平成9年第2回定例会(自69日 至616日)

世田谷区議会会議録

1997年6月10日 一般質問 岩崎邸井奥問題、土地開発公社 街づくり協議会


○(真鍋欣之議長) 次に、三十七番木下泰之議員。

  〔三十七番木下泰之議員登壇〕

◆三十七番(木下泰之議員) 通告に従い一般質問を行います。

 三月三十日に朝日新聞が一面トップで取り扱った井奥貞雄国土庁政務次官の岩崎邸買収介入問題についてお聞きいたします。

 この岩崎邸問題は、既に昨年の六月からこの議会でずっと問題になってきたことはご承知のとおりです。朝日新聞報道が伝えた新しい事実は、井奥貞雄政務次官が大蔵委員であった昨年三月に、大蔵省幹部を通じて都市銀行側に面会を求め、この都市銀行を含めた金融三社に直接出向いて交渉に当たったこと、また、本年三月には、国土庁政務次官でありながら、三社のうちの都市銀行とは別の金融機関が新たな競売申請をなしたことに対し、都内の同社を訪問して、担当役員を大声で問いただし、取り下げの圧力をかけたということであります。

 都市銀行側の都市銀行とは住友銀行でありますし、別の金融機関とはセントラル抵当証券であります。既に井奥氏が昨年、金融三社と交渉して岩崎邸の二十二億円の不良債権を八億五千万円に圧縮した上で世田谷区長に面会を求め、世田谷区幹部を料亭などに接待した上で十三億円ベースでの世田谷区への買収の話を取りまとめたというところまでは、この議会でも明らかにされてきましたが、三月三十日の朝日新聞の報道は、この事実を取材によって後づけたばかりでなく、昨年の不良債権圧縮処理が大蔵官僚までをも関与させたものであったこと、さらには、国土庁政務次官になった今でも、この問題の処理に直接、かつ深く介入しているという事実をあばいたものであります。

 私は、一連の井奥氏の行為は職権乱用であり、債権圧縮を取りまとめたこと自体が犯罪であるというふうに考えております。ビックバンを前に、金融秩序の公正さが国際的にも求められている今日です。やっと野村證券、第一勧銀等と総会屋との腐れ縁にもメスが入りました。しかしながら、忘れてならないのは、その腐れ縁に介在する政治家の存在です。いずれメスが入るでしょう。そこまで切開しなければ、我が国の金融秩序は維持できないところまで来ています。井奥氏の問題は野村證券の問題からすれば規模が小さいかもしれません。しかしながら、金融への政治家の不当介入ということでは、これほど直接性をあらわにした事件もありません。しかも、副大臣との名称もつけられようとしている政務次官の職権乱用です。検察はこのような事案から立件すべきなのであります。一方、当然のことながら、井奥氏は職を辞するべきであります。このような人物が代議士であり続け、いまだに国土庁政務次官としての重責を全うしているということは信じがたいことであります。

 そこで、区長にお聞きしたい。一連の井奥氏の行動についてどのように認識されておられるのか。区長は直接井奥貞雄氏と会っておられるわけです。井奥氏の一連の行動は職権乱用と考えるが、どう思われるのか。世田谷七十六万区民を代表して、また、一方の当事者としての見解をお伺いしたいと思います。あわせて、新たな事実が明るみに出たということから、区としては、とりわけ井奥氏の職権乱用関連を中心に再調査をするべきであるというふうに考えますが、いかがお考えでしょうか。

 また、岩崎邸買収についての区の今後の方針についてお伺いいたします。

 結局、下条議員の質問から始まり、私を含め四つの一人会派が二度にわたり百条調査委員会の設置を求め、その後も継続してこの問題を追及してきたことから、平成八年度には岩崎邸についての土地開発公社の予算は執行されませんでした。土地開発公社の九年度予算には岩崎邸買収予算は計上されなかったとも聞いております。ところが、いまだに世田谷区はこの土地について性懲りもなく買おうとしている。買える状況になったら補正予算を組むと言っているのであります。順正寺との二重契約問題もさることながら、井奥国土庁政務次官の一連の工作は、もはや世田谷区が買うという前提を取り払い、すべてを白紙に戻さなければこの問題は解決がつかない問題であることは明らかであります。区議会の請願採択も、何が何でも買えというのではありません。土地交渉に問題がなかったらばという条件つき採択にすぎません。したがって、区長はこの土地については、この問題の経緯からしても、もはや買わないと明言するべきであります。そうすることこそ、この土地の不良債権処理に公正さを担保する唯一の方法であるというふうに考えます。区長の見解をお伺いいたします。

