1996年三定決算特別委員会

平成 8年  9月 決算特別委員会

平成八年

 

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●1996年10月9日 決算特別委員会 (総括説明、総括質疑)

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○(小谷委員長) 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。

◆(木下委員) それでは、小田急問題についてお聞きいたします。小田急線の喜多見から梅ケ丘駅付近までの連続立体事業については、具体的な工事についての予算は平成七年度に初めてついたわけであります。本日は平成七年度の決算委員会の総括質問でありますので、区長にお聞きしたいと思います。

 既に先日の本会議の一般質問でお聞きいたしましたが、地下鉄駅もシールド工法でできるなどの最近の地下鉄技術の発展についての相次ぐニュースに対し、区長はどのような認識をお持ちでしょうか、お尋ねいたします。

◎(大場区長) もうこれは既に決定したことでございますので、そのまま進めていただくしかないだろうというふうに思っております。

◆(木下委員) 区長、下北沢地区についてはこれからなわけですけれども、下北沢地区について地下か高架について検討中なわけですけれども、区長、今おっしゃったのは、もう進んでいるからそういうことについては関心がないんだとおっしゃいましたけれども、地下鉄技術についてはどういうふうにお考えですか。

◎(大場区長) 下北沢から新宿に至る間の問題でありますけれども、これは事業主体者が小田急であり、東京都でございますので、私どもはなるべく早く進めてもらいたいということを要望しておきたいと思います。

◆(木下委員) 区長、市民団体が八つもの裁判を今やっているわけですね。昨年の十一月の決算議会のときから、市民団体側の専門家が、小田急線の喜多見から梅ケ丘の区間では、高架と地下を比較した場合には、事業費総体では地下化の方が安くなるということを裁判所に公式な意見書として上げているということを私が紹介したのは覚えておられると思います。ことし三月の予算委員会では、とりわけ下北沢地域を地下鉄にする場合には、地下鉄のまま梅ケ丘のところで接続でき、その場合、喜多見−梅ケ丘間につきましては高架で二千三十八億円、地下化で七百三十三億円でできる。高架よりも地下の方が三分の一ほどで済むという意見書を追加したということも申し上げました。

 そして先日は、最新の地下鉄技術を使えば駅部もシールド工法でつくることができるので、さらに百二十八億円安く済むとの意見書が追加されたということも申し上げてまいったばかりでございます。

 区長としてはこの数字に興味はないのでありましょうか。小田急問題は世田谷区にとって三十数年来の懸案事項であります。いかがですか、区長。区長に聞いております、区長。

◎(大場区長) これは事業主体である小田急が考えることでありまして、一応小田急がそういうことで決定いたしておりますので、私どもではどうこう申し上げることはないと思います。

◆(木下委員) 区長、行政は答える義務があると思うんですよ。つまり、ここは大事なことなんですけれども、もし市民団体の専門家の調査が正しければ、現在工事中の高架工事をストップしても、すなわち、これを今から壊してでも地下化にする方がすべてにおいてよいということになります。早くできて、そして環境に優しい。しかも安全である。三拍子そろえば、こんないいことはないじゃないですか。それでも興味がない。調査さえ指示していないんですか。

 区長に聞いています。区長に答えてもらいたいと思います。

◎(大塚助役) 既に事業者の方で、高架の方が安くできるという話が出ております。一方で、今この内容については裁判の係争中でもございますので、答弁は差し控えさせていただきます。

◆(木下委員) いいですか。エイズ問題で厚生省の課長は逮捕されているんですよ。小田急線の認可取り消し訴訟では、建設省の元の特定都市交通施設整備室長、室長というのは課長待遇ですよ、この元室長が証人として法廷に出廷せざるを得なくなっているんです。既に被告側尋問は終わって、十一月五日には原告側の反対尋問も行われます。行政訴訟では課長クラスが証人に呼ばれるのは教科書裁判以来のことだというふうに注目されているわけですよ。もし不当に高い公共事業を見て見ぬふりをしていたとしたら、やはりこれは刑事責任を問われることになります。

 区長、あなただって同じ立場にいると思いませんか、区長。

◎(大場区長) 関係がないと思います。

◆(木下委員) きょうは決算委員会でございます。平成七年度から世田谷区は小田急線の高架事業について出資し始めているんですよ。区民の貴重な税金を使っているわけです。ですから、地下の方が安くできるということになれば、これは大変なことじゃないですか。それでも区長はこの問題について調べようとしないんですか。区長に聞いています。

◎(大塚助役) 本件については既に高架でもって本年度末で一四・五%の進捗率に進むというふうに聞いております。そうした状況の中で、事業主体である東京都と小田急が既に高架で都市計画決定を受け、事業認可を受けて事業をしているものでありますから、私どもの方としてはその点についてお答えはできません。

◆(木下委員) それでは、次の質問をします。

 平成三年度、平成四年度、五年度のそれぞれにおいてなされました、新宿までも含めた下北沢地区の報告書がやっとことしの八月十六日に全面公開となりましたけれども、区長はこの報告書がどのようなものであるか把握されていますか、お答えください。

◎(大場区長) 専門的なことでございますので、私は余りかかわっておりません。

◆(木下委員) この調査がどんな経緯で始まったかということについては区長は覚えておられますよね。区長が議会要望にこたえて調査をやるということを平成二年に言明したのが始まりですよ。しかも調査報告ができたら、区議会の皆さんとご相談して区の方針を決めて、都に要望するというふうに言っているわけです。今後そのようにされるおつもりですか。

 区長、区長に聞いています。区長が明言したんですから。委員長、区長に答えさせてください。

◎(大塚助役) 世田谷区の世田谷代田以東の調査につきましては、新宿方向への輸送力増強を目指した視点での検討が必要であるとの区議会の強い意向も踏まえ、新宿へ直結する輸送体系を視野に置いて、世田谷区が独自で物理的な面から立体形式の調査を行ったものでございます。

