1997年9月 決算特別委員会会議録(自9月24日 至10月16日)

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●1997年10月2日 決算特別委員会 (総括説明、総括質疑)

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○(平山委員長) 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。

◆(木下委員) ただいまかなり深刻なお話があったんですが、小田急線の周辺の街づくり構想案というのを昨年まとめて区民への説明会なんかあったんですけれども、これを完成させていくためにかかる経費というのはどのくらいというふうに見込んでいますか。つまり絶対額でいいですよ。補助金がどうのこうのではなくて、絶対額どのくらいのお金が動くというふうにお考えですか。担当者の方、お答えいただけますか。

◎(岡沢都市整備部長) 各駅周辺で今協議会を運営してまちづくり計画を立てておりまして、その中でそれぞれ今後積算されていくと思いますけれども、今のところ数字は出ておりません。

◆(木下委員) かなり大規模な事業になるわけですから、少なくとも絶対額で大体どのくらいかかるというのが計算されて、区としてはどの程度関与するかとか、そういうことがない限りは、長期的な財政運営についてきちっとやっていく算段がないというふうに見なければいけないと思います。ですから、そういったことも含めて、多少のそういう試算はできているはずですから、そういうものも明らかにしつつやっていただきたいと思います。

 ところで、本会議で質問いたしました平成三年度の調査、小田急沿線交通施設及び街づくり調査についてお伺いいたします。

 本会議でも述べましたように、平成五年一月に区議会と区民に提示されました同調査の報告書では、この調査は、世田谷区が同調査の検討委員会を設置し、調査検討を行ったことになっておりますが、本会議では再三このことを確認しようとしましたけれども、理事者側はきちっと答弁されておりません。もう一度お聞きいたします。小田急沿線交通施設及び街づくり調査検討委員会は世田谷区が設置したのですか、そうでないんですか。

◎(徳善道路整備部長) ご質問の小田急沿線交通施設及び街づくり調査につきましては、これは平成三年度に調査研究を行ったものを報告書として取りまとめたものでございまして、調査の目的といたしましては、沿線の駅前広場や道路などの交通施設の検討や沿線地域のまちづくり事業による良好な市街地形成への誘導をするための基本的方向を探るために、財団法人都市計画協会に委託したものでございます。ですから、調査は同協会が検討委員会及び検討幹事会の会議体を設置、開催しておりまして、委員にはさまざまな角度から、職務知識や学識経験を踏まえつつも、自由な立場で意見を述べることができるように、同協会が個人的に参加をお願いしたものでございます。

◆(木下委員) それでは、この委員に対する委嘱状はどなたの名前で出しているんですか。

◎(徳善道路整備部長) 同都市計画協会でございます。

◆(木下委員) そうしますと、この委員会というのは一体どういう性格を持った委員会なんですか。これは世田谷区が調査検討したということになっていながら、都市計画協会なるわけのわからないところが──わけのわからないというか、有名なところなんですけれども、要するにここが委嘱状を出してそういう検討をすると。世田谷で独自に調査検討をしなければいけないはずのものをそういうものに預けてよろしいんでしょうか。まずどういう性格のものか、教えてください。

◎(徳善道路整備部長) この報告書に当たりましては、都市計画協会が設置した検討委員会の役割でございますけれども、これは委託作業を進める際、当調査の内容検討についてのさまざまな角度から専門的な立場で意見を述べていただく場として設定をしておるものでございます。

 なお、小田急沿線のこの調査報告書は、先ほど申しましたように、平成三年度に財団法人都市計画協会に委託し、調査研究を行ったものを世田谷区が報告書として取りまとめたものでございます。

◆(木下委員) 平成五年一月に報告されたときには、都市計画協会の協会のキョの字も出てこなかったですね。これを調べていきますと、例えばほとんど建設省などの天下り等の方々で構成されている財団法人ですよ。この委員会の名簿を見て、委員長、鈴木信太郎、早稲田大学講師と書いてありますが、これをよくよくいろいろ調べていきましたら、東京都の元技監なんですね。

 そういった意味では、この小田急線の問題について古くからかかわってこられた方です。それに含めて、建設省からお役人、この問題にかかわってきた方々、それから東京都からも、この問題にかかわってきた方々、それから、小田急電鉄の遠山一徳副本部長もこれに入っている。そういった形で、これは要するに連絡調整をここでやったという、そういう性格の会議なんじゃないんですか。いかがですか。

◎(徳善道路整備部長) 先ほども申し上げましたように、この調査につきましては、さまざまな角度から、職務知識や学識経験を踏まえつつも、自由な立場で意見を述べることができるようにということで、同協会が個人的に参加をお願いしたものでございます。

◆(木下委員) そうしますと、世田谷区の職員もこれに出ているわけなんですけれども、これは公用で行っんですか、私用で行ったんですか、どっちですか。

◎(徳善道路整備部長) ただいま申し述べましたように、同協会が個人的に参加をお願いしたものでございます。

◆(木下委員) そうしますと、世田谷区の区の職員、川瀬さんも含めてですけれども、一々有給休暇でもとっていらしたんですか、いかがですか。

◎(川瀬助役) こういう会議は多分に夜分で開かれておりまして、勤務時間を超えて夜分にほとんどは開かれております。日中はほとんどなかったと思います。

◆木下委員 そうしますと、世田谷区から参加をされた方々にも、この都市計画協会から報酬が払われたということですか。

◎(川瀬助役) 協会からは報酬をいただいておりません。

◆(木下委員) おかしいじゃないですか。私的に出かけていったものについて、都市計画協会が私的に呼んだものに対してどうして報酬が払われないんですか。

◎(川瀬助役) 私どもはいただくつもりもございませんし、ご遠慮申し上げてきたということでございます。

◆(木下委員) それでは、平成五年一月に書かれている、世田谷区が委員会を設置し、そして調査検討を行ったという記述は間違いですか。

◎(大塚助役) 区が都市計画協会に委託をして、そこで基本的な現状調査ですとか構想案について、いろいろ専門的な立場からご議論をいただきまして、調査の結果を成果としていただくわけです。その成果を踏まえて、区としてその成果の内容を、同じ場合もありますし、世田谷区が技術的な検討を加えた上で報告書としてまとめるものでありますから、この文章については間違いではありません。