 ところで、岩崎邸の問題は、昨年同じ時期に問題となった小坂邸買収問題とあわせて、地方自治体が民間の土地を買収する際の問題点を浮かび上がらせました。岩崎邸は十三億円ベースと言われておりますが、小坂邸は三十億円であります。いずれも緑地買収という名目ではありますが、岩崎邸は不良債権処理絡みであり、小坂邸は相続対策絡みであります。岩崎邸は先ほどから述べてきた井奥国土庁政務次官が区長に、小坂邸は生前の小坂徳三郎氏が区長に面会を求めることから問題は始まっています。

 財政難と言われながら、五十一億円もの予算を緑地保全として用地買収に振り向ける。一見、緑保全に熱心なように見えます。本当にそうでしょうか。世田谷の面積の六分の一を擁する多摩川風致地区内の建ぺい率は、ほとんどが二種地域の四〇%です。ここにマンション等が建つときには、五五%、あるいは六〇%へと平気で緩和を許してしまう。一般の地域でも、建ぺい率、容積率の建築違反は野放しにしてしまう。世田谷の緑を守っているのは民有地の緑、言いかえれば庭の緑であるのに、これを本気で守ろうとしない。一戸建ての消失を当然視し、二子玉川や三軒茶屋の高層ビル群の林立を賛美する大塚助役などの理事者側の議会答弁とあわせて考えるとき、五十一億円もの緑地用地買収予算は、結局はゼネコンや不動産開発業者と結びついた大規模再開発行政の隠れみの以外の何物でもありません。

 小坂邸を例にとれば、むしろ買収せずに、民有地のままいかに緑を守るか知恵を絞って考えるのが、真の都市緑地保護政策なのであります。バブルが崩壊し、土地の値段がグラフ上の右下がりになってみると、地方公共団体の土地取得は、土地を市場価格よりも高く売りたい者や不良債権を処理したい者にとっては格好のえじきということになります。岩崎邸に関して言えば、二十二億円もの債権がついた物件を、八億五千万円で債権処理をまとめ、十三億円で世田谷区に売れば、五億五千万円はだれの懐に入るのか。仲介に立った人の懐に入るということはだれにでも想像のできることであります。しかも、他会派による不動産鑑定士を入れた簡易鑑定では、物件の時価は八億八千万円にすぎないと指摘されているのでもあります。

 小坂邸三十八億円の売却に関しては、小坂徳三郎氏が区長に口を聞いた後、もともとの小坂邸の不動産管理会社であり、小坂邸の所有法人である日栄興産から、同族法人である日栄興産から親族の政治家すべてが撤退し、そこに岩波建設株式会社という不動産屋の社長が役員に参加し、その後、岩波建設株式会社は日栄興産を吸収合併しました。その間に二十五億円もこれを抵当に入れて借金をしているのであります。この二十五億円が何に使われたかは興味深いところであります。

 ともあれ、小坂徳三郎氏は他界し、相続対策を見事に済ませた上で、結局、小坂邸は、当初の交渉相手である日栄興産ではなくて、岩波建設株式会社が世田谷区と世田谷区土地開発公社に土地を売却し、小坂一族の政治家の名前は一切出てこないという見事な離れわざをやってのけております。この岩波建設株式会社の役員は国税官僚OBや警視庁官僚OBであり、名うての不動産会社であることは注目しておく必要があるでしょう。また、公園用地であるのならば、畦畔、いわゆる青道の存在は一向に不都合ではないにもかかわらず、しかも小坂徳三郎氏が買ってくれないかと持ちかけた土地であるにもかかわらず、あえてこの青道を国から一括取得させた上で、高上がりに購入するという便宜も与えたということは、十一月の議会で大庭正明区議が追及したところでございます。

 問題は、このような疑惑に満ちた土地取引が、土地開発公社を隠れみのにしながら行われているということであります。土地開発公社の評議員会には一部の区議も参加はしておりますが、例えば岩崎邸については、評議員会にすら、一体幾らの予算で買おうとしているのか、あるいは昨年度未執行になった予算すら明らかにしておりません。にもかかわらず、区のトップは、当事者の代理人には十三億円をベースでとの約束さえしており、これに基づく予算が計上されているのであります。