 この調査の内容でございますが、主として世田谷代田から新宿間の立体化の必要性と概略線形等の調査を行っており、立体化形式につきましては、高架方式、地下方式についてそれぞれ複数案を検討し、高架式、地下式それぞれについての案の絞り込みを行い、課題の整理や比較検討を行ったものでございます。

 世田谷区といたしましては、事業主体である東京都に対し、小田急線の残された区間である世田谷代田以東について、これまで区が行った調査結果を踏まえ、早急に立体化の計画を提示するよう引き続き要望してまいりたいと考えております。

◆(木下委員) 費用比較はどうなっているんでしょうか。昭和六十二年に世田谷区が発表した川上委員会の調査報告では、高架のケース、地下のケースで事業費をそれぞれ出しています。しかも地下の場合は、シールド、開削工法の別で出しているわけです。シールドの方が高くつくというめちゃくちゃな報告でしたけれども、費用比較をしているんですよ。地下の方が高架よりも一・六から一・七倍高い。このことが梅ケ丘以西で高架とする根拠となったわけです。少なくともこの世田谷区議会ではそうなったわけですよ。そのことについてどう思いますか。

◎(大塚助役) 高架方式、地下方式についてそれぞれ複数案を検討し、高架式、地下式それぞれについての案の絞り込みを行ったものでございまして、これを踏まえて、事業主体はあくまでも東京都と小田急でありますから、事業主体が判断すべきであるというふうに思っております。

○ (小谷委員長) 以上で無党派市民の質疑は終わりました。

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●1996年10月11日 決算特別委員会 (企画総務委員会所管分に対する質疑)

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○(小谷委員長) 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。

◆(木下委員) 私は、ほかの質問を用意しておりましたけれども、先ほど下条委員の議論がございましたので、急遽ちょっと質問したいことがございます。

 土地開発公社の理事及び監事について、これはどういうメンバーになっているか教えてください。

◎(高山事務改善担当課長) 所管外の事項ではございますが、外郭団体全体の調整セクションでございますので、事務改善の方からその件をお答えいたします。

 理事長は大塚助役でございまして、関係理事は区の企画部長、総務部長等が兼務をしている形になっていると思います。

◆(木下委員) 公拡法の第十六条の四項に「土地開発公社と理事との利益が相反する事項については、理事は、代表権を有しない。この場合には、監事が土地開発公社を代表する」と書いてあります。それから、十八条の三項には、土地開発公社毎事業年度の終了後云々というのがございまして、「監事の意見を付けて、これを設立団体の長に提出しなければならない」というところがございます。それから、十九条には「設立団体の長は、土地開発公社の業務の健全な運営を確保するため必要があると認めるときは、土地開発公社に対し、その業務に関し必要な命令をすることができる」というふうに書いてあります。

 今ざっと、先ほど下条委員の指摘があったときから、ちょっとこれを読んで感じたことなんですけれども、要するに、この公拡法によると、任命権者である区長が勝手に値段の交渉などやってはいけないんじゃないでしょうか。いかがですか。

◎(川瀬助役) 当然そのとおりだと思います。

◆(木下委員) やっているじゃないですか。料亭まで行って、値段についての交渉をやっているじゃないですか。

◎(伊藤区長室長) 先ほど私は、区長は私が先ほど言った帝国ホテルなり、江東区のお店には行っておりません。私と建設部長だけでございます。区長が、実質の価格交渉というのは土地調整課の方でやるわけでございまして、先ほど助役が申し上げたように、大体どの程度ということの、その目安を申し上げたにすぎないということでございます。

◆(木下委員) 曲がりなりにも区長室長は区長の命を受けて仕事をするわけですから、区長サイドがそのまま交渉をやっているわけですよ。それに交わっているわけですよ。つまり、土地開発公社がいろんな交渉をして決めたことについて、それを受け入れるというのだったらわかりますよ。そうではなくて、もう区長サイドがしゃしゃり出て、一つの事項を決めた後で土地開発公社に問題を持ってきている。これは公拡法違反だと思いますよ。そういったことで、徹底的に追及することを冒頭申し上げておきます。

 私がきょう用意してきた質問ですが、三月九日に、議員団総会の決議もなく、私は社民党から外されたということがあるわけですけれども、それに関連して、四月三十日付で高橋幹事長が区に対して、つまり、政務調査費の実績報告書を出しているわけですが、これについて、要するに、推計で出したということを高橋幹事長が言っているんですけれども、そのようなことを担当者は聞かれておりますか。

◎(長谷川総務課長) 推計でという話は聞いておりません。真正な届け出というふうに私どもは受けております。

◆(木下委員) ちゃんと内容証明つきなり、書留なりで来ている文書の中に、高橋幹事長の方は私に対して、おまえの分は、つまり、おまえがまとめている分については手元にないので、要するに、推計でもって報告書を提出した。だから、それについては修正をしてほしい、そのように書いてあったんですが、そういう事実は全然聞いていませんか。

◎(長谷川総務課長) その件につきましては、木下委員の方からの区長あての抗議の文書の中に書いてあったということは承知しております。

◆(木下委員) そうしますと、五月二十四日付で私は区長から文書をもらいました。つまり、もし高橋幹事長が出した報告が虚偽であるというのであれば、それに対して修正するように、修正といいますか、正しく報告するように努力されたい。その趣旨の文書をいただいたわけです。それで、私としては、再三、内容証明で高橋幹事長ほか二名の区会議員に、つまり、費目別の詳細報告を出してほしい。そうでなければ修正もできないじゃないか。そういうことも言っているという事実を報告した上で、区としてはきちっと調査されたいというふうに申し入れてあるわけですが、その後、どういうふうに調査されたでしょうか。お答えください。

◎(長谷川総務課長) 本件申し入れは確かに受けまして、その後、木下委員の方にも申し上げたと思いますが、本会議上等の発言等もあったので、私の方からは、高橋幹事長及び木下委員に対して、それぞれ調査の上、訂正の必要があるならば早急に手続をとっていただきたいという旨の文書を差し上げてございます。

