平成13年第4回定例会(自1128日 至126日)

世田谷区議会会議録

2001年12月6日「国旗掲揚」請願への反対討論(社会民主党 羽田圭二)


○新田勝己 議長 次に、十七番羽田圭二議員。
   〔十七番羽田圭二議員登壇〕(拍手)


◆十七番(羽田圭二 議員) 社会民主党を代表いたしまして、今、議会運営委員会から報告のありました陳情、請願、この採択について反対の立場から意見を申し上げます。

 十一月八日、世田谷区議会議会運営委員会において二つの陳情審査が行われました。いずれも区議会議場に国旗掲揚を求める内容でした。

 ところで、これとは別に、同趣旨の請願が昨年出されていました。昨年五月の請願は同委員会で審査されましたが、国旗掲揚の機運が盛り上がっていないことなどから、継続審査となっていました。一度審査されて継続審査となった請願が再び審査されるのは、状況の変化が認められた場合だといいます。つまり、今回のような国旗掲揚の請願でいえば、区民の間に広く国旗掲揚の機運が盛り上がるなどの状況の変化が必要ということになります。

 ところが、今回の陳情審査は、状況変化があったために再審査を行うという形はとらずに、新たな陳情が複数出されたことに基づく審査となったといいます。

 社会民主党は、国旗掲揚問題については、慎重かつ十分な審議が必要であることから、拙速な結論を出すべきではないと主張してきました。なぜならば、国旗掲揚問題は、法律の条文とその制定過程から考えられなければならないからです。

 第一に、国旗・国歌法は尊重することは当然です。しかし、この法律は、国旗掲揚や国歌斉唱を国民に義務づけた法律ではありません。

 第二に、法律の制定過程において、歌うか、歌わないか、掲揚するか、しないかについて強制しないとしました。特に当時の国会審議の過程では、学習指導要領に基づく国旗、国歌の指導に当たっては、児童生徒の内心の自由を侵さないことが確認されました。国会の審議は、いわゆる通信傍受法など、他の重要法案を含め、十分な審議が行われたわけではなかったこともつけ加えておきます。

 さてそこで、今回の区議会議場における国旗掲揚に対する社民党の見解に触れておきます。

 第一に、国旗掲揚は世論を二分することになり、また広く区民に国旗掲揚の機運があるわけではありません。さらに、議場の国旗掲揚について、広く区民の要望があるわけでもありません。

 第二に、国旗掲揚の有無をめぐり議会を二分することは避けるべきですし、その結果として区民感情に結論を押しつけることは避けるべきです。

 第三に、国を愛する気持ちは、その国においてどれだけ国民の意思が尊重されているかによって形成されるものだと考えます。

 第四に、最も恐れていることがあります。国旗掲揚や国歌斉唱を行わないことをもって、その人物が憲法第一章を否定しているかのごとくレッテル張りが行われることです。そして、そのレッテル張りが行われることによって、憲法第十九条、あるいは二十一条、思想、信条の自由や表現の自由、さらには基本的人権が侵されることであります。特に憲法十九条から二十一条の規定は、内心の自由が含まれるものだということをつけ加えておきたいと思います。

 以上のことから、今回の陳情審査については、運営委員会の場で継続審議を求めたものです。

 さて、議会運営委員会の意見は、当初、採択、不採択、継続審議に分かれました。委員長は、委員の意見が分かれたため、継続審議とすることを諮りましたが、他会派より異議ありの声が上がり、直ちに採決をとるとされたために、委員会は紛糾しました。それは、これまでの委員会運営では、請願や陳情については、委員の意見が分かれた場合には継続審査とされる場合が通例だったからです。今回のように、区民の間にさまざまな意見がある審査案件に、数の力による採決をもって白黒をはっきりさせることは、これまでの議会運営からは好ましくないと考えられてきたからです。

 社会民主党は、あくまでも議論が不十分であることから、採決は避け、継続審査を強く求めましたが、賛成を求める会派によって採決が強行されました。

 以上、申し上げました理由によりまして、本件については継続審議すべきであるという立場から、採択に反対することを改めて表明し、発言を終わります。(拍手)


○新田勝己 議長 以上で羽田圭二議員の意見は終わりました。

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