2004年3月16日予算特別委員会質疑<区民生活委員会所管分>


平成16年  3月 予算特別委員会
平成十六年予算特別委員会<区民生活委員会所管分>
予算特別委員会会議録第四号
日 時  平成十六年三月十六日(火曜日)
場 所  大会議室



○石塚 委員長 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。

◆ 木下 委員 世田谷区の環境基本計画についてお尋ねします。
 今、環境施策評価の素案というものが出ていまして、区民から三月五日まで意見を求めたりしておったわけですけれども、改めて環境基本計画及びこの環境施策評価を読みますと、どうも世田谷区の環境施策というのは変である、そういうふうに思います。
 なぜかというと、都市整備領域の問題まで含めてこの環境施策評価の中に書いてありまして、非常に予定調和的に書いてあるわけですよ。例えば二七ページなんですけれども、「都市の基盤整備を、環境に配慮し、マイナスの影響は極力小さくしながら、着実に進めることが重要です。それが、総体として安全で暮らしやすい環境をつくる、まさに基盤であるからです」というふうに、都市基盤整備を非常に肯定的にとらえているわけですね。
 問題は、環境政策が出てきた背景は、やはり開発に対するある負の側面として出てきているわけですから、ある意味で大綱的な問題としてとらえて、きちっと環境を守るという視点に立ってつくられていかなければいけないのに、そうはなっていない。そのことが非常に問題だと思うんですけれども、いかがお考えですか、担当の方。

◎堀川 環境課長 まず、都市整備の方まで含んでいるという点をご指摘いただいたのでございますが、こちらにつきましては、従来からも環境基本計画の中で都市整備領域の問題、あるいはまた緑の問題なども含んでおります。
 それから、もう一点の環境を守る立場ではないかというご指摘でございますが、これにつきましても、我々といたしましては、一方で、やはり都市基盤整備というものは必要であり、それが環境負荷をもたらすというならば、それはできるだけ小さいものにしていかなければならない、そういうふうに考えておる次第でございます。

◆ 木下 委員 自然面率の減少についての記述があるんですけれども、これは昭和四十八年の段階と現在を比べると、四十八年には自然面率が四二・七%、しかし、平成十三年には自然面率が二四・八一%になっているんですね。これはまさに自然面率が十八%失われているわけです。緑被率については、四十八年が三三・九%、十三年には二〇・四五%なんですけれども、確かに九年が二〇・五%ということで、緑被率が平成十三年で二〇・四五%ですから、横ばいだと言っているんです。しかし、逆に自然面率からいくと、この現象というのは非常に危機的な状況だと思うんですけれども、この視点に立って評価を加えていないのはなぜですか。

◎堀川 環境課長 まず、緑被率の方が横ばいで、今とりあえず保たれている、それに対して自然面率は非常に下がってきているところでございますが、現象といたしましては、遊休地あるいは大規模なグラウンド等が宅地化されていくという状況で、自然面率が下がっておるところでございますが、これは一つは、そういう経済状況、開発状況というものがあるのかと存じます。一方、そういう開発事業が行われているにもかかわらず、一つ、緑の保全というところで区の方も取り組んでおって、緑被率の低下がそんなに大きくなっていないのではないか、そんなふうに評価させていただいておる次第でございます。

◆ 木下 委員 平成十二年度に環境基本計画をつくるときに、当時は目標が緑被率三〇%だったんですね。それをその時点で現状維持に変えました。私は環境審議会の委員で、それについて反対しましたが、東京農大の現学長である進士さんが非常に主張して、現状維持にしろとされたわけですね。そういう形で自然面率はどんどん下がってきてしまった。まさに都市整備とあわせた造園とかそういうことでは、一つの手法としてはわかるんだけれども、しかし、環境を守るという視点でいったら、自然面率がこれだけ下がってしまっては、これはもう非常に危機的な状況だというふうに言わざるを得ないと思うんですね。

 なおかつ、今、熊本区長が二倍の速度で道路を整備するというふうに言っているわけです。それとの絡みで、都市基盤の整備をすれば、当然自然が非常に危うくなる、緑の環境とか自然面が減っていく、そういったことがあるわけでけれども、それについてきちっとした評価なりがないのはなぜでしょうか。

◎堀川 環境課長 私どもといたしましては、やはり世田谷という都市におきまして、自然面率等がずっと高いままということはなかなかあり得ないのではないかということでございます。その中で都市的な工夫として雨水浸透枡等、そういう施設の整備、それから宅地内あるいは公共施設での緑化、そういうものの促進、そういうことをやって、都市的な、世田谷らしい自然環境の保全というものを進めていかなければならないのではないか、こんなふうに考えております。

◆ 木下 委員 助役にお聞きしますけれども、サステイナブルディベロップメントの意味について説明していただけますか。持続的発展とか発達とか言いますけれども、いかがでしょうか。

◎山田 助役 サステイナブルディベロップメントに関してのお尋ねでございますけれども、大変恥ずかしながら、今この段階で適切にご説明することができませんので、ご容赦いただければと思います。

◆ 木下 委員 非常に有名な概念で、ノルウェーのブルントラントさんが最初に提唱して、それでリオデジャネイロの会議でそれが定式化されてきたということなんですけれども、しかし、今のキーワードとして持続的発展の概念をすぐ言えないということはちょっとまずいと思うんですね。今の環境の関係者にお聞きした点は、まさに持続的発展とは逆方向をこの世田谷区はやっている。ISOを幾ら取ったって、そういう視点がなければ、それは環境問題としてはやはり失格だと思うんですよね。それについていかがお考えでしょうか。

◎堀川 環境課長 サステイナブルという考え方につきましては、私どもも環境を守る上では、当然考えていかなきゃいけないものだと考えております。現在、地球規模の環境問題にも取り組みながら、また、地域の環境問題も解決していかなければならないという中で、やはりISO14001の環境システムにも取り組んでいかなければならないし、エコライフにも取り組んでいかなければならないと考えております。

◆ 木下 委員 ちなみに、サステイナブルというのは辛うじて支えるというような意味がありますから、つまり非常に厳しい。発展といっても、次世代につなぐ環境を守るために、守るべきところは守ることをやりながら、何とか今のシステムを維持していこう、そういうことですので、世田谷区でもそういう立場に立ってやらなければ、やはり将来の世田谷区はない、そういうことを申し上げて終わりにします。

○石塚 委員長 以上で無党派市民の質疑は終わりました。

   ──────────────────