2003年10月10日決算特別委員会質疑<文教委員会所管分>


平成15年  9月 決算特別委員会
平成十五年決算特別委員会<文教委員会所管分>
決算特別委員会会議録第七号
日 時  平成十五年十月十日(金曜日)
場 所  大会議室



○菅沼 委員長 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。

◆ 木下 委員 区立幼稚園の役割は終わったという言い方が本当にひとり歩きしていて、これはやっぱり私も理解できないんですよね。日本での幼稚園の歴史からいうと、私立が先ですか、公立が先ですか。

◎佐藤 教育委員会事務局参事 幼稚園の発祥についてでございますが、日本全国的にも私立から始まったと聞いております。世田谷におきましても、大正年代に私立が設立されたというふうに聞いております。

◆ 木下 委員 違うんじゃないですかね。お茶の水の附属が最初じゃないですか。つまり、天皇家の周辺の方々とか、それから薩長から出てきた官僚の方々とか、そういう方々の教育として、まずお茶の水師範の附属として始まったわけです。今でもエリート幼稚園としてお受験の対象にもなっているぐらいで、その中でフレーベルの教育論などを取り入れたとか、そういう形で公立が果たした役割というのは大きいんじゃないですか、いかがですか。

◎佐藤 教育委員会事務局参事 世田谷においては、先ほども申し上げましたように、大正年代に私立から始まり、昭和二十八年、第一次ベビーブームの子どもたちがその時期になるときに大量に世田谷において幼稚園が開設された、このような記録がございます。

◆ 木下 委員 世田谷だけの話をしているんじゃないんです。つまり、幼稚園というものはどうかという話をしていて、今また少子化問題で幼児教育が非常に注目されているわけですよね。そういったときに幼児の教育をどうするかということについて公がある時期は責任を持たなければいけないという、まさにそういう時期に来ていると思うんですよ。その中で、例えば幼保一元化の問題なんかも出てきていて、私は今の単に組み合わせるだけの幼保一元化というのは必ずしも正しくはないと思っているんですけれども、ただ、いろんな実験をやる必要があると思うんです。

 そういった場合に、保育園セクターでも質問したんだけれども、例えば世田谷の区立幼稚園では延長保育の実験なんかはやっていますか。

◎佐藤 教育委員会事務局参事 世田谷においては、幼稚園の運営そのものも四歳児、五歳児、非常にシンプルな形での幼稚園運営というので来ております。

◆ 木下 委員 私立の方では預かり保育などというものもやっているわけですよね。だから、幼保一元化のあり方の問題も含めて、本来だったら区立の中で、区立保育園も区立幼稚園もあるわけですから、そういったものの中での実験というものはまず必要だと思うんです。そういうことを今までしてきていない。まず、その点があります。

 ところで、教育委員会は幼稚園の廃止問題についてきちっと議論したことはあるんですか。いかがですか。

◎佐藤 教育委員会事務局参事 教育委員会におきまして、議会で何度か、毎回と言っていいかと思いますが、幼稚園問題についてはございます。その議会での議論について、月二回ございます教育委員会において内容についてご報告しております。

◆ 木下 委員 問題は、教育委員会の事務当局がそういうことについて報告するということでは意味ないと思うんですよね。まさに、教育委員会の主体は教育委員ですから、教育委員自身が廃止のこの問題についてきちっと議論されていますか。

◎佐藤 教育委員会事務局参事 現在、事務局で行っている作業というのは、月二回行う教育委員会に提出するための資料をつくっている段階でございますので、まだ教育委員会で議論するレベルではない、こんなふうに考えております。

◆ 木下 委員 私は、やっぱり教育委員会の中でまさに教育委員同士がこの問題についてきちっと議論する機会をつくるべきだというふうに思うんです。そのことがない限り、区長が言ったからといって教育委員会がそう簡単に、はい、そうですかというわけにはいかないと思うんですよ。それで、区長部局が言ったからといって、すぐ教育委員会がそれに同調するということもおかしい話ですから、その辺の相互の意見のすり合わせみたいなことをやったんですか。つまり、区長が廃止という話をする前に教育委員会にそういった意味での――教育委員会の事務当局ではなくて、教育委員会に対してそういう議論といいますか、ご相談はあったんですか。いかがですか。

◎佐藤 教育委員会事務局参事 先ほども申し上げましたように、議会での成り行きを教育委員会では報告しています。その折に、教育委員が意思表示をするチャンスはもちろんあるわけでございます。私どもの現在の方向について了解をしていただいている、こんなふうに考えております。

◆ 木下 委員 これはきちっと議論をするということでなければ、まさに教育委員の責任として議論をするのでなければ意味がないと思うんですよね。大体、教育委員の選ばれ方も含めていろいろと問題がありますけれども、少なくとも教育委員自身の責任としてこの問題についてきちっと議論する、そういう機会をつくるべきだと思います。

 私立の幼稚園をざっと見ますと、学校法人と宗教法人と個人で設立しているところがあります。全部で私立幼稚園が五十八園ありますが、そのうちの実に二十校が宗教法人、それから二十九校が学校法人なんですけれども、その二十九校の学校法人のうちには、ざっと見ただけで六校は宗教法人から変わってきたというところがありますので、実質二十六もの宗教法人絡みの園があるわけです。そうしますと、これは全体で四四・八%ですよ。そのくらいの比率で宗教法人がある。そうすると、やはり父母としては、宗教教育を受けさせたいという方々もいると思いますけれども、そうではなくて、シンプルな、そういう宗教とは関係なしにやっていただきたいという方もいると思うんですよ。

 そういった方々の需要を満たすためには区立幼稚園というのは必要だと思うし、それから、先ほど授業料の話でいろいろありましたけれども、補助金については応能によって私立幼稚園についてもかなりの補助金が出ているんでしょう。個人に対して最高額はどのくらい出ているんですか。

◎佐藤 教育委員会事務局参事 私立幼稚園に通う子どもたちへの就園奨励費と言いますが、最高で年額二十八万九千二百円です。

◆ 木下 委員 ですから、区立幼稚園の授業料のあり方等はいろいろ議論できると思うんですよ。その補助の問題だってあるわけですからね。僕は、一定の役割をきちっと果たしている区立幼稚園について今ここで廃止というようなことを言うのは、何でもかんでも民営化と言うのと等しいのであって、何か民営化ですべてが片づくということ自体がおかしい。同一労働同一賃金ということだってあるわけだから、これは日本の労働運動のいろんな問題だってあります、それはね。だけれども、それはまさに少子化の今の事態の中で幼児教育をどうするかという観点に立ってきちっと議論すべきだ、そのことを申し上げておきます。

○菅沼 委員長 以上で無党派市民の質疑は終わりました。

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