平成19年第1回定例会(自3 1日 至 329日)

世田谷区議会会議録

2007年 3月 5日 一般質問


《平成19年第1回定例会》平成19年3月5日・一般質問

○菅沼つとむ 議長 次に、四十八番木下泰之議員。
   〔四十八番木下泰之議員登壇〕

◆四十八番(木下泰之 議員) 最初に、下北沢地区計画でのやらせ事件問題に関しての都市計画審議会会長、委員の辞任についてお聞きいたします。
 都の外郭団体、東京都歴史文化財団発行の月刊「東京人」三月号に、昨年末辞任した世田谷区都市計画審議会の東郷尚武前会長のインタビュー記事が掲載されております。
 下北沢の地区計画については、昨年十月十八日に都市計画審議会で強行採決されてしまいました。
 記事の中で東郷会長は、計画反対の声が多く、もう少し議論を詰める努力が必要だと感じ、当局に採決の延期を要請したが、下北沢の地区計画では、都で決定する案件と区で決定する案件とが複雑に連動していて、ぜひ十八日に決定してほしいという行政側の意向をのんで、この日に賛否を問うた。この採決は苦渋の選択でしたと言っています。
 少し長いですが、経過を説明しているところがインタビュー記事にありますので、読ませていただきたいと思います。
 「計画に対する住民の意見書を出してもらうことになったとき、『意見書の書き方がわからない』という声が出ました。その際、区の担当者は、計画案に賛成する趣旨の具体例だけを示し、さらに『賛成』を念押しするような文書まで付けて、地元商店街や町会の代表者に配布したのです。区側としては、賛成派の住民に賛成例の書き方を示したのだ、という言い分らしいのですが、その直後、方々からわたくしのところに苦言が寄せられ、『困ったことをしてくれた』と直感的に思いました。
 今回のように意見書の書き方を問われたら、本来なら、賛成/反対の両案について具体例を示すべきであるのに、賛成のひな形だけを提示したうえに、『計画に賛成です』と印刷した提出用紙を付けるといった行為は、行政の中立性や、公務員に求められる公平・公正といった観点からも、明らかに職務を逸脱するものです。したがって、このような過程を経た都市計画の決定は、当然問題を含み、理屈から言うと、そのまま通すわけにはいかないはずですから、採決のあと、わたくしは関係者に対して、『今後ともこの案件については、ぜひ善処してください』と注文をつけました。」こういうふうなインタビュー記事なんですね。
 こういった経過を持つため、今回の決定は、先進的とされていた世田谷区の行政に禍根を残す結果となりました。ですから、このまま私が会長職にとどまることは不適切であると感じ、辞任させていただいたわけです。こうも書いております。
 会長権限で採決をしなければよいわけですので、東郷会長が意気地なしで、非常に問題なわけですけれども、東郷会長は随分率直に語っておられます。
 東郷会長のみならず、都市計画審議会では、昨年の十月十八日の採決後、反対を表明した三名の学識経験者委員が辞任されたと聞いております。
 まずは会長や反対を表明された三名の委員はどのような理由で辞任したのか、経過と区の対応について説明していただきたいと思います。
 会長からの採決についての延期要請と、そのときの区長の対応についてお伺いいたします。
 先ほど区職員の賛成誘導のひな形事件、やらせ事件について禍根を残すとした会長の批判表明と辞任、学識経験者の辞任について、区長の見解をお伺いいたします。こういった事態に対して反省しているのか、反省していないのか、しっかりお答えいただきたいと思います。
 次に、下北沢地域の防災と補助五四号線の関係についてお聞きいたします。
 日経ビジネス、二〇〇七年一月二十九日号の記事を踏まえてお聞きいたします。
 日経ビジネス誌には、次のように書かれております。おかしな話はたくさんある。例えば区が五四号線計画の目的として強調する防災対策、その内容を尋ねた質問に、区は文書で、区長は下北沢地区で実際に火事があった際、消防車が入れず、消火活動がおくれた悲惨な過去の実態に触れ、区民の安全と財産を守ることが区の優先課題であることを基本にと答えた。
 ここで言う悲惨な過去とは、一九八四年三月に起きた下北沢南口の飲食店の火事のこと。東京消防庁によると、けが人が一人、類焼はなし。火事はない方がいいに決まっているが、この程度の火事を悲惨と表現する世田谷区の説明は、世論誘導をねらう悲惨な役人根性と言うべきではないか。下北沢で本当に消火活動に支障を来すのか、当方の質問に対する東京消防庁の答えは明快だ。特段の危険はありません。再び区の回答、消防庁がそう言っているとしても、そんなことを区民に伝える必要はない。区道路整備部長の板垣正幸は大胆な発言をする。区長の説明をぜひ聞きたいところだったが、取材の申し込みは二回とも断られた。理由はわからない。こういった記事です。
 日経ビジネス記事での区批判への見解をお聞かせいただきたい。
 私もいろいろ調べてみました。区の発行する防災マップでは、下北沢駅周辺地区地区計画の範囲や補助五四号線通過地域の防災危険度は高くはなく、世田谷全体では安全の部類に入ります。行政の認識としてはどの程度の危険のレベルなのか、お答えください。
 下北沢補助五四号線を整備すると、周辺には六十メートルの高層ビル建設が可能となります。中央区では最近、高層ビルへの安全対策を条例で規制しようとしておりますが、高層建築による新たな危険性について、区はどのようにお考えになるのか、区長のお考え方を聞かせていただきたいと思います。
 防災が重要な課題であることは論をまちません。下北沢地域では小田急線地下化後の跡地は三十メートルから二十メートルの幅で二キロにもわたる空間ができます。緑道にすれば防災や避難路として役立ち、災害時に緊急車両を通す設計も可能です。この跡地の利用方針こそ下北沢の防災対策にとって最重要だと考えますが、都市計画プランさえ区は示しておりません。防災の視点や緑化の視点から、何よりも都市計画としての跡地利用計画がいまだに出ていないのはなぜか、お聞かせください。
 関連して、区のみどり率三三%回復目標と小田急線跡地利用についてお聞きいたします。
 みどり率三三%目標は、これまでの緑被率現状維持路線からの転換であり、大胆な緑政策への転換がなければ実現できません。
 石原慎太郎都知事は、昨年十月にテレビで鉄道の跡地には緑がふさわしいと考えると発言しております。小田急線跡地を緑道とすべきであると考えますが、区長のお考えをお聞かせください。
 小田急事業には莫大な税金が投入される事業であるということもあり、小田急線跡地を利用するに当たっては、公租公課分一五%は自動的に、残りは区や東京都が公共利用を主張すれば、制度上は利用できます。一五%についての利用計画は聞いておりますが、重要なのは、残りの部分について公共利用する用意があるのかどうか、そのことが大事です。どうであるのか聞かせてください。
 公共利用には財政支出も伴います。試算するためには必要な基礎的データが必要ですので、最後に聞いておきます。
 一つ、小田急線連続立体交差事業で新たにできる上部空間の面積はどのくらいであるのか。
 二、下北沢地区の線増連続立体交差事業の費用算定時の既存買収面積とその費用総額及び以降の買収面積とその費用算定について明らかにしていただきたいと思います。
 以上、壇上からの質問といたします。(拍手)

