平成17年第1回定例会(自31日 至330日)

世田谷区議会会議録

2005年 3月 2日 一般質問


○宍戸教男 議長 次に、四十八番木下泰之議員。

   〔四十八番木下泰之議員登壇〕

◆四十八番(木下泰之 議員) 通告に従い、一般質問を行います。

 下北沢の問題については予算委員会で行います。時間が足りません。

 最初に、小田急線連続立体交差事業三年延期についてお伺いいたします。

 二月十八日の毎日新聞の夕刊は、一面トップのスクープニュースとなりました。新聞にはこう書かれております。「沿線住民が事業の違法性を主張して訴訟を起こしている小田急線の高架化事業を巡り、東京都が〇八年三月まで三年間の工期延長を求め、国土交通相に認可申請したことが、毎日新聞社が入手した資料などで分かった。工期は既に一度延長されているが、反対運動などで駅舎や側道の用地買収が進んでおらず、二度目の延長申請により総工期は当初予定の二倍以上の計十四年に延びる。申請を受け、事業に反対する沿線住民らは、国を相手取り新たな行政訴訟を起こす方向で検討を始め、事業を巡るトラブルが一層深刻化する見通しとなった」。

 記事は三面でもトップですが、重要なのは、「最高裁の審理行方を左右も」と題した解説です。「二度目の工期延長申請を余儀なくされた小田急線の高架化事業は、公共事業にとって住民の理解がいかに重要かを改めて鮮明にした」、「住民の反発がボディーブロー≠フように行政側を苦しめている。先行訴訟の東京地裁判決は『当初の工期設定(六年)に確たる根拠がない』ことなどを理由に、国の事業認可を取り消す異例の判決を言い渡した。このため行政側は、二審で『(六年では完成しなかったが)延長期限までには事業を完了する』と苦しい弁明を強いられた。二審判決で行政側は逆転勝訴したが、この弁明は結果的に『虚偽』だったことになり、最高裁の審理の行方を左右する可能性もある」。毎日新聞は、最高裁で小田急線の高架事業をめぐる訴訟は再逆転する可能性があると言っているのです。

 区長、いかがでしょう。毎日新聞の記事の感想をお聞きしておきたいと思います。

 さて、このニュースに接して一番驚いているのは財務担当者ではないかと私は思います。区の平成十七年度の当初予算には、本年度十六年度に終了するはずの世田谷代田―喜多見区間の事業費が、国の延長認可も得ていないのに計上されているからであります。こんなことが地方財政法上許されるのでしょうか、お尋ねします。

 工期の三年延期申請はいつ行われたのか、世田谷区はその事実をいつ知ったのかを明らかにしていただきたい。

 平成十六年度予算では、そもそも年度末に同事業を完了させるための予算を計上していたのかを明らかにしていただきたい。

 平成十七年度予算に平成十六年度完了のはずの予算が計上されていることも、逆に平成十六年度予算に事業完了を予定した予算が組まれていないのも極めて異常であります。当局はこの異常事態に対しどのように対処したのか、また、これからどう対処するおつもりか、お伺いいたします。

 また、約一千九百億円と言われた連立事業の総事業費について、本年度末までにどれだけ事業費がかかり、延期後三年間に幾らの事業費がかかるのか、総事業費と都市側、鉄道側の事業費を仕分けしてお答えいただきたい。

 次に、梅ケ丘のケヤキ問題についてお尋ねいたします。

 百名ものヘルメット部隊を用意して住民をけ散らそうとした今回の行政のやり方は常軌を逸しております。訴訟が提起されれば、その中で徹底糾明されるでしょうが、今回のケヤキ伐採問題で正義が住民の側にあることは明らかです。幾つか質問をしておきます。

 平成八年六月十二日に都市整備常任委員会に配られた小田急沿線六駅周辺整備構想案地元説明会結果報告には、次回説明会に向け準備と書かれてあります。当時の段階では、区は住民説明会を行うと考えていたのです。