 しかも問題なのは、公園緑地などの都市計画決定の内定がとれさえすれば、補助金を当てにしての先行取得が大手を振るうことになるということであります。岩崎邸では、順正寺との契約問題が先行して存在していたにもかかわらず、公園緑地の内定をとってしまったわけだし、小坂邸に関して言えば、いわば有力な政治家であった小坂氏に頼まれて公園緑地決定をとってあげた格好になっております。小坂邸については、以前に緑地取得をすべきだという請願も、周辺の声も、区役所内部からの声も一切なかったのであります。

 そもそも公共用地の取得は公明正大であるべきであって、隠し事があってよいわけはありません。莫大な用地取得費をかけるわけですから、なぜその土地でなければならないのか、また、本当に取得する必要があるのかについての吟味はオープンに議論される必要があります。公共用地取得には税制などの優遇措置がセットになっており、そのことだけでも民民の取引よりは土地所有者に有利になっているはずであります。そうであればこそ、予定予算などはオープンにされてしかるべきなのであります。少なくとも土地の値段が下落傾向にある今、融通無碍で秘密体制にある土地開発公社を使って土地の先行取得をすることは、土地取引に関する癒着の温床になりこそすれ、公正な取引にとっては有害無益という状況にすらなっております。

 そこで、お聞きいたします。土地開発公社の立てる予算は少なくともオープンにすべきであると考えるが、いかがか。未執行の岩崎邸の八年度予算すら明らかにできない理由についてお答えいただきたい。また、土地開発公社の役割は終わったと私は考えております。また、そもそも千代田区のように土地開発公社を持っていない区もあるわけであります。したがって、この際、世田谷区としては、土地開発公社は解散してしまうべきだというふうに考えます。区長はいかがお考えになるでしょうか、お答えいただきたいと思います。

 次に、街づくり協議会のあり方、それと、同協議会への専門家の派遣についてお聞きいたします。

 小田急線の連続立体化事業に伴い、各駅ごとに駅周辺街づくり協議会なるものができておりますが、ほとんどが準備会の段階から世田谷区の関与によってつくられており、実質的な事務局は区の担当課や支所が受け持っており、区民の組織とは言えないものになっていることに私は大きな危惧を抱くものであります。小田急線の連続立体事業の問題は、東京都が高架による事業を強引に推し進め、世田谷区もこれを追認してきました。区議会自身が二度も地下化決議を上げているのは歴史的事実でありますし、都市計画段階の説明会の経緯からいっても、参加した住民の圧倒的多数は地下化推進でありました。強引に高架化を決め、現在、高架工事は着手されておりますが、今からでも高架工事をストップしてやり直しても、立体交換の手法を取り入れればトータル事業費は安くなるとの地下化推進派の主張を、行政側は論理的に覆すことすらできておりません。二月に出た第三セクターをめぐる東京地裁判決では、立体交換の考え方を踏まえた上で、地下方式に優位性が認められるとの判断さえ示しております。

 加えて、三月の参議院予算委員会では、これからの連続立体事業の方式としてシールド地下方式の優位性が確認されてもおります。公共事業の見直しが政治の重要課題となっている以上、小田急線の連続立体事業に合わせたまちづくりについて議論がなされるとき、地下化への見直しを含めて議論が交わされるのは当然のことであります。(「何を言っているんだよ」と呼ぶ者あり)これが多数派です。ところが、祖師谷においても、千歳船橋においても、経堂においても、豪徳寺においても、この動きを初めから封殺しようという動きが、事務局を実質的に担当している区の主導で行われているという事実であります。各駅ごとの街づくり協議会では、必ず事務局補助という名目で区の職員が参加しており、さらには、発足当初から専門家と称する人物が派遣されております。

 具体的に経堂駅周辺の街づくり協議会について言いましょう。私はこの協議会の発足総会に出席いたしました。ところが、発足総会の当初から、区の職員が十数名ほども参加しているばかりでなく、専門家と称する学者とコンサルタントがあらかじめ用意されており、区の職員は事務局の補佐をするのが当たり前、専門家とコンサルタントはこの発足総会にいるのが当然というていでそこにいる。だから、参加者の中には、この協議会を区の説明会と誤解している住民が多数いるのもうなずけるところであります。自主的な住民組織であるはずの協議会結成総会に、初めから区の職員がお膳立てをするためにそこにいる。総会で必要の是非を問うこともなく専門家が派遣されている。専門家は協議会に一日出席するだけで六万円が支給されています。また、夜の会合であるから区の職員にも残業手当がつくわけです。どんな専門家が必要であるのか。また、出席している専門家は何のために呼んだのかの説明すら、本来の主催者である商店街や町会関係者を中心とした準備会側には全くない。事務局の手伝いを区の担当者に任せてよいかどうかの議論もありません。協議会の活動資金計画もなく、専門家派遣の経費についても説明がないわけであります。しかも、経堂駅周辺の街づくり協議会がどの範囲の地区計画を定めるのかの論議もないままに、対象範囲をあらかじめ決めて、会員資格を住む地番によって選別しようとさえする。その合理的理由については、準備会側は何も説明できないのであります。

