平成18年第3回定例会(自920日 至1020日)

世田谷区議会会議録

2006年 9月22日 一般質問


○菅沼つとむ 議長 次に、四十八番木下泰之議員。
   〔四十八番木下泰之議員登壇〕

◆四十八番(木下泰之 議員) 通告に基づき一般質問を行います。
 最初に、下北沢補助五四号線、駅前広場の都市計画と事業認可申請の問題点についてお聞きいたします。
 認可申請書を情報開示で入手いたしました。読んであきれました。数字が合っていません。駅前広場、すなわち区画街路一〇号線は、都市計画決定では五千三百平米、長さが六十メートル、ところが、認可申請では五千四百平米、六十四メートルとなっております。百平米も違います。百平米といったら立派なビルが建ちます。金額にしても場所柄、数億円になるでしょう。五千三百平米という数字については、地元商店街の人たちがそんな広い必要はないと言ったのに対して、区の役人が五千三百平米ないと補助金がおりないからと説明していた数字であります。
 また、計画地は鉄道上部です。六十メートルの長さが実際は六十四メートルであったなどということは許されますか。このずさんな対応の原因は一体何であったのか、お答えください。
 都市計画法第六十一条は認可の条件として事業の内容が都市計画に適合することを挙げています。都市計画決定と認可申請が適合していないではないですか、違法です。申請を撤回してやり直すべきだと思うが、いかがお考えか、お示しいただきたいと思います。
 事業申請を読むと、五四号線については道路計画であるのに、自動車交通のことではなくて、まちづくりのことばかりが書いてあります。茶沢通りと駅とのアクセスということであるのなら、小田急線が潜った上につくる区画街路一〇号線から北側の志賀医院付近のサークル部分までの事業は不要なはずです。
 今回の事業を一期工事としておりますが、補助二六号線とつなぐわけでもなく、環状七号とつなぐわけでもありません。補助五四号線などの事業は、工期分けや着手の手順からいって、交通ネットワークの必要性からではなく、その位置と形状からいって町の高度利用が主な目的になっており、道路本来の目的からは外れております。こういうのを他事考慮と言うのであります。違法であります。見解をお伺いいたします。
 最大幅二十六メートル、環状七号線並みの広さの補助五四号線については、かつての都市計画がオーバーパスであったため側道があり、その側道をも含めて都市計画として残っていたのだという説明を区はしてまいりました。しかし、なぜ側道が不要となったのに、そのまま残さなければいけないのでしょうか。しかも、直径四十メートルのサークル部分も含めて残してあります。
 補助五四号線の標準幅は十五メートルにすぎないわけですから、十五メートルに戻すべきであります。なぜ戻さないのか、理由をお伺いいたします。
 補助五四号線の直径四十メートルのサークル部分は、旧都市計画の際、一体何のためにつくられたのか、説明していただきたいと思います。
 オーバーパスの着地点の都市計画として、このようなサークルは余り例のないことであります。そもそも旧都市計画にこの特殊な形状のサークルがなぜ導入されたのか、教えていただきたいと思います。
 防災のために五四号線が必要だと区は強調いたします。しかし、防災からいっても、町のありようからいっても、広大な小田急線跡地の利用こそ下北沢の都市計画の重要な要素であり、町のあり方に多大な影響を与えます。
 その跡地については、建運協定では第一義的には利用権は公共側にあります。にもかかわらず、公共側が小田急線跡地を全面的に利用する都市計画は、この間、一切議論されてまいりませんでした。理由は何か、教えてください。
 次に、下北沢駅周辺地区計画についてお聞きいたします。
 九月十五日から地区計画案の法十七条の公告・縦覧が行われておりますが、これに先立ち、公式な説明会や公聴会を開かない理由を説明していただきたいと思います。また、用途変更や容積率の緩和についての公告・縦覧が東京都によって同時に行われておりますが、区は全く広報しておりません。これはなぜか。
 また、東京都は、用途地域、容積率の都市計画変更案の法十七条による公告・縦覧の前に、公聴会も説明会も行いませんでした。区が代行することもしていません。これはなぜか。通常の用途地域変更の際の説明会の持ち方と比較しお答えいただきたいと思います。
 十月十八日に世田谷区都市計画審議会が予定されておりますが、ここで諮問され審議される地区計画案は、現行の用途、容積率を前提として審議を行おうとしておるのか、変更を見越して審議をしようとしておるのか、伺います。変更を見越しての審議だとするならば、そのようなことがなぜ可能なのか、法的な根拠も示していただきたいと思います。
 ところで、地区計画については自治体学会の二〇〇四年度の年報に興味深いレポートがありました。所沢市都市計画課の関根久雄氏の論文、「地区計画の策定と住民参加・合意形成」という文書には、「平成八年地区計画行政研究会報告書」が引用されてあり、行政手続段階で、原案の公告・縦覧をする前にどの程度の合意形成が必要かという質問に対して、調査対象となったすべての自治体が最低でも八割以上の賛成が必要と答えております。一〇〇%の合意が必要との回答も三分の一あります。世田谷区は地区計画に際して、地権者の合意についてどのような数字を目標にしているのか、お聞かせください。
 地区計画制度の立法の経緯も調べました。一九八〇年、地区計画の立法が最初に国会で可決された際の審議で、升本達夫建設省都市局長は、実際の運用におきましては、この地区計画制度の性格、目途からいたしまして、やはり関係権利者全員のご理解、ご協力をいただくことが必要でございますので、現実の運用に当たりましては全員の理解が得られるように努力してまいりますと答えております。
 下北沢の場合、法十六条の公告・縦覧の際の意見は、地権者二千二百名中、意見書提出は五十七通、うち賛成二十八で、反対が二十七、三百七十通は地権者外で、賛成が百ちょっと、反対が二百五十を超えていたというのが、七月二十八日の都市整備委員会での区からの報告でした。地権者の意見書は賛否が五分五分、全体の意見書では七一%以上が反対しております。この数字を見ただけでも、立法の趣旨や他自治体の慣例からいって、法十七条に進むのは間違いだと考えますが、ご見解をお伺いします。
 さて、このような状況の中、強引に十七条に進むに当たって事件がありました。拠点整備第一課の職員が、地区計画の公告・縦覧の意見書提出について、賛成意見を誘導する文書と賛成意見の送付文書を作成し、地域の町会や自治会の役員あてに配っていたということが発覚しました。他会派が一昨日行った代表質問への答弁で、安水部長はそのことを認めたのであります。
 これは重大です。法定の正式な手続に公権力が介入したことが発覚したわけですから、それなりの対応をとることと思われますが、どうされるのか、お伺いします。この件について、いかなる調査を行ったのか、だれがどのように行ったのか、その規模、現在までに知り得たことを明らかにされたい。
 また、この事件に対して、いかなる責任をとるのか、また、とらせるのか、明らかにされたい。
 五月から六月に行われた法十六条の公告・縦覧の際にも同様なことを区はしたのか否か、また、こういうことは今までよく行われていたかどうかをお伺いいたします。
 調査委員会をつくるべきであると考えますが、いかがか、お答えください。
 公権力の介入は、公告・縦覧への意見書提出が公正を欠く事態をつくりました。そうである以上、この手続は即刻中止し、出直しをするべきであると考えますが、お答えください。
 戦災復興計画については、決算でお伺いいたします。
 以上、壇上からの質問といたします。(拍手)