 平成九年二月の第二回の梅ケ丘駅周辺まちづくり懇談会で、出席者からの問いに区の職員は、今後、説明会の形でビラの配布を含めて進めていきたい、九年度中ごろぐらいにはある程度計画案を練り上げ、その案をもとに説明会を開催し、そこでの意見をさらに反映させて、九年度中には構想としてまとめたいと考えていると答えています。

 ところが、その後、住民説明会は一度も開かれたことがありません。なぜ約束を履行しないのか、また、なぜそのように転換したのか、お答えください。

 次に、同懇談会の議事録についてお伺いします。

 区は、重要な議事録については紛失した、あるいは作成していないと言い張っております。ところが、平成十四年二月六日の同懇談会で、区職員が同懇談会への傍聴希望者をその後断る対応をとることを了解させているという驚くべきことがわかりました。しかも、傍聴を断る理由として、議事録をとることを前提とし、これが公開され、情報提供もなされるのであるから、会場に来ていただかなくてもよいとの言辞を区の職員が弄しているのであります。

 それでいて実際には議事録や基本文書や説明資料をたくさん欠落させ、さらには一番重要な、ケヤキを切ることを決めたはずの昨年五月の懇談会や十二月の懇談会の議事録は作成さえしていないと区担当者は言い張っているのであります。議事録や重要資料を欠落させた理由、議事録を作成しなかった理由はなぜか、お聞きしておきたいと思います。

 連立事業の関連施設計画として、都も区も当初はケヤキ広場のケヤキは六本とも全部残す絵を描いておりました。一九八九年三月の区の調査報告書では、南口にプロムナードを設け、改札口前の高架下にはインフォメーションセンターと交番を配置し、補助一五四号線に向かって自由通路が延びています。地下ではなく高架という限界はありますが、当時は福祉の町にふさわしい計画を持っていたのです。

 ところが、その後、連立事業の国庫補助調査には出ていない高架橋の穴あけを行い、梅ケ丘通りと赤堤通りへと向かう主要生活道路を整備することで、駅周辺動線を変更してバスバースを北口に集約することでケヤキを切るというレイアウトになってきたことが、いろいろ調べていくとわかります。重大なレイアウト変更には住民説明会が必要ですし、そもそも駅前広場や主要生活道路は都市計画決定をする必要もあったはずであります。今では、インフォメーションセンターや自由通路には生鮮三品を扱う小田急OXが入ると取りざたされており、ここの公共空間としての使用は全く議論されておりません。

 福祉のまちづくりのためにケヤキを伐採するのではなくて、福祉のまちづくりや公共空間を公共が放棄したためにケヤキを切ることになったのだということが真実なのであります。

 バスバースの北口への集中及び高架下の小田急OX店舗展開と、一九八九年三月の東京都と世田谷区二つの報告書の関係、懇談会での検討の経過を明らかにしていただきたい。

 一昨日、ヘルメットの百名の職員に威嚇され囲まれながら、市民は賛美歌グローリアの替え歌を歌いました。「ケヤキよ、ケヤキよ、気高き幹よ! ケヤキを、ケヤキを、みんなで、守ろう!」。ケヤキは、世田谷区が象徴と決めた世田谷の木なのであります。梅ケ丘のランドマークともなり、世田谷区自身が界隈賞を与えております。夏の緑陰は人々に安らぎを、冬の枝ぶりは人々に勇気を与えてまいりました。

 このケヤキ広場の一番太いケヤキを切り、三本をどこにでもありそうな駅前バスロータリーの人の入れぬ島に移植し、押し込めてしまおうというのが区の計画ですが、これは愚行であります。ケヤキの命は現在区長の手の内にあります。本日は一部の枝払いを始めましたが、まだ切ったり移植はしていないようであります。まだ間に合います。予算は来年まで繰り越す補正を組んだのでありますから、再検討の猶予はあるはずであります。

 この木を切ることで確実に世田谷区は良心を失います。このケヤキの問題は、利便性か環境保護かの単純な選択の問題でもありません。職員や区長の良心の問題なのであります。今回の伐採に至ろうとする経緯にやましいところがあるのではないでしょうか。良心を失うと、教育も道徳も何もかも悪くなる。区長は、住民に親しまれ守り育てられてきたケヤキを切ろうというのですか。どうか度量を示していただきたいと思います。どうか切らないというお返事をいただきたい。

