平成19年第2回定例会(自612日 至 621日)

世田谷区議会会議録

2007年 6月14日 一般質問


○大場やすのぶ 議長 次に、二十三番木下泰之議員。
   〔二十三番木下泰之議員登壇〕(拍手)

◆二十三番(木下泰之 議員) まず初めに、談合防止と入札制度についてお聞きいたします。
 談合問題が、緑資源機構の問題を筆頭に日本の政治腐敗の温床であることは論をまちません。熊本区長は、土建業界の後援を受けてきたことを自他ともに認める政治家であります。それだけに、九九%、九八%という世田谷区の入札における落札率が常態化し、談合の疑いがついて回る入札制度問題に関し、選挙を直前に、みずから談合問題についての入札改革を言い出さざるを得なかったのでありましょう。
 選挙直前に外部委員による検討委員会を立ち上げて、年度内に提言を出させているのに、具体策を何も示しませんでした。問題は、検討委員会の提言を公表することもなく、入札を新年度に入って実施し、契約案件として五月の臨時議会に提出するということをおやりになった。これは筋が通りません。公表をおくらせた理由をお聞きしたいと思います。
 松沢小学校の入札では、かつて福島県の水道設備入札談合で摘発された業者が落札しているのであります。
 検討委員会提案はやっと公表されました。提言では、監視委員会の提唱や予定価格をあらかじめ公表することの問題点も指摘しております。入札制度をどのように変えるのか、区長の具体的施策をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、小田急線連立事業による関連事業、とりわけ跡地利用についてお聞きいたします。
 連続立体交差事業は一見鉄道事業のように見えますけれども、道路特定財源を使って都道府県や政令都市が行う公共事業であり、そのため、国庫補助による沿線調査も義務づけられてあり、調査の際に沿線の都市計画やまちづくりが立案されることになっております。また、国が定めた協定、要綱で律されており、調査は、住民参加や総合アセスを規定した調査要綱が定められております。
 そういった体系との関係で、既に事業が進んでいる経堂工区の周辺まちづくりや関連施設について、具体的には経堂の車庫跡地を含む周辺再開発と土地利用計画、梅ケ丘などの高架下利用や小田急の商業施設、成城掘り割り上部の営利農園などの利用計画はどのように決められてきたのか、また、経堂の車庫跡地の利用計画や下北沢の鉄道地下化後の跡地利用はどのように決めようとしているのか、お聞かせいただきたいと思います。
 小田急線の連立事業は、事業主体は東京都でありますが、国、都、世田谷区の権限、小田急などとの調整の仕組みをわかりやすく教えていただきたいと思います。
 国が定めた旧建運協定や同新要綱によると、高架下利用も、地下化された際の上部利用についても、一五%の面積は公租公課分として無条件に、また、その余の空間についても公共側が公共利用計画を立てれば、使用料をもちろん払ってですけれども、優先して使用できることになっております。この原則に照らして、都や区、公共側はこの間どのような主張をしてきたのか、国の指導はどうだったのか、お聞かせいただきたいと思います。
 都市計画法第七十五条の受益者負担の原則にのっとり、旧建運協定や同新要綱により高架事業の場合は都市部では一四%を鉄道側に支出させ、地下化事業の場合は鉄道側と別途協議することになっております。
 さて、今回の質問の準備過程で明らかになったことですが、下北沢工区の場合、別途協議で連立事業費六百六十五億円に対し、小田急側の負担は何と五十億円で済んでいるとのことです。まず、この数字について確認をしておきます。また、いつ費用負担割合は決まったのかも教えていただきたい。