◆(木下委員) 後で議論することにして、この報告書をまとめるに当たって、当時の森さん、世田谷の職員です。報告書の出し方については、本日の報告書についてはあくまでも委員会用ということにしていますというふうに言って、外へ出すときには、除くところは除き、ぼかすべきところはぼかすというように考えていますというふうに言っています。

 この議事は、一つは報告書の取り扱いについてということになっています。つまり、この前本会議でもご紹介しましたように、この報告書の取り扱い自体について、この委員会の最後の段階でやられているということは、つまり区民に対してどういうふうに隠そうとか、どういう作戦を練ろうかということもやっているわけですよ。そういった意味で、世田谷区議会に対しては世田谷区がやったと言い、本当のところは都市計画協会というものが介在していたということは……。

○(平山委員長) 以上で無党派市民の質疑は終わりました。

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 ●1997年10月6日 決算特別委員会 (企画総務委員会所管分に対する質疑)

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○(平山委員長) 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。

◆(木下委員) 時間がありませんので、本題から入ります。

 総括質問の際に、平成三年度実施の小田急線交通施設など整備計画及び街づくり調査についてお聞きいたしました。この調査検討委員会への委員の参加資格について、理事者側のお答えは、出席なさった委員各位は個人の資格で参加しているとのことでした。また、この委員会への委嘱状は世田谷区から調査委託を受けた財団法人都市計画協会が委嘱状を発行しているとのことでした。

 十九名の委員には、学識経験者や建設省担当者、東京都担当者、小田急の部長と並んで、当時の川瀬企画部長を初め、世田谷区の部長八名が参加しており、さらに事務局員としてパシフィックコンサルタンツなどのコンサルタント職員と並んで、当時の岡沢都市計画課長以下、係長、主査など六名の世田谷区職員が参加し、あわせて当時の森道路整備部長が幹事長を務める同調査検討委員会の二十二名から成る幹事会には、東京都、小田急の担当者とともに、十七名が世田谷区から参加しております。また、この事務局にも当時の都市計画課堀江係長以下四名が委員会事務局と同じようにパシフィックコンサルタンツなどの社員とともに事務局を担当しております。

 さて、当時の川瀬企画部長には報酬が払われていないと川瀬助役ご本人が答弁しておりますが、もう一度お聞きしますが、事実でしょうか。

◎(川瀬助役) お答え申し上げたとおりです。

◆(木下委員) そうしますと、川瀬助役は、当時は個人として参加した、そういうご認識ですか。

◎(川瀬助役) そのとおりでございます。

◆(木下委員) 係長以下の職員も含めて、当時参加された部課長の方々には報酬も払われていないし、また個人でその方々は参加した、そういうご認識ですか。

◎(川瀬助役) ちょっとお答えさせていただきますが、私どもが参加させていただいた委員会につきましては、協会から依頼があって、職務に関連する管理職が上司に報告して個人的に参加したものでございます。こうしたことは通例として定着しておりまして、時間外のことであり報酬も得ておらず、職務の専念の義務、あるいは兼業許可に全く関係がございませんので、そのような措置を講じているわけです。

 今、幹事会の問題が出ておりますが、これは事務的な処理を行うために事務局の職員として参加をしている。こういう場合には、旅費だとか時間外勤務手当等が所管の予算の中から支出しているものというふうに存じております。

◆(木下委員) そうしますと、この委員会は、都市計画協会がつくって委嘱したにもかかわらず、世田谷区の職員は残業勤務手当等をもらいながら、その事務局として参加していたんですか。

◎(川瀬助役) ちょっと説明させていただきますが、この調査は長期にわたって多様な意見が交錯する中で、事業者でございます東京都と小田急電鉄の意向や関連自治体、私の住んでいる町田なんかもそうですが、促進してくれというような動きが強くあって、こういう要望を踏まえて、所定の手続を経て東京都の事業方針が受け入れられて、そしてこの事業と連動する区の分担する駅前の広場であるとか、街路であるとか、まちづくりについて関係住民に原案を示すために設けられたものです。

 したがって、事業化に当たっては、線増の主体である小田急電鉄、連続立体交差化事業と、これに関連する都市計画街路の事業主体である東京都、さらに総体として事業認可を決する建設省、これと世田谷区との間で、それぞれが思っている事業の内容がそごがないかどうか調整するということは欠かせないことでございます。

 したがって、調査に当たっては、一つは、土地の現況や住民の生活の対応、官民が持つ諸計画、あるいは事業化に当たって配慮すべき情報を事前に集め、分析し、整理するという仕事。それを前提として、それぞれがそれぞれの思いを多角的に検討するということ。こういうことは当然行われるべきことでありますし、必要不可欠なものでございます。したがって、このことについて、世田谷区なら世田谷区側で物をどうやっているかということを事務レベルでやるのは、事当然のことでございますし、これは行政の事務として幹事会の方の職員は参加をしている。自由に意見を述べ合うという場面については、私的な依頼があって、先ほどお答えしたように、上司に報告した上、自由闊達なご議論に参加させていただいたということでございます。

◆(木下委員) 今、川瀬助役の説明したことに非常に矛盾があるわけですね。結局、世田谷区の意向を持って出席しなければいけない。それから幹事会の事務局には係長以下も出席している。そういった方々にいろんな指示も与える。そういったことでいけば、これは当然個人ではなくて、やっぱり世田谷区の職員として参加している。そういうことじゃないんですか。

◎(川瀬助役) 先ほど申し上げたように、客観的に情報を収集し、分析し、整理するというときは、あくまで客観的な事業でございますから、私見はありません。しかし、私は、どうも記録を見ると、余り積極的に発言していないようでございますが、そこに出た場合は、私の私見として、こういう問題についてはこういうふうに理解すべきだ、住民の意向はこういうことがあるということは、私見として率直に申し上げる、こういうことになります。明らかに立場は異なっております。

