平成8年第1回定例会(自34日 至328日)

世田谷区議会会議録

1996年3月5日 一般質問 小田急問題、桜ヶ丘小建替え問題


○(鈴木昌二議長) 次に、三十七番木下泰之議員。

   〔三十七番木下泰之議員登壇〕

◆三十七番(木下泰之議員) 通告に基づき質問をいたします。

 最初の質問は、世田谷区が、平成三年度、四年度、五年度と三期にわたり実施した梅ケ丘以東の小田急線の構造形式と沿線交通施設街づくり調査についてであります。

 昨年十一月の決算議会では、審議の必要性から、決算運営委員会を通じて同調査報告書についての資料要求を理事者に対して求めようとしたところ、決算運営委員会はこの請求を拒否してしまいました。仕方なく個人で情報開示請求を行い、一部開示ではありますが、本年一月十六日に情報を入手いたしました。議会審議に必要な情報の請求を議会みずから拒否するという対応は議会の自殺行為であります。この調査自体、実施に当たって、理事者側が議会への報告を約束していたものである以上、なおさらです。この場をかりて、今後、このようなことのなきよう、議長にあえて申し入れをしておきたいと存じます。

 この東北沢以東の小田急線の調査の性格は、報告書そのものが雄弁に物語っております。報告書の中の文章を読んでみたいと思います。

  本調査の課題は、世田谷区議会においても、平成二年から同三年にかけて、多岐にわたり論議が行われた。

  その中で、都庁の新宿移転や新宿副都心の発展の動向など、社会的変化、鉄道利用の都心指向型から新宿副都心指向型への変化などが考えられることから、新宿方面を視野に入れた新たな視点で、一刻も早い事業の完成を図る方策について、区においても検討を行うよう区長に要請があった。

 区としては、小田急線の沿線地域の都市化が著しい踏切の渋滞による交通混雑や地域分断など、様々な区民生活への影響を早期に解消するとともに、鉄道輸送の混雑緩和を図り、立ちおくれている街づくりへの方向性を見定めることが、緊急かつ重要な課題としている。

  特に駅周辺及び沿線地域の街づくりには、小田急線の立体化形式の如何が、大きな要因として直接関係をしてくるものと考えられる。

  このような視点及び区議会の意見などを踏まえ、本年度は先ず、新宿副都心方面の輸送力増強を視野に入れながら、立体化形式について物理的な面から、技術的な比較検討を行うものである。

  この成果をもとに、都市計画決定権者である東京都など関係機関への働きかけの基礎資料とするものである。

 今読み上げました文章は、平成三年度に中央復建コンサルタンツ株式会社が世田谷区に納めた小田急小田原線立体化推進調査報告書、平成四年三月に納められておりますが、この報告書の「はじめに」に書かれた文章であります。

 平成四年度にも調査をやっておりますが、この調査での「はじめに」では、前年度の文章の途中までは同じで、次のような締めくくりになっております。

 こうした背景のもと、本調査は都市計画決定権者(東京都)関係機関への働きかけや調整の基礎資料とすることを目的に、

・小田急小田原線(梅ケ丘−新宿間)の立体化の必要性及び概略線形検討

・梅ケ丘−東北沢間における街づくり及び交通施設の課題整理を実施するものである。

 こうなっているわけであります。

つまり、この調査は、平成三年六月十日に当時の佐野助役が小畑議員の質問に「下北沢駅周辺について、新宿方面の輸送体系を視野においた広域的見地から、早期実現を念頭において高架式や地下式など、適切な立体形式の方策について関係方面の協力を得て、今年度調査を実施いたします。その結果をふまえまして、立体形式や今後の取り組み方策などにつきまして、議会にお諮りしながら、本事業の促進を都並びに国へ強力に要望してまいりたい」と答えたのと、まさに符合する調査であります。

 ところが、この調査結果につきましては、平成三年度が終わっても議会に報告されませんでした。報告されぬまま平成四年度調査へと進み、平成五年度には小田急線交通施設及び街づくり調査報告書までも得ながら、いまだに議会へ報告がないのであります。

 平成三年度調査で既に地下四案、高架四案の八案を比較検討し、地下A、A' 、高架B、B' の概略線形に絞り込んであり、平成四年度には構造形式についてさらに詳細な検討を加え、平成五年度にはまちづくりの比較検討の意見をまとめています。地下案がA案となっていることに注目していただきたい。この調査では一貫して地下案が先に記述され、A案となっております。この調査で、区の方針が地下化を念頭に進めているのは明白であります。