◎板垣 道路整備部長 私からは、下北沢の補助五四号線及び駅前広場につきまして、何点かについてお答えいたします。
 最初に、駅前広場の都市計画決定と認可申請につきまして、数字の違いについてのご指摘をいただきました。
 一般的に、都市計画道路を都市計画決定する際には、二千五百分の一の平面図をもって区域を示しまして、延長については十メートル単位、交通広場についてはその規模を表示して都市計画決定がされてございます。
 一方、事業認可の申請を行う時点では、詳細な現況測量等を実施しますことから、延長についてはメートル単位、交通広場についてはその規模を百平方メートル単位で表示をしてございます。したがいまして、延長や面積等につきましては、事業の進捗状況に応じた方法で算出をしておりますので、その差があらわれたものでございます。
 次に、都市計画決定と認可申請が適合していないのは違法ではないか、また、撤回せよというお話でございました。
 現在、東京都に申請内容の審査を行っていただいておりますが、区といたしましては、都市計画決定に基づきまして事業認可の申請をしておりますので、適法なものと考えてございます。撤回するつもりはございません。
 次に、補助五四号線の直径四十メートルのサークル部分については、一体何のためにつくられたのかとのことでございました。
 都市計画決定されました昭和四十一年当時の資料がなく、明確な理由は不明でございますが、補助五四号線が小田急小田原線すなわち都市高速鉄道第九号線と高架形式による交差が計画されました当時、高架部分の両側に整備されます予定の側道と高架部分との間の通行を確保するために設けられたものと推察してございます。
 次に、なぜ二十六メートルとサークル部分を残したのかとのご指摘でございます。
 平成十五年一月の都市計画変更に当たりましては、下北沢の特性を考慮しまして、快適性、回遊性のある歩行者空間を確保するため、幅員二十六メートルとサークル部分をそのまま高架から平面として変更を行ったものでございます。これらの空間につきましては、快適な歩行空間としての整備に加えまして、歩行者の回遊性の向上、地域に不足している緑の確保、町のシンボル空間としての整備、荷さばき空間の設置などによりまして地域に大きく貢献する道路づくりを行ってまいりたいと考えてございます。
 次に、五四号線の工期分けからすると、交通ネットワークの必要ということではなく、町の高度利用が目的ではないかというご質問でございました。
 補助五四号線及び世田谷区画街路第一〇号線につきましては、都市計画道路のネットワーク、下北沢駅周辺の交通結節機能及び地域の防災性などの向上を図るために整備が必要な道路と考えておりまして、町の高度利用が目的ということではございません。
 以上でございます。