◆(木下委員) そうしますと、係長以下の方々は報酬はどこからもらっているんですか。都市計画協会から委嘱状をいただいてもらっているんですか。

◎(山中総務部長) 先ほど助役の方からのご説明のとおり、都市計画協会の調査をするに当たって、仕組みとしてあったのが幹事会と委員会です。それから事務局といいますのは所管事務局ですね。区の事務を取り扱う所管事務局としてその場面に参加している部分については、当然区の超過勤務命令が出ますから、そこで取り扱っているということでございます。

◆(木下委員) 世田谷区道路整備部交通企画課の日野交通企画主査は、検討委員会の議事録をめぐる情報公開訴訟の法廷の陳述書で、都市計画協会が委嘱状を出し、報酬を支払っていたというふうにしているわけです。そうしますと、委員の中で、要するに建設省や東京都に対しては報酬は払ったけれども、世田谷区の委員の方々には個人的に参加しているにもかかわらず報酬は払われていない、そういうふうにお答えになっているわけですか。

◎(川瀬助役) 本件については裁判で係争中の問題でございますので、お答えを差し控えさせていただきます。

◆(木下委員) 裁判で係争になっているのは、議事録をめぐる情報公開の話でございます。今ここで議論をしているのは、企画の関係で、世田谷区の重要な施策をするのに当たって参加資格でどうなのかということを聞いているんです。お答えください。

◎(川瀬助役) 私どもについてはいただいておりません。そのほかの者については、私どもが調査をし、ご報告するという義務もないし、係争中の問題でございますから、差し控えさせていただきます。

◆(木下委員) 全く不明朗な参加の形態だと思います。これは世田谷区が委嘱をして、それで世田谷区が本来きちっと調査をしているのにもかかわらず、それを都市計画協会から委託されたと、世田谷区、委託した本人が委託されている。こんなばかなやり方はないというふうに思います。そういった意味で、今後も追及を続けたいというふうに思います。

○(平山委員長) 以上で無党派市民の質疑は終わりました。

 ここでしばらく休憩いたします。

    午後二時五十五分休憩

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●1997年10月7日 決算特別委員会 (区民生活委員会所管分に対する質疑)

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○(平山委員長) 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。

◆(木下委員) 生産緑地法についてお聞きしようと思うんですけれども、生産緑地法ができてから、どのくらいの生産緑地が解除になっているか、また買い取りはどのくらいか、ちょっと数字を出してください。

◎(波多野都市農地課長) 生産緑地法が平成四年に改正されましてから、平成八年度の末までに解除された面積はおよそ十四ヘクタールでございます。買い取り申し出がなされたのは約八ヘクタールでございます。

◆(木下委員) 実際に買ったのはどのくらいですか。

◎(波多野都市農地課長) 購入いたしましたのは、約〇・九ヘクタール、約九千平米でございます。

◆(木下委員) 稲荷塚古墳を守れという運動が区民の運動でありまして、これが、生産緑地を解除して、そこに宅地開発をするという話だったわけです。私は、これは区が買い取って守るべき財産だというふうに思っているんですけれども、この前、請願がございました。請願の審査のとき、都市整備委員会で、大塚助役が、これについて、生産緑地法では区が買い取るのは義務でないということをおっしゃったんですけれども、そのとおりですか。──大塚さんに聞いているんです。お願いします。──いや、今お答えになると言うから。

◎(平谷産業振興部長) お許しをいただきまして、生産緑地の関係は私どもの部なものですから……。

◆(木下委員) いや、大塚さんに聞いているんですよ。

◎(平谷産業振興部長) 一応いわゆる生産緑地法の中で、委員ご案内のとおり、法令で買い取り申し出に関する条項がございます。その中で、特別の事情がない限り、いわゆる時価によって買い取るものとする、こういう文言が出てまいります。

 私どもの方も、いわゆる生産緑地の買い取りの申し出に関しては、ご案内の土地バンク運営委員会の中で一定の基準に基づく審査を行っています。基準についてはるる申し上げませんが、そのような審査に基づいて判断をしている、こういうことでございます。

◆(木下委員) 大塚助役に聞きますけれども、義務制ではないんですか。

◎(大塚助役) さきの議会で答弁したのは、生産緑地法の精神について、私からお話を申し上げまして、生産緑地に関する内容については、今部長が答弁したとおりでございます。

◆(木下委員) そうしたら、食言だと言うんですか、義務制でないというのは。どうですか。間違ったことを言ったと言うんですか。答えてください。

◎(大塚助役) 間違った答弁はしておりません。生産緑地法がそもそもできたときの経緯とその精神についてお話を申し上げたわけでございまして、具体的にそれを買うか買わないかは、最終的には私どもの方の土地バンクの中でいろいろ検討した結果、決めていくことでございます。

◆(木下委員) 法律ができたとき、そうなっていいないんですね。つまり、これは都市の宅地をふやすとか、そういった時代的な要請があって──バブルのころですけれどもね。それで、遊休農地について、一方で宅地並み課税をやって、宅地に放出させる。しかし、守るべき土地については、緑地については、きちっと守るべきものとして守っていこう。そういう趣旨で法律ができておりまして、まさに例外として特別な事情がない限り買うことが義務づけられているんですよね。

 それが、今、区の中では〇・九ヘクタール、つまり十分の一ですよ、十分の一しか買われていないわけですけれども、買わない特別な事情って何ですか。それを大塚さん、答えてください。

◎(平谷産業振興部長) これは、一定の基準についてお話をすることになるわけでありますが、いわゆる当然お求めになりますご本人のご意思はもとよりでありますが、区のいろんな計画に合致しているかどうか、あるいはその計画に合致していて、かつ財源の見通しはどうであるか、そういったものが、いわゆる生産緑地の買い取りの取扱要領の中で既に定めてございます。

 前段、委員おっしゃってございましたが、当時、平成三年に生産緑地法の改正がありました際に、一つは、いわゆる都市の農地を都市計画の立場から守っていく。これが一点ございます。それで、委員がお触れになったのは、その後段の、当時のいわゆる住宅の不足、そういう両々相まった形の中での改正法案だったというふうに私どもは理解しております。

 そういった中で、当時、私どもとしては、都市農地総合対策本部だったと思いますが、そういった全庁的な組織を設けまして、いわゆる宅地化する農地あるいは守るべき農地、最終的には農家の皆さんのご意向によるわけですが……。

