1997年3月 予算特別委員会(自平成9年3月3日 至3月25日)

予算特別委員会会議録より

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1997年3月11日 予算特別委員会 総括質疑

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○(荒木委員長) 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。

◆(木下委員) 区長にお聞きしたいと思います。

 都心部でのマンションの容積率を大幅に緩和することを内容とする、都心高層居住促進地域の創設などを盛り込んだ建築基準法と都市計画法の改正案が近く国会に提出されるというふうに報道されておりますけれども、この事態について区長はどのようにお考えにな

っていますでしょうか。

◎(大場区長) これは私の考えですけれども、一見もっともらしい話ではありますけれども、しかし、高層ビルが乱立するようになって、果たして人間が生きていくのにいいだろうかという疑念は持っております。

◆(木下委員) そう思っておられるというので多少安心しましたけれども、しかし、この環七の内側の容積率の緩和というのは、ちょうど中曾根政権のころに言い出されたことであります。あわせて中曾根政権のころのNTT法案とかそういうもので、結局、小田急線の問題等も出てきたわけでございますが、五二号線を初めとする一連の補助線の事業着手あるいは事業の準備について、きょう、いろんな会派の方々から緑を守るという観点でいろんなご質問がありましたけれども、その観点からいってどういうふうになっていくとお考えでしょうか。区長にお聞きします。

◎(大塚助役) 専門的なお話ですので、私からお答え申し上げます。

 世田谷区は、都市計画道路の整備がまだ四一%とおくれております。そんな中で、防災的な観点、あるいは景観の観点から基盤を整備し、そこに緑を植栽しながら緑も保全していくというのは、私どもの方の緑をふやす政策と何ら矛盾をするものではございません。

◆(木下委員) 三〇%の緑被率が目標でしたけれども、それは達成できるとお思いですか。区長にお聞きしているんですが。

◎(大塚助役) 緑被率は、先ほど小泉委員からもご質問がございましたように、既に二一%となっております。これは東京農大の進士先生もおっしゃっているわけですが、緑被率そのものも確かに大切な部分があるけれども、緑視率を含めて緑を集団的に確保していくことがむしろ大切なんだというようなお話もいただいていまして、その緑被率に余りこだわることなく、いろいろな緑の確保に努めていきたいというのが今の考え方でございます。

◆(木下委員) 先ほど小泉珠子さんから、〇・五%の緑を守るのに年間の予算がかかるというお話がありました。そうしますと、区長が区長になられたころから今まで莫大な価値が失われているというふうに考えるわけですけれども、区長はそのことについてどういうふうにお考えですか。

◎(大場区長) これは大変残念なことでありますけれども、農地が減ったり、あるいは屋敷が非常に細かく分割されたりしていったのが原因でありますから、私とすれば大変残念なことだというふうに思っております。

◆(木下委員) これは先ほどの容積率の緩和の問題とも非常に密接に絡むんですけれども、要するに、バブル経済のころに土地が高騰したということから消失していく分もあります。しかし、区長が就任されてからこの間というのは基本的には低成長の時代だったわけです。にもかかわらず、世田谷はある種の再開発のターゲットにされているわけです。以前の世田谷と今の世田谷を比べて、環境的にどちらがいいというふうにお考えですか。

◎(大場区長) 自然が豊富で、何となく世田谷へ来るとほっとするというような環境がなくなったという意味では大変困ったものだと思うんですが、しかし、そうかといって人の土地にうちを建ててはいけないという法律もできないですから、これはやむを得ないことかなと思っております。

◆(木下委員) 区長は政治家でしょうが。いいですか。今の答弁は、結局、自分で管理しなければいけない世田谷の土地のあり方について放棄したのと等しい言い方じゃないですか。

◎(大塚助役) 区長が申し上げましたのは、区が相続税や、そういったような国税に関する権限を持っているわけではございませんので、そういった点について区が土地を買ったり、いろんな住民との協定を結んだり、あるいは緑化の推進をしていても、区が行っていく行政には限界がある、そういった意味で申し上げたわけでございます。

◆(木下委員) 今度の容積率の問題で、区長は二十三区の区長会の会長として何か働きかける、そういうお考えはございますか。

◎(大塚助役) 専門的なお話ですので、(「区長に聞いているんですよ。専門的な話でも何でもないじゃないか」と呼ぶ者あり)私からお答え申し上げます。

 容積率の緩和につきましては、都心居住の住宅を大量に確保したいということで、都心地域を中心に考えられた施策の一つです。そんな中で、環七内側の容積を緩和しようということで、国がその案を今出しているわけですが、世田谷区は用途地域の変更の際に都市整備方針というものをつくりまして、その中でできるだけ住宅都市としての環境を守っていこうということで、住居系の用途を九〇%指定しているわけです。これはほかの区、市と比べても遜色のない用途の指定をしているわけでございまして、そういった大局的な点から緑を守る施策を行っているところでございます。

◆(木下委員) 何か他人事のようにおっしゃっていますけれども、環七の内側に世田谷は入っているんです。私の居住しているところは環七の内側であります。大原です。

 それから、バブルのころに港区あたりで地上げが横行して、その住人がどこに流入してきたか。それは世田谷だったじゃないですか。そういった意味では、今

回の容積率緩和については、区長はその反対の急先鋒に立たなければいけない、そういう立場にあると思いますけれども、区長はどうお考えですか。区長にお聞きします。

◎(大場区長) 急先鋒に立って反対するわけにもいきませんけれども、しかし、私は個人的には先ほど申し上げたとおり考えております。

◆(木下委員) 玉川の風致地区についても非常に問題点がいろいろございますので、今度また機会があるときにご質問していきたいと思います。

 終わります。

○(荒木委員長) 以上で無党派市民の質疑は終わりました。

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1997年3月13日 予算特別委員会 企画総務委員会所管分に対する質疑