 壇上からの質問といたします。

   〔熊本区長登壇〕

◎熊本 区長 木下議員の質問の中で、大々的に報道された毎日新聞ということでございましたけれども、私は毎日新聞を読んでいないので、お答えしようがございません。改めてまた読ませていただきたいとは思っております。

 以上です。

◎株木 都市整備部長 私からは、年度末完了とした小田急連立事業の当初予算計上の問題と事業三年延期申請にかかわるご質問にお答えいたします。

 まず、三年延期申請はいつ行われたのか、世田谷区はその事実をいつ知ったのかというお尋ねでございます。

 世田谷代田駅から喜多見駅間における連続立体交差事業の事業認可につきましては、本年二月上旬に東京都が国へ事業認可の延伸の申請を行った旨、二月十八日に情報提供を受けております。

 次に、平成十六年度予算では、そもそも同年度末に同事業を完了させるための予算を計上していたのかとのお尋ねでございますけれども、平成十六年度予算におきましては、当初及び補正におきましておのおの東京都からの文書協議に応じて計上したものでございます。

 次に、平成十七年度予算に平成十六年度完了のはずの予算が計上されていることは異常ではないかとのお尋ねでございます。

 小田急線の連続立体交差事業につきましては、地方財政法第二十七条の規定に基づきまして、世田谷区もその事業費の一部を負担してきております。これは、都道府県の行う土木事業で、その区域内の市町村を利するものについては、都道府県は、受益の範囲内において、地元市町村に当該土木事業の経費の一部を負担させることができると定めました地方財政法第二十七条の規定に基づきまして負担をしてきているものでございます。

 平成十七年度予算の編成に当たりましては、平成十六年十二月の東京都からの文書協議により当初予算案に負担金を計上させていただいております。

 次に、約一千九百億円と言われた当初総事業費、本年度末までにどれだけ事業費がかかり、これから三年間幾ら事業費がかかるか、総事業費の都市側、鉄道側の事業費の仕分けについてのご質問でございます。

 現時点では、当該区間の連続立体交差事業と複々線化事業に要する総事業費は、当初の一千九百億円から約一千六百五十六億円になるものと見込まれております。これまでに要した事業費といたしましては、平成十五年度までの執行額でございますけれども、約一千五百二十五億円でございます。

 本年度を含む今後の事業費につきましては、総事業費で約百三十一億円、都市側事業費で約五十九億円、鉄道側事業費で約七十二億円程度と見込まれております。

 以上でございます。

◎真野 北沢総合支所長 私からは、梅ケ丘のケヤキの問題につきまして何点かお答え申し上げたいと思います。

 まず、平成八年六月の区議会報告についてでございますが、お尋ねの件につきましては、平成八年六月十二日の都市整備常任委員会に報告されました小田急沿線六駅周辺整備構想案地元説明会の結果報告のことと推察いたします。その中の各駅共通の一般的に考えられた予定を記載したものでございます。地区レベルのまちづくりにおきましては、懇談会や協議会等を通じまして身近でよりきめ細かい情報提供に努めております。具体的には、各駅の駅周辺の特性に合った方法を検討し実施しているものでございます。

 梅ケ丘駅周辺におきましては、早期に土地区画整理事業が行われ、基盤が整っております。全体的なまちづくりがおおむね完了しているということでございまして、懇談会等を中心としたまちづくりを進めてきてございます。

 そういう中で説明会等でございますけれども、懇談会等の中で住民に周知をするという形で進めさせていただいております。十四年の整備構想案策定時におきましても、この段階で梅丘町会、医師会等、商店街にもご説明をさせていただいてきております。

 また、今回の改修に伴います変更につきましても、チラシ等を配りながらポスターを張り、また、懇談会、梅丘一丁目町会、商店街、理事会、代田自治会等への説明、また、梅丘二、三丁目については町内回覧等によりまして周知を行っているところでございます。また、一月からチラシをつくりまして各戸配布、または町内回覧、駅ポスターにおきまして掲示等を行っております。また、ホームページ等におきましても記載を行ってきているというふうな状況でございます。