◎金澤 都市整備部長 都市計画審議会会長、委員の辞任の理由、経過と区の対応及び辞任をどのように考えるかについてご答弁申し上げます。
 昨年の十月から十一月にかけて、会長及び三名の委員の皆様から、それぞれ一身上の都合による辞任届が提出されました。区といたしましては、各委員に対し任期までの継続を強くお願いいたしましたが、辞任についての意思がかたく、辞任届を受理させていただきました。これまで退任された皆様には、都市計画審議会でご尽力いただき、大変感謝しております。今後も皆様のますますのご活躍を願っております。
 次に、会長の延期要請とそのときの区の対応についてのご質問にお答えします。
 会長は、事の重大性から、諮問の延期を要請された事実はございます。区は、これまでの経過を踏まえ、都市計画審議会において、平成十七年九月に素案の説明、十八年五月に原案の報告、十八年七月に案の報告を行っておりますこと。また、会長は七月の審議会の中で、次回の審議会では賛否を問うとの発言をされましたこと。さらに東京都決定の関連案件との日程調整もあることから、十月十八日に諮問することを了解していただきました。
 次に、例示メモについての会長からの見解についてですが、ご指摘の例示メモについては、これまでもご答弁していますように、住民の要請に基づき、通常業務の一環として行ったものであると認識しております。今回の記事の内容は、昨年十月の都市計画審議会でも会長は述べており、厳しく受けとめているところでございます。
 以上でございます。

◎板垣 道路整備部長 補助五四号線等の防災危険度についてのご質問でございました。
 補助五四号線等の整備を行います北沢二丁目を含みます区の北東部につきましては、昭和五十六年以前に建設されました木造住宅が密集しており、火災の危険性も高い地域と考えてございます。また、避難の安全性につきましても、近距離避難、広域避難ともに問題があり、消火活動困難度も高い地域と考えております。したがいまして、今回、補助五四号線の整備を進める下北沢地域は、防災環境上、早急に改善を図る必要があるものと認識しております。
 なお、日経ビジネスの記事が引用されておりましたが、同様な説明を同誌に説明させていただいたところでございます。

