平成18年第2回定例会(自67日 至616日)

世田谷区議会会議録

2006年 6月 9日 一般質問


○菅沼つとむ 議長 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 一般質問を続けます。
 四十八番木下泰之議員。
   〔四十八番木下泰之議員登壇〕

◆四十八番(木下泰之 議員) 最初に、一体開発誘発型街路事業適用の下北沢補助五四号線についてお聞きいたします。
 東京都や世田谷区に情報開示請求をしていた文書が一部開示されました。隅々まで読んで重要なことがわかりました。下北沢の補助五四号線について、いまだ事業認可も受けていないのに、平成十五年度に既に国庫補助金を受けて事業が始められているという事実がわかったことであります。
 情報開示文書のうち、平成十四年五月二十七日付の世田谷区起案の平成十五年度国土交通省都市局所管街路事業国庫補助金の概算要望には「補助線街路第五四号線(下北沢)(臨時交付金Aタイプ)(新規)」とあり、事業費一千万円、臨時交付金A国費は事業費掛ける二分の一、測量及び試験費とあります。そして、別紙には、該当する項目の一覧中の重点化項目は民間都市開発の誘発とありました。この金額は、実際には平成十五年度予算としてついたときには五百五十万円となっております。補助率の変更があったのでしょう。
 普通、都市計画道路で事業認可前に国庫補助金がつくなどということはありません。しかも、事業認可どころか、補助五四号線の都市計画変更前に国庫補助は申請されています。これは一体何だと私は疑問を持ち、世田谷区の担当者である辻課長や関係担当者にもしつこいほど問い合わせをしました。だが、わからないととぼけているのであります。その実態を教えてくれませんでした。
 ところが、東京都の担当者に同じことを聞いたら、数日後、電話で教えてくれました。この事業名は、一体開発誘発型街路事業ということであったわけであります。つまり、世田谷区の役人は、一体開発誘発型街路事業なるものを補助五四号線に適用すべく、都市計画変更を見込んで平成十四年五月に国庫補助を事業申請し、その事業を執行しておきながら、再三再四、区議である私が問い合わせているにもかかわらず、事業名すら公表しませんでした。区民に対しても、この重大な事案は一切秘匿されてきた。これが世田谷区政の実態であります。
 一体開発誘発型街路事業実施の事実を区の役人が認めたのは五月二十六日の都市整備委員会で、私が都の役人から聞いているぞと迫ってからのことです。区民はおろか、区議会にさえ情報が提供されない。それどころか意図的に情報を操作している。こんなことでよいのでしょうか。区長の見解をお伺いしたいと思います。
 一体開発誘発型街路事業については、平成十三年度の補正予算から採用された制度で、平成十四年一月の国からの事務連絡には次のように書いてあります。概要、目的。民間投資の潜在的ポテンシャルが高いにもかかわらず、都市計画道路の整備のおくれにより土地の有効高度利用がなされていない地区において、街路事業の実施に連動した民間建築投資を促進し、適切な沿道開発を誘導することが重要。このため、街路事業の立ち上げ期における関係者の調整やまちづくり計画の策定を支援するとともに、重点的な事業の実施、沿道の用途、容積等の見直しを実施する沿道地域の一体開発を誘発する街路事業を展開する。
 施策の内容については、一、事業実施の前に、地域住民、地方公共団体、民間開発業者などが共同で沿道地区の整備計画、民間都市開発の誘導方策などを策定、二、沿道開発にタイミングを合わせた用地買収の実施、三、都市計画道路の整備に合わせた用途地域の見直しとなっております。ここだけを読んでも、一体開発誘発型街路事業として位置づけられた下北沢の補助五四号線の事業が、単なる道路事業ではなく、民間都市再開発として位置づけられ、企画されていることがよくわかります。
 世田谷区は事業の一環として都市基盤整備公団に発注して、下北沢周辺都市計画道路の整備に伴う権利者意向調査委託報告書として調査レポートを平成十六年三月につくっています。情報開示では肝心なところは秘匿されていますが、片りんはつかめます。例えば、補助五四号線と区画街路一〇号線に挟まれた区域をA―1ブロック、交番付近をA―2ブロック、一番街との間の地域をBブロックとし、将来の有力な整備手法のモデル案を示しています。鉄道用地と五四号線西端の街区は街路単独事業、A―1ブロックは市街地再開発型手法、A―2地区は区画整理型もしくは市街地再開発型手法、Bブロックは沿道整備街路事業が望ましいとしております。極めて具体的です。
 さて、質問としてお聞きしておきましょう。一、国庫補助事業としての一体開発型街路事業とはそもそも何なのか、二、同事業により具体的にどのような民間開発誘導計画を立案したのか、三、この調査実施に当たって、区議会、区民への説明はしていないが、なぜしなかったのか、それぞれ明らかにしていただきたい。
 次に、下北沢駅周辺地区計画についてお聞きします。
 第一に、一体開発誘発型街路事業での調査結果の延長線上に街並み誘導型地区計画が導入されているという関係になっていると思います。用途地域変更や沿道の緩和規定は、明らかに一体開発誘発型街路事業での調査に基づいていると考えてよいのかどうか、お伺いします。
 第二に、五月二十三日の都市計画審議会では、委員が拙速に原案を策定することのなきよう、また、ラウンドテーブルなどの手法や専門家による分科会をつくるなどして慎重に検討せよという積極的な発言がありました。審議会委員の意見をどのように区長は取り入れるのか、今後の対応をお伺いしたいと思います。
 第三に、五月二十六日の地区計画の十六条説明会についてお伺いします。
 当日は説明会に四百名以上が殺到し、百名ほどが入れませんでした。入れない以上、その人たちは質疑応答の権利もない。このような説明会は不当であり、説明会自体が成立していないと言うべきであります。その上、都市計画審議会の発言も無視して強引に会を開催したため、会場の混乱を招き、スライド上映も途切れ途切れになったままでありました。少なくとも完全な上映はできておりません。この面からも説明会は成立しておりません。にもかかわらず、説明会は成立したと区長は考えるのか、見解をお伺いいたします。
 第四に、五月三十日の定例記者会見での区長発言の真意は、報道により正反対のことが言われており、よくわかりませんでした。一昨日、区長は反対意見を持つ団体代表とも会うと表明いたしましたが、一体開発誘発型街路事業を隠していたことも含め、今まで区民に情報を正しく提供してこなかったことの反省の上に、広く区民に開かれたラウンドテーブルをつくり、問題点を徹底的に洗う作業をするべきだと思いますが、そういった前向きな対応をするのか否か、お聞かせいただきたいと思います。
 最後に、烏山百メートルマンションでの総合設計適用と道路区域変更についてお聞きしておきます。
 区はエルザマンションについて総合設計を適用させるに当たり、二項道路拡幅と区道烏山通りの左折レーン工事の履行を協定し、マンション供用開始時に土地の譲渡と工事完成を約束させていたが、二月にマンションが供用されたにもかかわらず、土地の区への譲渡も工事の完成もいまだ見ておりません。その原因は何なのか、責任の所在はどこにあるのか、明らかにしていただきたいと思います。
 烏山通りと甲州街道との変則五差路は、歩道が一部なくなり、車道に直面する部位をつくってしまうという工事の結果、極めて危険なものになっているのではないか。信号設置のおくれは、その対応ができていないからではないか。いつ信号機移設が完成するのか明らかにされたい。
 既に変形五差路は現在危ない状態になっておりますが、視覚障害者や昭和病院に通う精神障害者の安全対策を具体的にどう考えているのか、お伺いします。
 以上、壇上からの質問といたします。(拍手)

