平成17年第1回定例会(自31日 至330日)

世田谷区議会会議録

2005年 3月30日 ケヤキ広場保全請願等5つの請願不採択処理への反対討論


○宍戸教男 議長 これより意見に入ります。
 なお、意見についての発言時間は、議事の都合により一人十分以内といたします。
 発言通告に基づき、順次発言を許します。
 四十八番木下泰之議員。
   〔四十八番木下泰之議員登壇〕

◆四十八番(木下泰之 議員) 委員長報告がありませんので、請願処理について反対するものについての意見を述べたいと思います。
 まず、都市整備委員会で審議されました平一七・五号について不採択になったことについては、同委員会で審議に加わった者として極めて憤りを感ぜざるを得ません。梅ケ丘の北口のケヤキ広場は、一九九一年一月に、一九九〇年度のせたがや界隈賞を受けた一角に位置し、区はこのケヤキ広場を地域住民がはぐくんだケヤキによってできたランドマークとしてたたえてきたものです。
 一九九一年一月という時期に注目していただきたいと思います。小田急線の高架事業は、一九九一年夏に都市計画素案が区から提出される以前の一九九〇年の夏に第三セクターを導入し高架で行うことになっていたのであって、梅ケ丘北口かいわいの第四回界隈賞受賞は極めて意味のあることであります。
 高架事業を導入するに当たっては、一九八七年度と一九八八年度に国庫補助つきの調査が東京都によって行われ、一九八九年三月には同調査報告書ができ上がっておりました。当時はこの調査は秘匿されておりましたが、区は同時期に京王・小田急線連続立体交差事業に伴う沿線まちづくり調査を行い、梅ケ丘駅整備についてもプランを示しました。同報告書は、都の調査と同じく一九八九年三月にまとめられております。
 同報告書では、梅ケ丘北口のケヤキは保存されることになっており、しかも、高架下の利用も福祉的な公共利用を重視し、駅改札から補助一五四号線にかけては、コンコース下にはインフォメーションセンターと交番と自由通路を配置することになっていたのです。後に情報開示された東京都の調査報告書では、このコンコース下は小田急の商業施設と書かれており、明らかに矛盾しますが、当時、世田谷区は高架推進の立場から、区民には一定のバラ色の夢を描いて見せたというわけです。一九九一年の界隈賞はその延長線上にありましたが、実際の駅前整備は当時の都市デザイン室の思いとは裏腹にケヤキ伐採に向かったのであります。
 一九九六年五月に広報され説明会が行われた駅周辺整備構想では、ケヤキの保存はうたわれておりますが、その際、区議会にも報告があり、当初は約束された次回説明会は開催されないまま、まちづくり懇談会の闇の中で議論されることになります。
 問題は、その後、区議会にさえもケヤキ伐採の方針は伝えられないまま、工事直前になって伐採の事実が発覚したということであります。問題は、連続立体交差事業の関連施設である駅前広場が都市計画事業とされずに、改修工事として役人の裁量の範囲で処理されようとしたことであります。
 この問題は、洗えばたくさんの疑問が出てまいります。本来でしたら、議会はその疑問を解明することこそ任務とするべきではないでしょうか。つまり、この施設は連続立体交差事業の関連施設でありますので、駅前の広場については本来だったら都市計画決定が必要なはずであります。そういった問題もありますし、それから、住民参加の問題においても非常に問題があります。まちづくり懇談会というものをつくっておきながら、その会議の傍聴さえ制限する、そういったことが公然と行われ、また、議事録も欠けているものがある、そういった中でこの事業は進められてきたわけです。
 何よりも、議会に対しては一切切るという情報は伝わってまいりませんでした。去年の秋に、九月に住民から初めてその指摘がされ、陳情があってから区議会では問題になったわけです。駅前の交通施設というのは非常に重要な施設であります。交通の結節点であります。この交通の結節点をどういうふうにレイアウトしていくか、これは重要な課題であります。とりわけ都市整備委員会には逐一報告され、その周辺の住民の意思とかそういったものが反映されていかなければならないわけです。そういったことを一切やらないまま今回の事業に突き進んだというのが実態であります。
 私は、今回のケヤキの伐採ということに関しては、先ほどの意見表明の中でも申し上げておきましたけれども、極めて世田谷の緑を守るということにおいて象徴的な事件であるというふうに思います。ケヤキというのはまさに世田谷の象徴樹であります。この象徴樹を区長は切ってしまった。これを切ったということは、結局……(「都市整備委員会に出ているんじゃないの」と呼ぶ者あり)都市整備に出ていても、報告がない以上はここでしゃべることができます。(発言する者あり)