◎安水 生活拠点整備担当部長 それでは、私からは、まず高層建築の防災上の危険についてお答えいたします。
 下北沢地区の建築物の高さにつきましては、これまで商業地域等において最高限度はなかったため、このたび地区計画で商業系地区に原則二十二メートルの最高高さ制限を導入したものでございます。
 一方、都市計画道路などの沿道で、かつ一定の敷地規模等の条件をもとに高層建築を可能としております。しかし、沿道の高層化については、既に土地が細分化され、地権者もふくそう化しておりまして、土地の集約化は極めて困難と考えており、沿道に高層建築物が林立するような事態は想定しにくい状況でございます。
 なお、今後一定の条件で建築される高層建築物があった場合には、建築基準法や消防法等の関係法令が遵守されるものと考えております。
 続きまして、小田急線の地下化後の上部利用等についてご質問がございました。
 まずは、上部利用方針はあるのか、防災の点からとらえるべきじゃないかというようなご質問にお答えいたします。
 小田急線の上部利用につきましては、平成十七年三月、既に区として上部利用方針を取りまとめまして、駅前広場等を優先的に検討整備する施設、通路やポケットパーク等を今後協議検討する施設、駐車場を鉄道事業者へ要望する施設として位置づけておりまして、平成十七年二月の特別委員会においてもご報告しているとおりでございます。これが上部利用方針でございます。
 続きまして、公租公課分以外の公共利用につきましてでございますが、下北沢駅を含めた三駅の駅前広場等、先ほど申しました優先的に検討整備する施設の上部利用面積で、既に公租公課相当分は超過している状況でございますが、今後とも上部利用方針に基づきまして取り組んでまいります。
 続きまして、次に、小田急線跡地を緑道とすべきと考えるが、いかがかということにお答えいたします。
 緑政策につきましては、区長の指示で長期目標、みどり率三三%を掲げまして、緑をふやす全庁的な取り組みを進めているところでございます。先ほど申し上げました上部利用における三駅の駅前広場やポケットパーク等の整備につきましても、緑の創出やバリアフリー等を考えて進めてまいります。
 以上でございます。

◎春日 交通政策担当部長 小田急線連続立体交差事業及び複々線化事業の代々木上原駅〜梅ケ丘駅間における新たにできる上部空間について二点ご質問いただきました。
 新たにできる上部空間の面積につきましては、交差する道路や駅施設等の面積を除いた約二万七千平米でございます。
 続きまして、その用地につきましてのご質問でございます。代々木上原駅〜梅ケ丘駅間の小田急線連続立体交差事業及び複々線化事業における用地取得につきましては、鉄道事業者の複々線化事業によるもので、連続立体交差事業に伴う用地取得は発生しておりません。複々線化事業は鉄道事業者が行う事業であり、区は事業者ではございません。このため、用地費などの経費の詳細につきましては承知しておりません。また、申し上げる立場にございません。
 以上でございます。

◎井伊 みどりとみず政策担当部長 みどり率三三%目標は、これまでの緑被率現状維持路線の転換であり、大胆な緑政策の転換がなければ実現できないと考えるがというご質問でございます。
 これまでの世田谷区みどりの基本計画では緑被率二〇・五%を現状維持するとしていますが、新たなみどりの基本計画策定に当たっては、緑をさらにふやすとの区長からの指示を受け、新たに長期目標としてみどり率三三%を掲げたものであります。平成十九年度におきましては緑の保全創出を総合的かつ計画的に進めるため、向こう十カ年を展望する新たな世田谷区みどりの基本計画及び四カ年を目標としたみどりの行動計画を策定し、目標の達成に向けて、鋭意進んで取り組んでまいります。
 以上でございます。

◆四十八番(木下泰之 議員) 最初の会長の辞任問題ですね、都市計画審議会長の辞任問題ですけれども、厳しく受けとめるとしか言っていないんですね。これは区長に対して辞任を申し出たわけでしょうけれども、これは大変なことなわけですよ。都市計画審議会の会長をやめる。それから委員もやめてしまう。これは、まさに問題があったからこそやめたものであって、区長はこれについてどう考えるか、もう一度きちっと答えていただきたい。
 それから、五四号線の防災問題ですね。これは日経ビジネスが書いたように、この沿線のところは危険度はないんですよ。先ほど言われたのは、その上の方の部分、北の方の部分については多少密集しているけれども、それはその場所にはない。あるいは今度、小田急線の方が、むしろそういった密集地のところを通っているわけだから、比較して考えれば、そちらの防災対策で利用した方が、よっぽどそういう危険を回避することができる。そういったことについて都市計画できちっと検討したのかどうか、そういったことについてお聞きしておきたいと思います。
 それから、みどり率三三%というのは、これはよっぽどきちっと大胆な政策をとらないとできないですよ。区長、これは上を緑化するということになれば、そういったことに資すると思うけれども、そういうことをするつもりがあるのかどうか、お答えください。
   〔平谷助役登壇〕

