平成16年第2回定例会(自9 15日 至1019日)

世田谷区議会会議録

2004年9月28日 「世田谷区住民基本台帳カードの利用に関する条例案」、「世田谷区印鑑条例の一部を改正する条例案」への反対討論


○宍戸教男 議長 これより意見に入ります。

 なお、意見についての発言時間は、議事の都合により十分以内といたします。

 発言通告に基づき発言を許します。

 四十八番木下泰之議員。

   〔四十八番木下泰之議員登壇〕

◆四十八番(木下泰之 議員) 議案第七十九号「世田谷区住民基本台帳カードの利用に関する条例案」、議案第八十号「世田谷区印鑑条例の一部を改正する条例案」に反対の立場から討論を行います。

 今回のこの二つの条例案は、住民基本台帳カードを使って、自動交付機で住民票、特別区民税及び都民税に関する証明書、印鑑証明書をとれるサービスを始めるための条例案であります。

 私は、国民のプライバシーや、国民や市民が国家に対抗するための諸権利を守る立場から、全国一律に統括されたコンピューター管理による住民基本台帳制度に反対してまいりました。国家がやろうと思えば、国民の私生活を把握し、さらには国民の意思や行動を統御することが可能になった高度情報化社会において、国家が国民の基本情報をコンピューターで一元管理できる住民基本台帳制度は、国民や市民一人一人にとっての脅威にほかなりません。この脅威から自由になるためには、自己情報への閲覧権を保障するとともに、コンピューターの徹底した分権化を推し進める必要があると考えます。

 世田谷区では、現在、住民基本台帳カードを持つ区民はたった二千五百名にすぎません。いかに住民基本台帳が不人気かがよくわかります。今回の住民基本台帳カードの利用に関する条例案は、この不人気なカードの利用の基本的事項を定めたものでありますが、この際、住民基本台帳カードは廃止にしてしまうべきであるというふうに私は考えております。

 また、世田谷区印鑑条例の一部を改正する条例案は、印鑑交付を独自の印鑑証明カードによって引き出せることにしたものですが、条例改正で、区民四十九万名が所有する印鑑証明カードがあるということに脚光が当たっております。印鑑条例の改正で、区民四十九万名加入の印鑑証明カードによっても、自動交付機で印鑑証明がとれることとなります。

 一方で、証明書自動交付機カードに関する規則が条例施行にあわせてつくられ、住民基本台帳カードによらずとも、証明書自動交付機カードで住民基本台帳カードの代替ができるようにすることとし、また、印鑑証明カードによっても代替できることにするやに聞いております。印鑑証明カードは四十九万名利用ですから、印鑑証明カードを自動交付機で使えるカードのメーンとすることが、区民のカード使用実態には一番合っているというふうに考えます。

 さて、印鑑証明カードを中心に証明書自動交付機カードで補完して、今回導入される三種の自動交付機による証明システムをもし確立するということになれば、もう住民基本台帳カードは要らないのではないかというふうに私は考えます。おおよそ普通の市民生活で住民が必要な証明書というのは、それほど多くはありません。また、まれなケースであれば、むしろ区のお役人と顔を合わせながら証明書などはとる方が、いろいろと説明も聞けて安心ではないでしょうか。私は世田谷区政が住民基本台帳制度からいち早く離脱し、四十九万名も所有している印鑑証明カードなどを利用した、世田谷独自の分権システムに移行することを強く望むものであります。

 したがって、四十九万名の利用者を持つ印鑑証明カードを使ったシステムは、分権コンピューターシステムのコアとして注目には値しますが、一方で、住民基本台帳カードとの併用が認められることになっているにもかかわらず、そのセキュリティーがあいまいな上、区は四十九万もの利用者が参入する印鑑証明カードで住民票や特別区税及び都税証明がもらえるような、そういった利用が可能になると言いながら、このことは条例によらず規則で定めるとしている以上、簡単に賛成するわけにはまいりません。カードが複合して使えるようになるならば、それに見合ったセキュリティーを構築するべきであります。

 今まで述べました理由によりまして、私は議案七十九号、議案八十号に反対いたします。

 以上で反対討論を終わります。