○宍戸教男 議長 ご静粛に願います。(「おかしいじゃないか」「おかしいよ」と呼ぶ者あり)

◆四十八番(木下泰之 議員) おかしくありません。(「委員会でやっている」と呼び、その他発言する者あり)

○宍戸教男 議長 ご静粛に願います。

◆四十八番(木下泰之 議員) 十分この議会で、まさにこの議場で皆さんがここで判断をするわけですから、その辺について私は意見を申し上げている。つまり、これだけ大事な問題をきちっとこの議会で議論をして深めていかない、そのことが非常に問題だというふうに思います。
 この問題についてもきちっと皆さんに考えていただいて、ぜひこの問題、今からでもこの委員会採決に対して一つの異議を申し立てていただきたい、そのように思うわけであります。
 また、同じく都市整備委員会で扱った平一六・三九号について申し上げます。
 この請願は、小田急線連続立体交差事業附属街路五号線内に借家を借りていた区民が、連立事業での立ち退き問題で当初は小田急から立ち退き交渉を受け、一千万円近い立ち退き費用を提示されていたにもかかわらず、その後、大家から立ち退きの民事裁判を起こされ敗訴し、一銭の補償も受けないまま放逐されたという事案です。世田谷区が東京都から事業を請け負っていることから、区に陳情がなされたものであります。
 この事案は民民の問題であるとして不採択になされたわけですが、小田急が介在したこともあり、事案の詳細な検討なしには問題点を把握しかねるものであります。したがって、こういう事案に関しては区は最大限情報を収集し、委員会に報告すべきであり、それに基づいて委員会は精査すべきであると考えます。したがって、一度の審議で軽々に不採択とすべきではないと考えます。したがって、不採択とすることに反対であります。
 企画総務にかかった平一六・三一号については、請願の趣旨そのものに全面的に賛成するものではありませんが、私の主張としては、郵政民営化性善説には反対であります。むしろ、国会の審議をにらみながら、郵政民営化の負の側面を十分検証し、何を民営化してはいけないかをはっきりさせることであると考えます。したがって、同請願は慎重に審議するものとして継続扱いにすることが妥当であると考えます。
 次に、福祉保健にかかった平一六・三四号と平一六・三八号は、保育園民営化を前提とした請願であり、同意するわけにはまいりません。
 私は、現在の郵便局や保育園の運営がこのままでよいと考えているわけではありません。しかしながら、非効率性やサービスの悪さの是正の代名詞として民営化のみをすべての解決策とすることには同意しかねるものであります。確かに官営によるよどみやしがらみはあるでしょう。競争や市場はそれを解決する力も一部には確かに持ち合わせています。だからといって、民営化の負の側面を忘れてはなりません。また、すべてを民営化で解決できるとしたら、区役所の通常業務こそ民間委託としてしまえばよいということになります。ところが、そうはしない。民間や一部の官僚、役人による都合のよいところしか民間移行しようとしないというのはどういうことか。これでは、官あるいは公共セクターの効率性を追求することにはなりません。
 必要なことは、官の特権の解体と真の公共性の追求です。市場原理が万能であるかのような議論が横行する昨今、もう一度公共セクターの存在意義とその改革の方策を議論すべきであるというのが私の主張であります。
 文教委員会にかかった平一六・三七号については、小学校の学級運営を一、二年について三十人学級で学べるようにとの請願ですが、この主張には一理あると考えております。不採択にすべき案件ではなかったと考え、不採択には反対いたします。
 以上をもちまして、請願の処理に対する賛否のうち賛成しないものについて意見を申し上げました。
 以上であります。

○宍戸教男 議長 以上で木下泰之議員の意見は終わりました。