◆(木下委員) 答えが長いですよ。

◎(平谷産業振興部長) 都市計画の形でやっていく、その中で基準を定めてきている、こういうことでございます。

◆(木下委員) じゃ、結局、特別な事情というのは何ですか。特別な事情を言ってください。端的に言ってください。

◎(平谷産業振興部長) ですから、それは、いろんな計画がある、なし、あるいは財源の見通し、そういったものを基準にしまして判断をしているということでございます。

◆(木下委員) 法律は、まさに例外規定として買わないことを──買わないことは、特別な事情がない限りということですね。買うことが義務なんですよ。それについて、何ら特別な事情を説明できないで、そういったことは言えないと思うんですよね。どうしてですか。

◎(平谷産業振興部長) 私どものいわゆる生産緑地に関します取扱要領の中でも、一定の基準の文言の中で特段の事情がない限り買うようにというのはありますが、その中の審査の基準でいろいろ条項があるということでございます。

◆(木下委員) ふだん区のお役人さんたちは、法律を超える条例はできないとか言っているんですから、法律は守ってもらわなきゃいけないんですよ。この法律は買うことを義務づけているんですね。しかも生産緑地を指定するときにはいろんな制限がある。つまり、将来、公共用地として使うところについて、これが認められるんですよ。そういったことで指定しておきながら、解除するときにはほとんど解除してしまう。こんなことでいいんですかね。まさに法律違反を積極的に犯しているということになりませんか。

 この答弁について、的確な答弁をするように、委員長の方から言ってくださいよ。これじゃ納得できませんね。的確な答弁を求めて、それが、回答が来るまでストップさせてくださいよ。

○(平山委員長) 木下委員に申し上げますが、一件一件ごとに違うんですよ。私も農業委員をやっていますから、その生産緑地法を指定したときの前後、それからできました条例等、全部承知していますよ。だから、的確に答えていますよ。答弁者は的確に答えていますよ。

◆(木下委員) 委員長、本当ですか。特法でですよ。

○(平山委員長) 何……。

◆(木下委員) つまり、特別の事情がない限りと書いてあることについて、一割しか履行していない。これは一割しか履行していないことの特別な事情について、何ら説明できていないじゃないですか。

◎(平谷産業振興部長) では、買い取り申し出の取扱要領の中で、申し出の項を読ませていただきますが……。

◆(木下委員) 法律に照らしてどうなのかと言っているんですよ。特別な事情って何だと聞いているんですよ。

◎(平谷産業振興部長) 特段の事情と申しますのは、今申し上げているような、個々のいわゆる審査の過程を総合的に申し上げた結果が、今、委員のご理解いただくという立場にすれば、特段の事情というふうにご理解いただいても結構かと思います。

◆(木下委員) 全然わからないよ。ちゃんと的確にね。

 委員長、今のことについては……。

○(平山委員長) 以上で無党派市民の質疑は終わりました。

 ここでしばらく休憩いたします。

    午後一時三十三分休憩

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 ●1997年10発9日 決算特別委員会(福祉保健委員会所管分に対する質疑)

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○(平山委員長) 続きまして、無党派市民、どうぞ。

◆(木下委員) おとといのこの委員会で、環境関係で、世田谷区が自動車公害実態調査等をやっているわけですけれども、そのことも議論になったわけですけれども、その中で四カ所を決めて定点観測しているんですが、騒音、振動について、環境基準はもとより要請限度基準──これは総理府が定めていて、交通規制や道路舗装などの措置をしなければいけないというようなことの基準、それも全部クリアしていないということなんですね。騒音、振動については、ぜひ改めて議論をしたいと思うんですけれども、あわせてこの調査の中でNO2についてもやっているんですね。これも全然クリアできていない。場所によっては──場所によってはというか、平均で六三ppb、一番多いときが一三九とか、ことしはもう少し多いですか、そういった基準になっているわけです。

 そこで、お聞きしたいんですけれども、大気汚染と肺がんや呼吸器疾患の関係について、川瀬助役はどのようにお考えになりますか。

◎(川瀬助役) 大変恐縮ですが、私は専門でないので、せっかくドクターもおりますので、そちらの方から答えさせていただきたいと思います。

◆(木下委員) ドクターからのご意見は、それはそれでいいんですけれども、行政の総括責任者のお一人である川瀬さんから、やはり大きな問題ですので、どういうふうに認識をお持ちになっているのかだけお聞きしたいと思います。

◎(川瀬助役) 私は、そうヘビースモーカーじゃございませんけれども、たばこを吸いますので、よく言うのですが、たばこで肺がんになるよなるよと言うけれども、大気汚染はどうなんだ。あっちの方がひどい原因じゃないのということを言ったりしておりますので、その程度の認識でおります。

◆(木下委員) それでは、担当者の方にお聞きしたいんですけれども、東京都は六十一年の段階で、大気汚染が肺がんと関係している、あるいは呼吸器疾患と関係しているというようなことについての調査をしているんですけれども、それについてちょっとご報告いただけますか。

◎(小池健康推進課長) 今、委員が言われた調査は、恐らく昭和五十三年度から昭和五十九年度にかけまして東京都で行った調査だと思います。たしか題名は複合大気汚染にかかわる健康影響調査であったと考えております。こちらでは、直ちに大気汚染と肺がんの因果性を論ずるのは困難としながらも、窒素酸化物、特にNO2でございますが、窒素酸化物を中心とする複合大気汚染と健康影響との関連があると示唆されたと認識しております。

◆(木下委員) 今、担当者の方は控え目にご報告されていましたけれども、これは当時の新聞では、NOxと女性の肺がんは相関性が高いということで報道されております。なぜ女性が高いかというと、女性はたばこを吸う比率が少ないということで、疫学調査は女性について比較したんだと思いますけれども、これによりますと、明らかに高いという意見が医学界などからも、この調査に基づいて出ているということなわけです。

 ところで、毎年、世田谷区が出しております「保健衛生事業概要」を見ますと、ことし、胃がんと肺がんを比べると、今まで日本人の死因の中では胃がんががんの中ではトップだったんですが、それが逆転して肺がんがトップになっているんですね。これは、おととしもちょっとの差でトップになっていたんですけれども、今度は肺がんが三八・六、胃がんが三一・三という数字で明らかに逆転しているんですね。