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○(荒木委員長) 引き続き、無党派市民、どうぞ。

◆(木下委員) 裁判事案に関して対応するのは文書課であります。一般質問の際には十分なお答えが理事者側からいただけなかったものですから、先月二月二十五日に東京地裁で判決のありました小田急線連続立体事業の第三セクターに関する住民訴訟の判決内容についてお伺いいたします。

 今回の訴訟は、東京都や世田谷区あるいは練馬区が高架を前提に連続立体事業を行うことを目的に設立された第三セクター、いわゆる東京鉄道立体整備株式会社に出資し、また同社に委託事業費を払ったのは違法であるので、出資金の返還を求め、また、今後一切の公金を支出しないように求めた住民訴訟であります。

 一般質問の際にも申し上げましたが、この判決は、地鎮祭への公金の支出への住民訴訟判決などで、住民訴訟の範囲をどの程度広げていくのかが現在注目されておりますが、住民訴訟での違法認定要件を極めて狭くとったということが特徴でありまして、一連の住民訴訟の判断の中でも極めて反動的なものであるというふうに考えております。

 すなわち、この判決では、財務会計行為が違法であることの要件といたしまして、当該違法事由とされるものが、財務会計行為に当たって当該職員が判断すべき事由であり、その事由があれば当該会計行為を回避すべく、それが可能な場合であることを要するとしております。その上で、議会が多様な利益衡量に立って行った議決に基づいて、地方公共団体が行った政策決定の当否を審査することは、制度上予定されていないとしたのであります。

 平たく言えば、横領であるとか、食糧費のごまかしであるとか、だれにでもわかるような違法事由については裁判所は違法と認定するが、たとえ行政が違法な行為を行ったとしても、議会も認定しているのだから、込み入った判断を要するものについては、財務会計上の違法とは認定しないというものであります。

 行政改革がかけ声倒れになりそうな雲行きの中、本来、行政を監視すべき議会の役割に対し、国民から絶望感さえ出ているこの時期に、法治国家として最後の切り札であるべき司法は、住民訴訟で持ち込まれた事案についての実体的な判断を最終的には避けたのであります。当然のことながら住民側は控訴し、問題は高裁に持ち込まれました。

 ところで、この判決を言い渡す際、裁判長は次のようなことを言いました。判決の理由の中には原告にも有利なことが書いてあります。極めて異例な言い方でありますが、その意味するところを申し上げます。この裁判では、六十二年、六十三年に実施された調査報告書や環境アセスについての評価や、高架、地下の事業の有意性をめぐっての立証作業も、証人尋問まで実施して行われました。

 判決文には、次のような指摘があります。証人福川裕一、同村田明弘及び同山森大七郎の各証言によれば、道路と鉄道との立体交差の方式、あるいは都市空間を大きく画することになる連続立体交差における交差の方式、構造においては、支出を要する経費のみならず、立体交差化によって生ずる利益の比較、近隣環境への影響の比較、都市災害への対応の比較など多様な観点からその比較検討を行うべきこと。シールド方式に関する最近の技術進歩により、鉄道の地下化に要する費用が従前より低額になってきたことが認められるとしているのであります。

 それにもかかわらず、冒頭示した理由をもちまして、仮に総合的に検討した場合には地下式に優位性があるとしても、そのことにゆえに訴外会社の設立、存在が

違法になるものではないのであるとしております。つまり、裁判所は、この裁判で高架が正しいと言っているのではなく、むしろ証人尋問を通じて総合的に検討した場合には、地下式に優位性があることを認めているのであります。

 さらに、この訴訟で重要な争点となった問題についての指摘があります。これは何度か一般質問などでも取り上げてきましたが、第三セクターである東京鉄道立体整備株式会社が定款目的第一項で挙げている、連続立体事業を行うことは違法ではないかということについての指摘であります。

 これについて裁判所は、定款目的第一項の東京都における道路と鉄道との連続立体事業の施工等の文言からは、連続立体事業の施工者となることが想起されるものであり、訴外会社の設立段階においては、東京都の担当職員にもこのような認識があったとし、定款目的第一項が連続立体交差化事業の施工者となることのみを規定したものとすれば、建運協定に抵触することになるからとして、そのような法人に出資することは違法となる余地があるべきであると指摘をしていることであります。

 ところが、第三セクターが連続立体事業を行うことができないとの原告の指摘をかわすために、一般質問で既に指摘した補助一二八号線の事業主体として、高架下の二十メートル掛ける二十四メートルの座布団道路の事業主体となるという行政の便法を裁判所は擁護し、設立当時の違法性を棚上げにして、現在の東京鉄道立体整備株式会社については、訴外会社は鉄道事業者に対応する連続立体交差事業の事業主体とはなっていないとし、定款の解釈は、現実の法制度を前提に合理的に解釈すべく、策定に関与した思惑、誤解に拘束されるものではないといって、平たく言えば、つくったときは間違っていたかもしれないが、改めているのだからいいだろうと言っているのであります。これは法の番人の言うべきことではありません。

 しかしながら、財務会計担当者が判断できないものについては違法支出ではないということを大前提としていることから、厳密な判断をすることをみずから放棄しているのであります。

 さて、ところで、先日交通対策特別委員会で報告された訴訟事件の結果報告についてなる文書に、本件会社は、事業の目的、内容について、原告らの主張する違法な事由ではないとの判決を受けたと書かれておりますが、このようなまとめ方は正しいと考えますでしょうか。

 また、一般質問でも申し上げましたが、鉄道立体整備株式会社の定款第一条の、道路と鉄道の連続立体事業の施工と、附属街路事業の施工との記述が正しいとお考えでありますか。そのことについてお答えいただきたいと思います。

