「議場への国旗掲揚」請願についての審査1(2000年8月25日 議会運営委員会会議録より)


世田谷区議会  議会運営委員会会議録 第二十三号
平成十二年八月二十五日 (金曜日)
 場  所 議会運営委員会室
出席委員 (十四名)
  委  員  長 荒木 義一
副 委 員 長 吉本 保寿
  理     事   大場 康宣
  理     事   宍戸 教男
  理     事   長谷川義樹
  理     事   西村  孝
  理     事   桜井  稔
  理     事   森川 礼子
  理     事   唐沢 敏美
            石塚 一信
            原田 正幸
            増田 信之
            奥村 まき
            田中美代子
委員外出席者
  議     長   山内  彰
  副  議  長   諸星 養一
            下条 忠雄
            大庭 正明
            木下 泰之
            小泉たま子
            上島よしもり
事務局職員
  局     長   大淵 静也
  参     事   関  昌之
  庶 務 係 長   河上 二郎
  議事担当係長    本多 俊一
  議事担当係長    尾崎 眞也
  議事担当係長    星  正彦
  議事担当係長    小湊 芳晴
  調 査 係 長   沼尻 敏和
出席説明員
 総 務 部
  部     長   宮崎 幸男
  参     事   渡邊憲四郎

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本日の会議に付した事件
 第三回区議会定例会について
 附属機関委員の推薦について
 請願の審査
  平一二・九号 国旗掲揚に関する請願
 次回委員会の開催について

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    午前十時開議

   [請願処理以外の議事は省略]

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○荒木委員長 傍聴についてを議題とする。
 請願審査の際に傍聴の希望がある。現状について、 事務局の説明を求める。

○大淵局長 議会運営委員会は、主に議会の内部調整 を議論する場という位置づけであるので、委員会条例 上、傍聴に関して規定されておらず、その都度委員会 で決定することになっている。また、平成十一年五月 十一日の議員協議会において、委員会の決定によるが、 原則として許可すると確認されている。さらに、平成 十一年二月に当委員会で請願審査を行った際、十二名 以内の傍聴を許可した例がある。
 これらを参考に理事会で協議した結果、今回は十二 名以内の傍聴を許可する案を決定した。理事会案どお りでよいか、お諮り願いたい。

○荒木委員長 お諮りする。ただいまの説明のとおり 進めることに異議ないか。
    〔異議なし〕

○荒木委員長 異議なしと認め、さよう決定する。

   ――――――――――――――――――

○荒木委員長 請願の審査に入る。
 平一二・九号「国旗掲揚に関する請願」を議題とす る。

 傍聴者に申し上げるが、傍聴者数が多いので、同一 団体内であれば、途中で交代願いたい。
 本件について趣旨説明はないので、各会派の意見を 求める。

○大場委員 自由民主党世田谷区議団としては、国旗 として法制化された日の丸と当区の旗を神聖な区議会 の議場に掲揚されるよう希望し、本請願の趣旨に賛同 する。各党、各会派も賛同願いたい。

○長谷川委員 我が党は、国旗、国歌が法制化された ことは当然であると思う。当区議会に国旗掲揚を要望 する請願については、掲揚してもいいという意見や、 時期尚早という意見もある。国旗・国歌法が制定され、 今後、国民に定着していくと思うので、ここで結論を 出すよりも、その経緯の中で継続して検討すればいい のではないかと考える。

○西村委員 民主党・無所属クラブは総会を開き、法 制化されたことや、国会は国旗が掲揚されていないこ とを含め多くの意見があった。請願者が外一名である ので、区民の全体的な動向等を詳細に調査し、その後 結論を出すべきではないかというのが総会の総意であ る。

○桜井委員 日の丸は、さきの戦争で日本の侵略戦争 のシンボルとして扱われたので、国旗としてふさわし くない。戦争当時、日本と同盟を組んだドイツやイタ リアも、現在は戦前の国旗を使用していない。咋年、 国旗・国歌法が法制化されたが、国民の中で議論が始 まるときに法案が可決されたので、日の丸に対する国 民の意見が大きく分かれ、この戦争の否定とあわせ、 日の丸が国旗であるという国民的合意ができていない。
 さらに、この法案は、国旗は日章旗とすることのみ で、掲揚する義務や罰則規定を設けていないし、国会 でも日の丸は掲揚されていない。
 議会は、区民の意見を代表して議員が自由に議論で きる場であり、政治的拘束を受ける場ではない。日本 共産党世田谷区議団は日の丸の押しつけを認めること ができないので、区議会議場に日の丸を掲揚する請願 には反対である。

○森川委員 今後の議会運営は、少数意見も含め自由 に議論を交わすことが必要になると思うので、国旗を 権威にして少数意見を封じるようなことがあってはな らない。生活者ネットワークは、国旗・国歌法の制定 を否定はしないが、国旗の扱いは慎重に議論をしたい ので、今回は採択すべきではないと思う。