 しかしながら、五十億円、これは事業費のほぼ七・五%にすぎません。高架下の利用便益よりも地下化後の更地の利用便益の方が価値が上回るはずなのに、なぜ七・五%であるのか、五十億円はどのような根拠で算出したのか、教えていただきたい。
 次に、一万六千平米もの面積を擁する芦花公園住宅跡地での高層マンション、グローリオ芦花公園建設計画問題についてお聞きいたします。
 最初に、なぜこの地域に高層マンション開発を許すのか、お聞きいたします。
 地域整備方針によりますと、住宅団地更新地区でありますけれども、周辺環境との調和を踏まえた中で中層住宅を主体とした土地の有効利用を図り、多様なコミュニティーの形成が図られるようと位置づけられております。都市計画法十八条の二は、基本方針、すなわちマスタープランが定められており、基本方針に沿って都市計画は定められなければならないとしてあります。地域整備方針は基本方針の一部であり、法定計画のはずであります。中層すなわち七階ぐらいの建物にまで高さを押さえ込まなければならないはずであります。しかしながら、実際には高層マンションが建ち並ぼうとしております。地域整備方針と今回の開発への区の対応、その関係を説明していただきたい。
 この開発地域の西側の水路敷整備と消防署の許可条件との関係をお伺いします。
 今回の開発に当たっては、水路敷に沿って東側に六メートルの地先道路の提供を区は迫りましたが、セコムはこれを断り、その後、結果として、区は区有地である四メートルの水路敷の補強工事をセコムにやらせ、セコムは水路の東側二メートルを私道として整備し、緊急自動車があわせて入れる空間を確保する計画として住民側に説明されました。これは業者が説明したわけであります。
 しかし、これはおかしな話であります。消防庁からの情報開示資料によりますと、昨年十月十九日の時点で成城消防署と設計事務所のやりとりの記録に、消防自動車の寄りつきについてとの項があり、敷地南西の水路部分に緊急自動車が進入できない場合、敷地中央の敷地内通路、甲州街道、旧甲州街道、敷地西側区道より各住戸のバルコニーにはしご車から架梯できる構造とすること、各住戸から二方向避難が確保されないものについては、各住戸の出入り口とバルコニー側にはしご車で架梯できるようにすることとあります。
 つまり、高層マンションの西側のバルコニーにはしご車が取りつくためには、六メートルの空間は必須条件であったのではありませんか。そうであるならば、セコム側が道路提供を断った以上、セコムは独自でその空間をつくるなりするべきものであります。
 水路敷は現在、地域住民の遊歩道として機能しております。地域住民は、車が通り抜けるような地先道路には反対しております。区民に対して区からの説明会も実施せずに、区有地でもあり、区管理の水路をセコムに勝手に提供し工事を行わせ、高層マンションのためにはしご車が入れる空間を整備させるというのは、セコムの不動産開発へのサービス以外の何物でもありません。区の財産を提供することによって、唯々諾々と高層再開発に手をかしてしまうことでもあります。
 区有地である水路を、住民への説明もなしにセコムに提供し、事業を行わせる方針を持つに至った経過を詳しく説明していただきたい。
 最後に、もう一つお聞きいたします。この一万六千平米の大規模再開発問題については、水害の危険の問題もあります。他会派からの質問もありました。東京のヒートアイランド化による集中豪雨の問題もあり、また、樹木伐採による保水力の問題、掘削や土盛りによる周辺への水害の影響、人口集中化、高層化の諸問題など、この開発問題は、環境審議会に対して区長は諮問とするべきであります。そうでなくて、報告事項にとどめてしか問題にしませんでしたけれども、諮問としなかった理由をお聞きいたしたいと思います。
 壇上からの質問といたします。