◆(木下委員) 先ほど担当者は、高橋幹事長の方からこれは推計で出したということは聞いていないとおっしゃったわけですけれども、高橋さんからは私のところに、推計で出したので、何とかそれをちゃんとした報告にするために修正してほしいという文書が来ているわけです。それもお読みになっている。そういうずれがあるわけですけれども、もし課長の方でそういった事実はないということになりますと、高橋幹事長は二重のうそをついていることになってしまいますので、先ほどの回答でよろしいんですか。

◎(川瀬助役) これは私からお答えをさせていただきますが、まず総体的に、政調会費が政調活動を行うための全額を保障できるかという点であれば、不足がある。政調会費としてお使いいただこうと準備したお金以上に政調活動にはお金が使われているという事実があるようであります。それで、今、木下委員からお話のある部分について除いても、全体が精算できるというだけの政治活動は行っておりますということで、私もそばにおりましたけれども、領収書その他、全体をそろえた書類をお持ちになって、真正のものでございますということで書類を見せていただきました。そのことによって、私どもは真正のものと理解いたしました。

 今ご指摘の点は、その当時の会派の内部の問題としてご処理いただきたい、そのように考えております。

◆(木下委員) 裁判等にもなっていますので、中で十分に論証もしていきたいと思いますけれども、ここにあります通帳は、社会民主党世田谷区議団でつくった口座でございまして、まだ余ったお金がたくさんございます。そういったこともございますので、今、川瀬助役がおっしゃったことも重要な証言になると思いますので、そのことは心して聞いておきたいというふうに思います。

◎(川瀬助役) 今、委員がおっしゃいましたが、それで残額があるならば、至急にご精算願いたいと思います。

◆(木下委員) ですから、精算するためには、詳細な科目について私のもとに報告がなければ、それは出せないということを申し上げているのであります。川瀬助役はどう思いますか。

◎(川瀬助役) 今申し上げたように、会派としては、委員がお持ちの残額を除いても、政治活動として使った金はもっとある。政調会費としてお支払いした以上にあるということをおっしゃっているわけで、精算書も見せていただきました。

○(小谷委員長) 以上で無党派市民の質疑は終わりました。

 ここでしばらく休憩いたします。

    午後三時八分休憩

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●1996年10月14日 決算特別委員会 (区民生活委員会所管分に対する質疑)

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 ○(小谷委員長) 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。

◆(木下委員) 緑を守るという名目で、小坂邸、いわゆる瀬田四丁目緑地を三十八億円、また岩崎邸を十三億円ほどで買ったりすることが区の政策として公然と行われようとしております。買収に絡んで売り手の法人名義が不自然に変わったり、また区長が中継ぎをする政治家と直接会ったりなどさまざまな疑惑も取りざたされており、そういったことだけでも問題ですけれども、私は、民有地の緑を守るのに、買収しなければそれができない、達成できないというような現在の世田谷区の政策自体に疑問を持つものであります。

 緑の保全政策について担当者にお聞きいたします。本会議でも問題になった小坂邸の傾斜緑地について、これまでどのような保全対策がとられてきたかについてお尋ねいたします。具体的に行った政策についてお答えいただきたいと思います。

◎(樫根環境部長) 計画というもののいろいろな考え方があると思うんですけれども、国分寺崖線につきましては、やはり環境部の方では環境基本計画をつくる、あるいはその前ですと自然保護計画の中でもやはり重点地域ということで、ここの緑は大切だ、守っていかなきゃならないということで、例えば従来からでも、何回も言われていますように、みつ池初めいろんなところで買収をしながら緑をふやしていった、あるいはトラスト協会と共同しながらいろんなボランティア的な行動をしていただいて、この辺の緑をつくってきたと。また、民有地につきましても、いろんな形で自然保護の樹木だとか樹林地の指定などをやりながらやってきたということでございます。

◆(木下委員) 具体的に行った政策について具体的に答えてくださいと言ったはずです。今のは一般論でございまして、じゃ、瀬田の四丁目の緑地について何をやったんですか。具体的に答えてください。

◎(大塚助役) 瀬田四丁目の緑地につきましては、具体的には都市計画緑地として都市計画決定をしております。

◆(木下委員) それは買収の過程で緑地にすることを同意させただけじゃないですか。

 いいですか、自然的環境の保護及び回復に関する条例の四条は、「保護する必要があると認める樹木又は樹林地を保存樹木又は保存樹林地として指定することができる。」となっているわけです。この指定さえ行っていないわけですね。それから八条では、「自然的、社会的諸条件から特別に保護する必要があると認める土地の地域を、特別保護区として指定することができる。」となっているわけです。これもやっていないわけですよ。こういうこともやらずに、急に話が有力者からあったからといってそれを買う。そういったことで緑が保全できるとは思いませんし、やるべきことをきちっとやった上で、しかるべき方法でどうしても買い取らなければならないというときにはそれなりのこともあるでしょうけれども、そういったことも含めて非常に問題があるというふうに思います。特に、国分寺崖線上にあって風致地区ともなっている地域にある傾斜樹林地なわけですよ。大事だということであれば、前から目をつけてきちっとそれについて保護政策をとる。そのことをやっていないということは非常に問題だと思います。

 それから、次のことについてお聞きいたします。世田谷区の自然的環境の保護及び回復に関する条例は、第五章が「建築行為等に対する自然的環境の保護及び回復」となっており、第二十三条で、建築・開発行為の際、当該土地にかかわる自然的環境の保護及び回復に関する計画書を添えての届け出制となっており、規則では二百五十平米以上の建築・開発行為について届けることになっておりますが、届け出を必要とする母数はどのくらいで、実際に届けられた数はどのくらいでしょうか。昨年度、平成七年度についてどうなっているか教えてください。

◎(日浦みずとみどりの課長) 世田谷区の場合、二百五十平米以上の敷地において建築等を行う場合につきましては、先ほど委員ご指摘のとおり、開発緑化の届け出を義務づけております。総件数が幾らかということにつきましては、この二百五十平米以上のものにつきましては東京都への届け等もございまして、すべての総数については把握できておりません。ただ、平成七年度につきまして、実際に届け出があった件数につきましては、四百六十五件となっております。