 理事者側は、昨年の決算委員会での質問にも、また昨日の高橋議員の質問に対しても、関係機関と調整中であるから報告できないと答えていますが、佐野助役の答弁に照らせば、関係各方面の協力を得て行う調査であったわけですから、調査結果の報告を議会に行い、議会と相談しながら、本事業の推進を都並びに国へ強力に要望するのが筋であります。ところが、調査結果を踏まえて、理事者側はこそこそと都や国に働きかけ、あるいは調整を行っている。このことは、まさに議会を冒涜する行為にほかなりません。この調査は、平成二年第三回定例会での区長あいさつから始まった話であります。大場区長には、この間の議会軽視の対応に対し、謝罪をしていただきたい。いかがでしょうか。

 既に本件調査の途中で引退された広島議員、広島前議員は下北沢地区を地盤とされていましたが、同議員が現役であったころ、同議員の求めに応じて、区の職員が東北沢地区で住民を前に新宿までの地下化案の概略図まで示して説明したことがありました。一議員の求めには応じながら、区議会に報告がないというのはいかがなものでしょうか。釈明を求めるとともに、同調査結果の区議会への報告と、都や国への働きかけの道筋をお示しいただきたい。

 次に、小田急線の構造形式による土地利用と費用比較についてお伺いします。

 多くの区民の反対にもかかわらず、現在、掘り割りとした成城付近を除き、喜多見−梅ケ丘間の高架工事が進められております。高架と地下を比較した場合、地下化の方が環境に優しいというのは共通認識であったと考えます。素案の説明会以来、行政側の説明は、高架と地下を比較した場合、高架は事業費が安く、地下は高いというものでした。本当にそうでしょうか。確かに工事費のみを取り上げれば、高架工事の方が住民の主張するシールド地下工事よりも安いことは事実です。

 しかし、事業に要する土地の取得や土地の利用を考慮するとどうなるでしょうか。複線の在来線を複々線の高架鉄道とする場合は、複線部分の用地費と環境側道の用地費がかかります。一方、住民の主張する二線二層シールド地下方式の場合は、複々線用地も環境側道も必要がないので用地費がほとんど必要ありません。

 逆に、両方式の事業によって生み出される資産価値を考えるとどうでしょうか。高架鉄道の場合、高架下の利用という新たな資産が生まれます。一方、地下化の場合、在来線跡地は丸々あくわけですから、高架下利用の利用価値以上に資産価値が生まれることは言うまでもありません。

 したがって、高架と地下の総事業費の比較をする場合は、事業への投下する事業費から事業によって生まれる新たな資産価値を差し引かなければ、公正な比較にはなりません。在来線の跡地がだれの所有物であるのかは議論のあるところですが、事業によって全く新たな資産が生ずるわけですから、事業費からその資産を相殺して考えるのは当然のことと言わなければなりません。だれの所有地であっても同じことであります。絶対的なことであります。事実、第三セクターは、高架の場合の高架下の利用をNTT資金の返済に充てようとしているわけですから、在来線跡地の資産を考慮することは論理的に言っておかしなことではありません。

 さて、前回議会の一般質問で、今申し上げたような計算方式に基づくと、梅ケ丘−喜多見間六・四キロで、高架方式よりも地下方式の方が六百六十一億円安くできるという不動産鑑定士の裁判証言を披露し、理事者に見解を求めましたが、明確な回答は得られませんでした。東京都が出した数字をもとに計算したところでは、高架、二千三十八億円、地下、一千三百七十七億円であり、差額が六百六十一億円だということであります。

 ところで、この試算は、下北沢地区が未定であり、梅ケ丘で地上に出てくることを想定した東京都の二線二層地下案に対する試算であります。下北沢地域が地下化であれば、地上に出る必要もありません。地下鉄が地上に移行する部分は開削工法をとらざるを得ず、そこに多額な工事費と用地費がかかるわけですから、下北沢地区が地下であるということであれば、このむだな出費が必要なくなるばかりか、掘り割り部分が必要なくなり、地上が使えるため、より安くできることになります。

 力石定一法政大学教授を座長とする小田急線連続立体交差事業専門家委員会によりますと、この場合、高架、二千三十八億円に対して、地下、七百三十三億円、実に地下方式は高架方式の三分の一の経費でできるということになります。常識的には信じられない、そう思われる方がいると思いますが、従来の高架の方が高くつくという、そういう常識は、環境や都市計画、最適資源配分などが本格的に論じられる前の、まだシールド工法のような新技術が登場する前のもはや古い常識と言わなければなりません。立体交換の手法を取り入れて試算した詳しい山森意見書を、理事者の方々はお持ちであると思います。昨年の決算議会でも見解をお聞きしましたが、理事者側は答えておりません。梅ケ丘以東の地下化による事業費を考える上で大きくかかわることですので、改めてご見解をお伺いいたします。

