平成11年第3回定例会(自920日 至1020日)

世田谷区議会会議録

1999年10月20日 決算認定への反対討論


○山内彰 議長 これより意見に入ります。
 意見の申し出がありますので、順次発言を許します。
 なお、意見についての発言は、議事の都合により一人十分以内といたします。
 五番木下泰之議員。
   〔五番木下泰之議員登壇〕


◆五番(木下泰之 議員) 四案すべての決算認定に反対する立場から討論を行います。

 今回の決算議会ほど、世田谷区政が情報公開制度や住民参加を基礎とするところの開かれた区政とは無縁であり、官業癒着と政官癒着がばっこしていることが証明されてしまった議会はないのではないでしょうか。

 まず、バブル期に企画された世田谷の都市再開発のための壮大な再配置について申し上げましょう。

 昭和六十三年の世田谷区と東急との秘密協定から始めましょう。この事件の本質は、現在でも百九十億円と推定される公園用地をバブルの時期に、東急に無償提供させることと引きかえに、東急の再開発事業への便宜のために公園用地の縮小と指定がえを約束し、二子玉川とは無縁の三軒茶屋の再開発にも、保留床や地下通路の──パティオですね、地下通路の建設について東急に便宜を図っていたということであります。もし都市計画公園用地の再配置を行わないとしたら、そもそもこの地区の市街地再開発は成り立ちようがありません。

 縮小された公園用地は当時どのように手当てされたか。これは新しくつくる砧西公園への再配置が用意され、もともと一種住専地域だった野川沿いの喜多見の小田急所有の土地に経堂の車庫を移転し、人工地盤をつくって砧西公園をつくることがあらかじめ画策されていました。もし小田急線の複々線連続立体交差事業絡みで用途地域を一種住専から工業地域に、この野川沿いの地域を工業地域に変更するということになれば、付近の住民から反対運動が出てくるのは目に見えております。そこで砧西公園への再配置方針を決め、昭和六十三年に小田急所有のテニスコートを一種住専から工業地域に変えるのとあわせて、車庫予定地上の人工地盤に公園をつくることを企画し、都市計画変更を行ったわけであります。

 この喜多見の車庫建設と公園再配置についての世田谷区と小田急との協定書については、本会議質問では存在を明かすことなく、決算委員会での執拗な私の提出要求を経て、初めて明らかにされました。これによると、既に昭和六十三年の時点で、車庫上の公園については世田谷区が施行することが秘密裏に協定されていたのであります。そして、ご承知のように百億円の予算を世田谷区が拠出して、この公園は完成しているのであります。

 さて、それでは、経堂の車庫跡地を含め経堂駅の再開発はどうなっているでしょうか。東急との再開発の秘密協定があり、砧西公園での小田急との秘密協定がある。それでは経堂駅周辺についてもあるはずだと、執拗に私は理事者に迫りました。当初、本会議ではごまかしておりましたけれども、結局、都市整備所管の決算委員会審査の直前になって、平成六年四月に世田谷区と小田急との秘密協定が確認書という形で存在していることが発覚したわけであります。この協定書では、駅前広場が必要面積という表現で六千五百平米とされており、再開発地域の区域と新たな都市計画道路も二本示してあり、協定書では双方の最大限の努力をうたっているものであります。

 平成六年四月といえば事業認可がおりる直前であり、既にこのときには駅前の広場の必要面積が決まっていたことが明らかになったわけであります。その後、世田谷区がこの協定書の都市計画案をぼかしたものをたたき台案として住民に示したのは平成八年五月でありました。その後、地下化推進の副会長を解任排除した経堂駅周辺まちづくり協議会で現在検討が続けられていることになっておりますが、既に再開発計画は、区としては小田急との間で決めているわけであり、広場の広さのアンケート調査なども住民に対して行われておりますが、全く白々しいことだと言わなければなりません。まさに経堂駅まちづくり協議会は、世田谷区と小田急のかいらい協議会なのであります。

 六千五百平米の駅前広場は、既に発覚している三十二階の超高層ビルを初め、複数の超高層ビルを建てることが可能な広さですし、一二八号線と駅前をつなぐ新都市計画道路は、広大な車庫跡地の大規模再開発を誘導できる道路であるわけであります。東急の再開発での区との秘密協定の存在は、区と企業との癒着問題を際立たせ、結局、世田谷区と小田急との間にも、住民や、区議会議員や、都市計画審議会委員にもあずかり知らぬところで秘密裏に事が運ばれてきたことが明るみに出ました。

 今回、行政側が情報を開示せざるを得なかったのは、情報公開制度で開示を求められた場合、隠しおおせないからにほかなりませんが、情報は、その情報の存在に住民や議員が気がつかない限り、やみの中にあるということが今回よくわかりました。気がついても、ないと言われてしまうことさえあるのです。「せたがやの家」システム選定会議設置要綱が隠されたこと、そのことが最たる例であります。

 決算委員会の総括質問で、私は星谷知久平前議員所有の優良賃貸住宅問題を含め「せたがやの家」問題を取り上げようと、担当に選定会議設置の根拠文書の情報の開示を求めました。ところが、ないと言われてしまったわけであります。結局、設置要綱の存在がわかり、ないはずはないと迫ったところ、うそをついていた事実を認めたわけであります。しかし、今度は出せないと言います。決算運営委員会に、審議妨害だから提出を求めてほしいと要求しましたが、提出要求を決算運営委員会はせず、要求があるという事実を理事者に伝えるというのみの措置に終わりました。その結果、ただでさえ短い決算質問に資料要求の質問を重ねるということになり、結局、資料が出てきたのは都市整備委員会所管質疑修了後であったわけであります。

 出た設置要綱を見てびっくりいたしました。結局、星谷氏所有の優良賃貸住宅を認定できる要件はどこにも見当たらないのであります。この事実は、区が設置要綱に違反して、星谷知久平氏所有のマンションを認定していた明確な証拠以外の何物でもなかったわけであります。条例施行規則にもある設置要綱さえ、区民の代表である区議会議員に見せない。見せないどころか、住民訴訟の代理人と相談して、存在さえ組織的に隠そうとした、このことは重要であります。

 ところで、この件に関しましては、担当の課長からは謝罪があったが、本来の責任者である岡沢部長からは何らの謝罪もいまだにないのであります。こんなことが許されるでありましょうか。小田急線の問題を私は長年取り扱ってまいりましたけれども、小田急線の基本情報である小田急連続立体事業化の調査、この調査さえ、いまだに世田谷区は見ていないというふうに言っているのであります。そんなことはあり得ません。そういった情報隠しが日常茶飯事に行われている。それが今の世田谷区の実態であります。

 本日は、決算審査以前の病根を世田谷区政が持っている、また、それを世田谷区議会が幇助している、そういった中で、今こういった審議がされている、そのことを同僚議員の皆さんや区民の皆さんにお伝えしたい、そのことを明らかにしておかなければならない、そう思いまして、この事実をここで述べさせていただきました。

 以上をもちまして決算認定の反対討論といたします。


○山内彰 議長 以上で木下泰之議員の意見は終わりました。

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