平成11年第2回定例会(自519日 至524日)

世田谷区議会会議録

1999年5月24日 平成十年度財政援助団体等報告書についての質疑


○山内彰 議長 これより諸般の報告に対する質疑に入ります。
 なお、質疑についての発言は、議事の都合により答弁も含めて十分以内といたします。
 発言通告に基づき発言を許します。
 五番木下泰之議員。


◆五番(木下泰之 議員) 平成十年度財政援助団体等報告書についての質疑を行います。

 世田谷区の財政援助団体の一つであった世田谷区体育協会については、財政援助が二億円を上回る団体でもあり、毎年の監査実施対象にある団体でありました。また、今年度は日本公認会計士協会世田谷に事前会計書類調査を委託することにもなっていたはずであります。今回の報告書に当然含まれるべきであるのに、なぜこれが除外されているのか、その理由と経緯を示していただきたいと思います。

 それから、監査事務局からの説明によれば、例年二月初旬に定期監査が行われており、それとあわせてこの援助団体の監査を行っているわけですけれども、体育協会の解散は一月三十一日に行われることになっているため、十一月の監査委員の合議により、同協会は監査から外されたということであります。解散といっても、世田谷区からの援助規模が十倍にもなるスポーツ振興財団への衣がえのための解散であります。財務は清算人会に引き継がれており、監査は可能でありますし、解散するとすれば、それこそ丁寧な監査が必要でもあります。会計年度未了の時期に解散する団体は監査をしないという一般原則があるのかどうか、そのことについてお伺いいたします。

 また、そもそも体育協会が解散を決めたのはいつの時点であるのか、監査委員が知ったのはいつの時点であるのかをお聞きいたします。体育協会が平成十年度の財政援助を申し出た際に、既に解散の時期が定まっていたのかどうかをお尋ねいたします。

 体育協会坪内嘉雄前会長の体協の公金使い込み事件が区当局者に発覚したのが三月十一日とされており、区議会にも公にされたのが三月十八日であります。報告書は三月三十日付であるのでありますから、当初の監査実施計画からは同協会が外されていたとしても、事態の重要性にかんがみ、緊急に監査を行う必要があったはずであります。地方自治法はそのように書いてあります。監査委員はどのような合議を行ったのか、示していただきたいと思います。

 もう一つ、坪内前会長の公金使い込み事件によりまして、教育委員会体育担当課が五月二十一日に調査報告を公表いたしました。この報告書によりますと、十一月の事件以前に、十月にも使い込み事件が発生したことが新たに明らかになっております。枢要な財政援助団体内部にこのような腐敗が発生し、補助事業の執行及び会計経理に重要な問題が生じているにもかかわらず、全般的に適正に行われていると認められたとした平成十年度財政援助団体監査及び同報告の重要な欠陥を認め、関与した監査委員は責任をとり、辞職するべきであるというふうに考えますが、いかがでありましょうか。責任の所在を含めお答えいただきたいと思います。
 以上です。


◎峯元 代表監査委員 財団法人世田谷区体育協会に対し、なぜ監査を行わなかったのかとのご質問でございます。

 財政援助団体等監査につきましては、地方自治法第百九十九条第七項に基づき監査を実施しておりまして、平成十年度は、三月の監査委員会議において各種監査、審査、検査の方針及び実施時期を定めた監査基本計画を策定しております。その内容を執行機関に対して通知しているところでございます。

 本件につきましては、昨年の十月十四日の監査委員会議において実施計画を決定しております。この中で、監査対象団体や公認会計士協会への委託等につきましては、それぞれ出資団体、補助団体等の各団体の運営状況など総合的に勘案しながら決定しているところです。なお、体育協会は十一年一月末に解散が予定されており、監査は二月二日から四日までの実施日になっておりまして、解散直後ということもございまして監査困難と判断し、対象団体から除外したものでございます。

 清算法人に対しましては学説が分かれておりまして、法人は解散によりその性質を変じて別種の法人になる説、また法人は解散後、実質上なお存続し、ただその権利能力が制限されるにすぎないと言うなど、学説が分かれております。前者によれば監査はできないこととなり、後者によればできることとなります。会計年度未了の時期に解散する団体には監査をしないという一般原則があるのかというようなご質問でございますが、そういうものはございません。

 次に、監査委員が体育協会の解散を知ったのはいつの時点かということでございますが、平成十年十月十四日の監査委員会議で、世田谷区スポーツ振興財団の設立予定等の確認をした際でございます。