 今申し上げたことをご理解いただければ、当然、現在進めている高架工事の誤りは明白であります。環境に優しく、地震にも強く、跡地の利用ができて、まちづくりへのフレキシビリティにも富む地下化方式への見直しは必須であります。今進めている高架工事をやめて地下化に再変更しても十分採算がとれるばかりでなく、さらに安上がりになるということが先ほどの試算であります。工事期間も、これから地下化で都市計画決定をすることになる梅ケ丘以東と一緒に進めば、スピーディにできるはずです。財政困難の折であるからこそ、今こそ、金がかかる上にメリットのない高架工事はやめるべきなのであります。

 本議会に小田急線連続立体化事業関連予算の撤回、凍結を求める市民団体からの請願も出されております。せっかく、昭和四十五年と昭和四十八年に、先見の明を持って、我が世田谷区議会が地下化の要望決議を上げているにもかかわらず、十分な情報が議会に与えられないまま、なし崩し的に高架計画が追認され、高架事業が進められています。真偽のほどは別としても、いまだ、六十二年、六十三年度の東京都調査すら世田谷区は読ませてもらっていないということになっております。しかも、区長は東京都の決定に従うということしか言っておらず、主体的な判断は何ら下しておらないのであります。このような形で高架工事が進められてよいわけはありません。小田急線連続立体交差事業費は予算から削除し、地下化への見直しに備えて予備費に回すべきであります。高架事業の是非を含めて、区長にご見解をお聞きいたします。

 桜丘小学校の建てかえ問題については、花輪議員の質問が午前中にございましたので、これを踏まえて質問させていただきます。私も、花輪議員の提唱した、計画を白紙に戻してやり直すことに賛成し、区長に要望するものです。

 ところで、白紙に戻すと言っても、論点は既に整理されつつあると思います。東案のバリエーション案は幾つか出てきています。しかし、それだけでは住民は納得しないでしょう。住民が要望しているのは、西案をまないたにのせ、西案の最良案を模索し、比較をしてくれという基本的かつ当たり前の要求であります。ちょうど、東京都の調査で、小田急線の地下化をわざと金のかかる案として提出し、高架優位を導き出したのと同様なことが起こり得ると言わなければなりません。

 事務局を制するものは会議を制するということがあります。現代官僚制の問題です。だから、どのようなコンサルタントが会議を取り仕切るかというのは重要な問題です。ジェフルという会社が、平成六年九月に随意契約で基本構想案作成の仕事を受注しました。この会社は、花輪議員の質問にもありましたように、検討委員会長倉委員長の奥さんが代表取締役におさまっている会社です。資料の準備から構想案の起案まで受けるわけですから、影響力を強く行使できるわけです。

 さて、この検討委員会は、もう一つのコンサルタントが絡んでおります。改築基本計画の作成委託を受けた株式会社アルコムです。この会社は平成六年九月にコンペで選定された会社です。大事なことは、この会社は随意契約ではなくて、西側案でコンペを通ってきたということであります。十社が応募して、そのうちには東案もあったけれども、西案でコンペに通ってきたわけであります。

 検討委員会の構想案に基づき、改築基本計画の作成をすることになっておりますが、不思議なことに、ジェフルの構想案の納期が平成七年三月二十日、アルコムの改築基本計画の納期が三月二十四日となっております。当然のことながら、一緒に仕事をするということになれば、連絡、調整を密にとってということになるでしょうが、必ずしもそうはなっておりません。ジェフルは、検討委員会に東案、西案の両案を提出し、検討委員会では東案が選ばれたようでありますが、この際の西案作成に当たってアルコムと十分協議したでしょうか。どうもそのようには見受けられません。実際、平成七年三月には、アルコムが西側案優位を示した上で、東側案と並んで改築計画案を提出しようとしたが、区はこれを受け取らないという事態が発生しております。大切な税金を使って二つものコンサルタント会社を雇っていながら、区は一体何をやっているのか、そういうふうに思います。

 せっかく西側案を提出してコンペで選定された業者は、その意見を検討委員会に反映したいと思うでしょう。しかし、その検討委員会に反映させることもできない。しかも、検討委員会は東案に基本構想を絞り込み、アルコムに東案設計を押しつける。こういったやり方が教育問題に取り組む人々の間でなされているということは悲しむべきことではないでしょうか。こういったやり方は、少なくともよい仕事をしようとする人たちの能力を最大限に引き出すためのやり方ではない、そういうふうに言えるのではないでしょうか。平成七年三月にアルコムが示した西側案について、区はどのような見解を持っているのか、ご所見をお伺いしたいと思います。

 また、今説明をしてきたような状況の中で、基本構想検討委員会委員長と基本構想案の受注先のジェフルの社長が夫婦であるということの関係をどうお考えになるのか、そのご所見をお伺いするものであります。

 時間の制約もありますので、五番目の質問は本日は割愛させていただき、後日ということにさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