○唐沢委員 社民党は、国旗・国歌の法制化に向けて、 国レベルでも現場での強制を図ると同時に、個人の内 心の自由に立ち入りかねないという立場をとってきた。 日本の国旗としての意味を持つためには、核戦争や植 民地への反省に対して、内外に向けた理解をしていく 宣言をしていかなければならない。国旗を法制化した ので、議会で日の丸を掲揚するという世論の機運もな いし、あえて掲げる必要もないと思うので、本件につ いては反対する。

○荒木委員長 委員外議員の発言を許可する。

○下条委員外議員 以前、日の丸・君が代は慣習法と して存在しているので、あえて法制化をするのはいか がなものかと発言した。式典等で国旗を掲げることは 結構であるが、議会は区民の意見を体して議論を闘わ せる場であるので、少し違和感があるのではないか。
 この間の選挙等を見ても、この問題について、一部 の勢力の人は闘っているかもしれないが、国民の大多 数は無関心である。請願者も二名であり、日の丸掲揚 に賛成する意見が七割、八割の区民から出てくるよう な状況になっていない。議会は区民の意を体して物事 を決すべきであるので、本件については時期尚早では なく、反対である。

○大庭委員外議員 議場内の議事整理権は当然議長に あるが、庁舎内に国旗掲揚をしたり、物を置いたり、 壁面やコーナーの使用等、議会や庁舎の管理権は区長 に権限があるのか、議長の議事整理権に入るのか。議 運で決定すれば、議場のレイアウトも含めて、物を置 くとか、掲げるとか、持ち込むこともフリーに変えら れるのか。これは本会議の会期中だからなのか、その 辺を整理していただくことが本請願の根本である。

○荒木委員長 その件については後刻答弁させる。

○大庭委員外議員 姉妹都市訪問団の来庁時に、議長 席に小さい旗を乗せていたが、旗の四隅をピンで壁面 にとめるのか、旗をポールに刺して垂らすのか、中央 から垂れ下げるのか、国旗掲揚のイメージが各位ばら ばらではないか。従来、日本には国旗掲揚の共通的な 文化がないので、外国の模倣になっていると思うが、 自民党はどのようなやり方に賛成なのか。
 国旗に個人のレベルで敬意を払う度合いはあるかも しれないが、戦後生まれた子どもたちは、国旗に対し て戦争等の悪いイメージを持っていないにもかかわら ず、国旗の問題が出てくると、威圧感があるとか、戦 争に結びつくような付加価値を殊さらつけて、そう思 わせること自体、不幸なことである。
 第一庁舎の上に毎日国旗が掲揚されていることに関 して、反対する方はどう思うのか。あの旗は汚れてい るので、新調した国旗が風になびき、きれいな形で掲 揚してはしい。特に威圧的だとか、見るたびに何かを 想定することもないし、国旗は一つのデザインである と思うので、議場にふさわしい美しい形で掲揚すれば いいのではないか。議場に掲げるとなれば、公務員と して、特定の人のためではなく、公共の福祉のために 我々は働き、その旗の後ろに区民の顔があるという感 じを受ける。旗に強い意識を持たせることは大反対で あるし、余りコンサーバティプに考えたくない。

○木下委員外議員 日の丸のもとに植民地統合され、 その圧政にあえいできた人、侵略を受けて、それに対 して非常にうらみを持つ方々がまだ生存している。日 本人でも、日の丸の旗のもとに戦争に駆り出され、大 変不幸な目に遭った人もいる。それがある種のイデオ ロギー上の対立にもなって、日の丸の問題が象徴とし て議論されてきたと思う。日の丸は歴史的な背景を背 負っているので、国旗が単なる標旗であるとは言えな いし、現実にはそのように存在していない。
 常に歴史に対してどのような態度をとるか、どのよ うに考えるかということが問われている。その中で議 会に日の丸を掲揚するという主張は、かなり鮮明なイ デオロギーを持った方々の行為である。戦前と戦後の 切断をみずからしなかったことで、国益上も極めて不 利益をこうむっている。戦後、日本は国旗を日の丸と は違うものに変えるべきであったという主張を持って いる。
 たとえ国家が日の丸を掲げ、区がそれに準じて掲げ ていたとしても、議会は議会で独立した存在としてあ るわけである。イデオロギー上も、また個人の良心と してもいろいろな意見がある中で、あえて日の丸を掲 揚することはよろしくないと思うので、本請願には反 対である。

○小泉委員外議員 以前、ふじみ荘に立っていた区旗 が色あせてぼろぼろだったので更新したことがある。 我々は旗を仰いで感慨が浮かぶので、国旗、国歌、区 旗、区歌は大切にしなければいけないが、今は時期尚 早である。区民の意見を聴取し、十分議論して、今後、 早急に結論を出さなければいけないと思う。

○上島委員外議員 議場に参加する議員は区民であり、 国民である。そのシンボルである国旗、区旗の掲揚に 反対する理由として、今各委員から聞いた理由では乏 しい。今後、区民の動向を見て議論を重ねても、結局 は歴史の話等が絡んでくるので、歴史観の違う人と議 論をしても仕方がないと思う。したがって、本日きち んと結論を出すべきである。私は賛成であるが、当委 員会での議決権がないので、委員各位にはぜひ賛成願 いたい。