 事件が発覚した後、監査を行う必要があったはずとのことでございますが、当財団の不祥事は、三月十九日の朝刊での新聞情報や、第一回定例会及び予算特別委員会等で知ることとなりました。このような不祥事が発生した場合は、一般的には寄附行為に基づき、在来役員の監事がこれをまず監査し、その結果を関係機関等に報告することとなると思います。この事態に対処するため、ことしの三月二十六日に監査委員会議を開催し、平成十年度の体育協会の監査は、現在、清算法人において清算作業中により、団体自体の監査も今後行われていくことや、関係所管の調査が行われていること等を確認しております。これらのことを考慮し、今後、所管部や世田谷区スポーツ振興財団の監査を強化していくということを確認いたしております。

 監査委員は責任をとるべきとのことでございますが、平成十年度の財政援助団体等監査報告書の内容は、監査委員が監査を実施した結果について報告したものでございます。監査を実施していないものは含まれておりません。監査委員は監査結果について責任を負うものでございます。今後とも公正不偏の態度を保持して厳正に対処してまいります。
 以上でございます。


◆五番(木下泰之 議員) 今のお答えですけれども、全く答弁になっていませんね。財政援助団体等監査報告書、これは財政援助団体に対してどういう問題点があるか知る、議会にとっては唯一の資料なわけですよ。三月十八日にあれだけの不祥事が発覚したのだから、少なくともその時点からでもきちっとやればやれる。地方自治法百九十九条の七項には、「監査委員は、必要があると認めるとき、又は普通地方公共団体の長の要求があるときは、当該普通地方公共団体が補助金、交付金、負担金、貸付金」等の、そういった監査をすることができるという、そういう項目が設けられておりまして、やろうと思えばできるわけであります。しかも、重要な事件であります。三月三十日にこの報告書がつくられて、そして今の議会に報告されているわけであります。非常に大きな問題になっているにもかかわらず、これについて一切やらない、このことについては非常におかしなことであると思います。

 それから、先ほどの一般原則は学説が分かれている、解散したものについて監査ができるかどうか分かれていると申しましたけれども、解散してしまったら監査ができないなんていうことであれば、どんどん問題を抱えている援助団体は解散してしまえば、それきりなわけですよ。しかも、実際の解散については、一月三十一日に解散決議をしたのであって、解散はしていないわけですね。解散することを見込んで、例年二月二日に監査をやっているから、監査をしなくてもいいなんていうのは、これは言語道断であります。その前にやったらいいじゃないですか、少なくともね。

 逆に言ったら、一月三十一日付の解散は、この二月二日から四日の監査を当て込んで、その前に解散してしまえと、そういったことをした形跡がある。とりわけ十月の段階から、もう既に不祥事は公知の事実になっていたわけですよ、協会の中ではそうなっていたわけです。解散を決めることだって、それからできたわけですね。少なくとも援助金を出すときには、三月三十一日までの会計年度でやっているわけです。学説が分かれているというふうに言いましたけれども、本当にそうなんですか。その見解について、どんな学説がどういうふうに主張されているのか、きちっと答えていただきたい。


◎峯元 代表監査委員 学説がいずれにあるにしても、所管が今調査中でございますので、そういったことを踏まえて、まず内部統制機構の充実が大事だ、こういうふうに考えております。監査委員としては、また別の視点から監査をする必要があれば、監査委員で協議いたしまして、監査を実施してまいることになろうかと思います。


◆五番(木下泰之 議員) 学説があると言いながら、学説の根拠を示さない。これだけ大事な問題について、そんなことでお茶を濁してこの議会が通ると思っているんですか。また、議長、こういったことを許してはならないと思います。議会報告というのは大事な報告です。これについて問題があれば議会の方できちっと問題にして、区長も問題があれば監査を求めることができるわけでありますから、そういうことをぜひやっていただきたい。


○山内彰 議長 以上で木下泰之議員の質疑は終わりました。


◆五番(木下泰之 議員) 極めて重大な問題があります。ですから、緊急質問をさせていただきたいと思います、この問題について。


○山内彰 議長 これで諸般の報告を終わりにいたします。

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○山内彰 議長 これより日程に入ります。


△日程第一から


△第四を一括上程いたします。(「緊急質問の扱いは。議長、議長、緊急質問の扱いは」「静粛に」と呼ぶ者あり)静粛に願います。(「緊急質問の扱いはどうなるんだ」と呼ぶ者あり)この件につきましてはただいま終了いたしましたので、これより日程に入ります。(「議長、緊急質問を求めたんだよ、今。扱いをきちんとしなさい、扱いを。緊急質問」と呼ぶ者あり)
 それでは訂正をいたします。
 ただいまの件につきましてお諮りをいたします。
 この木下泰之君の緊急質問に対して賛成の方のご起立をお願いいたします。
   〔賛成者起立〕


○山内彰 議長 起立少数。よって本件については否決されました。

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