◎平谷 助役 都市計画審議会を所管します立場からご答弁させていただきます。
 木下議員のお話の中で、前会長の辞任に当たりましては、私も直接お話を伺いまして、なおかつ慰留に努めたところでございます。
 結論的に申し上げますと、前会長みずからは一身上の都合であるというふうなことで私は承っております。そういう意味では、先ほど所管の部長が申し上げておりますけれども、他にも厳しいご指摘がございまして、私自身、大変重く受けとめ、今後、より一層職務に精励したい、このように考えております。

◎板垣 道路整備部長 補助五四号線沿道の防災の問題でございますけれども、私どもは補助五四号線について、線としてまちづくりを考えているわけではなくて、面としてのまちづくりを考えているわけでございまして、そういう中で、北東部の地域につきましては、防災上、大変問題があるという認識のもとで、防災生活圏というような考え方から、この補助五四号線の整備もぜひ整備が必要だというふうに考えているわけでございます。
 以上でございます。

◎安水 生活拠点整備担当部長 緑につきましては、先ほど申しましたけれども、これは緑をふやす全庁的な取り組みということで申し上げました。小田急線の上部利用につきまして、先ほど申しました三駅の駅前広場とかポケットパーク等を考えております。こういう中で緑をふやすべく努力してまいりたいと考えております。
 以上です。(「答弁漏れだよ、答弁漏れ」と呼ぶ者あり)

○菅沼つとむ 議長 答弁漏れはございますか。(「都市計画としてちゃんと考えたのかって聞いたんですよ」と呼ぶ者あり)

◎板垣 道路整備部長 先ほど申しましたように、防災生活圏というような立場から、補助五四号の整備が必要だということ。それから補助五四号そのものは、もともと都市計画決定されているわけでございますので、それの事業化に向けて、我々は努力してきているところでございます。(「跡地利用との関係でどうだって聞いたんだよ、さっき。跡地利用との関係でどうだって聞いたんだよ。それはどうするんだよ、答えろよ」と呼ぶ者あり)

○菅沼つとむ 議長 木下泰之議員。(「時間をむだにさせるなよ。答えろよ、答えていないじゃないか。小田急線の跡地と五四号線の関係を聞いているんだよ」と呼ぶ者あり)ご静粛にお願いします。ご静粛にお願いします。答弁漏れはございますか。(「ちゃんと答えなさい、答弁漏れ」と呼ぶ者あり)なし(「答弁漏れだよ」と呼ぶ者あり)どうぞ、木下泰之議員。(「答弁漏れだから、それを指示してくれ、ちゃんと。答弁漏れですよ。五四号線のことについてしか答えていないじゃないか。跡地について都市計画をどうしたんだって聞いているんだよ」と呼ぶ者あり)。木下泰之議員、どうぞ。(「質問しなよ」「答弁漏れだから聞いているんだよ」「手を挙げているじゃないか」と呼ぶ者あり)道路整備部長、どうぞ。(「手を挙げているだろう」「指名しろ」「うるさいな」と呼ぶ者あり)板垣道路整備部長。ご静粛に。

◎板垣 道路整備部長 跡地利用につきましては、先ほど安水が答えたように、区としての一定の方針のもとに跡地利用については考えているところでございますので、先ほど答弁もしているとおりでございます。
 以上です。

◆四十八番(木下泰之 議員) 跡地利用の問題は一番大きな問題ですよ。これは、さっき言った二万七千平米という広大な空き地ができるわけですよ。これに対してどう利用するか、これがすべての下北沢の問題の原点なはずです。これをきちっと議論しないで、五四号線のみの議論だけをしていては、下北沢のまちづくりというのは考えられないんですよ。そのことをきちっとやるかどうか、そのことについて、区長、答えてください。
   〔平谷助役登壇〕

◎平谷 助役 議員お尋ねの上部利用方針に関しましては、既に議会にも広くご報告申し上げまして(「していないだろう」と呼ぶ者あり)先ほど申し上げましたように(「全体の計画についてしていないじゃないか」と呼ぶ者あり)

○菅沼つとむ 議長 ご静粛にお願いします。

◎平谷 助役 上部利用方針に関しましては、既に特別委員会でもご報告申し上げまして(「一五%だけじゃないか、それは。八五%はどうするんだ」と呼ぶ者あり)

○菅沼つとむ 議長 ご静粛にお願いします。

◎平谷 助役 ということで、先ほどご答弁申したとおりでございますので、ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。(「何もやっていないじゃないか」と呼ぶ者あり)

○菅沼つとむ 議長 以上で木下泰之議員の質問は終わりました。