◎板垣 道路整備部長 補助五四号線に関連しまして幾つかご質問いただきました。
 最初に、一体開発誘発型街路事業の事業名を秘匿していたというようなことで区長の見解をというお話でございましたが、私どもは歳入におきまして補助金の活用を図ったものでございますので、その点はご理解をいただきたいと思います。
 最初に、一体開発誘発型街路事業とはそもそも何かというお話でございました。これにつきましては、街路事業の立ち上げ期におきます沿道の関係者間の合意形成等を支援するためのものでございまして、お話しのとおり、平成十三年度に創設されたもので、国庫補助事業の一つでございます。
 次に、これに基づいて具体的にどのような民間開発誘導計画を立案したのかということでございますが、私どもは、この補助五四号線の整備に先立ちまして、関係権利者の詳細な把握と生活再建意向を確認し、街路事業の円滑な実施方策を検討するため、同事業の補助を受けまして、権利者の意向等の調査を実施したものでございます。調査結果を踏まえまして、現在は一体開発誘発型街路事業の適用は考えてございません。したがいまして、具体的な民間開発誘導計画は立案してございません。
 それから、区議会、区民への説明やいかにというようなお話でございましたけれども、私どもは平成十五年度の世田谷区各会計主要施策の成果に掲載しまして、区議会及び区民へご報告をさせていただいているところでございます。
 以上でございます。