◎安水 生活拠点整備担当部長 私からは、三つのご質問にお答えしたいと思います。
 まず、小田急線跡地利用は、下北沢の都市計画上、重要な要素であり、基本的な議論がなされなかったのではないかというご質問でございます。
 小田急線の地下化については、東京都施行の連続立体交差事業として平成十六年三月二十三日に国の事業認可を受けまして、現在工事が進められております。小田急線の上部につきましては、地元の皆様のご意見、ご要望をいただき、平成十五年四月策定の駅周辺まちづくりの整備計画の中にその考え方を方向づけております。
 その後、区といたしまして、上部利用方針に取りまとめまして、平成十七年二月の特別委員会にお示ししまして、区議の皆様にも周知しているところでございます。
 次に、地区計画原案の作成時に地元有権者の同意率は幾らぐらいか等々、他都市の状況といいましょうか、他都市といいましょうか、そういうご質問でございますけれども、これまで原案策定までに至りましては、区といたしましては、地元からのご提案、ご意見を踏まえまして、節目節目に説明会、ブロック別のそういうものを行いまして、原案を作成してまいっております。
 地区計画原案等の作成につきまして、同意率によって決定する仕組みにはなっていないといいましょうか、仕組みではございません。現在手続中の地区計画案は、原案説明後にいただきましたご意見等を踏まえまして、検討の上、案といたしまして、ただいま公告縦覧並びに意見書をお受けしているところでございます。
 三つ目でございますけれども、区は、賛成の意見書の用紙、こういうものを地元に配付しているのは公平性を欠くのではないかというようなご質問でございます。
 これにつきましては、去る七月に、区といたしましては議会及び都市計画審議会に地区計画案をご報告いたしまして、それ以降、下北沢街づくり懇談会を初め地元団体の方々からの要請等に応じまして、これまでの経過報告とか地区計画について意見交換をしてまいりました。その際、意見書の書き方を示してほしいというような申し出があり、そういう報告を受けたところでございます。
 区といたしまして、これは窓口であっても、電話等の対応でありましても、どこにどのようにお出しするのかとか、意見書はどう書くのかということにつきましては丁寧に答えております。今回、説明に出向いた際も、その延長線上であると考えております。
 以上です。