 続きまして、懇談会の会議議事録の不存在についてということのご質問でございます。

 議事録の保有状況についてお答えを申し上げます。

 ご指摘の議事録につきましては、九回、十一回については不存在ということでございます。また、十八回、十九回につきましては、変更案についての説明ということでございまして、議事録については特にとってございませんでしたが、記録を残すという意味で議事録の要旨をつくって整理いたしましたところでございます。

 続きまして、南口バース、北口の移動予定等につきましてお答え申し上げます。

 バスバースや高架下利用につきましては、ご指摘の一九八九年、平成元年の三月に世田谷区で調査報告をやっております。これは、各駅におきましてイメージ図としてまとめられたものでございます。その後、区民意見や懇談会等の意見の検討等を進めてまいりまして、平成十四年、梅ケ丘駅周辺整備計画を策定いたしまして、その中で南口のバス発着等を北口に移動すること及び駅西口の高架下については小田急電鉄事業用として定めるというようなことで行っております。

 続きまして、ケヤキの伐採、これを保存せよというお話でございます。

 これにつきましては、区といたしましては、南口のバス接触事故の解消や、既に完成いたしましたラッチ外コンコース及びこの三月初めに完成する自由通路が車道に直接面している、駅利用者等の方々が道路に飛び出してくるような危険な状態にあるということを予測しております。また、ケヤキの移植時期も限定されているということでございます。そこで、歩道整備をすることによって区民の生命と安全を守るということで、一日も早い駅周辺整備に基づきまして着手をしたところでございます。

 また、区民の方から請願等が出されまして、常任委員会等でもご意見をいただきまして、できるだけ緑を残しながら進めるようにということでございました。そういうことも配慮いたしまして、当初三本切る予定でございましたが、ケヤキの移植につきましては二本移植するということでございます。一本につきましては、側溝等に大分削られておるということで移植が難しいということで伐採を考えました。

 伐採後のケヤキにつきましては、切った後の利用ということで羽根木公園のベンチ及び保育園等への活用、ワークショップなどで活用していきたいというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、近隣住民及び周辺の人たちのご理解もいただきながら早く工事を着工してほしいということも要望としてお聞きしてございます。我々としても、できるだけ駅周辺に安全な歩道等をつくるということで着手をいたした次第でございます。ぜひご理解をいただきたいと思います。

 以上です。

◆四十八番(木下泰之 議員) 今の答弁にはごまかしが多い。非常に多い。そして、とにかく住民説明会を開くというのは何回も言っている。だから、それをやってほしい。

 それから、区長に対してはケヤキの助命嘆願をするけれども、その辺について答えてほしい。

   〔熊本区長登壇〕

◎熊本 区長 私は議会でも何度か申し上げておりますけれども、聞く耳を持つ区長として行政に取り組ませていただいております。その聞く耳というのは、区民の方々の声も伺います。職員の方々の声も伺います。

 先ほど総合支所長からもお話がございましたように、いろいろ経緯があるということも伺いながら今日に至っているわけで、木下議員からこれを撤回するということを私に表明するように申されましたけれども、私は今申し上げましたように独裁者ではありません。私の一存ですべてを決めるのではなく、いろいろ聞かせていただきながら、精査しながら決定してまいっているところでございますので、その辺をご理解いただきたいと思います。

 以上です。

◆四十八番(木下泰之 議員) 毎日新聞も読んでいない。それから、情報もちゃんと得ていない。それで聞く耳を持っているんですか。目を持っているんですか。その辺についてちゃんと調べて、ちゃんと答えてほしい。

   〔熊本区長登壇〕

◎熊本 区長 今のお言葉では、調べてから答えてくださいということですから、今調べるんですか。調べてからお答えしましょうよ。(「疑惑の問題ですよ、これは。疑惑の問題についてちゃんと調べたんですか」と呼ぶ者あり)

◎熊本 区長 話を聞いたと言っているじゃないですか。

 以上です。

○宍戸教男 議長 以上で木下泰之議員の質問は終わりました。