 これは全国統計で見ますと、まだ女性の方は──これは世田谷も大分前から逆転はしていると思うんですが、男性では胃がんと肺がんについては逆転しているんですけれども、女性も含めたものでは、全国平均ではまだ逆転にまでは至っていない。世田谷はいち早く肺がんががんの中では死亡率の一位を占める、そういう状況を迎えているわけです。

 疫学調査等について私は、この決算委員会や予算委員会の場をかりまして、ぜひやってほしいということを要請したんですけれども、どのような取り組みを今されているか、疫学調査についてはどんな検討をされているか、お聞かせください。

◎(小池健康推進課長) 疫学調査と申しましても、その定義も人によりさまざまでございます。私たちは、まずさまざまな因子を考えずに、大気汚染にかかわる健康障害者の医療費助成、これは東京都の事業でございますが、私どもがそれを経由しております関係で、人間と所在──住所をつかんでおりますので、それをとりあえず地図にプロットしてみました。

 その結果は、上馬、三茶といった交差点、また環八沿いが高かったというような結果が出ておりますが、また環境部の資料とつけ合わせまして、NO2の測定値が非常に高いところ、例えば上馬、八幡山地域だと思うんですけれども、そちらとの関連を見たんですが、やはり上馬地域は一致したというようなところが出ております。

 また、今年度、こういった結果を踏まえまして公害検診を、上馬の交差点を中心といたしまして他の地域と比較してみようというようなところで今推移しております。

◆(木下委員) 世田谷区は今、大きな変化を迎えようとしているわけです。とりわけ補助線がずうっと動かなかったのが、小田急の連続立交なども含めて全部あけていこうというような格子状に、グリッド状に道路をつくってこようというような感じになってきています。私は、それに対しては反対なわけですけれども、そういう状況を迎えて、大気汚染と呼吸器疾患との関係等については、やっぱり十分な調査等をしなければいけないと思うんですね。これは一保健衛生の関係だけじゃなくて、トータルな課題としてありますので、川瀬さん、その辺はいかがですか。

◎(川瀬助役) この前、エイトライナーの促進の総会の折であったと思いますが、新谷先生からのご講演を聞かせていただきました。問題は、今まで日本の交通処理の中で大衆交通機関、こういうものを非常に軽視してきた。それが非常に問題だ。はっきり言えば、例えば自動車に余り頼り過ぎた。だけれども、先進諸国では、公共交通機関に対しては補助を出してもそれを維持して、そして自動車を減らすという方法をとっている。将来、そういうことを考えれば、国の施策も変更すべきだ。エイトライナーには私は大賛成だ、頑張るべきだというご講演をいただきました。ですから、交通政策そのものも抜本的に変えていかなければいけないという時期が、先進諸国と同じように日本にも来たのではないかというふうに思っています。

◆(木下委員) 補助線を全部つくるなどという愚考はやめていただきたいと思います。

 そこで、統計があるんですけれども、六十二年から平成八年までの自動車の保有台数、都内で六十二年を一〇〇としようとすると、八年度は一一五になっているんですね。ところが、都内の交通量はそれほどふえていない。これはまだ渋滞しているからですよ。これでどんどん道路をつくったら、保有している車がどんどん出てくる。外からも入ってくるという状況になりますので、そういうことも含めて考えておいていただきたいと思います。

○(平山委員長) 以上で無党派市民の質疑は終わりました。

 ここでしばらく休憩いたします。    午後零時八分休憩

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 ●1997年10月13日 決算特別委員会 (都市整備委員会所管分に対する質疑)

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○(平山委員長) 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。

◆(木下委員) 経堂駅周辺街づくり協議会の運営について区の見解をお聞きしたいと思います。

 この協議会には運営委員会が置かれておりますが、この協議会の会則の第五条の四は「運営委員会は協議会運営に関する予備的検討を行います。」としており、協議会総会で決定を見ない限り協議会の重要事項の決定はできないシステムになっております。ところが、会の運用基準なるものを協議会の決定権を持っていないにもかかわらず運営委員会が勝手に決めて、しかもこの協議会の「街づくりニュース」に掲載しております。これは会則からの逸脱だと思いますけれども、いかがでしょうか。

◎(小畑世田谷総合支所長) 今お話しの経堂駅周辺街づくり協議会の会則でございますけれども、世話人の皆さんが設立準備会の段階から数次にわたる議論を経た上でまとめられたものでございまして、昨年の十一月の協議会発足時に一部の修正を加えて定められたものでございます。

 今のお話にございました運営委員会でございますけれども、この会則第五条に基づきまして、協議会の運営を円滑にするために会員の互選により選ばれた運営委員十名以上から成る運営委員会が設けられ、活動しているわけでございます。

 この運営委員会は、今お話がございましたように、協議会の組織運営に予備的な検討協議を行うことを目的に、会長を初めとする運営委員の皆さんが開催しているものでございまして、その運営方法については運営委員会の判断にゆだねられているものと理解しております。運営委員会でこの事前の協議検討の中で協議会の運営方針について、今お話のあったような結論を出されたものと受けとめております。

◆(木下委員) 問題は、もう決定事項として「街づくりニュース」の中に書かれて配られているんですよ。しかも、これは区の職員が手伝ってまいた。これはだから運営基準というのはまだ発効していないと考えてよろしいですね。

◎(小畑世田谷総合支所長) 今お話し申し上げましたように、あくまでも運営委員会は協議会の組織運営についての予備的な検討、整理を行うところでございますので、運営委員会としての方針についてはご判断されたと思っておりますけれども、最終的には協議会の承認を得て、協議会全体の会則になっていくと理解しております。

◆(木下委員) 事務局補佐を区の職員がやっていながらそういった逸脱をした、つまりもう決定であるかのようなそういった文言が載ったニュースが配られているんですよ。こういったことはあってはならないと思いませんか。

◎(小畑世田谷総合支所長) 繰り返し申し上げておりますように、運営委員会の方針としては協議会の組織運営についてそういう判断をされ、その方針を定められたと受けとめております。