◎阿部 財務部長 私からは、入札制度について二点お答えいたします。
 まず初めに、入札制度改革提言の公表についてでございます。
 このたびの入札制度改革に係る提言は、本年三月三十日に世田谷区入札制度改革検討委員会より区長に答申されたものです。その後、本提言につきましては、四月に統一地方選挙が行われることを踏まえ、新しい議会の開催日程に合わせ、本年五月二十八日の企画総務委員会に報告をさせていただいたものです。したがいまして、お話のように報告をおくらせたということではございません。
 また、提言の内容を具体的な改革案につなげるためには、十分な検討が必要となります。十分な検討をした上で着実に改革に向け取り組んでいかなければならないと考えております。
 次に、入札制度をどのように変えるのかについてお答えいたします。
 入札制度の改革につきましては、提言の内容を十分に検討しながら取り組みを進め、順次案がまとまった段階で議会にご報告をしてまいりたいと思います。
 いずれにいたしましても、区としましては、これまでの地域経済の発展、区内産業育成の方針を堅持し、予防型行政の観点から入札制度改革に取り組んでまいります。
 以上です。

◎春日 交通政策担当部長 小田急線連立事業に係ります跡地利用につきまして何点かご質問いただきましたので、ご答弁申し上げます。
 まず、下北沢の跡地利用、経堂の車庫跡地利用、成城の掘り割り、梅ケ丘等の高架下利用に関しましてお答え申し上げます。
 小田急線の代々木上原〜梅ケ丘間の連続立体交差事業の鉄道地下化に伴います跡地利用につきましては、建運協定に基づき、約二千二百平米を公租公課相当額で都市側が利用できることとなっております。今後の土地利用につきましては、公租公課相当額による土地利用箇所を含め、今後、鉄道事業者、東京都、渋谷区と協議を進めてまいります。
 小田急線の世田谷代田駅〜喜多見駅間連続立体交差事業による高架下利用につきましては、建運協定に基づき、高架下貸付可能面積の一五%に相当する部分について、平成十三年五月に鉄道事業者と覚書を締結し、区が公租公課相当額で公共利用しております。
 梅ケ丘の商業施設につきましては、一九八九年、平成元年の三月に世田谷区の調査報告書の中でイメージ図としてまとめられたものでございます。それで、土地利用につきましては、公租公課相当額部分を除いた部分につきまして、鉄道事業者が商業施設として利用を図ったものでございます。
 また、経堂の車庫跡地につきましては、連続立体交差事業の区域に入っておりません。また、成城掘り割り上部の貸し菜園箇所につきましては、地元の要望を踏まえた環境対策のため、平成十五年、十六年度に鉄道事業者の負担によりまして覆蓋したものでございます。
 続きまして、国、東京都、世田谷区の権限、調整の仕組み等につきましてお答え申し上げます。
 小田急線代々木上原〜梅ケ丘間連続立体交差事業につきましては、平成十六年三月に国から事業認可を受け、東京都が都市計画事業として行っております。また、事業費につきましては、都市側負担の半分について国庫補助金が入り、残り半分の七割を東京都が負担し、残る三割を地方財政法に基づき区が負担する枠組みとなっております。
 鉄道地下化に伴う跡地利用につきましては、国の定めた建運協定に基づき、交差道路や駅施設を除く既設相当面積のうち一五%に相当する約二千二百平米を公租公課相当額で都市側が利用できることとなっております。鉄道の跡地の公共利用につきましては、建運協定上、都市計画事業施行者である東京都が鉄道事業者と協議することになっております。東京都は、公租公課相当額利用分を含め、その公共利用を地元区の世田谷区、渋谷区が行うべきとしております。このため、現在、東京都、渋谷区、鉄道事業者との四者によります連立協議会で、鉄道地下化に伴う上部利用の検討を進めているところでございます。
 続きまして、連立の事業費につきましての負担割合についてご質問がございました。
 連立の認可時の費用につきましては、事業費約六百六十五億でございます。そのうちの鉄道事業者の負担が五十億となってございます。この事業費の金額の決定の経緯でございますけれども、建運協定に基づきまして、都市計画事業施行者と鉄道事業者が、事業認可申請に当たりまして、あらかじめ協議し、上部利用可能面積を二千二百平米と定めたものでございます。
 その他の詳細につきましては、申し上げる立場にございません。
 以上でございます。

◎真野 生活拠点整備担当部長 私からは、上部利用につきましてご答弁させていただきます。
 東京都は、鉄道地下化に伴います上部の公共利用につきまして、公租公課相当額の利用分も含め、地元自治体が行うべきとしております。これを受けまして、区は平成十七年三月に上部利用方針を策定し、東京都との調整を行った上で鉄道事業者へ提案をいたしております。
 区の上部利用方針に示す施設のうち、都市計画決定をしていない駅前広場、通路等の各施設の規模につきましては、目的、機能等を果たし得る面積、幅員等を考慮したものでございます。今後、上部利用における権利形態や鉄道事業者側の利用計画と公共利用との整合性等につきまして、鉄道事業者等関係機関と協議し、上部利用方針の具体化を進めていくものでございます。
 以上です。