◆(木下委員) 大体、母数もわからないで緑の保全なんてあり得るんでしょうか。二百五十平米以上の開発行為に対しては届け出が義務制になっているんですよね。届け出が義務制になっているにもかかわらず、どのくらいの対象があるのかわからないんですか。

◎(日浦みずとみどりの課長) 全体の件数そのものにつきましては、先ほど申し上げましたとおりできておりませんが、実際、この開発緑化の届けは義務ということでやっておりますが、あくまでも条例に基づきます要綱でやっておりまして、いわゆる行政指導の域を出ないものですから、私どもとしてはそれをお願いすることにとどまっております。

◆(木下委員) 条例で制定して義務制になっておるわけですよ。それで違反した場合には名前を公表することさえできるわけです。そういったことをしているんですか、していないでしょう。

◎(日浦みずとみどりの課長) 現在のところ名前を公表したということはございません。

◆(木下委員) 前回の区議会本会議で、区長は、木を一本切ったら一本植えるというような政策をぜひとりたい、そうやって緑を守っていかなければならない、そういったことを言っているわけですが、それに逆行するわけですよ。むしろこの前の区長が言った発言というのは、今回、小坂邸とかあるいは岩崎邸を買収するための布石としか考えられないわけですね。こんなことで世田谷で緑を守ることができるんでしょうか。

 私は今、マッカーサー道路が全部、小田急線の連続立交等の絡みでだんだん通ろうとしている。そういうことをやったら、そこは宅地がずっとあるわけですから、それがまた再開発を生み、また周辺の用途地域が変更などになって、どんどんやっぱり緑が消失していくと思うわけですよ。ですから、そういった民有地の緑を守るという政策があってこそ初めて緑地を買い取るということも多少容認される。しかし、緑地を買い取るということだけで全部緑を守ろうとしたら、そんな政策は成り立たないわけですから、そういったことは絶対できないと思うわけですけれども、担当者、どう思いますか。

◎(樫根環境部長) 緑を守るについては、区だけでということよりも、やはり皆さんのそういうものに対する認識をいただいて、協力しながら全体として取り組んでいかなきゃならないことですので、今後ともぜひ皆さんの協力をいただきながら、緑を守っていきたいというふうに考えております。

◆(木下委員) 時間もありませんのでもう一つだけ言っておきますけれども、トラスト協会がありますね。世田谷のトラスト協会は、例えばそういった民有地の買収などはできるようになっているんでしょうか。

◎(日浦みずとみどりの課長) せたがやトラスト協会では、その寄附行為におきまして実施すべき事業を定めておりますが、その中では契約締結による環境等の保全を推進するということでございます。したがいまして、買い取りによる緑地の保全等は考えておりません。

◆(木下委員) 同じ買い取りでも、区が買い取るのと市民が努力して買い取るということは全然違うと思うんですね。風光明媚なところを買い取るというようなことが全国的なトラスト運動でも行われておりますけれども、今や都市の緑地というのは非常に貴重な財産であります。これをやっぱり買い取るというような運動を市民が始める。そういったことをやっぱりトラスト協会はやらなければいけないんですけれども、そんなことは一切やっていない。そういうことが問題だと思うんですね。そういった抜本的な対応について何らやらないままに、今回の三十八億円での緑地取得、それから岩崎邸を十三億円程度で買い取る。それも区長が談合してやる、そういったことが実際に行われているわけです。今後ともこの問題についての追及とあわせて、世田谷の緑の保全策を抜本的に変えてもらうために、いろいろと質問したり、皆さんに要求していきたいというふうに思います。

 これで質問を終わります。

○(小谷委員長) 以上で無党派市民の質疑は終わりました。

 ここでしばらく休憩いたします。

    午後一時四十九分休憩

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●1996年10月15日 予算特別委員会 (福祉保健委員会所管分に対する質疑)

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○(小谷委員長) 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。

◆(木下委員) 福祉領域の質問がずっと続いておりましたので、私はちょっと観点を変えて、保健領域の問題でちょっとお聞きしたいと思います。

 十月十一日の読売の夕刊にNO2について「大都市なお高レベル」「削減法2年、改善進まず」という記事が出ております。

 NO2濃度が、排ガスの測定局で調べて三割達成していない。それから、SPMという浮遊粒子状物質についてはまだ三五%しか達成していない。そういった記事が出ております。その中に上馬においてはNO2濃度ワーストテンのうちに入っておりまして、三番目に入っているんですね。〇・〇八三ppmということだそうです。

 世田谷の区民の健康を考える上で、公害問題といいますと、やはり移動発生源による大気汚染、環七、環八、甲州街道等があるわけですから、その点について非常に留意していかなければいけないと思うわけですけれども、世田谷区としては、大気汚染に対する対策としてはどのようなことをされているのか、教えてください。

◎(櫻田衛生部長) 世田谷区におきましては、今、大気汚染対策といたしまして、健康被害等を防ぐための健康相談事業、そういうものを具体的には実施をいたしております。

◆(木下委員) 聞くところによると、公害検診について、何か縮小するようなことを考えているということをちょっと耳に挟んだんですが、そういう事実はございますか。

◎(小池保健課長) 公害検診につきましては、縮小ということではなくて、公害検診事業につきましては、過去二十年余りに及び実施しておりまして、その成果は十分に果たしてきたところでございます。今後は社会状況の変化等を見据えて、他の検診事業との連携等も含めまして、より効果的な事業へ向けて検討していく必要があると考えております。

◆(木下委員) 縮小ということがなければ、それはそれでいいんですけれども、ただ、例えば今年度の事業概要を見ますと、つまり昨年の統計なんですが、これを見ますと、例えばがんで死亡する人の数についての統計でいきますと、一九七〇年に死亡率で九七・四だったのが一九九五年で二〇四・六、二倍以上にふえているんですね。それから、その中でも呼吸器がんが九・〇から三二・五、つまり三・五倍にふえているわけです。胃がんについて言えばほとんど変わらず三六・七から三七・四ですからほとんど変わっていないわけです。