◆(木下委員) 全くひどい話です。

 さて、この協議会会則の運営などについては第六条に定められております。第六条の四には、「協議会の会議は公開とします。」とされております。私は先日開催された運営協議会を、副会長の高品さんという方の解任問題というのがありまして、これはまだ区の見解では解任されていないという見解ですし、私もそう思いますけれども、こういった問題がありますので傍聴しようとしましたが、石綿会長以下出席していた五名の役員は運営委員会の傍聴は認められていないと言うんです。そんなことがあるんですか。

◎(小畑世田谷総合支所長) 先ほど申し上げましたように、この運営委員会は、会則の第五条に基づきまして会員の互選により選ばれた運営委員十名以上から成る運営委員会、これを設けられ自主的に運営されているものでございます。したがいまして、運営委員会の運営方法につきましては、会長を初めとする運営委員の皆様が自主的に開催しているものでございまして、その運営方法については運営委員会そのものの判断にゆだねられているものと理解しております。

 ご指摘のとおり、会則ではその第六条で「協議会の会議は公開」とされておりますが、ここでいう「協議会の会議」とは関係住民全体を対象とする会議を指すものと考えております。したがいまして、運営委員会を公開するかしないか、これは繰り返しになりますけれども、運営委員会の皆様がお決めになることと理解しております。

◆(木下委員) そうではないですね。例えば、六条の一項は「協議会の会議は、会長が招集し主催します。」と書いてあります。つまり、協議会の会議というのは運営委員会も含むんですよ。それで四項には「協議会の会議は公開とします。」と書いてあるんです。これはすべての会議について公開するという条項なんですよ。それを逸脱して、区議会議員である私が傍聴したいと言っても追い返す。しかもその会議は、私がそこにずっといようとすると、きょう傍聴に来ている住民の皆さんも一緒にいました、そうしますと、流会としたわけですね。その日にはコンサルタントも来ていたんですよ。これはコンサルタントに六万円も払われている。その日の六万円はどうなったんですか。わかりますか。

◎(小畑世田谷総合支所長) 運営委員会としてのご相談はその段階まで行われたと思っておりますけれども、いずれにしてもそのときのコンサルタントに派遣の報酬費については、今のところちょっと私の方は把握しておりませんのでお答えできません。

 今お話しされました協議会の会則でございますが、この協議会会則は、先ほど申し上げましたように、地域の関係住民みずからの発意で世話人等から成ります設立準備会、そこで数次にわたる議論に基づいて会則案が作成され、昨年の十一月の協議会発足時に一部見直しを加えてできたものでございます。

◆(木下委員) 繰り返しはいいですよ。

◎(小畑世田谷総合支所長) したがいまして、自主的に定められた会則の条文につきまして、私どもは、それが正しい、こういう解釈だということを申し上げる立場にはございませんが、あえて申し上げれば、協議会会則において公開するとしている協議会の会議、これは組織体としての協議会が開くすべての会議を意味するのではないかという趣旨からのご質問ではありますけれども、今ご質問の中にもありましたように、第六条において「協議会の会議は、会長が招集し主催します。」となっております。しかし、第五条におきましては「会長は必要に応じて運営委員会を開催します。」としまして、運営委員会と協議会との会議を別々に定めております。したがって、協議会の会議とは関係住民全体に呼びかけて開催される、いわゆる総会を意味するものと私どもは理解しております。

 ただ、私ども区といたしましては、協議会会則の個々の条文の解釈もさることながら、重要なことは、この街づくり協議会が地域の住民の皆様により自主的に運営され、かつまちづくりについて活発なご議論をされた上でまちづくり計画の原案を早期にまとめていただくことが経堂まちづくりにとって最も必要なことではないかと考えております。

◆(木下委員) 全く今の答弁は納得できませんね。つまり、会議についてこの読み方が役人の読み方とは思えない。そのことを言っておきます。

 それから、世田谷区生産緑地買取り申出等取扱要綱についてお聞きします。ここに予算と書いてありますが、五条の予算というものは、例えば今年度の予算でどういうふうに定められていますか。

◎(岡沢都市整備部長) 基本的に土地開発公社、その中で事業用地の取得ということで一部を当て込んでおります。

◆(木下委員) 大体どのぐらいの額ですか。

◎(岡沢都市整備部長) 三十億円が先行取得の予算で、その中の一部を使うということでございます。

◆(木下委員) 買い取り基準というのがあるわけですけれども、これは、つまり法の買い取りが義務だということに関しまして、この要綱自体が僕は非常に違法なものだと思うんですよ。それについてはどういうふうに思いますか。

◎(志村都市計画課長) 買い取り基準につきましては……。

○(平山委員長) 以上で無党派市民の質疑は終わりました。

 ここでしばらく休憩いたします。

    午前十一時三十一分休憩

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 ●1997年10月14日 決算特別委員会(文教委員会所管分に対する質疑)

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○(平山委員長) 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。

◆(木下委員) 文教分野の決算の委員会ですので、私、ここ半年ぐらいの間で一番ショックだったことというのは神戸のあの事件なわけです。私は都市整備委員会にいまして、町の問題等についてずっとやってきているんですけれども、教育といいましても社会の反映だということもありまして、神戸の事件等も教育だけが問題なのかどうかということも言われております。私は、神戸の事件の背景に、ある種の社会的な荒廃といいますか。といいますのは、町を考えてみますと、非常に無機的な雰囲気のする町である。そういったところから、犯罪にも関係してきてるのではないかというようなことが、いろんな論者の中で言われているんですね。

 そういった意味で、ちょっと教育長にお尋ねしたいんですけれども、町の風景、特に世田谷の町の風景というのも最近非常に荒れてきているという感じがするんですね。緑も少なくなってきていますし、それから、小さな一戸建てみたいなものがどんどん建ってきている。そういう町の風景と子供たちの今後の環境等についてどのように思われるか、そのことについてお聞きいたします。

