2005年3月24日予算特別委員会質疑<文教>


平成17年  3月 予算特別委員会
平成十七年予算特別委員会
予算特別委員会会議録第七号
日 時  平成十七年三月二十四日(木曜日)
場 所  大会議室


○新田 委員長 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。

◆木下 委員 今、下条委員から地域についてのいろんな問いかけがあったんですが、地域重視というのも一つの考え方でしょうけれども、地域の担い手ということを考えると、必ずしも町会とか商店街じゃないと思うんですね。やはりきちっと子どもを面倒を見ていられるような人たち、そういった人が地域の担い手になると思うんですけれども、例えば専業主婦の方が幼稚園に通わせているという形態がありますね。地域の担い手として、そういった専業主婦の方々で小さいお子さんを持っている方々、そういった方々について地域との関係でどういう位置づけをされておりますか。

◎霜村 生涯学習・スポーツ課長 専業主婦というお話でございましたけれども、お子様を学校あるいは幼稚園に通わせているという意味からいうと、保護者というふうに一般は呼ぶわけでございますけれども、保護者の方々も地域の中で教育の役割を一部担っていただく大切な主体者であるというふうに考えております。

◆木下 委員 私は地域のことを考える場合には、今地域で動ける人はだれがいるかといったら、だんだん高齢化しているんですよね。それで、おじいさん、おばあさん、町会の担い手もおじいさん、おばあさんになっちゃっていますよね。それで、地域をきちっと日常運営していくということであれば、やはり層としては幼稚園に通わせているような方々というものが、ある意味で非常に時間的な余裕もあるし、地域について目が行き届くと、そういう層としては見られませんか。これはちゃんと、いい悪いとか、どうのこうのというのではなくて、客観的に見てどうですか。

◎霜村 生涯学習・スポーツ課長 数多くのPTAの皆様といろいろと活動をともにしてきた経験から申し上げますと、幼稚園ぐらいですと、まだ幼児を抱えていらっしゃる保護者の方も多くて手がかかるということもあり、ちょうど小学校の保護者の方ぐらいが、今委員がおっしゃったような力というんでしょうか、行動力が一番多いのではないかなというふうに感じているところです。

◆木下 委員 私は、少なくとも子どもを育てるには、これは主婦だけではなくて男性も女性も、本来だったら、保育の時間なり、幼児と接する時間をそれなりにきちっと多くとれるような社会になることが必要だと思っているわけです。地域主義を言う場合には、そういう層の厚さをやはり前提にしてでないと地域主義が成り立たないと思うんですね。だから、そういう社会に変えていくということがまず大事だというのが私は基本だと思うんです。
 そういった観点から、幼稚園と保育園の機能を一体化した新しい形の総合施設構想案というのを読ませてもらいますと、どうもコンビニエンスの新しい施設みたいなものが、幼児保育と教育のそういうものがこれでできちゃうような気がするんですけれども、その辺についてはいかがですか。

◎霧生 教育委員会事務局副参事 構想案の方でお示している中では、教育、保育、両方を含めた中で、親あるいは保護者の就労形態にかかわらず、就学前の教育を重視するという観点から定めたものでございまして、特に構想案については、両論的な形で現在まとめさせていただいています。

◆木下 委員 教育長にお聞きしますけれども、一体これで何をやろうというのですか。全然ビジョンが見えてこないんですけれども。

◎若井田 教育長 一つは、就学前の子どもたちの教育の質を高めていくということだと思います。実際に幼稚園に入っていない子どもたち、保育園に行っている子どもたち、それから家で育っている子どもたち、さまざまな形態があるわけでございますので、就労形態にとらわれず、そういう子どもたちに教育を保障していくということであろうと考えています。

◆木下 委員 区教委はこれに対してかめるんですか。つまり、民間施設ということになれば、これは管轄は都教委になるんじゃないですか。世田谷の教育委員会も今まで唯一人事権まで握っているのは幼稚園教育だったわけですよ。ところが、今度の総合施設にしたらそれに対してはかめないでしょう。どうですか。

◎霧生 教育委員会事務局副参事 現在、区として総合施設構想案を検討する中で総合施設の管理運営は民間活力の活用を基本とするという中で、それぞれの転換施設を所有する区と保護者や地域住民、それに運営事業者の三者が相互に協力し合い、地域に開かれた施設を(「そんなこと聞いていませんよ」と呼ぶ者あり)いや、もう少ししゃべらせてください。特に国の方で総合施設の関係、今ご指摘のように縦割りになっていると、その辺のことが弊害が是正されるような形で十七年度にモデル実施をしていくというような動きの中、その辺の動きを見据えて検討してまいりたいというふうに考えてございます。

◆木下 委員 ビジョンを聞いても答えられないという状況ですよね。私は先ほどからの議論を聞いていて、小学校から、義務教育でもう地域主義とおっしゃっている。地域主義はそれはそれでいいでしょう。でも、地域主義をやるのであれば、やはり具体的にそこに若い人も含めて地域が子どもたちを見詰めているという環境をつくらなければいけないわけですよ。そういう状況に今の社会はない。だから、そういうことをやるためには社会的なその環境を変えていくことが大前提になるわけですね。
 それと、教育ということでいえば、今何が大事かということを言ったら、やはり子どもと親ができるだけ接する時間を幼児期につくれること、つくること、そのことに目を向けることだと思うんですよ。少なくとも幼稚園教育というものは、そういう中で余裕のある方に施されてきたということはあるかもしれない。しかし、そういう層をまず大事にしなければ地域というものはしっかりしていかないというふうに私は思うんですね。ところが、そういう視点が全くないわけですよ。あたかもコンビニエンスのように何でもござれ。朝の九時から五時まで預けることが基本的になって、もっと十時ぐらいまで預けられるかもしれない。そうすると、もう子どもの視点ではなくて、親のコンビニエンスのために子どもが犠牲になる、そういう社会が見えてきちゃうわけですよ。そうしないための努力が必要だし、それから、区教委でいろいろ考えるとしたら、区としてはとにかく区教委ができるだけコミットできる、そういうものを大事にしなければいけないと思うんですよ。
 ところが、幼稚園の民営化の問題でいけば、初めはもう幼稚園は歴史的使命を終えたみたいな議論から始まっていたわけですよ、区長の言い方ね。そうすると、もうそれにかわる施設として、施設についてどうするかということしか考えていない。そうすると、教育的配慮というのは全然そこにはないわけですよ。私は、今回の幼稚園の問題一つとっても、非常に世田谷の将来に危惧を感じます。これは、小学校や中学校の問題でも地域主義を言うのはそれは結構、ただ、そこに参入してくるのが、今の町会や商店街だけでは、それは非常にお粗末なものになると思いますよ。やはりもっと地域の子どもたちを子どもの視点から温かく見詰めるような立場でビジョンも出す、そういうことをしない限りは、私は世田谷の教育がよくならないと思います。
 そういった意味で私は先ほどビジョンを聞いたわけだけれども、教育長、何かございますか。

◎若井田 教育長 幼児教育につきましては、今まで公立の幼稚園だけを担当してきたわけでございますが、私立幼稚園の先生、保育園の保育士さんの資質向上にもこれから携わっていきたいと、そう考えております。

◆木下 委員 報告書を見ていると、国の方針待ちだという感じがしますよ。これでは主体的な教育なんてできるわけがないというふうに思います。そういった意味で……。

○新田 委員長 以上で無党派市民の質疑は終わりました。