 そういうところを見ますと、やはりがんと大気汚染との因果関係などということについてはきちっと調べていかなければならないというふうに思うんですけれども、例えば公害検診などで、そういったがんとの関係をきちっと調査するようなことというのはやられているんでしょうか。

◎(小池保健課長) 肺がんの出現率と公害検診を実際に結びつけた疫学調査のようなことは、残念ながら行ってまいりませんでした。

◆(木下委員) もう公害問題が叫ばれてから四半世紀以上たっているわけですね。その間、やはり全体的に見て、呼吸器がん等がたくさんふえている。そういったことを考えますと、世田谷のような移動発生源による大気汚染が心配されるところでは、そういった調査というのはやろうと思えばできるわけですから、それはやってしかるべきだと思うんですけれども、そういうことを相談されたこともないんですか。

◎(櫻田衛生部長) 今お話の公害検診につきましては、例の四十年代の公害問題がいろいろ言われたときに、東京都が先駆的にこの公害検診あるいは医療費の助成等を実施しまして、その後、国の方で、ご案内のとおり、昭和四十九年九月から公害健康被害補償法が制定された。そういうことで、東京都の方の制度も変わって、そして東京都と国の間隙ができたために、そこを区の方で埋めていこうという趣旨でやってきたものでございます。

 今、委員ご案内のとおり、その後の六十一年の地方公害対策審議会等におきまして、今後の公害のあり方等が検討されまして、それまでの第一種あるいは第二種地域の指定解除等がございまして、公害に対する考え方も大きく変わってきたところでございます。

 そこで、区としましても、今の公害検診がこのままでいいのかという視点に立って──先ほど縮小するのかというご質問がございましたが、そういう考えではなくて、新しい、例えばお話のありましたがんとの関係など、そういった疫学的な調査の方向へ向けて、これから検討していこうということで、今、関係団体と協議をしているところでございます。

◆(木下委員) そういった疫学調査は積極的にやってもらいたいと思うんですね。例えば、公害検診の認定の委員会の中には、川崎病の川崎先生なんかも入っているわけですから、そういったことについてはきちっとやっていただきたい。とりわけ、がんだけではなくて、やっぱり呼吸器の障害については、きちっと問題意識をとらえてやればわかるわけですね。それから、受診率が減っているということもきちっとした目的意識を持って役に立つ研修をきちっとやれば、それは住民だって協力すると思うんですね。だから、そういう体制でぜひやっていただきたいと思うんです。

 助役に聞きたいんですけれども、そういった疫学調査等について、積極的におやりになる意思はございますか。

◎(川瀬助役) 所管の方でも問題意識は持っていろいろ検討しているようでございますから、また所管ともよく相談をさせていただきたいと思います。

◆(木下委員) とりわけ、NO2の問題につきまして、以前NO2が指定要件になっていなかったものですから、SO2との比較で、世田谷区内でも大分運動があったわけですが、国が公害健康被害補償法からそれを外して──外したといいますか、健康被害補償法の制度自身をなくしてしまった。そのことによって、NO2云々という声が少なくなってきているわけですけれども、実態としてはNO2の被害は減っていませんし、さらに公害被害という意味でのがんの増加等もあるわけですから、ぜひその辺については世田谷区としては積極的に取り組んでいただきたい。そのことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○(小谷委員長) 以上で無党派市民の質疑は終わりました。

 ここでしばらく休憩いたします。

    午後零時十五分休憩

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●1996年10月17日 決算特別委員会 (都市整備委員会所管分に対する質疑)

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○(小谷委員長) 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。

◆(木下委員) 先ほど下条委員からの質問以降、弦巻と瀬田の土地の問題が出ていましたので、そのことについて、まずお聞きします。

 土地開発公社は九十六億円の予算をとって、その中で弦巻の土地を買うというふうに評議員会にかけたそうですけれども、この幾らかということについては、こういうものについては明かさないんですか。

◎(室星土地調整課長) 先ほどもご答弁申し上げましたように、予定単価でありましてもほぼ同額で契約したような場合には個人情報となることになりますので、個別の金額は差し控えさせていただいております。

◆(木下委員) 瀬田の土地では明らかにしているんじゃないですか。

◎(梅田都市整備部長) 先ほどもご答弁しましたように、弦巻についてはまだ相手方がテーブルに着いただけということで、具体的な敷地の確定測量といった前段の作業がまだ済んでおりません。ですから、総額幾らということにはなっておりません。瀬田四丁目については、既に議決案件ということでご審議いただいている。要は進捗状況が違うということでご理解いただければと思います。(「よく言うよ」と呼ぶ者あり)

◆(木下委員) よく言うよという言い方がありますけれども、本当にそう思います。例えば瀬田の土地は、昨年の十二月に都市整備常任委員会にほぼ四十億円ほどで買うということが報告として上がってきているんですね。その後、土地開発公社の評議員会はたしかことしの二月に行われているわけですけれども、そういったふうに事前に四十億というのは出ていたわけです。

 瀬田の方の土地については、小坂さんが七月五日に訪ねてきたと言いましたね。ところが、十月になってから小坂さんはその法人をやめていますね。契約するのは法人ですよ。その後、その法人の持ち主というか、代表者もかわっている。そういったことから、テーブルに着いた云々と言いますけれども、瀬田の土地だってまだ抵当権もついていますし、完全に決まったわけではないわけですよ。それについて違う扱いをされているということについては指摘しておきます。これは今後大事な問題だと思いますので、指摘しておきますが、小田急問題について質問させていただきます。

 小田急線の梅ケ丘駅以東の調査について、高架、地下の両論併記で調査報告書が上がってきているわけなんですけれども、これにつきましてはシールド工法については検討されていないけれども、これはなぜなんですか。