◎(津吹教育長) 世田谷と限定されると非常に難しいわけですが、今、アノミーな時代、要するに、社会的な倫理観だとか価値観の体系が崩れて、混沌とした時代だというふうなことが言われています。そういうことから、どうも子供の問題にまでそういうことが波及しているかなというふうに思います。そればかりではありません。自然環境が徐々に破壊されて、これはどういう基準でやっているかわかりませんが、世界環境会議の、時計の針は十二時間単位で今九時四十五分を示している、あと残りわずかだというようなことも言われています。そういう中で、子供が大人の行動を見て育って、いろいろな問題が引き起こされている。ちょっと荒っぽい言い方で恐縮ですけれども、そういうことになるのではないかなと思います。

 そういうことを考えますと、世田谷区の現状も、決して他に比してすぐれてそういうものが残っているというふうには私は思っておりません。やはりそういうふうに変わりつつというか、少しずつほかのところと同じような方向にあるのではないかなというふうな考えを持っております。

◆(木下委員) 実は稲荷塚古墳の問題についても、これは「世田谷の農地を保全し、よりよい街づくりに活かすために」という平成五年三月の世田谷区都市農地総合対策本部の報告書というのがあるんです。この報告書は私は結構評価するんですけれども、この中でもやはり教育の問題等にも触れているんですけれども、まず最初に、稲荷塚古墳の文化的な意義についてちょっとお聞きしておきたいと思います。

◎(若林生涯学習部管理課長) お話しの稲荷塚古墳でございますが、喜多見古墳群の一つという位置づけになっておりまして、直径が約十三メートルの、いわゆる円墳ということでございます。昭和三十四年と五十五年の二回の調査が行われておりまして、横穴式石室を持つ古墳である。玄室等から圭頭の太刀とかもろもろ、郷土資料館で保管するような出土品が出ております。このため、この古墳につきましては、昭和五十四年に世田谷区の指定史跡ということで指定をしております。また、主な出土品についても、昭和六十年に有形文化財に指定しました。なお、この古墳でございますが、石室の構造とか副葬品からいって、七世紀初頭に築造された砧地域の族長クラスの墓だろうというふうに推定をしております。

◆(木下委員) 七世紀初頭といいますと、昔、歴史の学習の中でいろいろ学んだことを思い出すと、ちょうど遣隋使などというのが出ていたころですが、そういった古い遺産について、子供たちへの教育としても残していく、あるいは周辺の環境も含めて残していく、そういうふうにはお考えになっていませんか。

◎(若林生涯学習部管理課長) ご案内のように、この稲荷塚古墳周辺の土地の開発という問題があったわけでございますけれども、このことに対して、文化財を所管しております教育委員会としまして、庁内の関係所管に対しては、区の指定文化財である古墳の保全について十分な配慮を願いたい、こういう趣旨でのさまざまな意見、見解を申し述べてきた経過がございます。

◆(木下委員) 先ほどお話ししました世田谷区都市農地総合対策本部の報告書ですが、これの最初に、土に触れ、農業を体験する機会を住民に提供して、教育やレクリエーションの場とするというようなことが書かれているわけですね。生産緑地等を使って、生産緑地が解除されたときに買い取ってそういうものにするとか、あるいは農地をそういうものと位置づけるというようなことが書いてあります。しかも一二ページには、都市農地総合対策として具体的な施策を提案しておりまして、その中でふれあい農園制度等も出ているんですけれども、今度の事案についてそういうことも検討されたということになりますか。

◎(若林生涯学習部管理課長) そのことについて、教育委員会の中でといいますか、私ども文化財の担当としては、そういうことで議論したということは承知をしておりません。

◆(木下委員) そもそも都市農地総合対策本部には教育関係からは入っておられたんですか。いかがですか。

◎(若林生涯学習部管理課長) 詳細を存じ上げなくて大変申しわけございませんが、生産緑地ということで存じておりますけれども、私の担当として存じ上げている範囲で申し上げれば、会議には参加はしていなかったのではないかと思っております。

◆(木下委員) 農地も平成三年に改正されて、そのことがこの報告書にも書いてありますけれども、第二の農地に関する改革であるみたいなことまで書かれているわけですね。都市の農地をどういうふうに管理していくかということについては、極めて画期的な法改正だったということで位置づけられているわけですけれども、そういった中に、やはり教育の関係者もきちっと参加されて議論しておくべきだったと思うんですね。しかも世田谷にとって農地というのは、世田谷を形づくっていく上で原点になるようなところがあるわけですね。それは古代はもちろんのこと、例えば近代では、徳冨蘆花等もいるわけですから、そうしますと、例えば生産緑地について、どんな文化財がそこにあるかということについて、そういうマップを照らし合わせて見たことがありますか。

◎(若林生涯学習部管理課長) お話しの部分は、いわゆる埋蔵文化財の宝蔵地という形で理解をさせていただけるかと思うんですが、埋蔵文化財の宝蔵地につきましては分布図を用意してございます。こういうものと比較したときに、生産緑地に含まれているもののも一定数あるだろう、こういう認識をしております。

◆(木下委員) 私は、古代の宝蔵地も含めて、徳冨蘆花の周辺にもまだ緑が残っていますね。そういったものを、やはり教育の観点から、文化を守るという観点からも総合的にきちっと把握して、例えば生産緑地が解除になるというときに……。

○(平山委員長) 以上で無党派市民の質疑は終わりました。

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 ●1997年10月16日 決算特別委員会(補充質疑、採決)

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○(平山委員長) 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。

◆(木下委員) 先ほどの区長の海外交流に対しての発言なんですが、一言だけ私は申しておきたいことがあります。

 座ったままでもできることはたくさんあるわけであります。座ったままでは何もできないとおっしゃいましたが、問題は、何か格好をつけているようなことばかり、海外視察というようなことでやっているわけです。座ったままでもできることはたくさんある。そのことを最初に申し上げておきたいと思います。

 生産緑地法について、お聞きしたいと思います。

 生産緑地法について、農民が志望等があった場合には区に買い取りの申し出をすることになっておりますが、特別の事情がない限り、その際には当該生産緑地を時価で買い取るものというふうに規定されているわけです。これに対して、私の質問に対する答弁や鈴木委員に対する答弁で、要綱を示してご回答があったわけですけれども、法規を担当している部署の方は、あの回答でよろしいというふうにお考えですか。