◎(庄司文書課長) 委員ご質問の訴訟につきましては、平成九年二月二十五日に東京地裁で、区長に対する公金の支出差しとめ請求については却下、区長個人に対する損害賠償請求は棄却との判決を得たところでございます。判決の結果は、私どもの主張を認めていただいたと認識しております。

 委員のおっしゃっているように、住民訴訟あるいは違法な財務会計上の考え方につきましては、まだ判断の分かれるところでございまして、評価について私の方から申し上げる立場ではございません。

◆(木下委員) 問題は定款第一号について、これは極めて違法な疑いがあるということを裁判所が言っているわけであります。そして、この指摘は極めて大事なことでございまして、この議会は、その誤解に基づいて説明されたことについて議決をしたということが、裁判所の言うことによると認められるわけであります。そういったことについて、本日は企画総務でございますので、当該の都市整備のところでもう少し詳しくお聞きしていきたいというふうに思っております。

 以上で私の質問を終わります。

○(荒木委員長) 以上で無党派市民の質疑は終わりました。

 ここでしばらく休憩いたします。

    午後三時三十一分休憩

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1997年3月14日 予算特別委員会 区民生活委員会所管分に対する質疑

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○(荒木委員長) 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。

◆(木下委員) 私は、最近組織改正の条例案が出てきまして、それに反対したわけですけれども、そのとき意見を言わなかったので、ここで申し上げたいと思いますが、環境公害課が環境課に変わったということで、これは、世田谷よ、おまえもかという、そういう感を非常に強くいたしました。東京都でも、昔は公害という文字がついていたのに、それがなくなって、環境というふうに変わっているわけです。

 世田谷の場合、大気汚染はまだ減少もしていませんし、それから特に最近のゼネコンやディベロッパーによる再開発や不動産開発、これも一つの経済活動なわけですけれども、あるいは行政の不作為による緑の消失、そういったことは明らかにもう公害だというふうに思います。そういった意味で、やはり公害という文字はなくすべきではない、それを意見として申し上げておきます。

 そして、瀬田一丁目の緑の問題について質問いたします。

 昨年の十月一日付で環境計画書が環境審議会に提出されたわけですが、これは三井不動産が瀬田一丁目の樹林地にマンションを建てるという計画だったわけですが、この環境計画書によりますと、五五%近くの建ぺい率をとって出してきているんですね。本来、こういったものは受け付けるべきではないというふうに思うんですけれども、なぜ受け付けたんでしょうか。

◎(樫根環境部長) 環境審議会のときにも申し上げましたけれども、現在は行政手続法などにおきまして、環境基本条例で計画書を提出していただかなきゃならないということになっているものについて、提出されれば、それは受け付けなきゃならないし、そういう点についてはご理解いただきたいというふうに思っております。

◆(木下委員) 風致地区条例は東京都が持っているわけですけれども、これは都市計画法に権威づけられた条例なわけですね。そうしますと、第二種風致地区は四〇%以下の建ぺい率ということが規定されているわけですよ。認可されなければいけないわけですので、許可されなければいけないわけですから、これは当然不備があるということで、その辺は突き返す必要があったんじゃないですか。◎(樫根環境部長) それに続いて、条例の中でも、やはり地域の風致とマッチしたときについては、それを超えて許可することができるということになっておりま

して、同時に並行して、東京都の方でもその審査が行われていたというような状況でございますので、受け付けたわけでございます。

◆(木下委員) 私は何回かこの風致地区の問題については質問もしてきているわけですけれども、どうも答弁が、風致地区の緩和が当たり前である、そういう姿勢がまずあって、そういった状況の中で、三井不動産も、これは大丈夫だろうということで出してきたんじゃないですか。

◎(樫根環境部長) 風致地区の考え方については、瀬田一丁目の問題もあって、何回もご説明しておりますように、区としてはやはり国分寺崖線の中でも、緑の濃いところについては、その趣旨に沿ったような方針で東京都も臨んでほしいというような形で東京都に意見を申し上げたところでございます。

 また、そういう中で、東京都の考え方としても、景観条例上からも、国分寺崖線上についてはそういう観点から見なきゃならないということが一点と、もう一点は、風致地区についても、都市の形成の過程でいろいろ変わってきているところもあるので、風致地区ごとに地域のまちづくりの中で、住民の方の意見を聞きながら、やはり風致地区ごとのそういう整理もしていきたいというようなことで伺っております。

 そういうことで、区としても今後そういう中で、やはり地区協定だとか緑地協定など、住民の方の取り組みとともに、こういう問題については進めていきたいというふうに考えております。

◆(木下委員) 一月七日付で区長は青島知事に対して、風致地区について、建物等の新築、木竹の伐採等の許可に当たっては、風致地区指定の趣旨を生かされ、国分寺崖線の保全に供するよう特段の配慮を願いますというふうに言っていますが、やっと初めてそういう積極的な意見を言うようになったと思うんですね。

 この背景には、一万二千名からの周辺の方々の署名運動もあります。最近、インターネット上で非常に活発に発言もされていたりして、そういう運動があって初めてそうなったわけですが、風致地区の条例を守らせるということは、世田谷の利害にとって非常に大事な問題なんですね。世田谷の区域の一七%を風致地区が覆っておるわけですから、これについては、手続条例もできましたけれども、これは都市計画法に権威づけられた条例ということですので、これは守るべきであるという姿勢でやるべきだと思うんですけれども、これはいかがですか。

 これは何回か聞いているんですけれども、どうも国分寺崖線だからということとか、守るべきところは守るというような言い方で、全般的に一般的に守らせる、そういう姿勢にならないんですか。