◎(志村交通企画課長) シールド工法というお話でございますが、世田谷代田駅以東の調査につきましては、地下案四案、高架案四案を調査して、それぞれ抽出をしたものでございまして、特別に地下がシールドでやるというようなことを限定してやったものではございません。

◆(木下委員) 六十年六月に報告された川上委員会の調査ではシールド工法についてやっていますよね。それとの関連ではどうなんですか。

◎(志村交通企画課長) 今お話しの川上委員会というものでございますが、これは小田急線沿線街づくり研究会といいまして、六十二年六月に報告をされております。当時は喜多見−和泉多摩川駅間が事業認可され、事業に着手しているようなころでございまして、成城学園前−東北沢駅間の構造形式、まちづくり案の課題の抽出等を行ったものでございまして、そのときに、委員お話のように、高架式、地下式、掘り割り案といったものの三案について比較検討しておりまして、それぞれ考えられる十四ケースについて算出をいたしているところでございます。

 そうした中で地下方式につきまして算出しているではないかというお話でございますが、現在のところ、昭和六十二年当時のことでございますから正確なところは不明でございますが、当時営団地下鉄等の施工費用といったものを参考に算出をしたものだというふうに伺っているところでございます。

◆(木下委員) 今の答弁は全く的を得ていないんですよね。六十年の川上委員会の報告書について聞いているんですよ。六十二年、六十三年の東京都の報告書じゃないんです。世田谷区がやった調査報告でシールド工法について検討しているんですよ。ところが、今回の世田谷区がやった調査では、シールド工法については、世田谷代田駅から東北沢駅について検討されていない。それはなぜかと聞いているんですよ。

◎(徳善道路整備部長) 今回の世田谷代田駅以東の調査につきましては、新宿方向への輸送力の増強という視野を置きまして検討が必要であるという区議会での強い意向を受けまして、新宿へ直結する輸送体系をも視野に置いた世田谷区独自で物理的な面からの立体形式の調査を行っております。したがいまして、主として世田谷代田駅から新宿までの立体化の必要性と概略の線形等の調査を行っております。立体化の形式につきましては、高架式、地下方式、それぞれ先ほど申しましたように四案の検討を行いまして、その中から高架方式、地下方式それぞれの案についての二案に絞り込みを行いまして課題の整理検討を行っているわけでございます。

 ご質問の事業費ということでございますが、(「委員長、事業費については聞いていません」と呼ぶ者あり)この調査は立体化の物理的な面から(「やめさせてください。時間がもったいない」と呼ぶ者あり)行っておりますので、事業費につきましては事業主体でございます東京都及び小田急が算出すべきと認識しておりまして、区としてはこの調査では行っていないところでございます。

◆(木下委員) 聞いていないことをべらべらしゃべるような答弁はやめさせてくださいよ。

 いいですか。シールド工法については、結局、今の区間について、下北沢地区についてどうするかというのは世田谷区にとっても大きな課題ですよね。それで、これから議会とも相談してやっていく、あの調査報告に基づいてやっていくというふうに言っているわけですけれども、シールド工法について取り入れるかどうかというのは大問題ですよ。それについては、世田谷区としては一切検討していないんですか。

◎(志村交通企画課長) 以前から委員が交通対策特別委員会でもお話がございましたシールド工法というのは、多分、朝日新聞に掲載されたものだというふうに承知しているところでございます。あの新聞記事によりますと、駅と駅の間を円形シールドで掘り進んで、駅部分になりますと、両側に側部シールドを取りつけて堀り進むというようなことで、営団地下鉄の南北線で採用されるというような記事でございました。これにつきましては、世田谷区はもう既に事業が進んでいるところにつきましては、平成六年十二月に着手以来、八年度末には一四・九%もの進捗を予定しているように、着実に事業を進めているところでございます。

 以東につきましても、今後、立体化の事業者であります東京都が構造形式を含めて調査検討を進めるとなっておりますので、お話の点につきましても東京都に伝えてまいりたいと思っております。

◆(木下委員) 時間が少ないのに本当に的外れな答えばかりしないでくださいよ。いいですか。世田谷区が下北沢についてどうするかについては、議会とも相談してやると言っているんですよ。六十年に出した川上委員会の報告書にはシールド形式が載っていて、それとの関連も何ら調査していないということは、どういうふうに議会と相談するのかわからないわけですよ。その観点について聞いているわけですけれども、どうですか。

◎(志村交通企画課長) 先日、交通対策特別委員会で世田谷代田駅以東の調査報告を報告させていただきました。三年間の調査の結果でございます……。

○(小谷委員長) 以上で無党派市民の質疑は終わりました。

 ここでしばらく休憩いたします。

    午前十一時四十一分休憩

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●1996年10月18日 決算特別委員会 (文教委員会所管分に対する質疑)

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○(小谷委員長) 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。

◆(木下委員) 秋もたけなわなわけです。読書の秋でもありますので、本日は図書館について質問させていただきます。

 助役にお聞きいたします。日本で最大の図書館はどこになりますでしょうか。

◎(川瀬助役) よく知識はありませんが、多分国会図書館ではないかと思いますが。

◆(木下委員) 国会図書館だと思います。それでは、なぜ国立図書館ではなくて、国立国会図書館なのかというのは、どうお考えですか。

◎(川瀬助役) 残念ながら、その理由については存じません。

◆(木下委員) 戦前は国立図書館であったわけですけれども、戦後、新憲法ができて国立国会図書館に変わったわけです。憲法の六十二条は議員の国政調査権を定めてありまして、国会法第百三十条は「議員の調査研究に資するため、別に定める法律により、国会に国立国会図書館を置く」とされており、昭和二十三年に国会図書館法が定められているわけであります。二十条には行政及び司法の各部門に現存するすべての図書館は、国立国会図書館の支部図書館とすることが定められてありまして、つまり行政各省庁の図書館は、国立国会図書館の傘下にあるということになります。この図書館は、調査及び立法考査局も置かれた国会議員のための図書館であります。この図書館が国立国会図書館法二十一条で、日本国民にこれを最大限利用させると規定し、国民の共有財産となっているわけであります。