◎佐藤 烏山総合支所長 私からは、芦花公園住宅跡地開発につきまして二点ご答弁申し上げます。
 まず、都市整備方針に従って指導せよというお話でございます。
 当該地区は、旧日本住宅公団が分譲しました芦花公園住宅跡地であり、烏山地域整備方針で住宅団地更新地区と位置づけておりまして、オープンスペースの確保や緑化空間の創出を進め、周辺環境との調和を踏まえた中で、中層住宅を主体とした土地の有効利用を図る地区としております。
 その実現に当たりましては、場合によっては、階数を低く抑えることで逆に横に対する広がりもあり、圧迫感等を与えたり、緑地や空間の確保の観点からもマイナスとなることも考えられます。したがいまして、用途地域等の制限や立地、敷地の条件等、さまざまな観点から総合的に判断することが必要と考えております。
 なお、当該地区におきましては、地域整備方針をもとに、土地利用のあり方や建物の整備方針等を取りまとめました誘導方針を作成し、指導に努めたものでございます。
 次に、当該敷地西側の水路敷との関係でございます。
 計画地西側の水路敷につきましては地先道路に位置づけられておりますが、この地先道路の整備に当たりましては、開発行為などさまざまな機会をとらえて寄附等により道路用地を取得して進めることを原則としております。したがいまして、今回の計画におきましても、敷地西側の水路に沿って六メートルの道路を整備するよう要望いたしましたが、事業者側からは建築計画上難しい旨の回答があり、最終的には水路と敷地を合わせ六メートルの歩行者空間を事業者が整備することとなりました。
 その際、当該箇所周辺は、狭隘道路や行きどまり道路が多いため、地域の防災性、安全性の向上の観点から消防活動等が円滑に行えるよう、最低限緊急車両だけは通行可能となるよう整備を要望しております。
 また、事業者によりますと、その消防との協議をした際にも、法的拘束力のない指導基準により同様の指導があったと聞いております。
 今回の建築計画は、こうした協議結果を受けて、その後、具体的に進められたものと聞いております。
 以上でございます。

◎大塚 環境総合対策室長 この案件をなぜ諮問案件としなかったかというお尋ねに対してお答え申し上げます。
 環境配慮制度は、環境基本条例によりまして、環境に大きな影響を及ぼすおそれのある開発事業等を実施する事業者に対し、開発等に係る関係法令や条例の規定を上回る緑の保全とか資源の有効利用など、幅広い環境への配慮を要請するものでございます。
 お尋ねの諮問案件の件ですけれども、現在、マンション等の案件については報告案件として、外かく環状線等の大規模な案件については諮問案件として取り扱ってございます。
 具体的には、グローリオ芦花公園の工事につきましては、本年三月二日に環境配慮計画書及び説明会開催状況報告書が提出され、これをもって三月三十日の環境審議会で報告、審議の結果、既存樹木の保全、水害対策や近隣住民への詳しい説明と事業計画の再検討を求めることとされました。
 その後、五月二日に再提出されました環境計画書では、保存樹木について、当初三十本中二十三本の伐採から、三十本中二十六本の移植を含め残すこととされていること、また、水害対策については新たに三千立米の貯留施設を設置して、五千三百立米の貯水槽を確保することなど、審議会の指摘を踏まえて改善に向けた対応がなされたということで、報告事項でございますが、一定の成果はあったものと認識してございます。
 以上でございます。

◆二十三番(木下泰之 議員) 小田急線の利用の問題ですけれども、二千二百平米が利用可能だということを盛んに言っているけれども、これは全体を使うことができるわけですよ。つまり、四メートルの通路という非常に奇異な話があったけれども、四メートルの通路ということは、そのほか何かに使うということが決まった上でそういう話になっているわけでしょう。その辺の経緯について、もう一度きちっと言ってください。
 それから、環境審議会への諮問については、これはきちっと諮問してやるべきだ、そうでないと予防行政にはなりませんよ。そのことも答えてください。

◎真野 生活拠点整備担当部長 通路間につきまして、先ほど四メートルというご指摘がございました。通路間につきましては、歩行者や自転車を主体とした道路の機能を果たし得る必要最低限の規模として考慮して考えてございます。
 先ほどご答弁申し上げましたように、現在、東京都を初め鉄道事業者との協議を進めてございますので、協議の中で今後も進めていきたいと思っております。
 以上でございます。(「答えていないよ、答えさせてください、答えさせてください、答弁漏れだ」と呼ぶ者あり)

○大場やすのぶ 議長 答弁漏れはありますか。(「ちゃんと答えなさいよ、聞いたろう」「議事進行」「答えてくださいよ、答えなさいよ」「議事進行」と呼ぶ者あり)答弁漏れはないということなので……(「答弁漏れがあるじゃないか、答弁漏れが」と呼ぶ者あり)

◎大塚 環境総合対策室長 引き続き、諮問の件ですけれども、現在報告案件として取り扱っていることは、現状で妥当な取り扱いだというふうに考えてございます。
 以上でございます。

◆二十三番(木下泰之 議員) 昨日、オーストラリアから来た市長が言っていましたよね。温暖化が非常に心配だと。この一万六千平米の開発というのは、そういうことも心配しなきゃいけないんですよ。そういったことをきちっとやる、そういったことがやっぱりこれからの区政をよくすることだと思います。

○大場やすのぶ 議長 以上で木下泰之議員の質問は終わりました。
 これで一般質問は終了いたしました。
 ここでしばらく休憩いたします。