◎(樫根環境部長) 都市計画法あるいは条例上で決められた事項について、それぞれ審査しながら進められていくわけですから、それとは別に、我々としてはやはり地域の環境を守るということから、この点については、今おっしゃったように、要望も行いましたし、また業者に対しても相当の指導をしてきて、そういう環境審議会のご意見をいただきながら努力していることについてはご理解いただきたいというふうに思います。

◆(木下委員) 国でも、環境庁と通産省が対立するように、やはり環境を守るセクションは、風致地区条例のことを話しますと、都市計画法の関係だから都市整備だというふうに逃げられるんですけれども、きちっと環境を守るために、それは都市整備とは対立するような関係で頑張らないといけない、そういう意見を申し上げておきます。

 それから、トラスト協会ですが、先ほど六〇%の人件費だということをお聞きしましたけれども、全くトラスト協会という形で掲げている以上、これは誤解があるわけですね。区民から見れば、土地を取得するための協会だというふうに思うわけですよ。しかし、そうなっていないのはなぜですか。

◎(樫根環境部長) トラスト運動を世田谷区でも行おうという提案があって設立されたと聞いておりますが、その中で、やはり世田谷区の現状からして、土地を取得することを前面に出してやっていくということについては非常に困難がある。それよりも、やはり今トラストが行っておりますように、緑の啓発普及など、そういうソフトから取り組むことによって進めた方がいいだろうということでこういうことになったと聞いております。

◆(木下委員) そういう趣旨でしたら、つくる必要はありませんね。六〇%も人件費にかけて、それで世田谷区の下請をやっているようなことであれば、かえって名前が邪魔をしているわけですよ。むしろ市民運動が、そういったまさに大事な樹林地を守るために、お金を出してでも守ろうという姿勢をそいでいる。

 例えばこの前、これは情報公開審議会の方にかかったことですけれども、トラスト協会に、つまり保存樹木の委託をいたしまして、そのときに、ある種の守秘義務をかける。そういうことがまかり通っているわけですよ。トラスト協会だったら、本来だったら、そういう情報はのどから手が出るほど欲しいわけです。それと背反するようなことをさせておいて、つまりトラスト協会が樹木の取得のために動くということがないという判断からやっている。これは極めて不合理なことだと思いますけれども、いかがですか。

◎(樫根環境部長) 緑については、緑ということをおっしゃる方が多いわけですけれども、一方では、やはり緑に対する理解も、落ち葉が困るなどという意見もあるわけですから、その段階では、やはり区民が総合的に緑について取り組むということを考えて、非常に意義のあったトラスト協会の設立であるというふうに考えております。

◆(木下委員) 今、落ち葉が云々と言いましたけれども、環境部長がそんなことを言うべきではありませんよ。やはり、それはきちっと緑を守り、緑を守るということは、単に緑被率を守るということだけではなくて、世田谷の住環境も守り、空き地を守り、そして災害に強い町もつくるということですので、その意味で都市整備部と対抗して頑張っていただきたい。

 そのように申し上げまして、私の質問を終わります。

○(荒木委員長) 以上で無党派市民の質疑は終わりました。

 ここで暫く休憩いたします。

    午後一時四十八分休憩

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1997年3月18日 予算特別委員会 福祉保険委員会所管分に対する質疑

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○(荒木委員長) 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。

◆(木下委員) 昨年の決算特別委員会の際にもここで議論したんですけれども、がんと大気汚染の関係です。

 それで、前回の質問の中で、疫学的な調査の方向へ向けて、これから検討していこうということで、今、関係団体と協議をしているというお答えがありましたが、これはどちらと協議されているということでしょうか。

◎(小池保健課長) 関係団体と申しますのは、例えば区の環境部の公害課、それからまだ実際上接触しておりませんが、東京都と考えております。

◆(木下委員) ことしの一月二十五日の毎日新聞に、金沢大学薬学部の早川和一教授、衛生化学の先生ですけれども、この方が、ニトロアレーンという物質について、大気中の発がん物質ですか、これが、早川教授の言うところによりますと「『濃度は微量だが、毒性が強いため、発がん性への寄与は小さくないと考えられる。都市や幹線道路周辺での実態調査が必要だ』と指摘している」という記事があるんですけれども、この物質について調べたことはございますか。

◎(小池保健課長) 今委員が言われましたように、大気中のニトロアレーン濃度、それから交通量との高い相関関係にあることが、先日新聞に載っておりました。新聞によるんですが、委員の言われるように、ことしの一月に金沢大学の早川教授によりまして発表されたものでございます。

 このニトロアレーンには幾つかの種類がありまして、主に1─ニトロピレン、それから三種類のジニトロピレンが特に毒性が強いことが知られております。今まで精度の高い測定方法がございませんでした。その測定方法を開発されたのがこの教授でございます。

 また、昨年の七月に大気汚染防止法で規定されます有害汚染物質のリストが中央環境審議会の大気部会で報告されました。ここでは二百三十四種類の有害汚染物質が報告されましたけれども、この中に、いわゆるニトロアレーンと呼ばれております1─ニトロピレン、またジニトロピレンは入っておりました。しかし、いずれにいたしましても、国際機関の発がん性の評価は2B、すなわち人に対しまして発がん性を示す可能性の低い物質と報告されております。

 しかし、これらの物質はようやっと精度の高い測定方法が開発されたところでございますので、今後の厚生省や環境庁、また東京都の動向を踏まえまして検討していきたいと考えております。

◆(木下委員) 今の物質は一つの例なんですけれども、世田谷区でも、九月にもご紹介いたしましたが、一九七〇年から一九九五年の間に肺がんが実に三・五倍にふえているわけですね。それで、胃がんが横ばいでありまして、がん全体が二倍に伸びている中での肺がんの三・五倍というのは非常に多いと思うんです。