◎安水 生活拠点整備担当部長 それでは、下北沢駅周辺の地区計画について四点のご質問をいただきました。お答えいたします。
 まず、一体開発誘発型街路事業と地区計画の関係についてお答えいたします。
 下北沢駅周辺地区の地区計画制度の特徴は、規制と緩和を組み合わせた手法でございまして、地区内の建築の更新に合わせて修復的に町並みを誘導する地区計画でございます。したがいまして、さきにお答えしておりますが、一体開発型街路事業との関係はございません。
 二つ目といたしまして、五月二十三日の都市計画審議会での委員の発言と今後の対応につきましてお答えいたします。
 五月二十三日開催の都市計画審議会におきましては、下北沢駅周辺地区地区計画について、地区計画原案作成と都市計画法第十六条に基づく説明会の開催の報告をいたしております。席上、審議会の委員の皆様からは賛成または慎重に進めてほしい等のさまざまなご発言がございましたが、今後、原案から案への手続を進める上でのご意見であると受けとめております。
 三つ目といたしまして、五月二十六日の十六条説明会成立の疑問と今後の対応についてお答えいたします。
 二十六日の原案説明会は、開始早々混乱もございましたが、説明途中から再度、原案説明用スライドをやり直しまして質疑を行い、説明会を終了いたしております。
 いずれにいたしましても、現在、都市計画法第十六条に基づく公告縦覧期間中でありまして、今後、提出されました意見等をよく検討の上、案を作成し、十八年度中の地区計画策定を目指してまいります。
 四つ目、最後の質問でございますが、五月三十日の定例記者会見での区長発言の真意についてご質問がございました。お答えいたします。
 先月三十日、区長が共同記者会見の中で申されたことは、現在進めている下北沢周辺地区の地区計画案の策定をこの秋までに取りまとめる方針に変わりはないという意向を示されました。その際、賛成、反対のご意見も広く聞いてまいりたいとの考えも重ねて表明されております。区といたしましては、原案発表後のご意見等を踏まえ、区長の判断のもとにこの夏には都市計画審議会にご報告いたしまして、改めてご意見をしんしゃくしながら、この秋ごろを目途に諮問してまいりたいと考えている次第でございます。
 なお、ラウンドテーブルをというご質問がございましたけれども、従来から懇談会あるいは町会さん、それから商店街さん等を踏まえてここに至っております。先ほど申しましたとおり手続を進めておりまして、いろいろ専門家の方々の意見をさらに酌み取るようという区長の指示もございますので、その辺を踏まえまして進めてまいりたいと考えています。
 以上でございます。

◎山口 土木事業担当部長 烏山のマンションに関する道路の自費工事の件で何点かご質問いただきましたので、私の方からお答えさせていただきます。
 まず、工事がおくれた原因とのご質問でございますけれども、この工事はマンションの施主と区の協定に基づきます、左折レーンですとか道路の拡幅を含めた、施主が行う自費工事というもので工事を行っております。
 この工事を行うに当たって、交差点の改良も含めまして信号機の移設というのが出てまいりました。その信号機の移設が行われていないことで、現在まだ工事が完了していないということでございますが、この信号機は当初、年度内、昨年度の工事の中で行う予定でございましたが、三月というのは国道の工事抑制期間中ということもありまして、昨年度の中で工事が行われなかったということでございます。
 その後、新年度になってすぐということでございますけれども、新年度の工事になりますと、入札事務ですとか契約事務とかというのが警視庁の信号機を発注する上で必要ということで、なかなか発注が新年度すぐということではなく、現在まで工事が行われていないわけでありますが、五月二十日に入札が行われ、現在のお話ですと六月中には信号機が移るということで聞いてございます。信号機が移りますと、その後道路の本復旧ということになりますので、最低、七月末まではかかるというふうに思っております。
 それから、交差点の安全対策のお話をいただきました。この交差点は変形の五差路になっておりますが、甲州街道と烏山通りのほかに北烏山六丁目十番街区の北側に一部拡幅された区道部分がございます。そこの道に入る車、甲州街道の交差点からその道路に入るという場合、人だまりの交差点部分が危険ではないかというお話だと思うんですが、この道路につきましては、歩行者、自転車専用の交通規制がかけられておりまして、基本的には車が入ってこないという状況でございまして、その辺での安全対策上は問題ないというふうに考えております。
 以上でございます。

◆四十八番(木下泰之 議員) 一体開発誘発型街路事業ですけれども、国庫補助事業なわけですよ。それで、これを使って、国民の税金も使ってやりながら、これは何の役にも立っていないということなんですか。ちゃんとレポートには沿道整備街路事業とか、それから区画整理型などというような話が出てくるんですけれども、そういうのは一切やらないということなんですか。

◎板垣 道路整備部長 先ほども申し上げましたように、この補助金の理由といいますか、それは街路事業の立ち上げ期における沿道の関係者間の合意形成等を支援するというような趣旨もございます。そういう意味で、地権者の調査をこの事業を使いまして、この国庫補助事業を使いまして地権者等のいわゆる権利者の調査等もやったわけでございますので、その趣旨はそれで十分だというふうに考えてございます。
 以上でございます。

◆四十八番(木下泰之 議員) 要するに、国庫補助をもらって、それで民間会社と、民間と地権者と自治体の共同作業をやっていこうという趣旨なわけですよ。ですから、これに基づいて、つまり、まだ事業認可もおりていないうちからそういう企画を立てている、このこと自体が非常に問題があるんですよ。そういうことについてはいかがお考えですか。

◎板垣 道路整備部長 何度もお話ししますけれども、街路事業の立ち上げ期における沿道の関係者間の合意形成等を支援するためということもございまして、私どもは最大限の補助金の活用を図るためにこの補助事業を活用したものでございます。必ずしも、それによって再開発計画等を立案しなければいけないということではございませんので、現在、そういう計画は持ってございません。五四号については単独の街路事業として整備をしていきたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。

○菅沼つとむ 議長 以上で木下泰之議員の質問は終わりました。