○荒木委員長 大庭議員より質問があった議場内の掲 揚権について、事務局の説明を求める。

○関参事 施設の最終的な管理権と施設の使用権の問 題を分けて説明する。

 施設等について、取得、管理、処分の三つがあり、 最終的、統合的な取得から処分までの権限は区長にあ る。ただし、そのうちのどう使用するかという管理の 部分については議長に権限がある。例えば施設の修繕、 修理、改築等は区の財産に変更を加えるので、それは 区長が最終的には決断をし、許可を得なければいけな いが、議場内の使い勝手の問題等であれば、議会で考 え、定めればいいと理解している。

○大庭委員外議員 旗はどのような形で掲揚するのか。 小さいものは持ち運びが可能であるし、大きなものは 壁面や天井を工作するので、それは区長の権限になる のか。工事費をかけなければ公金の使用としては問題 にならないが、工事等をすれば、違法な公金支出であ ると住民訴訟の対象になる。お金のかけ方によっては 反対できるかもしれない。工事等をすれば区長の権限 になるし、何も使わなければ議会の判断材料になると 思うので、それを分けて考えないと、ここで議論でき ることとできないことがあるのではないか。

○荒木委員長 各会派の意見を伺ったが、掲揚にもい ろいろな方法があり、郡のように三脚に立てるのも一 つの方法であると思う。

○大庭委員外議員 実質的な議論を進める上で少し検 証していさたいが、国旗は一つのデザインであるとい う考え方で、戦争と直接関係のない子どもたちが日本 の人口にふえていく中では、歴史観や深い思い入れは、 ある時期に払拭していかなければいけないと思う。
 日の丸には歴史的な意味があるので反対するという 意見があったが、日の丸に対して抵抗感を示している のか。戦前から続いている日の丸というデザインに対 して反対なのか。国旗は日の丸でなければ構わないの か。日の丸というデザインに抵抗感を示すという意見 もあったが、どのようなデザインであろうと、国旗、 国歌に賛成なのか。今は法律で日の丸が国旗に定めら れているが、国旗・国歌法が制定され、慣習法ではな くなった。これは国会で法律を変えれば、日の丸を国 旗から外すことも法定上可能であるので、デザインの 問題なのかどうかを確認したい。

○西村委員 本請願が出たとき、議場との関係を考え たが、議場を設計する際に、正面のでこぼこや全体的 な色彩等を含めて、多くの人がいろいろな角度から意 見を出せる場にするという前提で、そういう雰囲気を つくっているのではないかと感じた。大庭議員の発言 のようにデザイン等ではなく、日の丸という国旗が思 想的に云々とは関係がないのではないか。

○下条委員外議員 本質的な議論はどんどんすべきで あるが、初めに各位の意見を求め、一人だけ議論をさ せるのはおかしいのではないか。国旗が単なる象徴な のか等、本質と全然違う議論を長々としているので、 議事進行願いたい。

○荒木委員長 本請願の取り扱いについて、各委員の 意見を求める。

○木下委員外議員 常任委員会等では、理事者の説明 を聞いて質疑をした後、態度表明を含めて意見を述べ ているが、態度表明は大方出たのではないか。

○西村委員 本請願は特別ではないので、従来と同様 の取り扱いで、委員長に判断願いたい。

○荒木委員長 取り扱いについて意見を求める。

○大場委鼻 先はど意見は述べたが、取り扱いは採択 に願いたい。

○長谷川委員 先はど取り扱いについても発言した。

○西村委鼻 先はどと同様に、このような状況である し、人数の確認もしたいので継続に願いたい。

○桜井委員 議会の合意ができていないので、採択は していただきたくない。

○森川委員 まだ議論が不十分であるので、本日は採 択すべきではないと思う。

○唐沢委鼻 先はど態度は表明したが、いろいろ意見 があり、まとめがたいと思うので継続に願いたい。
○大場委員 我が党は、本日、採択を強く希望するが、 大庭議員よりもろもろの提案があり、各位の意見も、 もう少し審議したいとのことであるので、従来どおり の継続の扱いではなく、ぜひ再審査する場を設けてい ただくよう申し添えて、継続に願いたい。

○荒木委員長 採決に入る。
 お諮りする。本件を継続審査とすることに異議ない か。
    〔異議なし〕

○荒木委員長 異議なしと認め、平一二・九号は継続 審査と決定する。
 発言を許可する。

○大庭委員外議員 大場委員より、従来とは違う形の 継続という要望があったが、状況が変われば、もう一 度審査するのか。

○荒木委員長 継続審査というのは、いつでも審査を するということであるので、もう一度審査したい。

○木下委員外議員 もう一度審査したいと特別の発言 をしたが、請願が多く出されればもう一度審査するこ とになるので、普通の請願と同様に処理すればいいの ではないか。

○荒木委員長 それは状況に応じてである。
 請願の審査を終わる。

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○荒木委員長 次回委員会は、九月十二日(火)午前 十時より開催する。

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○荒木委員長 議会運営委員会を散会する。
    午前十時五十八分散会

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