 この問題は、実は昨年の五月に大気汚染防止法が改正されまして、ことしの四月一日からそれが施行されるわけなんですけれども、これは二十三年ぶりの改正だったわけです。今までは発がん物質を対象にしながら、こういった規制とか測定等をやろうということはなかったわけですけれども、やっと国もそういった姿勢になったわけです。二十三年ぶりの改正ということなんですが、この二十五年の間に世田谷でもそういうふうになっている。

 そういった中で、公害検診についてもう一度お尋ねしたいと思うんですけれども、私は公害検診の受診者が減っているというのは、やはりこういった問題についての危険性について自覚されれば、必ず検診を受ける方はふえるというふうに思っております。ですから、その方々に喀たん検査を呼びかけるとか、そういったことについておやりになるおつもりはございませんか。

◎(小池保健課長) 現在、公害検診は、呼吸器系の疾病、また聴力障害の早期発見、早期治療、そういったことを図ることを目的として行われているもので、現在は、委員の言われますように、肺がん検診、特に喀たん検査については行っておりません。

 それとあわせまして、基本健診といいまして、四十歳以上の区民を対象としております健康診断がございます。こちらは、希望される方はすべて、喀たん検査も含めました肺がんの検査ができるようになっておりますので、現状では公害検診の中に喀たん検査等、また肺がん検診を入れる予定は今のところございません。

◆(木下委員) ぜひやる方向で検討してもらいたいんで

すけれども、疫学的な調査の方向に向けて、これから検討しようとしているという話がありました。これは本当にどういうふうに検討されていますか。

◎(小池保健課長) 先ほど肺がん等というお話がございましたが、特に窒素酸化物、NO2でございますが、こちらは呼吸器系の疾患を非常に誘発すると言われている物質でございまして、こちらにつきまして、環境部の方から特に沿道で高いような地域をピックアップしまして、来年度公害検診を実施していきたいと考えております。

◆(木下委員) それでは、具体的に疫学調査をやろうというような話し合いをされているということですか。

◎(小池保健課長) 実際上、まだ環境部とは検討の段階に入っておりません。早期に検討に入りたいと考えております。

◆(木下委員) 上馬の交差点が都内でワーストスリーの大気汚染の状況になっているわけですね。世田谷区では、自動車の排気ガスの観測点が二カ所しかございませんので、そこがワーストスリーになっていることは大変なことだというふうに思います。

 世田谷の公害ということで考えますと、大原ぜんそくから始まって、やはり自動車公害ということがあるわけですから、国も発がん物質についての一つの施策をことしの四月一日からやるわけですから、世田谷区は先んじてそういった施策をしていくことが必要だろうと思います。ぜひ努力をしていただきたいと思いますが、もう一度いかがですか。

◎(小池保健課長) 委員の申されましたとおり、早急に検討に入りたいと考えております。

◆(木下委員) これで終わります。

○(荒木委員長) 以上で無党派市民の質疑は終わりました。

 ここでしばらく休憩いたします。

    午後零時十五分休憩

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1997年3月19日 予算特別委員会 都市整備委員会所管分に対する質疑

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○(荒木委員長) 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。

◆(木下委員) 補助一二八号線の小田急線高架下の部分、二十メートル掛ける二十四メートルが第三セクター東京鉄道立体整備株式会社の事業として都知事認可を受けていますけれども、世田谷区の担当者の間ではこれを座布団というふうに呼んでいるそうですが、なぜそのように呼ばれているのか、竹川参事にお聞きします。

◎(竹川道路整備部参事) 私どもの仲間で座布団と言っているのではございませんで、委員のご質問に対して、座布団状にというふうに私が表現したものでございます。(笑声)

◆(木下委員) 竹川参事は確かに座布団という言い方で何回か言っていますので、これはある種の隠語として通用しているんじゃないですか。

◎(竹川道路整備部参事) 小田急線の鉄道の幅と道路の幅の交差部分ということになりますと、ほぼ四角くなるわけで、私が座布団状にと申しましたので、例えば私ども部の中でそういった表現を統一して使っているということではございません。

◆(木下委員) いや、なかなかよくできた隠語だなと思いまして、感心をしていたところなんですけれども。

 実はここの道路築造費は幾らですか。

◎(志村交通企画課長) 東京鉄道立体整備株式会社では、平成七年当時でございますが、道路築造費は三千三百六十万円を予定しているというようなことで伺っております。

◆(木下委員) ところが、この道路事業なんですけれども、予算は百二十億じゃないですか。つまり、百二十億円かかるということで説明されて認可を受けていますね。

◎(徳善道路整備部長) ただいまご質問の百二十億円といいますのは、その部分の道路整備を一二八号線に関連して鉄道も高架にしなくてはいけないという影響部分でございますけれども、前後約六百メートルと言われています、その部分の全体の事業が百二十億円ということでございまして、鉄道立体整備株式会社は、道路事業を含めまして、そのところへ六十億円を投入する、そういう形でございます。

◆(木下委員) しかし、都知事が認可した部分については、三千三百六十万円のいわゆる座布団部分、そこについてだけの認可でなくて、全部ひっくるめて百二十億の認可になっていますね。

◎(志村交通企画課長) 認可を受けたのは一二八号線を施行するということで認可を受けまして、それの附帯工事として前後高架橋の工事を、今、部長が申し上げましたように、約六百メートル施行するということになっておりまして、百二十億円はその附帯工事も含めての費用でございます。

◆(木下委員) ここに東京都から世田谷区に伺い状が来た資料があるんですけれども、それによりますと、資金計画書として百二十億円と書いてありまして、つまり、本体事業としては三千三百六十万円で、残りは附帯事業というふうになるんですけれども、しかし、このような道路事業というのは普通あるんですか。

