1999年10月13日決算特別委員会質疑<文教委員会所管>日の丸問題、学級崩壊


○石塚 委員長 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。


◆木下 委員 先ほどの下条さんの質問に触発されまして、やはり日の丸・君が代問題については、私も語っておかなければいけないことがあると思いますので、教育長との論戦といいますか、ご意見をお聞きしながら、ちょっと見解を述べておきたいと思うんですけれども、私は、日の丸・君が代というのは敗戦と同時に違うものに変えるべきだったというふうに思っている者なんですけれども、長らくそれが慣習的にずっと使われてきたということがあります。問題は、冷戦ということもあって、むしろ日の丸・君が代を極めてイデオロギッシュに使おうとしてきた部分があったんじゃないかというふうに思います。

 それで、日の丸・君が代問題での一番の大きな論点は、日本人自身がどうのこうのというよりも、むしろ戦前の植民地支配あるいはいろいろな侵略的な事件、そういったもので踏みにじられた方々が一番痛く感じるわけでして、日本の中でもそれは極めてイデオロギー的にいろんな論争にもなってきたわけですけれども、まず日本のあり方として、例えば戦後、伊藤博文のお札が百円札として長らく使われていたわけですね。外交的に見ても極めて下手な日本外交だったと思うんです。やはりきちっとそういったものは清算すべきだったと思うんですけれども、その辺について教育長はどのようにお考えですか。


◎津吹 教育長 日の丸・君が代については、いろいろな議論があることは私も十分承知しております。私の立場といたしましては、学校教育に携わる者として学習指導要領に沿った指導をするということに限られて言えば、やはりお話しいたしましたように、日本の中で慣習法として成立している。これは大阪地裁の判決の中でも、日の丸についてでありましたけれども、そのようなことが明確に規定されて、既に定着しているんだというようなお話もあって、そういうことから一般的に理解されているというふうに思います。

 そういうことで、今、日本のお札の話も出ましたけれども、やはり新しい戦後の時期にそういうお話が出れば、あるいはそういう新しい国旗・国歌というようなことがなされたのかもしれませんけれども、そのまま愛着というんですか、そういうことが論議されないままに今日に来ているということは、一応論議の対象になるかなというふうには思います。


◆木下 委員 私は、国旗の問題にしても、君が代の問題にしても、問題は非常に具体的だと思うんですよね。例えば私の場合には父親の世代が戦争に行ってきたということがあります。それから、今の小さい子としてはひいおじいさんになるんでしょうかね。子供ながらにそういうお話を聞けば、やはり日の丸の持っている意味とか、感受性の強い方だったら、それで踏みにじられた他国の人のことだって思いをはせるでしょうし、そういったものとして、具体的な問題としていつも出てくると思うんですよね。

 ですから、良心の問題云々という話で抽象的によく語られているんですけれども、長らくずっと日の丸が慣習的に使われてきたことによって、やはり日の丸を国旗として入学式で掲げる、あるいは君が代を強制的に歌わされるということについての反発というのも、そういう問題としていつも出てきていると思うんですよね。ですから、今後もそういう問題はずっとついて回ると思うんですけれども、そのことに関して教育長としてはどのように教育的に配慮をしていくつもりなのか。


◎津吹 教育長 当時の文部大臣等の談話もございますが、法制化によって児童生徒の内心にまで強制することはない。ただ、従来の学習指導要領に沿った尊重するというような指導を行えということになっておりますので、私は法制化によって強制されることはないというふうに考えておりますし、私の方も、学校への指導については、従来の学習指導要領に沿った指導を行っていただきたい。ただ、法制化ということでは、ある程度尊重しなければならない部分もあるかと思います。そういう認識に立っております。


◆木下 委員 良心といった場合に、余り抽象的に考えずに、やっぱり具体的に問題があると。とりわけ日の丸・君が代をそのままずっと慣習的に使ってきたことによって、外国の方々からどういうふうに思われているか、あるいは戦争体験がある人たちからどういう感受性で迎えられていくか、そういうことに配慮しながら教育の現場では進めていただきたいというふうに思います。

 用意した質問ですけれども、学級崩壊等がニュース等でも伝わってきて、その調査等が国でも都でも行われたというふうにお聞きしました。先ほど社民党の質問にもありましたけれども、世田谷区としてはこの学級崩壊について調査等は行っていますか。


◎神取 教育指導課長 東京都教育委員会は六月に学校における学級経営にかかわる調査と題した調査を行いました。それに伴い、本区におきます学級崩壊、学級の荒れということについての実態を把握しております。その結果を見ますと、授業が始まっても席に着こうとせず、おしゃべりをしたり、遊んだりしているなどの状況が一定期間続いた学級は、本区の全小学校数の二〇・三%、全学級数の一・八%に上る状況が明らかになっております。


◆木下 委員 学級崩壊に対して一番大きな問題は、やっぱりいろんな問題があると思うんですよね。家庭の問題もあるし、それから社会の問題もあるんですけれども、現場ではやはり教師の指導力の問題ということが出てくると思うんですが、その問題について、今後の対応としてはどのようなことをお考えになっていますか。


◎神取 教育指導課長 今後の対応につきましては、学校教育では一人一人の教員が児童生徒の理解に基づいた適切な学級経営を進めることが大切であります。本区においても重要な課題として取り組んでいるところでございますが、このような学級経営を進めるために、教員の研修の充実、それにより一人一人の教員の指導力の向上を図ることを求めております。

 本区におきましては、教員のライフステージに応じた研修を用意し、教員の経験年数や年齢に応じた教育課題への対応の仕方や学級経営のあり方について指導を進めております。具体的には、教員になったばかりの初任者につきましては、初任者研修といたしまして一年間研修を位置づけております。この内容につきましては、校内における研修及び教育センター等における研修、課題別研修、宿泊研修等を行っております。また、教職経験が六年から九年までの教員を対象にした研修を年間六回程度、これにつきましても児童生徒の理解や教育相談にかかわる実践研修を行っております。また、教職経験十一年から十五年までの(「簡単にしていただけますか、終わっちゃいますので」と呼ぶ者あり)教員を対象にした研修も行っております。


◆木下 委員 今いろんなことを挙げましたけれども、何かそれで解決がつくとは思えないんですよね。やはり指導力の問題はそう一朝一夕には片づかないと思いますので、例えば担任をグループにしていくとか、そういうもう少し具体的に進められている話をお聞きしたかったんですけれども、今やっぱり学校の現場で指導力の低下というのが言われていますし、それを直すように頑張ってください。お願いします。


○石塚 委員長 以上で無党派市民の質疑は終わりました。

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