 このような主体性のない組織がなぜ立ち上がることができるのか。これは、まごう方なき区のかいらい住民組織であるからにほかなりません。このような協議会の準備会及び協議会が、根拠法令である世田谷区街づくり条例に照らして助成を得るに妥当であるかどうかを、この機会に区の担当者にお聞きしておきたいと思います。助成要件は、街づくり条例の二十五条二項に定められており、「活動が地区住民等の多数の支持を得ていると認められること」と規定されております。何をもって多数の支持を得ていると判断したのか、お答えいただきたいと思います。

 また、条例のどこに区の職員が協議会などの事務方を担当あるいは補佐することができると書いてあるのでしょうか。私の読んだところ、そのような規定は一切ありません。そうである以上、区は、街づくり協議会に呼ばれもしていないのに出ていったり、補佐と称して事務局に関与することなどはやめるべきであります。見解をお伺いするものであります。

 時間がありませんので、通告いたしました違法建築の問題そのものにはお答えいただかなくて結構です。ただ、問題点を指摘し、要望を申し上げておきましょう。

 今、世田谷区の建築行政においては、法治主義は完全に崩壊しているということであります。建ぺい率や容積率について、建築違反とわかっていながら、指導の段階で業者との間で手打ちをしてしまう。申請当時の土地の境界線の変更すら安易に認め、建ぺい率緩和のボーナス処理を認めてしまうといったぐあいです。経堂一丁目の最近の事案については、違反が残っていることがわかっていながら、都市整備部長がそれでいいとの判断まで下したと聞いております。平成七年度、平成八年度の二年間に限っても、悪質業者に建設中止命令、改善命令を出した数少ない事例でさえ、建築違反を完全に是正した処理は全くなかったという事実も明らかになりました。こんなことでは世田谷の住環境や緑の保全ができないことは言うまでもありません。そればかりではなく、建築基準法は最低基準を定めてあるにもかかわらず、守る必要がないとの風潮まで悪徳業者の間に生んでいることであります。

 世田谷区都市整備部は建築行政資料というレポートを毎年五月に作成しているにもかかわらず、今まで都市整備委員会への報告すらなしていませんでした。区の基本政策にかかわる重要な事項ですので、都市整備委員会でじっくり議論すべき課題だというふうに考えております。必ず都市整備委員会に報告することをここで確約していただきたい。このことだけはお答えいただきたいというふうに思います。

 最後に、最近の本世田谷区議会の一人会派封じの風潮について一言申し上げておきます。

 代表質問を許されていない一人会派は、私を含め、ほとんど毎回一般質問を行っておりますが、一般質問に認められた三十分という時間だけでは極めて不十分であります。ところが、このほど議会制度等研究会において、一般質問の時間を制限し、年四回の定例会のうちの二回にしようという画策がなされております。大会派の議員は今まで一般質問を自粛しているからというのが理由のようですが、自粛などなさらずに、大いに一般質問に立たれたらよい。一般質問は義務ではなく、個々の議員に与えられた権利であります。他の区議会では、新宿区議会のように、一般質問について時間制限のないところすらあります。

 行政改革が叫ばれる中、議会の審議時間も簡素化すべきだというようなことを平然と言ってはばからない方もおられるようですけれども、これは全くの筋違いであります。世田谷区議会の会期は年間二カ月にすぎません。一千百万円もの年収を得る我々議員の公務が二カ月しかないというのは異常であります。肥大化した行政をチェックすることが私たち議員の責務であります。そのためには、もっと働くことこそ必要であれ、たった三十分の一般質問の時間を制限し、発言の道を封じようなどということは言語道断だと言わなければなりません。もし交渉会派が一般質問の時間制限に動くというのであれば、広く区民世論を巻き起こして対抗する決意であることをここに明らかにしておきたいと思います。