 翻って議会図書室について考えてみます。地方自治法の第百条は、地方議会の調査権を定めた大事な条項ですが、ここに議会図書室が規定されております。第十四項で、議会は議員の調査研究に資するため、図書室を附置するということになっているわけであります。第十五項で、一般にこれを利用させることができるというふうになっております。一方、昭和二十五年に定められました図書館法では、地方公共団体が設置する公立図書館について定めてあります。地方自治体の場合は、公立図書館と議会図書室との二元的なシステムになっているわけですけれども、図書館法では、公立図書館、私立図書館を問わず、第三条で、他の図書館、国立国会図書館、地方公共団体の議会に附置する図書室などと緊密に連絡し、協力し、図書館資料の相互貸借を行うこととされております。そこでお聞きいたします。世田谷の図書館では、議会図書室の情報データはどのように把握されておるでしょうか。

◎(堀川中央図書館長) 現在、公共図書館側としましては、議会図書室での資料等についての詳細なデータは残念ながら持ち合わせておりません。

◆(木下委員) 区の情報公開室にある図書室は、これはどういう位置づけになっていますでしょうか。おわかりになりますか。

◎(川瀬助役) 区政情報室は、情報公開の必要性が広く求められるようになって、一つは、情報というものは本来は公開をしておく、どんどん提供しておくという前提があって、なお不足する場合に請求があった場合に公開をしていく、そういうことを考えておく必要があるのではないか。まず第一番に、区政情報室というのはそういう情報を提供していく機能として設ける。さらに、そのブランチとして総合支所ごとに公開するコーナーを設けよう、そういう発想でつくってきたものと記憶しております。

◆(木下委員) これは図書室あるいは図書館としての位置づけにはなっていますか、なっていませんか。

◎(川瀬助役) 図書館の位置づけはしていないというふうに記憶しております。

◆(木下委員) 図書室としてはどうですか。

◎(川瀬助役) 要するに図書館法に基づく機能としての発想ではなくて、情報公開の方の発想からつくっているものだと記憶しております。

◆(木下委員) それでは、公立図書館の側としては、情報公開室にある資料についてはどのように情報を把握されていますか。

◎(堀川中央図書館長) 現在、区政情報センターにおきまして、毎年度、資料目録という冊子をつくっております。その提供を受けまして、図書館側で持ち合わせていない、所蔵していない行政資料等につきましては、その目録等を利用いたしまして、区政情報センターの資料についてご紹介しているという現状でございます。

◆(木下委員) 世田谷の公立図書館では、もう既にコンピューターによる自動検索ができるようになっているわけですけれども、せっかく世田谷区議会に図書室があるのに、そこで持っているデータが使えないということは市民にとっても、また政治を研究する方々にとっても、政治を具体的に行う者にとっても非常に不都合であると思うんですけれども、この点の改善点はどういうふうにお考えでしょうか。

◎(津吹教育長) 私も前職が事務局長だったので、ちょっとお答えさせていただきますが、確かに区議会の図書室につきましては完全な形だというふうには考えておりません。議員の皆様が非常に有効に活用しておりますので、区政情報コーナー等の資料図書、そういうものも含めて、議会図書室等との連携を密にして、より使いやすいように今後検討していきたいと思います。

◆(木下委員) 私は冒頭、国立国会図書館と現在の地方議会の図書室との法律的な位置づけみたいなことについてお話ししたわけですけれども、少なくとも調査権に基づいて図書室が設置されている以上、そこに収集する資料というのは情報公開されたものなどはすべて必要でしょうし、いろいろな行政が持っている資料については収集していく必要があると思います。

 それから、一般にも公開すべきなんですが、世田谷区議会としては公開していないと思うんですが、これは公立図書館から見て、どういうふうに思われますか。

◎(堀川中央図書館長) 議会図書室での詳細な取り扱いにつきましては承知していない部分はございますけれども、必ずしもそれぞれ議員のご紹介があれば議会図書室の資料は利用できるというふうに聞いておるんですけれども、公共図書館側としましては、今後そういう情報を単に資料の提供というだけじゃなくて、いろんな形での区民の方からの情報に対する要求が高まってくるのではないかということで、図書館側としても、行政資料の収集について今後検討を重ねていかなければならないのではないかなというふうに思っております。

◆(木下委員) ちなみに公立図書館の持っている行政資料というのは、全体の中のどのくらいの数でしょうか。

◎(堀川中央図書館長) 図書館全体で十三館の中で、資料数としては約百五十万点ほど持っておりますけれども、行政資料という区分だけではございませんで、そのうち世田谷区の資料でございますとか、東京都、他の二十二区の資料等を含めまして、そのほかにおける統計資料、報告書を含めまして、全体で一万六千点ほど持っております。

◆(木下委員) 極めて少ないと思います。インターネットなどでデータ検索などをする時期に来ておりますので、そういった行政資料については市民が図書館を通じて検索できる、そういうことを通じて初めて情報公開が実現していくというふうに思います。

 終わります。

○(小谷委員長) 以上で無党派市民の質疑は終わりました。

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●1996年10月22日 決算特別委員会 (補充質疑、採決)

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○(小谷委員長) 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。

◆(木下委員) 小田急問題も大事ですけれども、先ほどから議論されている弦巻の土地の問題も非常に大事ですので、きょうはこの問題に絞ってやりたいと思います。

 弦巻の緑地取得問題ですが、岩崎邸についての取得問題が最初に請願審査されたのは平成五年十月二十二日ですね。こういった土地絡みの請願審査の際には、当然登記簿謄本などを担当者が取り寄せて調べておくものだと思いますけれども、いかがですか。

◎(梅田都市整備部長) 当然、必要な情報は調べて審議に臨んでおります。

◆(木下委員) 当時の請願についての議事録を見ますと、平成五年の五月七日に当該地に計画してあった納骨堂の新築工事の建築確認を世田谷区はおろしているわけですけれども、十月十五日に世田谷保健所長あての提出書類に不備があり、行政上の扱いにはなっていないというふうに書いてあります。