◎(徳善道路整備部長) 鉄道と道路が交差する場合には、相互に交差部分の費用を負担するわけでございますけれども、道路は、通常街路築造と申しますか、舗装等の工事でございまして、比較的低額と申しますか、これに対しまして鉄道と道路のところと立体に交差をしますと、先ほど申しましたように影響区間というものが出てきまして、相当程度の額が必要になります。そのような形で今回、道路部分は三千三百六十万円程度、ですから、六十億のうちのあと残りの部分というのは附帯工事費ということになるわけでございます。

◆(木下委員) 平成二年十月二十二日の交通対策特別委員会で、当時の大野交通環境整備室長は園田委員の質問に対して「都市計画法の五十九条四項で都知事の認可を受けることになっている。その認可を受ける場合には、事前に当区でも協議を受けるし、知事に認可を申請した段階でもチェックをされる。」というふうに答えています。また、村田委員が「営利目的を第一の優先順位にして事業を進める中で、さまざまなまちづくりの問題、環境問題、公共目的の活用の問題等がきちんと優先的に処理される保障はないのではないか。」、こういうふうに聞いているわけです。

 つまり、第三セクターで連続立体事業をするということになったことに対しての疑問です。それに対して「都市計画法によって枠がはめられているので、その総枠の中でもチェックするし、第三セクターが事業を行うためには都知事の認可を受ける。その中で区のまちづくりの計画等との整合も図らなければならないし、都の事業の方針もそれに沿っていかなければいけない。その中で十分協議をしながら、この事業が区民のためになる方向で進められると考えているし、その方向で指導していきたい。」というふうに答えています。

 つまり、当初、連続立体事業は六分の一の資金を出すことになっておりまして、つまり、連続立体事業として第三セクターがその事業をやる。その認可の際にいろんな説明があるので、そういったことについては区議会にも説明するというような話だったんじゃないですか。いかがですか。

◎(徳善道路整備部長) ただいまのご質問は、鉄道立体整備株式会社の定款の件だと思いますが、この判決には、定款のことに関しまして、現実に設立された当該

会社は、その事業として連続立体事業の主体となることは予定をしておらず、連続立体交差事業の対象である鉄道と交差する道路部分の整備及び付随する周辺鉄道の高架工事が対象工事となっているということでございまして、本件会社の目的の範囲に入るものと読めるというふうに解釈されております。

 また、定款の解釈は、現実の法制度を前提に合理的に解釈するもので、策定当時、鉄道立体を設立するための策定に関与した者の思惑や誤解に拘束されるものではないというふうに判断をされております。

◆(木下委員) そうしますと、最初に誤解で説明をされたということになりますね。この判決には、東京都の職員にもそのような認識があったというふうに言っているわけですよ。連続立体事業を、つまり、この第三セクターができるというふうに誤解したというふうに言っているわけです。その誤解に基づいてこの議会には報告されているわけですから、それを覆す説明をされたことはありますか。いかがですか。昨年の五月二十七日の説明の際にも、詳しい説明は何もなかったですよ。

◎(志村交通企画課長) 東京鉄道立体整備株式会社につきましては、毎年どの程度借り入れるか、事業を進める度合いによって、毎年臨時会後の初めの交通対策特別委員会で事業のことを説明いたしております。

◆(木下委員) 極めて……。

○(荒木委員長) 以上で無党派市民の質疑は終わりました。

 ここでしばらく休憩いたします。

    午前十一時三十二分休憩

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1997年3月21日 予算特別委員会 文教委員会所管分に対する質疑

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○(荒木委員長) 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。

◆(木下委員) 私は、瀬田一丁目の遺跡の発掘についてお尋ねしたいと思っているんですけれども、これは、緑地を保全しようという運動が周辺の住民から起こっておりまして、あわせてその住民たちは、遺跡も残してほしい、できればそれを区が買うことはできないか、そういうことを言っているわけなんですけれども、今回の遺跡発掘の結果はどういうふうに評価されているでしょうか。

◎(安田生涯学習部管理課長) 今回の瀬田一丁目の遺跡の発掘の評価でございますけれども、これについては現在整理段階ということで、最終的な評価は待たねばなりませんけれども、現時点の概略報告によりますと、約二千八百万年から三万年前の石器等が発掘されたと。しかも発掘された石器自体が、当時石器をつくっている場所、そういったものもあらわしているといった意味で、今までにない発掘ということで評価はしております。

◆(木下委員) 世田谷の遺跡で、残されているもので一番古いものは何ですか。

◎(安田生涯学習部管理課長) 世田谷の遺跡で一番古いものと申しますと、約四世紀程度の古墳でございます。

◆(木下委員) そういう意味から言いますと、四世紀ですから、今回出てきた遺跡は三万年前なわけですね。石器時代のいわゆる石器工場ですよね、石器ファクトリーというか、そういったものについて、遺跡の発掘について区の内部ではどういうふうに評価されたんですか。つまり、それを保存すべきかどうかという議論はされているんですか。

◎(安田生涯学習部管理課長) 区の中では、その評価については、三万年程度前の石器が発見されたということで、そういった意味では評価しておりますけれども、今回の保存という意味におきましては、これは発掘当初におきましては、そういったものはわからなかったということで、その古墳時代の石器──遺構ですね、そういったものが出るということで発掘調査に入ったということですので、その時点では保存ということについては考えておりません。

◆(木下委員) ここは、既に推定包蔵地区というふうに指定されておりまして、要するに、そこから石器など遺構が出るということはあらかじめ予想されていたわけですね。世田谷区の文化行政として、何を残していくのかということは非常に大事なことだと思うんですね。