 以上を申し上げまして、壇上からの質問といたします。

   〔大場区長登壇〕

◎(大場区長) 岩崎邸のお話がございまして、お話しの朝日新聞の報道は、区は全く関知しておりません。あくまでも民民の問題であり、区は権限、能力からしても介入いたしません。区は終始、瑕疵のない物件であることが立証されない限り、買収交渉には応じないという立場を堅持いたしております。また、井奥代議士の問題につきましては、私の立場でお答えはできません。

   〔大塚助役登壇〕

◎(大塚助役) 弦巻二丁目の公園についてお答え申し上げます。

 この緑地につきましては、区内の貴重な緑の緑地でございまして、自然環境を守る立場及び平成七年六月に区議会で請願が採択されていることでもあり、土地を取得する方針は変わっておりません。今後の対応につきましては、物件所有者が平成八年十二月に提出された申し出書の中で述べている誓約を履行できるかどうか見きわめた上で、その経過を議会にご報告して決定していきたいというふうに考えております。

 次に、十三億云々の単価についてご質問がございました。この点につきましては、区といたしましては、あくまでも概算でございまして、今後、すべての条件がクリアされ、契約が可能であるという段階に至った場合には、改めて価格等の算定を行い、財産評価委員会に諮問するなど、正式な手続を踏んで、議会にもご報告して決定をしていくものでございます。今後の方針につきましては、そういったようなことで対応してまいりたいというふうに考えております。

 それから、風致地区について、ちょっと誤った点がございましたので、お答えさせていただきます。風致地区内の建築物の確認行為の確認事務は東京都が行っております。区が行っているものではございません。区は逆に東京都に対して、風致の精神を生かして、環境を守るべきところはもうちょっと建ぺい率を厳しく守ってほしい、逆に環八沿いみたいな地域については地区の特性に応じて高さについては緩和をしてほしいということを申し入れているわけでございまして、先ほどのご質問に対しては、ちょっと私どもの方としては承服できません。

◎(岡沢都市整備部長) お答えいたします。

 土地開発公社の予算書の中で、土地ごとの価格を明らかにすべきだ、こういうお話がありました。この件につきましては、土地の価格というのは個人的取引に非常に重要な部分でございますので、一件ごとに明らかにすることは、公社の予算書といえども、不適格かと思います。

 それから、土地開発公社の役割は終わった、解散すべきだろう、こういうことについてお答えをいたします。

 この公社は、公有地拡大の推進に関する法律に基づきまして、四十九年八月に公共用地または公共用地の取得、管理及び処分等を行うことにより、地域の秩序ある整備と区民の福祉の増進に寄与することを目的として設立された公法人でございます。公社は、区にかわりまして土地の取得をすることはもちろん、区が全額出資によりまして設立した、いわば区の分身とも言うべきものでございます。土地の取得につきましては、区の取得依頼に基づきまして、区が必要とする土地の代行買収を行っております。さらに、公社では、区議会議員十名から構成される評議員会の場で、資金計画や事業計画等のご承認も受けております。したがって、不透明ということはなく、適切な手続を踏んでいると考えております。また、区が土地を取得する場合、公社を活用いたしますと、大規模な投資的経費を分割できることによりまして区の財政負担を軽減できますし、また、国や都の補助金等を確実、かつ計画的に導入することもでき、区にとりまして現行の財政上、この上ない方法となっております。区の財源が厳しい今日では、その役割はますます大きくなっていると認識しております。

 それから、建築行政にかかわる資料でございますけれども、毎年議会の方に公表せよということでございます。議員の皆様のご理解を得て建築行政の何たるかをわかっていただくために、ぜひそのようにしたいというふうに考えております。

 以上でございます。

◎(小畑世田谷総合支所長) ご質問の街づくり協議会と区との関係について申し上げます。

 地区街づくり協議会は、世田谷区街づくり条例に基づき組織され、自主的なまちづくり活動を展開することを目的としております。また、地区のまちづくりの案となるべき地区街づくり計画の原案を区長に対し提案することができるとされており、この提案があったとき、区長は、区で策定する地区街づくり計画の案に反映するよう努めなければならない旨、条例で定められております。

 このように、街づくり協議会と区とは、街づくり条例の基本理念に沿って、安全で住みよい快適な環境の市街地形成を目指すという共通の目標を達成するため、お互いのパートナーシップに基づいて、その役割を分担しながら、信頼、理解及び協力の関係により成立しております。お話しのような区の方針をそのまま実行していくような関係ではございません。例えば経堂駅周辺街づくり協議会におきましては、小田急線連続立体交差事業の高架方式で都市計画決定されたことに合わせまして、地域の区民の方々が、駅周辺の町の整備について問題点や課題を地域で解決していこうと自主的に発足させた組織でございます。

