2005年9月議会 2005927

「無党派市民」木下泰之 

一般会計補正予算(二次)への反対討論

 

議案第83号平成17年度世田谷区一般会計補正予算(第2次)への反対討論を行います。

今回の第2次補正予算に対しては主に2つの理由で反対します。

 

一つは、今回の補正予算には幼保総合型整備事業費として、未だ廃止を議会も認めていない区立幼稚園に極めて不明瞭な形で、砧総合支所の改築に予算がついたことであります。

500万円の予算です。内訳は朝日幼稚園の電気施設の設計委託費に200万円、羽根木幼稚園の調理室と電気設備の設計委託費に300万円。子供部が担当することになっています。

教育委員会の施設ですよ。なぜ、子供部が、予算をつけるのか。これはおかしい。

 

幼保一元化とはいうけれども、世田谷区の教育委員会は管轄外になるのを見越しての予算付けです。これは今、世田谷区がすすめようとしている幼保一元化を象徴しています。

幼稚園を民営化してしまったなら、教育マターの管轄は東京都生活文化局の私学部に移ってしまいます。世田谷区の教育委員会は直接には関係なくなるということを象徴しています。

まだ、私立幼稚園を廃止しているわけではないのに、教育委員会管轄の施設に子供部が予算をつける。予算のつけ方が異常です。こんな既成事実化予算を認めるべきでは在りません。

国も、未だ、一元化の明確な方針を持っているわけではありません。そのなかで、無理やりの既成事実化は弊害をもたらします。幼稚園民営化するべきではない。幼保一元化の実験を区の責任でおやりになるなら、区立幼稚園・保育園同士の実験こそ通常の道のはずであります。

区は父母から積極的に支持されてきた幼児教育の現場を捨てるべきではないのであります。

これまでも申し上げてきましたが、幼児教育に眼を配るということは区教育委員会自らが運営してこそであるというのが私の持論です。一番身近な政府である自治体が責任放棄をすることによって犠牲になるのは園児であり、父母であるということを改めて申しあげておきます。

 

 

補正2次予算について、もう一つ重要な反対理由があります。

砧総合支所の建替え問題であります。同支所については当初は改修計画でした。それを、区議会に明快な理由を示さないまま、改築に方針を切り替え、改築を前提とした「砧総合支所の建替えにかかわる基本構想委託料」が計上されていることです。

 

世田谷区長の2004年平成6月9日 平成16年度第2回区議会定例会の召集挨拶をご紹介しておきましょう。

 

 「小田急線連立事業に関しましては、梅ヶ丘駅から成城学園前駅にかけての複々線化が、この12月の完成見込みに加え、世田谷代田駅から東北沢駅間にかけては、工事説明会を既に終え、今秋着工の予定です。さらに、駅周辺まちづくりにおきましては、経堂駅の高架下駅前広場、成城学園前駅の西側暫定広場を今年度中に整備してまいります。特に、成城学園前駅周辺につきましては、今年度、国土交通省で創設された、地域主導の個性あるまちづくりを支援する「まちづくり交付金」の申請を行ったところでございます。区民の交通利便性を向上させ、地域の生活拠点である駅周辺のまちづくりの推進に向けて積極的に取り組んでまいります。」

 

「まちづくり交付金」については、5月28日の都市整備委員会で、5月31日 庁舎特別委で改修として交付金申請をしたことについては報告がありました。

庁舎特別委で川上総務課長は

「砧総合支所庁舎、区民会館改修の検討でございます。これにつきましては、成城学園前駅周辺地区について、駅周辺の整備促進や町の再生と活性化を進めていくことを目的に、国土交通省が今年度創設したまちづくり交付金制度を活用を図って、財源の確保を図るよう準備を進めているところでございます。このまちづくり交付金制度につきましては、新しい制度でございまして、総合的なまちづくりを進める制度でありますけれども、具体的には、都市計画道路二一七号線、地区計画で定めた広場、街路の整備とともに、砧区民会館のバリアフリー化などの改修などをまちづくり交付金の対象として申請をしていくというものでございます。」

と述べているのであります。

 

つまり、平成16年度4月1日より実施された都市再生法を根拠法とする「まちづくり交付金」事業に世田谷区は申請し、平成16年度からそのくくりで交付金を活用しているということであります。

 

まちづくり交付金申請の際には、ルールがあって、「都市再生整備計画」として詳細な計画書を提出することになっています。成城学園前駅周辺地区に適用されたわけです。

従来、連続立体交差事業として街路事業予算や道路予算のみから成り立っていた事業に「まちづくり交付金」が加わったことにより、面的な整備もやりやすくなりました。

この「まちづくり交付金」事業の「都市再生整備計画作成」の中で砧総合支所の改修としたわけであります。

 

庁舎問題はずいぶん以前から、検討されてきたわけだから、本当に改築が必要であれば、この平成16年4月の段階で改築を主張すべきであったというのが本当の所ではないでしょうか。

改修で計画申請をしたものを、なぜ、いまさら改築にする必要があるのでしょうか。

 

企画総務の議論でも、「まちづくり交付金」の変更申請をするといっているけれども、それが認められるのは難しいという答弁すら区の担当者はおこなっています。

国が4割をみてくれる改修でよいものを、まるまる世田谷区が単費で行わなければならない改築にわざわざ、こだわる背景には、何か裏があるといわれても仕方がない。

しかも、砧が改築ということになれば、玉川総合支所が顕著だけれども、なぜ、他の公共施設について改修に甘んじなければならないのかということにもなってしまう。

そうであるからこそ、賛成した自民、公明、区民連、政策会議の委員たちも等しく区の説明不足をいっているのであります。

 ところで、「まちづくり交付金」が何であるのかという構造的な把握は委員会の中ではされてきませんでした。

 こんな状態で、説明不足であると指摘をしておきながら、賛成とされるのはいかがなものか。

議会の見識が疑われるものであります。

 

 説明不足のものは、またわけのわからないものは通すのではなく、少なくとも継続審査とし審議を尽くすべきであります。

 

 残念ながら、この議会には区提出の議案が審議未了廃案になったり、継続案件になったためしがない。

 これは、議会のチェック機能がまったく失われている証左であります。

 区と賛成した委員は猛省すべきであり、議案は通すべきではないと訴えて反対討論といたします。