 例えば、三億二千万円も使って、安藤家の復元ということをされようとしています。それの評価はいろいろあります。ちょっと高過ぎるんじゃないかというふうに思っておりますが、三万年も前の石器が出てきたということについて、これは国分寺崖線上にあるわけですし、自然と文化ということを考えていきますと、これは三万年前の遺構を保存して、例えば子供たちにそういった世田谷の自然と文化に触れさせるということを考えたことはないんですか。

◎(安田生涯学習部管理課長) 今回の発掘によりまして、そういった三万年程度前の石器が発見されたということで、発掘された時点で、石器を取り上げた時点でその遺構自体はなくなるといいますか、そういったことになりますので、保存という関係でいきますと、それはできない。ただ、そういった発掘されたものにつきましては、当然一般の区民の方だとか、あるいは学校の生徒たちにきちっと公開して、そういった歴史的な問題についての理解を深めていきたいというふうに考えております。

◆(木下委員) 日本の文化財の保護行政が非常に貧弱であるということはよく言われていることであります。ですから、私有財産の方を優先して、大事な遺跡についてもなかなか残していかない。その意味で、例えば中世遺跡とかどんどん失われておりますし、古代遺跡でも同じような運命に遭っているわけです。

 ただ、やはり文化と自然を大事にしようということを掲げている世田谷区としては、あとはこれを守るという姿勢で取り組むべきだと思うんですね。しかもここの工事に着手したところは三井不動産です。日本の企業の中でも有数の企業なわけですから、そこにこれを保存してもらえないかと申し入れてみよう、そういうことについては考えたことはないんですか。

◎(安田生涯学習部管理課長) 今回の発掘に当たりましては、当然、三井不動産さんといろいろ協議をさせていただいて、発掘をさせていただいているわけでございますけれども、三井不動産さんは、やはりこの場所につきましてはそれなりの買収だとかいろんな経費をかけていらっしゃいますし、そういったマンション計画をあくまで進めたいという意思が非常に強いということで、私どもとしては、そういったことを申し入れるという状況にはないというふうに判断しております。

◆(木下委員) 実際には、三井不動産がここに建築しようとしているマンションは、風致地区条例を超えて、四〇%の建ぺい率のところを五五%で申請を出そうとしているわけですね。そういった意味で、世田谷区も待ったをかけているわけですので、そういった意味ではまだ時間もあるわけです。ですから、それはきちっと交渉すべきだと思います。

 しかも、例えば近くには瀬田四丁目の小坂邸が三十八億円、それから弦巻で十数億円というふうに言われていますが、そういったお金をかけて、自然の保護の方ですけれども、やろうとしているわけです。

 瀬田一丁目の方は、文化財とあわせて自然を保護しようという動きで、区民も一万二千名もの署名が集まっているわけです。ですから、弦巻の土地はどうやら三月いっぱいは買えないようですので、そのお金を充てて、ちょうど買えるような、そういった金額だとは思うんですけれども、その辺について検討するという考えはございませんか。これは助役さんに聞きます。

◎(武藤生涯学習部長) 世田谷の埋蔵文化財につきましては、二十三区の中でも相当評価されているということで、先ほどのお話は国分寺崖線沿いの埋蔵文化財なんですけれども、この土地を買うかどうかというのは、土地の所有者の意向を無視するわけにもいきませんし、現在その埋蔵文化財は、世田谷区の場合は毎年十数件も掘っておりますし、それらを埋蔵文化財等用地の買収というような形で結びつけていくということになりますと、委員が先ほどからおっしゃっています貴重な財産を後世に伝えていくということからすると、非常に難しい事業になってくる。ましてや企業については、お願いをしてその埋蔵文化財を発掘させていただいているというような文化行政でございますので、その辺を十分御理解いただきたいというように思います。

◆(木下委員) 事前に担当者からいろいろ聞きましたところ、これは区の職員が評価をして、そして、要するに、これはもう埋め戻すことを前提として調査に入ったようです。駒沢大学の教授が調査に当たったようですけれども、これを残すかどうかという評価までその方には求めていないということです。ですから、こういった問題については、残すべきかどうかということも専門家にきちっと相談しながらやっていくのが筋だと思います。

 しかもどういうところにお金をかけるのかということは、十分突き詰めて考えていかないといけないと思います。例えば小坂邸を買うのがいいのか、ここを買った方が世田谷のためにいいのか、あるいは弦巻との関係でどうなのか、そういうことも含めてやるべきだと

思います。

 以上で終わります。

○(荒木委員長) 以上で無党派市民の質疑は終わりました。

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 1997年3月25日 予算特別委員会 補充質疑

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○(荒木委員長) 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。

◆(木下委員) 瀬田一丁目の緑地の問題についてお聞きするんですけれども、あそこについて、東京都に区長が申し入れなどもしておりますが、現実的に樹木について物理的な根回しが行われているということを言われているんですけれども、実態について調べられたと思うんですけれども、いかがでしょうか。

◎(樫根環境部長) 事業者との話し合いの中では、計画書を出していただいておりますが、私どもで申し入れした結果、これについて、もう一回検討するということで持って帰られておりますし、また、それについて地元とお話し合いをするということになっておりますので、根回しはともかくといたしまして、そういう状況でございます。

◆(木下委員) 付近の住民の話によりますと、業者の方が、移植すべく、いわゆる根回し、つまり根のところを回すという物理的な根回しですけれども、それをやっているということを聞きましたので、区がいまだに認めていない以上、それはきちっと監視するようにしていただきたいと思います。

 それで、ここの地区は風致地区になっているわけですけれども、この風致地区内にあるということで、区長は東京都に申し入れをしております。この申し入れの中身ですが、風致地区の場合は第二種で四〇%の建ぺい率なんですが、これを守れという趣旨も含まれているんでしょうか。

