2004年3月22日予算特別委員会質疑<文教委員会所管分>


平成16年  3月 予算特別委員会
平成十六年予算特別委員会<文教委員会所管分>
予算特別委員会会議録第七号
日 時  平成十六年三月二十二日(月曜日)
場 所  大会議室



○石塚 委員長 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。

◆ 木下 委員 「世田谷区の幼稚園教育の現状と課題」というレポートが三月に教育委員会から出されたわけですけれども、これを読みますと、設立経緯に基づく私立幼稚園の量的補完としての役割は薄れてしまったという認識を示しているわけですね。これは私は間違いだというふうに思います。設立経緯というのは、高度成長期の設立経緯は量的補完であったかもしれません。しかし、時代が変わったという認識がこのレポートに一切出ていないんですよね。まさに時代が変わっているという認識。つまり、少子化のみ語っても仕方がないと思うんですね。その辺についてどのようにお考えですか。

◎佐藤 教育委員会事務局参事 時代が変わったという、この時代の流れでございますが、少子化については、まずとにかく抑えることができるだろうというふうに思っております。それから、時代が変わった中に、委員がおっしゃっているのは、教育に対する関心が非常に高まって、少子化であれば、一人っ子であるとか二人っ子であるとか、少ない子どもに教育を施していきたいという親の願いがより高まっている、これは確かに言えるかと、こんなふうに思っております。

◆ 木下 委員 区のレポートについては後で触れますけれども、実は昨年十月に中教審が初等中等教育分科会に幼児教育部会が発足したんです。この同部会の二回目の会合の配付資料にOECDの統計が出たんですけれども、これについてご存じですか。

◎佐藤 教育委員会事務局参事 申しわけございません。今、にわかには思い起こすことがございません。

◆ 木下 委員 就学前教育における子どもについて、職員配置基準というのがOECDの統計で出ているんです。これによりますと、デンマークが六人に対して一人、それからフィンランドが七人に対して一人、スウェーデンも六人に対して一人、それからイギリスはプレイグループというところで八人に一人、ナーサリーで十三人に一人、レセプションで三十人に一人という形で、イギリスは多少、割合としては児童数に対する数は少ないですけれども、それでも、日本の基準は三十五人に一人なんですね。つまり、少子化で区立の幼稚園の充足率が減っているといっても、国際比較しますと、日本は極めて児童数に対しての教師の割合が少な過ぎる。そういったことについてはどう思いますか。

◎佐藤 教育委員会事務局参事 委員今ご指摘のとおり、日本においては三十五人に一人以上でなければならない。世田谷では三十四人に一人でございますけれども、それが多いのか少ないのかというお話かと思います。一クラス三十四人というのは、友達グループをつくっていくといった観点から考えると、現在のところは妥当な線ではなかろうかと考えております。

◆ 木下 委員 チームティーチング等も小学校では取り入れるというような話があるわけですけれども、幼児教育にもそういうものを取り入れたっていいわけですね。
 それで、OECDから比較すると、日本はOECDの仲間であるにもかかわらず、圧倒的に、一番ひどい状況なわけですね。世田谷区で区立幼稚園の評価が高いといったことがまずあると思います。そういうふうに考えた場合に、何がこの間変わってきたかというと、それはまさに幼児教育が本当に大事だということがみんなにわかってきたことだろうと思います。それで、高度成長期と違って、まさに日本は成熟化社会に入ってきた。ある意味でOECDの先輩諸国はそういう社会に移行しているわけですね。そうなると、幼児教育に金をかけなければいけないわけですよ。社会的基盤の充実ということで、世田谷区は二十七億円も今年度予算に土木費を上乗せして、道路を二倍の速度でつくろうとしていますけれども、もうそんな時代ではないんですね。むしろ教育にこそお金をかけなければいけない。しかも、評価の一番高い幼稚園、これにはお金をかけなければいけないと思うんです。とりわけ、唯一世田谷区が教育機関としての人事権を持っているのは区立幼稚園だけでしょう。いかがですか。

◎佐藤 教育委員会事務局参事 今現在、区の幼稚園教諭は区の人事のもとに動いてございます。その幼児教育にどれだけの税金を使うのかということが今のお話の中心かと思いますが、そういった意味では、教育全体の話でもあろうかと。それからもう一つは、世田谷の区立の幼稚園に通っている子どもは現在一割でございます。この一割だけを考えていっていいのかということも、バランスの問題としてはあろうかと思います。

◆ 木下 委員 幼稚園の歴史を見たときに、世田谷区だけ考えると、大正時代に私立ができたというのが最初ですけれども、やはり先導的役割は、国立、公立が明治時代から示してきたわけですね。時代の変わり目でありますから、まさに幼児教育を重視するということであれば、本当に区立の幼稚園がある種のフラッグシップを持たなければいけないと思うんです。
 つまり、私立の園は若い先生が短期的に勤めるというような形になっていますけれども、区立の幼稚園の場合には、経験豊かな先生たちが残っているわけです。そういったことが父母たちにある種の安心感を与え、それで評価が高くなっていると思うんです。やはり教育こそ大事だと、つまり、三つ子の魂百までもということを区長もおっしゃっているわけだから、まずは幼児教育をどうするのか。これは単に幼稚園だけではないですよ。保育園の幼保一元化の問題も含めてどうするかということをやるためには、区立幼稚園をきちっと存続させて、充実させて、その中で、教育センターも必要でしょう。しかし、教育センターはもっと充実させるために必要なのであって、区立園をなくしていくことによって、代替させるようなものではないと私は思うんですよ。
 それで、昨年四万五千人からの署名が集まっているわけですね。非常に幼児教育についての関心が高まっている現在、これは区との協議機関をきちっとつくって、今後の幼児教育、全体の教育をどうするのか。まず、区が人事権を握っているところから始めたらいかがでしょうか。いかがですか。

◎佐藤 教育委員会事務局参事 これからどうしていくべきかというお話でございますが、現在出しましたこの現状と課題、これは表題のとおり、現状についてかなり細かく分析をしたものでございます。今後のことにつきましては、四月から発足いたします子ども部と教育委員会とが協力をして、進め方についても検討してまいりたい、こんなふうに考えてございます。

◆ 木下 委員 ある種、現代社会はポスト近代に向かっているわけですね。成熟化社会になっているわけです。その中で、やっぱり本当にダイナミックな転換をするためには、幼児教育の見直し、このことについては、やはりお金もかけてきちっとやる。そのことが国の方の中教審の中では語られ始めているわけですから、しっかりやっていただきたい。

○石塚 委員長 以上で無党派市民の質疑は終わりました。



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