◎金澤 都市整備部長 二点にまとめて質問にお答えさせていただきます。
 一点目の地区計画案の都市計画法第十七条の公告縦覧に先立ち、説明会や公聴会を開かなかった理由についてでございます。
 今回の公告縦覧に先立ちましては、五月二十六日に、法十六条に基づく説明会を実施し、皆様のご意見を伺いました。また、これまでに節目ごとに説明会や意見交換等を開催し、地区計画の内容周知に努めてまいりました。具体的には、街づくり通信の発行や、平成十六年九月からはホームページを開設し、詳しい地区計画等の内容を掲載し、いつでも、だれでも閲覧できるような体制を整えております。したがいまして、地区計画案の周知徹底に努めてまいりましたことから、説明会や公聴会を開催しないことといたしました。
 次に、用途変更、容積率変更と地区計画を同時に定めることは法の趣旨に反しているのではないか、また、用途・容積率についてはどのような説明を行い、どのような決定を行おうとしているのかというお尋ねにお答えします。
 用途地域は、土地をその利用目的に応じて区分し、土地の合理的な利用を図るための制度でございます。一方、地区計画は、従来の都市計画だけでは対応し切れない、地区レベルにおける市街地形成上の問題に対応して、良好な市街地の環境を形成するための制度であり、両者を同時に定めることは、都市計画法の趣旨に反したものではございません。
 今回の用途地域、容積率の変更については、地区計画原案の説明会においてあわせて説明し、また、街づくり通信の配布などにより周知を行っており、地区計画と同時期に都市計画の手続が進むものと考えております。
 以上でございます。

◆四十八番(木下泰之 議員) 誘導的な、つまり賛成意見を誘導するようなことを、法律に基づいた公告縦覧に対してやっておきながら、開き直っているんですよ。こんなことが許されますか、区長。
 それから、意見書の提出先の都市整備部都市計画課はどう考えていますか。
 また、これは徹底的に調査して、こんなことがあっては行政の信頼は全く地に落ちますよ。そういうこととして、区長、どう考えますか。
   〔平谷助役登壇〕

◎平谷 助役 その件に関しましては、先ほど担当部長が申し上げているようなのが実情でございまして、特段、私の方で――そのように考えております。(「区長はどうですか。区長に監督権限があるんだよ、これは。区長はどう考えるんだ」と呼ぶ者あり)
   〔熊本区長登壇〕

◎熊本 区長 木下議員、そんなに大きな声で言わなくたって聞こえますよ。(「権利に関することだ、これは」と呼ぶ者あり)冷静に、冷静に。(「冷静になっていないじゃないか」と呼ぶ者あり)
 お答えします。ただいま助役が、部長の答弁について同様な考え方を示したわけでございますが、私も、今助役が申し上げましたとおりでございますので、ご理解いただきたいと思います。
 以上です。

◆四十八番(木下泰之 議員) 私がどなっているのは、どなったのは、これは区民の声ですよ。いいですか。二千二百名の地権者がいるんですよ。二千二百名の地権者、そのうちの意見書を出した人が五十七名。それで、それは半々しか賛否になっていないんだよ。つまり、法の趣旨からいっても、すべての、一〇〇%の同意を求めるのが法の趣旨だというふうに、つくった側は言っているわけだ。それに対して、人為的に賛成意見を、今度は十七条に進んでしまって、人為的にやること自体が問題ですよ。調査委員会をつくって、きちっと調査をして、これは公権力が犯罪を犯したわけだから、それについてきちっと報告して、やるというということを約束しなさいよ。区長、もう一度答えてください。

○菅沼つとむ 議長 平谷助役。(「区長、区長にしか権限はない。こういうことについては区長だ」と呼ぶ者あり)ご静粛にお願いします。(「議長、何をやっているの」「議長、しっかりしろ」「いいじゃないか」「どなるな」と呼ぶ者あり)ご静粛にお願いします。
   〔平谷助役登壇〕

◎平谷 助役 区長を補佐する立場からご答弁をさせていただきます。
 先ほど来申し上げておりますように、調査委員会等も考えてございません。

○菅沼つとむ 議長 以上で木下泰之議員の質問は終わりました。