平成11年第2回定例会(自614日 至623日)

世田谷区議会会議録

1999年6月23日 「平成十年度財団法人世田谷区体育協会の経営状況に関する書類」についての質疑


○山内彰 議長 日程に先立ちまして、事務局参事に諸般の報告をさせます。
   〔関参事朗読〕
 報告第二十七号 平成十年度世田谷区土地開発公社の経営状況に関する書類の提出外報告十八件


○山内彰 議長 これより諸般の報告に対する質疑に入ります。
 なお、質疑についての発言は、議事の都合により、答弁も含めて十分以内といたします。
 発言通告に基づき、発言を許します。
 五番木下泰之議員。


◆五番(木下泰之 議員) 報告第四十三号「平成十年度財団法人世田谷区体育協会の経営状況に関する書類の提出」に関する質疑を行います。

 提出されたこの書類は、清算法人により提出されておりますが、東京都教育委員会への同財団の解散手続のため必要となって、十二月十六日の評議員会、理事会で議決された平成十年四月一日から十月三十一日までの決算報告の修正を含むものであります。内容を見ると、平成十年三月三十一日の決算報告の財産目録にあった世田谷信用金庫区役所前支店の定期預金五百五十万円が丸々消えており、内容記載に誤りがあったというような単純なケアレスミスではありません。この五百五十万円は体育担当課の調査報告書にもあるように、仮決算日の前日に使い込み補てんの目的で五百五十万円の定期預金を取り崩していたにもかかわらず、これを報告しないどころか抹消してしまったのは、坪内嘉雄会長の十月十六日の五百万円の使い込み事件を隠ぺいするために粉飾決算が組織的に行われたということにほかならないわけであります。

 十一月二十五日の監査日に間に合わせるために、前日の十一月二十四日に五百万円を一度返済させているにもかかわらず、監査時に粉飾決算を修正しないばかりか、監査で事なきを得ると、体育協会は十一月二十五日、二十六日の両日にわたって五百三十万円を坪内会長に再度不正借用させています。今度は借用書をつくり、貸付金として会計帳簿に記入したと体育担当課の報告書に出ていますが、この会計簿とは一体何なのでしょうか。これこそまさに二重帳簿ではないでしょうか。決算では存在しないはずの金が貸し付けられていて、帳簿に記載されている。この帳簿はぜひとも議会に提出すべきであります。ぜひ見せてほしいものであります。

 そして、十二月十六日に評議員会、理事会という運びになります。十二月十六日の議事録の要約を見ると、坪内嘉雄会長が議長となり、本間龍平専務理事並びに監査を行った監事より報告があり、異議の有無を諮ったところ、満場一致で報告どおり可決したとあります。議長を務めた坪内会長も、決算報告をした本間専務理事も、そして事務作業に携わった千國事務局長以下事務局は、事の次第を全部知っていたわけであります。これに連座したか、全くだまされていたかは定かではありませんが、監事による監査をすり抜け、評議員会、理事会は満場一致でこの粉飾決算を通してしまいました。これが本報告での誤りとしたことの実態であります。この粉飾決算は、借用後、記載したという帳簿と対照すれば一目瞭然であり、犯罪そのものではありませんでしょうか。

 そこで質問です。教育長は、平成十年十月三十一日までの決算が組織的な粉飾決算であり、坪内氏の一千三十万円もの使い込み事件が背任横領だという認識はないのかどうか。そのことについてお聞きします。また、区から援助金を受けながら、このようなことを行った団体に対してはペナルティーを科すべきであり、補助金の返還を求めるべきだというふうに考えますが、どう考えるか、お答えいただきたい。

 今回の事件に関与した専務理事の本間龍平氏は清算法人の事務局担当であるが、そもそもふさわしくありません。坪内氏とともになぜ辞任しなかったのか、極めて不可解であります。また、体育協会のスポーツ振興財団の評議員としてもふさわしくありません。また、体育協会から横滑りの役員人事及び事務局人事は一掃すべきであります。教育長のご見解をお聞きいたしたいと思います。

 解散手続に伴う世田谷区教育委員会への実績報告の不履行についてお聞きいたします。体育協会への平成十年度の世田谷区の補助金は、当初、会計年度末の三月三十一日まででありました。ところが、一月三十一日に解散しています。補助金交付要綱第七条は、補助事業経費の配分変更や事業内容の変更、補助事業の中止、または廃止について、申請書による承認を受けさせることとなっており、この申請があったときには教育長が内容を審査することになっております。また、第十一条は、補助事業が完了したときは、当該完了の日から三十日以内に実績報告書を提出させなければならないことになっております。これによると、三月の初めには手続が行われていなければなりません。この手続を行わなかったのはなぜか、お答えいただきたいと思います。

 最後に、坪内氏の一千三十万円の使い道についてお聞きします。教育長は一般質問の際、坪内氏の関係している団体の補助金の入金がおくれているため、その理由づけについて二、三の団体が関係しているというふうに答えました。どのような団体であったのか、知っているのであれば、具体的にきちんと答えていただきたい。大きく三点についてお聞きいたします。
   〔津吹教育長登壇〕


◎津吹 教育長 お答え申し上げます。

 本件につきましては、木下議員を初め区議会、または区民の皆様に大変不信感を与えたこと、申しわけないと思っております。また、教育委員会としてもまことに遺憾であるというふうに存じております。

