平成19年第1回臨時会(自517日 至 523日)

世田谷区議会会議録

2007年 5月23日 入札契約議案8件と特別区税条例一部改正の専決処分への反対討論


○大場やすのぶ 議長 これより意見に入ります。
 なお、意見についての発言時間は、議事の都合により十分以内といたします。
 発言通告に基づき発言を許します。
 二十三番木下泰之議員。
   〔二十三番木下泰之議員登壇〕

◆二十三番(木下泰之 議員) 議案第五十七号から六十四号及び専決処分への反対討論を行います。
 企画総務委員会での審査報告がありましたが、私は全議案及び専決処分第二号に反対の立場でございます。
 第五十七号から六十四号までの八件は、一般競争入札、指名競争入札の違いはございますが、いずれも入札を伴う契約案件です。
 ところで、世田谷区議会は、本年二月十三日に開催された企画総務委員会において、世田谷区財務部経理課から、入札制度改革検討委員会の設置についてとする報告を受けております。今期議会で当選した皆さんも、既に議事録も出ており、区議会のホームページにもこのことがアップされておりますので、調べればすぐわかることであります。また、前期から在職している議員にとっては周知のことであります。
 二月十三日の企画総務委員会では、宮内経理課長が次のように報告しております。「昨今の公共工事の入札におきまして、例えば福島県での下水道整備工事を初め、和歌山県、あるいは宮崎県、名古屋市といったような多くの地方公共団体で公共工事の入札に関して、いわゆる官製談合ですとか贈収賄事件といったような犯罪による逮捕者が続出していることにつきましては、報道などによりご承知のことだと思います。このような状況にかんがみまして、区としまして、予防型行政運営の視点から現行の入札制度の現状を踏まえまして、より一層透明性、公正性、あるいは競争性を高めるための入札制度改革に着手するよう、区長の方から下命がございました。そこで、外部委員によります入札制度改革検討委員会を設置いたしまして、競争性の向上ですとか透明性の向上といったような観点から検討を行いまして、世田谷区の今後の入札制度のあり方についての提言をいただくことになりました」。
 委員の任期は本年一月二十二日から三月末まで、実際、外部委員によるこの検討委員会の提言は三月三十一日にまとめられているのであります。
 直近の世田谷区の契約事案では、赤堤小学校の契約案件について談合情報が寄せられたということもありました。入札制度改革は重要な区政改革の課題であることは論をまちません。本来ならば、選挙前に熊本区長は入札制度改革について公約を発表し、マニフェストにも掲げるべきでありました。
 二月十三日の企画総務委員会で、下条議員が的確に批判をしていたけれども、外部委員の論を経なくとも、首長の責任において入札制度改革は決断すべきであります。しかしながら、年度内に外部委員の審議に、区長の責任においてこれをゆだねたわけでありますから、三月三十一日に外部委員から提言をもらった段階で、これを当日、記者会見でもして発表するのが熊本区長の義務ではないでしょうか。改選を控えているのであるから、当然そうすべき筋合いのものでありました。しかし、熊本区長はそうはしませんでした。
 今回、区長選では対抗勢力が分裂したために、結果として区長は再選されました。しかしながら、選挙後も、いまだに専門家による外部委員会であったところの入札制度改革検討委員会の検討結果は、既に存在しているにもかかわらず、公表されておりません。
 同僚議員の皆さん、区民の皆さん、よく考えてみてください。今行われているこの議会は、新議会の構成を決めるために開催された臨時議会です。この議会に八つもの契約案件がどさくさに紛れて矢継ぎ早に提出され、議会運営の事情もまだのみ込めていない新議員をたくさん含むこの議会で審議することがふさわしいのかどうか。その上、区長が入札制度自体への不審を語り、専門家に提言を求めた以上、その提言を公表せずに、議会に入札に関する議案を提出することはあってはならないことであります。
