平成13年第4回定例会(自1128日 至126日)

世田谷区議会会議録

2001年12月6日「国旗掲揚」請願への反対討論(民主党 高橋忍)


○新田勝己 議長 次に、四十八番高橋忍議員。
   〔四十八番高橋忍議員登壇〕(拍手)


◆四十八番(高橋忍 議員) 十一月八日、議会運営委員会において審議された国旗掲揚に関する陳情ほか二件の処理について、委員会報告に反対の立場から民主党・無所属クラブの意見を申し述べます。

 まず、運営委員会の運営のあり方についてであります。

 国旗・国歌法においては、日の丸の掲揚を強制することは許されていません。にもかかわらず、日の丸を議会に掲揚するため、これまで慣行として行われてきた運営のルールを破ってまで陳情等を採決した強引な運営のやり方は、信頼を損のうものであり、到底容認できるものではありません。遺憾の意を表明しておきます。

 議場への日の丸の掲揚についてであります。

 民主党・無所属クラブは、日の丸を否定する立場はとっておりません。日の丸が実質的に国旗として制定されたのは、江戸幕府による安政元年の総船印の布告、安政六年の御国総標のふれ書きなどによるものであり、明治政府も明治三年太政官布告等によってこれを踏襲し、日本国籍をあらわす船印をすなわち国旗としましたが、国民は強制されるまでもなく日の丸を国旗と認め、慶祝日には自発的に掲揚するようになったと言われております。

 ところが、昭和に入って、日の丸の旗のもと、満州事変をきっかけに中国や大東亜戦争による東南アジアへの侵略によって、これら諸国に多大な被害と犠牲を強いてきたため、抑圧された諸国の人々は日の丸を侵略のシンボルとみなしています。

 また日本人も、日の丸の旗のもと、老いも若きも戦争などに駆り出され、多くの犠牲を強いられてきたため、本来明るい平和な商船の船印であった日の丸は、戦前の軍国主義時代の侵略戦争のシンボルとしての暗いイメージがつきまとうことになったのであります。元来、国旗は国民によって敬愛されるべきものであるにもかかわらず、このように戦前の国家体制や戦争の記憶も絡んで、日の丸への思いは多様であり、単純に容認できない一面があるのであります。

 したがって、民主党・無所属クラブは、法制化されたとはいえ、区民の間に意見の対立があり、賛否の分かれている日の丸を議場に掲揚することについて、区民全体の論議とその動向を見定めることが大切であるとの立場で、昨年、請願者二名で請願された「国旗掲揚に関する請願」の審査に臨み、そして審査に当たっては、区民の全体的な動向等をつかむため、動向調査と調査結果をもとに結論を出すべきことを主張してまいりました。

 しかし、区民の動向等の調査、検証はされないまま、今回また前回と同趣旨の二つの陳情の審査がされましたが、前回論議されていることを理由に十分な審議はされず、一方的に採択されてしまいました。国旗は国民の圧倒的な支持があって初めて国民統合の象徴としての意味を持つものであります。区民の間に意見の対立を残し、区民の理解とコンセンサスを得ないまま、区民の意見を代表して議論する場である議場に掲揚することは納得できません。

 民主政治の要諦は、国民のコンセンサスに基づいて行うという点にあることを肝に銘じ、一部のイデオロギー的統合思想でもって強制的に割り切るのでなく、国民への定着の動向を見きわめ、慎重に対応することが大切であると考えます。
 以上、反対の意見といたします。(拍手)


○新田勝己 議長 以上で高橋忍議員の意見は終わりました。

 これで意見を終わります。

 これより採決に入ります。本件を三回に分けて決したいと思います。
 まず、平一三・三二号及び平一三・二八号の二件についてお諮りいたします。
 本二件を委員会の報告どおり決定することにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕


○新田勝己 議長 ご異議なしと認めます。よって平一三・三二号及び平一三・二八号の二件は委員会の報告どおり決定いたしました。
 次に、平一三・二九号についてお諮りいたします。採決は起立によって行います。
 本件を委員会の報告どおり決定することに賛成の方の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕


○新田勝己 議長 起立多数と認めます。よって平一三・二九号は委員会の報告どおり決定いたしました。
 次に、平一二・九号、平一三・二四号及び平一三・三三号の三件についてお諮りいたします。採決は起立によって行います。
 本三件を委員会の報告どおり決定することに賛成の方の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕


○新田勝己 議長 起立多数と認めます。よって平一二・九号、平一三・二四号及び平一三・三三号の三件は委員会の報告どおり決定いたしました。

    ────────────────────