平成 15 年第 4 回定例会(自 11 26 日 至 12 5 日)

世田谷区議会会議録

2003年11月28日 一般質問(区立幼稚園問題)


 最後に、区長の幼児教育についてのビジョンをお聞きいたします。

 区長は、政治の基本は教育だとおっしゃっており、教育問題に熱心であると自負されております。しかしながら、その教育熱心な区長が区立幼稚園廃止を政策として何ゆえ打ち出してきたのか、そのつながりというか脈絡をつかみかねております。そもそも、区立幼稚園を廃止してしまったならば、区教育委員会が管轄する幼児教育の現場を失うことになります。私立幼稚園への補助は確かに区長部局が管轄しておりますが、教育方針に口を挟むべき筋合いのものではないことは言うまでもありません。

 一方、先般の小学校の不祥事で、学校改革には区への人事権の移管が必要だと叫ばれておりますが、区立幼稚園こそ区教育委員会が人事権を唯一掌握している学校にほかなりません。区や区民が主体性を持って教育の刷新や実験を試みるとしたならば、区立幼稚園をおいてほかにないのではないでしょうか。私は、教育は低学年ほど、教える教師の能力を必要とすると認識しております。ましてや、人格形成の一番大事な時期にある幼稚園教育は無限の可能性を持つとともに、その教育に携わる者はより高度な知識と感性と経験を必要としているのではないでしょうか。学級崩壊などという現象が広がる中で、幼児教育の重要性が叫ばれております。大事なことは、幼児教育の質をいかに高めるかということではないでしょうか。

 経験豊かな優秀な幼稚園の先生を世田谷区が抱えているとして、そのために人件費が高いとしたら、それは区の財産として大事にすべきではないでしょうか。人件費だけが高くて質が悪いとしたら論外ですし、そうあってはなりませんが、教育については単に量で推しはかるより、質で物を見ていく必要があるのではないでしょうか。現実の区立幼稚園の教育の質がよいのであれば、すぐにでもその資産を生かすことができるでしょうし、公立であることによって質を高めることができるならば、その可能性を追求すべきでしょう。

 とりわけて幼児教育のあり方を構想することは、教育問題での最大の難問かもしれません。だからといって、世田谷区が人事権も握っているせっかくの幼児教育の場を放棄することは、まさに教育の放棄にほかなりません。教育がすべての基本と言われている以上、行革の観点から幼稚園廃止を方針として語る前に、熊本区長は幼児教育のビジョンとして何を考えているのか、まずは語るべきではないでしょうか。どうかお聞かせください。

 壇上からの質問といたします。(発言する者あり)


○宍戸教男 議長 ご静粛にお願いします。

   〔熊本区長登壇〕


◎熊本 区長  木下議員のご質問にお答えいたしますが、何と口早な言葉でいろいろ言われたものですから聞き落としたところもあろうかと思いますが、要約しますと、幼児教育についての私の考え方はどうだということだと思いますが、よろしいですか。(笑声)

 私は常に申しておりますように、すべての施策の基本は教育にある、そして、人づくりを基本とする教育こそがすべての原点であると、機会あるごとに申しております。その中で、人間形成に当たって幼児期が極めて重要な時期であるのは当然です。この重要な時期、子どもへの施策を幼児教育という言葉でするならば、すべてが幼児教育につながらなくてはならないと思っております。

 三つ子の魂百までという言葉がございますけれども、子どもを分け隔てすることなくして、幼稚園、保育園、そして子どもが健やかに育つことができるような環境づくりを区の責務として、また区の責任者として総合的に取り組んでみたい、これが私の考えでございます。よろしくご理解のほどお願いをいたします。

 そのほかにつきましては所管より答弁いたします。

 以上です。






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