備について、地域住民等の意向を反映した提案を区に行うため、区民の自発的な組織として東北沢駅周辺を考える会が、今年三月に発足しております。
 九月五日は、考える会の要請によりまして、駅前広場等に係る今までの検討経過と区の考え方を説明いたしました。ご指摘の点につきましては、駅前広場を含めた区の上部利用方針について説明したものでございまして、今後とも理解が得られるよう努めていきたいと考えております。
 以上でございます。

◆二十三番(木下泰之 議員) まず、上の土地の利用については、複々線部分も含めて、これは行政側が行政計画を立てれば使えるようになっております。そのことが一点。そのことについて、もう一度釈明をお願いします。
 それから、問題は上部利用の価値が五十億円なんですね、五十億円。しかし、上物については利用料を払えば利用できることになっているんですよ。そうすると、あれだけ二万七千平米もの広いところでの五十億円ですよ。それは全部買い取ってもいいし、あるいは利用料ということだと、もっと安くいけますよ。三三%の緑被率をつくるということであれば、それは、こんなチャンスはないわけですから、上を全部利用して緑道にする、そのことを検討してしかるべきだと思うし、もう既にそういう方針は出ていなければいけないと思うんです。区長にそういうお気持ちがあるかどうか、お聞きしたいと思います。その二点についてお願いします。

◎真野 生活拠点整備担当部長 先ほどもご答弁させていただきましたが、上部利用についての面積につきましては、今後、東京都及び鉄道事業者、関係機関との権利形態等を初めといたしますいろいろなことにつきまして、調整を図りながら協議を進めてまいりたいというふうに考えております。
 以上です。(「使えるんですね。複々線部分も使えるんですね。答えていないじゃない」と呼ぶ者あり)
 先ほども申し上げましたとおり、今後、三者等で協議を進めながら(「建運協定上使えるか使えないか聞いているんだよ、税法上の問題だ」と呼ぶ者あり)進めてまいりたいというふうに考えております。
 以上です。

◎春日 交通政策担当部長 先ほどご答弁申し上げましたけれども、受益相当額五十億という部分につきましては、連続立体交差事業ということですので、複々線化の部分を除いた部分につきまして受益相当額を算定し出したものでございます。まず位置につきましては、複々線と連続立体交差事業の中での位置は、その公租公課分につきまして検討の余地はございます。
 以上でございます。(「区長に聞いているんですよ。緑道として使うかどうか聞いたんじゃないですか。答えていないですよ」と呼ぶ者あり)

○大場やすのぶ 議長 木下議員に申し上げます。(「答弁漏れなんだよ、今のは。答弁漏れ」と呼ぶ者あり)質問者から答弁者を指定することはできません。ご了承願います。

◎真野 生活拠点整備担当部長 先ほどもご答弁申し上げましたが、上部利用につきましては、今後、上部利用方針に基づきまして、住民の皆様のご意見も伺いながら、鉄道事業者及び関係者との権利形態等を初めといたします調整を今後も進めていきたいということでございます。
 以上です。

◆二十三番(木下泰之 議員) 上部利用の問題に関しては、この事業は、今鉄道が走っているところに事業を進めるに当たって、今の空間よりもほぼ二倍に当たる空間がそこに生まれるんですね。公共事業を行うことによって、二万七千平米という広大な土地がそこにできてくる。半分は複々線事業だと言いますけれども、これも旧鉄建公団、今は独立行政法人鉄道機構がそれを事業主体となって行っておりまして、できた暁に、小田急電鉄は二十五年年賦で、低利でそれを買い取っていくという仕組みなんですね。税金と、それから財投を使って丸々行う事業なわけです。
 そういった公共事業の上にできた二万七千平米もの大空間、この利用については、建運協定上は、これは鉄道事業者がどうしても使わなければならない、つまり鉄道運行上使わなければならない部分を除き、あとは公共計画があれば、国や東京都、世田谷区が利用することができるんです。このことを知らない人が多過ぎる。役人は知っているだろうけれども、コンサルタントでも知らない人が多過ぎる。そういうことを踏まえた上できちっとやらなければいけないし、実際問題として、事前にそういった議論をしなければいけなかったはずです。そういったことについて、もう一度お聞きしておきたいと思います。そういうことについて知らなかったのかどうなのか。
 それから、上部利用についてはこう書いてありますよ。これは平成十二年十月に行った連続立体事業調査の報告書です。駅前広場の環状七号線側を歩行者空間として整備するとともに、環状七号線の鉄道橋を歩道橋に再整備することにより、梅ケ丘方面との連絡の利便性を向上することを図る。これについてはどうお考えなんですか。この方針について、区はどう考えているのか、もう一度答えてください。

◎春日 交通政策担当部長 まず上部利用、あるいは高架下利用についての基本的な建運協定の内容でございますけれども、建運協定では、国または地方公共団体がみずから運営する公共の用に供する施設で、利益が伴わないものを設置しようとするときは、高架下の利用につき、あらかじめ鉄道事業者と協議するものとし、鉄道事業者はその業務の運営に支障のない限り協議に応ずるものとするということでございます。協議に応ずるものとするとなってございます。
 以上でございます。

◎真野 生活拠点整備担当部長 上部利用の区間のお話だと思いますが、環七を挟みました駅間の通路につきましては、上部利用方針にも位置づけてございますが、今後協議検討する施設として位置づけてございます。
 以上でございます。

○大場やすのぶ 議長 以上で木下泰之議員の質問は終わりました。