◎(樫根環境部長) 私どもが申し上げたのは、風致地区の条例自体は東京都の運用ですが、計画書などを見ますと、木を全部切るというようなお話でしたので、やはり風致地区としての特性を守ってほしいということでございますので、特に四〇%を守れということでは、そういうことを含めているというよりも、風致地区全体についての調和のあるような形でやってほしいということでございます。

◆(木下委員) 東京都が許可をして、それで建築をするということになりますと、東京都の認可権限になるわけですね。四〇%を守ってやることになれば、世田谷区自身が指導することになるわけですね。そういった意味で、東京都に風致地区条例上のその辺を守るようにという言い方は、むしろ四〇%を守るというよりも、それを緩和することを前提に話が進んでいるというふうに思うんですけれども、それに間違いないですね。

◎(樫根環境部長) 都市計画そのものが事前に知らされ、公表されているものでございますので、それを現在の基準なりをどうこうするということについて、直接区長がということじゃなくて、やはりそういうことは直接言えないんじゃないか。都市計画そのものは、やはり四〇%だとか五〇%だと決められた内容でやっておりますので、そのことを区から東京都に対して言うということになりますと、区のいろんな意味での建ぺい率だとか、そういう決め方自体がやはり問題になるんじゃないかということで、私どもとしては、別の観点から、風致地区としての景観を保持してほしいという申し入れをした次第でございます。

◆(木下委員) そうしますと、建ぺい率も含めて、それは守ってほしい、配慮してほしい、そういう意味にとってよろしいですね。

◎(大塚助役) 建ぺい率については、都市計画の中で、地域地区とあわせて、いろんな条例がかみ合いながら都市計画というのが全体で推進されているわけです。同じ風致地区でも、今、委員がおっしゃったように、瀬田一丁目のところは国分寺崖線で非常に緑が多いところですから、できるだけ風致の精神を生かしてやっていただきたい。一方、環状八号線みたいなところで、近隣商業地域というところに風致がかかっているようなケースもあります。そういったところは、同じように風致の精神を生かしながらも、ある程度高さですとか建ぺい率については、その地域特性にふさわしい、用途にふさわしい土地利用を図っていくという観点で、東京都は運用の中でその辺の許可を今しているということでございます。

◆(木下委員) 平成七年度と平成八年度に風致地区内に千五百平米以上、あるいは二十戸以上の集合住宅、これが瀬田一丁目を含めますと二十四件、含めませんと二十三件あるわけですけれども、そのうちの十八件が建ぺい率については全部緩和を受けているわけですね。つまり、ほとんど世田谷の風致地区内では建ぺい率の緩和が常態化しているわけです。個人宅についても七割方が緩和されているわけですね。こういったことで緑を守ることができると思いますか。

◎(大塚助役) 確かに建ぺい率を緩和すれば緑が減るのは当然でございます。しかしながら、一方、緑を守っていくためには、ある程度中層化して、空間を生み出して緑を守っていくのか、低層で建物を建てていけば、どうしても土地の単価が高いというようなことから、サラリーマンクラスはなかなか大きな敷地で建物が建てられないという現状があるわけです。そんな中で、できるだけ風致の精神を生かしながら、樹木も植えて、バランスの中で建物を建てている。ただ、委員が今おっしゃった違反建築物に近い建物等については、私どもの方も東京都と連携をとって指導をしているところでございます。

◆(木下委員) A、B、C地区というふうに分かれているわけですけれども、B地区でも、指導要領の中に、おおむね近隣建築物の建ぺい率に調和させることという条項が入っているんですよ。そうしますと、風致地区というのは当然四〇%が制限事項だったわけですよ。周辺に合わせるといったら四〇%に決まっているじゃないですか。それが緩和される方向にどんどんどんどんいってしまう。そのことを東京都と世田谷区は協議しながらいろいろこの問題はやってきているわけですけれども、決して四〇%を守ろうとしていないというのが、今の助役の答弁からも明らかなわけですよ。

 サラリーマン世帯の云々と言いましたけれども、私は一般質問の中でも私の考えを述べましたけれども、やはり世田谷の緑を守っていくということは、まず、風致地区は建ぺい率を四〇%に制限させる。一七%も世田谷の面積を覆っているわけですよ。六分の一のところで四〇%が五〇%、五五%に緩和されているのが実態ですね。これを常態化しますと、すべての風致地区内で五〇%、五五%になっていくというのが見えているわけですから、この瀬田一丁目の問題をきっかけに、その行政方針を変えるつもりはございませんか。

◎(樫根環境部長) 何回も申し上げておりますように、今五五%なりに緩和するというようなことについては、ある程度これはいろんな方との協議の中で決まっていて、その基準に基づいて、現在、東京都が緩和をやっている。そのことについて、区としては、もう少し風致地区の状況を勘案したやり方にできないかというようなことでやっておりますし、これにつきまして

は、具体的にそれをどうするかということになりますと、地域の方とも協議しながら進めていかなければならないことだというふうに理解しております。

◆(木下委員) 小坂邸の買収の問題でも、当初はあれは公園にさせてほしいというふうに区の方が申し入れたと言っていたわけですけれども、後で、これはマンションを建てるというある種の恫喝を加えながら、世田谷区が買うということになったというふうに聞いております。そういうことを言って三十八億円も有力者のところから買って、一万一千名もの署名を集めているところの問題については非常におざなりにしている。これは議会にも請願がかかっていることですから、決してこれを認めるということではなくて、買収も含めて考えていただきたい。そのことを訴えまして、終わりとさせていただきます。

○(荒木委員長) 以上で無党派市民の質疑は終わりました。