 協議会は、数回の準備会を経まして、経堂駅周辺の将来あるべきまちづくりについて活動すべく周辺の住民の方々に呼びかけ、平成八年十一月二十二日に発足したものでございます。協議会設立に当たっての関係住民への周知や会員の募集につきましては、準備会の区民の皆さんが全戸に協議会設立の目的等を表記したチラシを配布し、あくまでも自主的に行っております。ただいま会員数は百名ほどになってございます。協議会の範囲でございますが、準備会の案をもとに、協議会設立総会時に協議会の会則として定められたものと理解しております。

 次に、経堂駅周辺街づくり協議会への専門家派遣でございますが、協議会設立準備会におきまして、地元にお住まいの専門家の派遣が強く要望され、さらに、協議会総会の中で会員の同意を得て派遣をお願いしたものでございます。この方は、これまでも区のさまざまなまちづくり施策において貴重な提言をいただいておりますが、中には区民の視点に立った厳しいご指摘もいただいております。区といたしましても、公平中正な立場でご助言をいただける方と認識をしております。専門家は、地区街づくり協議会が行う地区街づくり計画原案の作成などにかかわる作業及び活動に対する専門的立場からの相談、指導、助言、地区住民等の意見調整及び区との連絡調整を行うことを目的としております。あくまでも地区街づくり協議会と協働して、安全で住みやすい快適な市街地環境の形成を目指すことが役割でございまして、区の方針を代弁するようなものではございません。経堂駅周辺地区におきましても、現在、そのような役割のもとに、街づくり協議会の意向に沿ってご活動いただいているものと認識しております。

 以上でございます。

◎(原住宅政策部長) 街づくり条例についてのお尋ねがありましたので、街づくり条例を所管している立場からお答えいたします。 何をもって多数の支持というのかという条例の中身についてのお尋ねでございますが、これは、経堂に関して言いますと、長い準備期間を経まして、こういう方向でやっていこうという方々が集まり、それをこういう方向で検討していこうということになって、それをお支えするという意味で専門家派遣をするということになったわけでございます。

 まちづくりというのは常に進行形でございます。おわかりのとおり、完成品があって、そこへ一晩だけ支持者をつれて乗り込んできて、そこの場だけ見るということでは不十分なものがございます。やはり長い時間をかけて人々が積み上げてきたものを大事にしていきたい。その支えをするために、街づくり条例の中で一章を設けて、まちづくり支援ということを申し上げているわけであります。常に完成品ではない。それをしっかりみんなでわきまえてやっていく必要があるだろうと思っております。ですから、かいらい住民組織というようなことを言われるのは、ほかでまちづくりを一生懸命やっている方々に対しては、やはり無礼なご発言ではないかと私どもは思います。

 以上です。

 

○(真鍋欣之議長) 次に、十五番花輪智史議員。(「問題発言だぞ、無礼というのは」と呼ぶ者あり)静粛に願います。静粛に願います。静粛に願います。ちょっといましばらく待ってください。静粛に願います。静粛に願います。議長として議事録等を確認して、しかるべき措置をしますので、ご承知ください。よろしいですか。今の──お待ちください。お待ちください。ちょっと鈴木議員、木下議員、お座りください。お座りください。お座りください。お座りください、お座りください。それに対しまして議事録等を確認いたしまして措置をいたしますので、よろしくお願いいたします。このようなお取り計らいでよろしいでしょうか。(「はい、賛成」と呼ぶ者あり)

 それでは、議事を進行します。続行いたします。(「休憩」と呼ぶ者あり)静粛に願います。

 次に、十五番花輪智史議員。(「つまみ出せ、無礼とは何だ」「ふざけるな、本当に」「冗談じゃないよ」と呼ぶ者あり)静粛に願います。

   〔十五番花輪智史議員登壇〕(拍手)

 

<途中略>

 

    午後六時五分開議

○(真鍋欣之議長) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 

   ──────────────────

 

○(真鍋欣之議長) この際、理事者より発言の申し出がありましたので、これを許可いたします。

◎(原住宅政策部長) さきの木下泰之議員のご質問に対する私のお答えの末尾に一部不適当な表現がありましたので、深くおわび申し上げ、取り消しさせていただきたいと存じます。

○(真鍋欣之議長) 以上で原住宅政策部長の発言は終わりました。