◎(岡沢都市整備部長) 都市計画法に関連します生産緑地法の解釈といたしましては、そのとおりでいいかというふうに考えております。

◆(木下委員) 何か建設省からそのような明確な要綱等が出ているんですか。

◎(岡沢都市整備部長) その件につきましては生産緑地法の十一条のことだと思います。生産緑地の所有者から買い取りの申し出があったときは、市町村長は特別な事情がない限り時価で買い取るものとする、こんなふうに定めてありますけれども、その解釈というのが、建設省で出しております「生産緑地法の解説と運用」、こういう本でございまして、我々はこういうものをよりどころとするわけですけれども、その中で明確にうたわれております。

◆(木下委員) 「生産緑地法の解説と運用」についてなんですが、これはもう絶版にもなっていますし、担当部署の方にぜひこれを見せてほしいと言ったんです。そうしたら、これは見せられないというふうに回答があったんです。しょうがないから、これを図書館で借りてきましたけれども、これをよく読んでみるとそんなことは書いていませんよ。特別の事情について、これは何と解説しているか。幾つかあるわけですけれども、「財政赤字で再建団体となっている市町村等について全部買い取ることを義務づけることも不可能を強いることとなり、これらの財政上の理由についても『特別の事情』に含まれうると考える」、そう書いてあるだけなんです。

 例えば予算関係でそういうことを言うのであれば、世田谷区は赤字団体ですか。再建団体になっていますか。なっていないですよ。

◎(川瀬助役) 一般的なことでお答えをさせていただきますけれども、委員ご案内のとおり、法というのはかなり簡潔な言語によって表現されているわけです。したがって、それを解釈運用する場合には、それだけではいろいろな解釈が出てきてしまう。これは不都合になるわけでございますから、法解釈運用については、十全を期するために政令、省令、通達等が出され、あるいは行政実例が出てきて有権解釈という形で体系が行政法の運営上はなっているわけでございます。

 今のご質問でございますけれども……。

◆(木下委員) 端的に答えてください。

◎(川瀬助役) 私が勉強させていただいたときに、結核予防法のお話で勉強させていただきました。あそこには、開放性結核等になった場合には就労を禁止する、あるいは強制命令入所をさせる、その費用は国が負担すると書いてございます。しかし、財政がなくてそれは負担できないという場合には、財政の許す範囲内によってとどめることは妥当なのである、こういう解釈もございます。

 いずれにしても、行政というのは法の解釈をあいまいにしないために有権解釈権を使った指導通達があるわけでございまして、そういうことを援用して我々は行政をやらざるを得ないわけでございますので、ご理解をいただきたいと思います。

◆(木下委員) 本当にちゃんとその辺の勉強をされたのか、非常に疑問です。といいますのは、区の要綱がある。これは完全に法律違反ですよ。例えば、区の要綱第四条では「区長は、買取りの申出があった生産緑地が、次の各号の一に該当し、かつ、公道に接道するとともに、土地の形態が公共用地に適すると認められる場合は、特別の事情がない限り原則として申出生産緑地を時価により買取るものとする」というふうになっているんです。

 ところが、法の方は、市町村長は特別の事情がない限り当該生産緑地を時価で買い取るものとするというふうに無限定に書いてあるんです。ということは、つまり生産緑地を指定するときには指定基準があるわけです。指定基準があって指定しておきながら、これは平成三年に閣議決定を待って、つまり守るべき緑地と宅地に開放すべき土地を峻別して定めることになっていますから、定めた以上は、それを原則として買い取ることが義務づけられる法律体系になっているわけです。ところが、この要綱では、まず、例外規定と規定しているのではなくて、買い取る基準を決めているんですよ。しかも、買い取る基準のほかに、予算も勘案するような形になっている。これは全くの逸脱ですよ。つまり、一割しかまだ買っていないわけです。例外というのは、例えば一割買わなかったといえば例外の範疇に入るかもしれません。しかし、九割方買わないで一割しか買っていない。それがどうして例外に入るんですか。

◎(川瀬助役) 委員の法解釈、運用についてのご見識は承りました。私どもは、従前の行政運営のシステムからいって違法性はないと解釈しておりますので、もしそういうことであるならば、行政事件の訴訟その他の権利もあるわけでございますから、そういうことでご理解を賜りたいと思います。委員のご解釈の方法もあるんだなということをただいま勉強させていただきました。

◆(木下委員) これは大変なことですよ。例えば、農民が買い取りを申し出る、それが不調になったときには、収用委員会の裁定にゆだねることもできるわけですよ。生産緑地法ができたときには、まだ民間の土地、つまり民間売買の土地が非常に高かった。もちろん時価ということは、それに合わせて決めるというふうにおっしゃるかもしれませんけれども、しかし、実際の値段のつけ方というのは、行政に売ったときがいいか、民間に売ったときがいいかというのは、それぞれ時期によって格差があるわけです。最近は行政に売った方が分がいいというようなことさえ言われているんです。ですから、農民がもしこれについて買い取らないということで訴えを起こしたら、あなた方は負けますよ。このことは断言しておきますよ。

◎(平谷産業振興部長) まず、ただいま収用委員会の話が出ました。その点に触れさせていただきます。収用委員会が出てまいります場合というのは、区が買い取り通知を相手方に出しまして、それでもう既に買い取りの申し出が出ておりますから、いわゆる契約が成立する。成立する以上は、協議が調わないと不幸な事態になるものですから、いわゆる都知事の所轄する収用委員会に申し出て最終的に決着できる。

 今いろいろお話がございますが、川瀬助役がご答弁申し上げてございますように、一切私どもとしては違法性というふうには思っておりません。実績を申し上げますと、平成八年四月時点で全体五区を合わせまして十六件、うち世田谷区は七件ということで抜群の実績を誇っているということでございます。

◆(木下委員) 他区がどうであろうと、他区も間違っていると思います。いいですか、この問題は大変な問題ですよ。二十四日に東京都の都市計画地方審議会の承認事項となっていますけれども、これは全く違法な事態を区も容認し、そしてまた、東京都も追認しそうになっている。非常に大変なことだということを申し上げて、私の質問を終わります。

○(平山委員長) 無党派市民の質疑は終わりました。

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