 まず、一千三十万円のお話でございますが、通算すれば一千三十万円というお話もないではありませんが、実際には五百三十万円ということでご理解をいただきたいと思います。横領背任事件との認識というお話でございますが、私も率直に申し上げまして、背任横領が成立しないわけでもないというふうには思っております。しかし、さまざまな形がありまして、ケース・バイ・ケースというようなことも考えられるようでございます。私は、返済の意思が強くあったこと、一時借用であったこと、あるいは複数の立ち会い者があったこと、さらには借用書の提出があったことなどから、意図的悪意はなかったというふうに考えております。しかし、最終的には警察にも報告してございますので、司法の判断をまちたい。このように思っております。

 ペナルティーと補助金の返還の件でありますが、確かに団体の長の行った行為ではありますけれども、前会長個人の行為であり、団体全体の問題ではないというふうに考えております。さらに、既に解散して実態がないものでございますので、そのようにご承知いただきたいと思います。

 補助金の執行については、当初計画、いわゆる補助対象事業の内容に沿って実施されておりますので、不当性はない。したがって、返還事由には当たらないというふうに考えております。

 また、専務理事のお話でありますが、専務理事はスキー協会会長として長年尽力されまして、体協でも理事、専務理事として貢献されました。個人的には大変温厚、誠実、律儀で紳士でございます。協会内でも大変人望が厚かったようでもございます。前事務局長からのせっぱ詰まった相談にやむを得ず乗ったという経緯がございます。また、短い時間で返すという前提でもありまして、相談に乗ったというような経緯がございます。

 新財団は従来の体協、競技団体中心の団体から区内スポーツ・レクリエーション関係団体の参加を得て、スポーツ・フォー・オール、いつでも、だれでも、どこでもの目的で運営するものでございます。しかし、そうはいっても、従来の競技団体二十八団体がどうしても当面の中核となるということでございますので、ある程度の組織構成員が必要だというふうに考えております。

 ちなみに、新財団の役員構成は、評議員二十名中、旧体協系は六名、約三〇%ぐらい、理事会は監事を含めて十七名中三名、一八%ぐらいの構成になっておりまして、各界各層から幅広い立場からの人的構成となっておりますので、ご理解いただきたいと思います。

 なお、監事には公認会計士の方に就任していただいております。

 それから、どういう団体に使ったのかというお話でありますが、これは十六日もお答えいたしましたが、関係している複数の団体の補助金の入金がおくれているため、やむを得ず一時借用を申し入れたというふうなお話を本人から聞いております。その際に、団体の名前も具体的に二、三挙げられましたけれども、私はどうも確定したものではないというふうに認識しておりますので、この場での固有名詞のお話は差し控えさせていただきたい、このように思っております。

 なお、そのほかについては次長から答弁させます。よろしくお願いいたします。


◎武藤 教育次長 私の方から、いわゆる三十日以内に実績報告の提出がなされなかった。一月三十一日で体育協会は解散したのになぜかということについてお答え申し上げます。

 財団法人世田谷区体育協会への補助金は世田谷区社会教育関係団体に対する補助金交付要綱に基づき、世田谷区体育協会の事業計画を推進するに当たり、事業執行体制の充実を図る目的で団体運営経費の一部を補助しているものでございます。補助金の申請は、年度の当初に交付申請に基づき、審査の結果、補助対象事業としての要件を備えており、適当と認められ、交付決定をしたものでございます。お話のように、要綱第七条では、補助事業の中止、または廃止、第十一条でもそのようになっております。また、三十日以内に実績報告書を提出させなければならないとしております。この体育協会は、平成十一年一月三十一日の解散により、法人の目的としていた活動は一応終了いたしましたが、その後、清算法人としての事業の整理、あるいは引き継ぎ等がございましたので、残務整理等の業務を行ってまいりました。

 教育委員会といたしましては、以上のようなことから、その事務に従事した職員の団体運営経費について補助金を使用することは問題ないと考えておりますので、平成十一年三月三十一日を補助事業の完了というような形で平成十一年四月三十日に代表清算人から実績報告書の提出を受けておる。このような状況でございます。
 以上です。


◆五番(木下泰之 議員) 私は社民党が解散されたときに、三月九日でしたけれども、ちゃんと三十日以内に提出予定の話にそのときはなりました。そのときにこの補助金の問題を知ったわけです。まさに全く同じことでありまして、三十日以内に補助金を返さなければいけない。そういうことであります。


○山内彰 議長 以上で木下泰之議員の質疑は終わりました。(「議長、大事な問題ですので質問を続けさせてください。議長、これだけ大事な問題なのに質問させてくれないんですか」と呼ぶ者あり)お静かに願います。議運で決定しておりますので、木下泰之議員の質疑は終わりました。(「議長、大事な問題じゃないですか、この問題は。答えさせることの方が大事だと思いませんか、議長。議長」と呼ぶ者あり)

 これで諸般の報告を終わります。(「うるさい」「うるさいとは何だ」と呼ぶ者あり)お静かに願います。(「冗談じゃない。これだけ大事な問題について発言させてくれと言っているんじゃないか」と呼ぶ者あり)お静かに願います。木下議員、着席を願います。

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