 しかし、登記簿謄本を見ますと、平成五年六月二十二日に住友銀行の申し立てにより、当該土地は東京地裁により差し押さえられており、競売開始の決定を受けております。保健所への申請云々よりも、むしろ重要な事項が請願審査の際に明らかにされていなかったのは議会を愚弄するものだと思いませんか。担当者はいかがですか。

◎(大塚助役) 平成五年の順正寺の新築工事確認申請依頼、この時点で岩崎邸に関する陳情が提出されたわけでございますが、この時点では、まだ私どもの方としては正式に公園として買う予定の状況にはなかったことから、そう詳しくは調べていないというのが状況でございます。

◆(木下委員) ですから、先ほど登記簿謄本はとるのかと聞いたんですけれども、登記簿謄本なんて簡単にとれますよ。それを見ただけでいろんな情報が載っていますよ。六月二十二日に競売に付されているということが書いてあるわけですよ。少なくとも十月二十二日に請願の審査をやっているわけですが、そのときには、そういう情報は持っているはずじゃないですか。なぜそのときに言わなかったんですか。

委(梅田都市整備部長) 結果の話ですけれども、たしか平成五年九月の請願につきましては、そういった問題もあって継続審査ということになっております。

◆(木下委員) そういった問題もあって継続審査になっているということであれば、そのときに委員の間に、こういう問題があるということについてはきちっと言うべきであります。しかも平成七年の七月二十五日にも請願が出されておりまして、私は、この請願に賛成いたしました。しかし、そのときに一切競売に付されているという情報はなかったですよ。なぜですか。

◎(大塚助役) 私どもが公有地を買収する場合には、そうした権利がついていようといまいと、最終的に契約に当たって、そうした権利を全部白紙、白にしていただいて、何ら借地権、あるいはそういうものがついていないことを確認して買収するわけでございまして、そうした買収の過程では、こうした債権がついていることがそれほど大きな問題になるというふうには認識しておりません。

◆(木下委員) いいですか、大事な問題ですよ。抵当権がどのくらいついているかについては把握されているでしょう。

◎(大塚助役) 現在の時点では把握しております。

◆(木下委員) もう当時からわかっていたはずです。二十五億三千万もついているんですよ。これは不良債権じゃないですか。

◎(大塚助役) 不良債権というふうに断定していいかどうかわかりませんが、二十五億の債権がついて、それが最終的には幾ら、その中で最高二十五億まで借りられるという債権でございまして、そのうち、かなりの部分はついていると思われますが、実質どのぐらいついているかはわかりません。

◆(木下委員) 最低競落価格が四億六千万ということでしたけれども、そういう情報が入っておりますけれども、それについては一切わからなかったんですか。

◎(梅田都市整備部長) 先ほどもご答弁しましたように、東京地裁に問い合わせしましたら、土地の評価書は既に裁判所に提出されている。ただ、裁判所による期間の定め及び入札等の我々が閲覧できる期間については、その門戸を開く前に当事者から取り下げをされておりますので、情報が入手できないということです。

◆(木下委員) 取り下げはいつですか。たしか八年の四月二日ですよ。

◎(梅田都市整備部長) 東京地裁への問い合わせでは、平成八年四月一日取り下げという回答を得ています。

◆(木下委員) そうしますと、その後にいろんな交渉事が行われた。区長も入って、また料亭まで使って行われた、これは大事な問題ですよ。といいますのは、不良債権について、要するに、これを高く処理する、そのことがこの問題の本質ですよ。いいですか、四億六千万円ですよ。十三億でやったら差額は幾らですか。だからこそ、代議士が甘いみつをかぎつけて来たんじゃないですか。そういう問題ですよ、この問題は。

◎(梅田都市整備部長) 競売の件とも絡めてのご指摘だと思いますけれども、先ほどもお話ししましたように、このニュースは我々は取得しておりません。ですから、当事者以外に知り得ない情報、そういったことについても再度調査させていただきますということです。

◆(木下委員) 請願の際にも言明しているけれども、もう交渉に入っているというようなことが言われておりました。それで聞きますけれども、株式会社アイ・ケイ・テイ・オーナーズ、平和土地建物株式会社、これはどういう会社ですか。岩崎利明氏とどういう関係がありますか。また、寺とはどういう関係がありますか。何かつかんでいますか。

◎(谷田部建設部長) 今、名前が出ました業者さんにつきましては、私の方は知りません。

◆(木下委員) いいですか、この会社は、岩崎利明氏と並んで債務者になっているんですね。全然知らないんですか。

◎(谷田部建設部長) 私の方は存じ上げておりません。

◆(木下委員) いいですか、先ほどから言っているように、だれでもとれる登記簿謄本の中に、すべてその情報は入っているんですよ。こんな簡単な情報をなぜ議会に知らせなかったんですか。いいですか、請願審査は厳密であるべきですよ。こういう物件であるということがわかっていたら、私は賛成しなかったですよ。

◎(谷田部建設部長) 昨年の七月の請願審査のときに私どもとしましては、不良債権がたくさんあるということは言われました。しかし、私たちも調べました。それで、そういう抵当権等を抹消することが条件です。それで買収したいというふうに言いました。

◆(木下委員) 区民のためを思えば、これは競売にかけたっていいじゃないですか。入札したっていいじゃないですか。四億六千ですよ。安い買い物ができますよ。なぜそういうことをしないんですか。これはできないわけはないですよ。土地開発公社ができないわけはない。

◎(梅田都市整備部長) 競売を前提のご指摘ですけれども、その内容が明らかになっておりません。調べるすべも現時点では我々は持っておりません。

◆(木下委員) それから、これは寺が納骨堂を計画していながら、これを買おうとしていなかった。入札にも参加していなかった。この事実は大きな問題ですよ。

○(小谷委員長) 以上で無党派市民の質疑は終わりました。

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