2004年10月12日決算特別委員会質疑<文教委員会>


平成16年  9月 決算特別委員会
平成十六年決算特別委員会
決算特別委員会会議録第七号
日 時  平成十六年十月十二日(火曜日)
場 所  大会議室



○山内 委員長 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。

◆木下 委員 教育長にお伺いしますけれども、幼稚園の問題で、教育長は全園の廃止方針というのはとったことがございますか。

◎若井田 教育長 申しわけありません。語尾がちょっと聞こえません。

◆木下 委員 今まで全園の廃止方針というのをおとりになったことがございますか。

◎若井田 教育長 お尋ねの件でございますけれども、教育委員会といたしましては、今後のあり方について、現在検討中でございます。

◆木下 委員 区長は全園は廃止しないという言い方をされた。教育委員会としてもそういうことですか。

◎若井田 教育長 区長の発言を踏まえ、尊重しながら進めていきたいと考えております。

◆木下 委員 二園廃止方針ということで、全園廃止ということではなくなったわけですけれども、今後どうするのかと聞いたら、区長は、今後検討するとおっしゃった。しかし、全園廃止という区長方針を、なぜ、全園は廃止しないというふうに変えたのかというふうに聞いたところ、障害児の問題が一番大きな問題だというふうにおっしゃったんですよ。そのことについて、教育長はどのようにお考えになりますか。

◎若井田 教育長 現在、区立幼稚園には障害のある幼児が入っていて、それに対応しているという事実はございます。

◆木下 委員 区長の方針も尊重しながら検討していくということでしたけれども、障害児問題が、やっぱり全園は廃止できないだろうという、そういうことについての一つの方針の転換だとおっしゃったということは、やはり障害児に対する区立園の役割というものを認めているわけですよね。そうしますと、やはり障害児の幼児教育ということになれば、やはり障害児ですから、まずは地域にそういう園があるのが望ましいと思うんですよね。そういった意味では、羽根木幼稚園、旭幼稚園を廃止するということになると、そこに非常に空隙ができるわけですよね。ですから、そういった意味では、障害児教育が大事だということであれば、今回の二園廃止もやっぱり見直すべきなんじゃないでしょうか、いかがお考えですか。

◎庄司 教育次長 二園につきましては、子どもが三年間来ないという関係と、一方、保育の待機児があるという保育需要の関係から、ここを幼保一体型の施設にするという方向を定めたわけでございまして、区長が言う障害児、あるいは今後の検討の中でどのようにするかというのは、検討委員会の中で定めていきたい、このように考えております。

◆木下 委員 そうしますと、二園廃止の主な理由というのは一体何だったんでしょうか。

◎庄司 教育次長 今申し上げましたように、この定員の充足率が三年続けて六割前後ということが一つ、あと保育需要のミスマッチ、この二点でございます。

◆木下 委員 ですから、二園についても、障害児の問題でいけば、やっぱり必要だというふうに私は考えています。そのことについては十分検討する課題だというふうに思っています。
 それから、三年続けて減っているということをおっしゃいましたけれども、実は文科省は、三歳児保育について幼稚園でやれということを言ってきたんじゃないんでしょうか。いつ言ってきたかも含めてそれはいかがですか。

◎霧生 教育委員会事務局副参事 幼稚園教育振興計画によりますと、たしか平成三年に文部大臣裁定で作成されました幼稚園教育振興計画の中で、平成十三年度当初までに、入園を希望するすべての三から五歳児を就園させることを目標とするというふうになってございます。

◆木下 委員 世田谷区の区立園では、何でそうされてこなかったんでしょうか。私は、三歳児の入園を認めるということになれば、需要は極めて高まると思いますよ。

◎庄司 教育次長 今、副参事の方からお話し申し上げましたのは、当時の少子化傾向がさらに強まった段階でのお話でございまして、これは三歳児から就園させる、すべての子どもたちに就園の機会を与えるといった社会的な情勢がありまして、その一方で、私立幼稚園も大分廃園になってきたという状況がございますので、区の方といたしましては、区立幼稚園について三歳児の保育までは検討してこなかったという経過がございます。

◆木下 委員 そうしますと、三年続きで減っているからというのが主な理由だと言ったけれども、その理由は、やっぱり区の政策によってそれをつくり出しているのであって、必ずしも、別に少ないわけではないんですよ。きちっと三歳児まで受け入れるということにすれば、それは需要はある、そういうふうにも思うんですね。
 それから、今まで幼保一元化の問題が、どうも施設の一元化のお話ばかりしているんですよね。施設を一元化しただけで幼保一元化って実現できるんですか、どうお思いですか。教育長、いかがですか。

◎若井田 教育長 幼保一元化につきましては、もちろん施設の対応も必要でございますけれども、すべての就労形態を問わず、幼児教育を充実させるという視点があると考えております。

◆木下 委員 ヨーロッパなどでは、昔から幼保一元化でやってきているわけですね。ただ、それはやはり幼児を見る人、保育士であったり、あるいは日本では幼稚園の先生であったりするわけですけれども、しかし、それは総合的に幼児の教育についての知識があり、保育についての知識もある、そういうことがなければ実現できないと思うんですよ。日本でやろうとすれば、まさにそういう人たちの教育システムから含めて考えていかなければいけない。そうすると、やっぱり十年ぐらいかかるビジョンですよ。
 ですから、施設の一元化から入っていくということは全くおかしい。施設の一元化から入るということは、要するに区立幼稚園の廃園ということに必然的になってくるわけですよ。国の方針からして、また、区の私立幼稚園を大事にしたいというような意向からすれば、そうなってくるわけですよ。しかし、それでは幼児はたまったものではないわけですね。きちっとした国の方針を定めるについても、やっぱり十年計画ぐらいできちっと出して、それに見合った形でどうするかということを考えていくべきものだと思うんですよ。いまだに、まだ国の方針だって決まっていない。それは当然だと思いますよ。
 例えば区立園を廃止して、新しい教育施設を幼保一元化でつくった場合、教育委員会は口を出せますか、いかがですか。

◎庄司 教育次長 幼児教育ということで、これは世田谷の教育ビジョンの中でも書いてありますように、それは子ども部の方と十分連携、協調を図っていきたいというふうに考えております。

◆木下 委員 大もとのところで一元化されない限りは口は出せないはずですよね。ですから、やはり世田谷区が幼児教育についてきちっとやろうとすれば、区立園でやるしかないんですよ。また、幼保一元化の実験をやろうとすれば、そういうのは、区立園あるいは区立幼稚園、保育園を残しておいて、その中でやるしかないと思っています。ですから、やっぱり拙速に廃止方針を出すべきではないし、それから、今後の検討についても、廃園についてどうするのか。それは白紙に戻すことまで含めて、保護者と十分話し合う必要があると思いますよ。そういうことをぜひやっていただきたいということは、重ねて申し上げておきます。
 終わります。

○山内 委員長 以上で無党派市民の質疑は終わりました。
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