 区長は入札制度改革についての説明責任を何ら果たしておりません。にもかかわらず、企画総務委員会では、参加しているどの会派も入札制度改革検討委員会の提言の公表不在と契約案件提出の関係について問いただすことさえしておりません。
 選挙戦では、情報公開や住民参加、説明責任、マニフェストなどなど、議会改革が山のように公約されました。しかし、しょっぱなから、そのような努力は皆さんの議会活動からはスルーされてしまっております。このようなことを許してはなりません。区長が説明責任を果たさずに提出した契約案件は否決されてしかるべきであります。
 案件の問題を個別案件ごとについて申し上げておきます。
 議案五十七号、五十八号、五十九号は、当初改修で足りるとした事案を四倍以上もの予算を取る改築に変更した、砧区民会館改築に係る電気、空調、給排水設備に関する契約案件です。私は、そもそも砧区民会館については、当初方針どおりの改修こそ利にかなっており、改築は必要ないと考えておりますので、契約自体にそもそも反対であります。その上、いずれも区内業者保護を目的とした入札制度の中で行われており、落札率は九八%から九六%台であり、この入札自体、談合の疑いを持たれても仕方のない落札率になっていると指摘しておきます。
 議案第六十号から六十三号までの松沢小学校改築に伴う契約案件についてであります。
 六十号の案件は、他の案件に比べて落札率が八五・二八%という数字を示し、大きく改善が図られているように見えます。当初、区内業者保護の観点から区内業者に限るとしたところ、一社のみの応募であったところから、仕切り直しで区外業者の参入を認めた入札で六社が応募し、東急・守谷・京王建設共同企業体が落札した案件です。区外業者参入のメリットが浮き彫りになった事案とも受け取れますが、大きな問題があります。
 さきに紹介した二月十三日の企画総務委員会での入札制度改革検討委員会設置報告の際、例えば福島県での下水道整備工事を初め、福島の事件が昨今の談合の事例として報告されていたことを思い出していただきたい。この福島の下水道整備工事の事件で東急建設は指名停止になっているのであります。
 第六十一、六十二、六十三号は、電気、空調、給排水設備の契約案件であり、区内業者による指名競争入札です。落札率は、それぞれ九二・一%、九六・〇三%、九七・八二%と、依然として高い落札率であり、やはり談合の疑いを払拭できません。
 第六十四号は谷沢川護岸改修工事の第二期分の請負契約ですが、指名競争入札で六七・九六%です。他のものに比べると極めて異例に低い落札率ですが、むしろ低入札価格調査制度に係る最低落札価格すれすれの低価格であるということが極めて気になります。
 担当者が調査をしたところ、一期も同社が受けていて、二期目を引き続き行うことから安上がりなのだという説明でしたが、一期、二期と連続して行う工事についてのあり方自体が問題になります。また、二期工事として初めて参入する共同企業体が六九・五四%の数字を出していることも気になります。最低価格ラインでの談合もあり得ると考えなければなりません。
 区長が説明責任を果たさない中での契約案件は極めて厳しく見ざるを得ません。今回は契約案件全議案に反対だということを改めて申し上げておきます。
 さて、最後になりましたが、世田谷区特別区税条例の一部を改正する条例についての専決処分についての反対の理由を申し上げておきます。
 これは、地方税法の一部を改正する法律の改正に伴う所定の改正ですが、証券税制での優遇の特例措置の適用期限を延長するというものです。私は、現在の政府のゼロ金利政策と証券への優遇税制のゆがみは、一刻も早く解消されるべきものと考えております。
 お金を借りるときは多額の金利がつき、貯蓄してもゼロというのは大衆収奪以外の何物でもありません。一方での証券への優遇税制は、高額所得者への優遇そのものです。この転倒した経済秩序は一刻も早く解消されなければならないというふうに考えております。したがって、専決処分に反対するものであります。
 以上をもって無党派市民の反対討論といたします。

○大場やすのぶ 議長 以上で木下泰之議員の意見は終わりました。
 これで意見を終わります。