平成17年第2回定例会(自68日 至617日)

世田谷区議会会議録

2005年 6月17日 世田谷区監査委員選任の同意への反対討論


○菅沼つとむ 議長 これより意見に入ります。

 なお、意見についての発言時間は、議事の都合により十分以内といたします。

 発言通告に基づき発言を許します。

 四十八番木下泰之議員。

   〔四十八番木下泰之議員登壇〕

◆四十八番(木下泰之 議員) ただいま提案されました世田谷区監査委員選任の同意について、反対の立場から意見を述べます。

 私は、我が国の自治制度の中で、監査委員の制度は重要な位置を占めていると考えております。内部監査制度という制度の限界はありますが、監査委員に与えられた権限は極めて大きなものがあり、その権能を十分行使すれば、肥大化した行政にチェックを入れ、行政の専横を押さえ込むのに大きな役割を果たすことができ得ると考えます。

 しかしながら、それを実現するためには、監査委員の選任に当たっては、行政から独立した公正な人材を選ぶことが前提となるでしょう。それがなされないのが今回の監査委員の人事であるというふうに思います。また、このことは全国の自治体においても同じように、やはり公正な人材を選ぶということがなかなかされていない、そのことが問題であります。

 地方自治法上は、世田谷区の人口規模ですと四名を選任できますが、現在、世田谷では識見を有する者から二名、区議会議員から二名を選ぶことになっております。地方自治法上は一人議員がいれば足りるわけですから、私は議員は一人で十分だと思っております。

 また、議員のうちで監査委員に選任された者は、それこそ四年の任期期間中、監査委員の職務に専念すべきでありますし、その間、会派からも外れるべきであります。そして、その議員は監査委員の仕事をどれだけこなしたかによって次回の選挙で評価される、そういった立場に立つべきではないでしょうか。そのくらい重い仕事として受けとめて行うべきであります。

 しかるに、この自治法の精神に反し、たらい回しを監査委員会がずっとやってきた。そういったことを私は批判してまいりました。そういったことは許されません。そのような理由から、さきの臨時議会では、任期半ばにして辞職、交代することに反対をいたしました。

 地方自治法では、自治体の職員経験者も少なくとも一人は選任できることにはなっております。しかし、これは決して義務ではありません。区長が決断すれば、全く外部の識者から監査委員を選ぶことができますし、今こそそうすべきであります。ところが、今回の人選を見ますと、従来路線と全く変わっておりません。

 そもそも区の総務部長の役職につい最近までついていた方を監査委員に据えること自体が間違っていると思います。永山前総務部長の人格をどうこう言うのではありません。区の職員経験者を、しかも前総務部長を監査委員に据えること自体、区政改革とはほど遠いと言わなければなりません。

 日本の政治システムは、一見政党政治が担っているように見えますが、実態は官僚や役人こそ、日本最大の政治機構として君臨しているのであります。これはどなたもが感じていることだと思います。この体制を押さえ込まない限り、日本に本当の民主主義はありません。中央官僚がOBとなって民間に天下ることで、日本を支配すると言われております。

 権限の度合いは違っていても、世田谷でも外郭団体への再就職は、行政機構の肥大化や、また不当な癒着を生んでおります。行政を監視すべき監査委員に区の前総務部長を据えて、信頼に足る行政を構築できるとお考えでしょうか。その考え方を改めない限り、区政に透明感は出てこないでしょう。

 世田谷から世界を、世田谷から日本を変えるとの――日本を変えるということは、世界を変えるということにもなるんでしょうけれども、区長はよく世田谷から日本を変えるというふうにおっしゃいます。その区長の言葉がむなしく響くだけであります。ぜひ監査委員の制度、その趣旨を踏まえまして、そういった態度を改めていただきたいと願うところであります。

 今回、従前のとおりの人選を行いました。つまり、区の職員をまた監査委員に選任する同意を求めているわけです。そのことには私は反対いたします。

 以上述べまして、監査委員選任の同意に反対の意見といたします。

○菅沼つとむ 議長 以上で木下泰之議員の意見は終わりました。