   〔大塚助役登壇〕

◎(大塚助役) 小田急線連続立体交差関連事業の予算の撤回と凍結についてのご質問にお答え申し上げます。

 小田急線連続立体交差事業でございますが、この事業は、東京都が事業主体となり、喜多見駅から和泉多摩川駅間と梅ケ丘駅から成城学園前駅の二つの工区において連続立体交差事業の工事を進めております。喜多見駅から和泉多摩川駅の区間につきましては、昭和六十年に都市計画決定され、昭和六十一年に東京都が事業主体となり、事業認可を受け、平成元年に工事の着手、平成七年三月には在来線の高架化が完成し、現在、平成十年度の事業完了に向けて工事が進んでおります。梅ケ丘駅から成城学園前駅の区間につきましては、平成五年に都市計画の変更が行われ、平成六年に同様に東京都が事業主体となって事業認可を受け、平成六年十二月に工事に着手し、現在工事を進めているところでございます。

 連続立体交差事業の負担金につきましては、地方財政法の規定に基づき、連続立体交差事業の事業主体である東京都に対し、当該年度の連続立体交差事業に要した費用のうち、国庫補助金を除く地方負担相当分の十分の三を地元自治体が負担する仕組みになっており、都内の区市町村に共通して適用されているものでございます。これらに要する経費については、基本的に都市計画交付金と都区財政調整で措置されることとなっております。

 区内で現在進んでおります喜多見駅から梅ケ丘駅間の小田急線の連続立体交差事業を既定計画どおり進め、踏切の遮断による慢性的な交通渋滞や鉄道による地域分断を解消し、安全で快適なまちづくりを実現していくためには、こうした負担の仕組みに沿って事業を進めていかなければならないのではないかと考えております。このため、小田急線連続立体交差事業に関する予算につきましては、毎年予算を計上し、議会の議決をいただき、事業を執行しているところでございまして、来年度予算につきましても、本議会にご提案を申し上げているところでございます。

◎(木庭道路整備部長) 小田急線の梅ケ丘以東の世田谷区の調査についてのご質問にお答えいたします。

 世田谷区では、梅ケ丘以東の小田急線に関連した調査として、平成三年度、四年度にかけて、小田急小田原線立体化推進調査を実施しております。この調査に至った経緯でございますが、平成二年四月に、東京都から世田谷区に対し、小田急線の事業化方針について説明がございました。その方針によりますと、梅ケ丘以東の構造形式については、関係機関との調整が必要であるとし、検討中区間とされました。この残された事業化方針未定の区間について、世田谷区議会においても多岐にわたる議論がなされ、都庁の新宿移転や新宿副都心の発展の動向などの社会的変化、鉄道利用者の都心指向から新宿副都心指向への変化などを考えると、新宿方向へ輸送力増加を目指した視点での検討が必要であるとの区議会の強い意向も踏まえ、新宿へ直結する輸送体系を視野に置いて、世田谷区独自で物理的な面から立体化形式の調査を行ったものでございます。

 この調査の内容でございますが、主として、世田谷代田から新宿間の立体化の必要性と概略の線形について行っており、立体化形式につきましては、高架方式、地下方式についてそれぞれ複数案を検討し、高架式、地下式それぞれについて案の絞り込みを行い、課題の整理や比較検討を行ったものでございます。この調査は、新宿区、渋谷区など他区に広くまたがる部分があり、東京都やこれらの関係区との調整が難しく、民有地への影響もあるので、現時点ではすべてを公にすることはできない状況でございます。

 次に、小田急線の構造形式の違いによる費用の比較でございますが、平成四年一月の東京都の都市計画案の説明会資料によりますと、東京都は、小田急線の梅ケ丘駅から成城学園前駅間の都市計画案を策定するに当たり、地形的条件、交差する道路との立体交差などの計画的条件、事業費などの事業的条件を総合的に判断した結果、成城学園前駅付近は掘り割り式に変更し、そのほかの区間は高架式という都市計画案としたとしております。この説明会の資料では、高架式の都市計画案が約千九百億円、地下式については約三千億円から三千六百億円が、計画段階におけるおおむねの試算額となっております。

 その後、この都市計画案について、都市計画法及び東京都環境影響評価条例に基づく手続に従って、平成五年二月に都市計画が変更されております。平成六年六月には、東京都が都市計画事業認可を取得し、同年十二月に工事に着手し、現在工事が進んでいるところでございます。世田谷区といたしましても、小田急線の立体化は、沿線のまちづくりや都市基盤の整備に資するものであり、予定どおり事業が進捗することを望んでおります。

 以上でございます。

◎(浜田教育総務部長) 桜丘小学校の件につきまして、一つ、アルコムの西側案の見解、それから委員長と研究機関との関係というようなご質問だと思います。

 まず、委員長と研究機関の役割でございますが、これについてまずお話しさせていただきますと、委員長の役割は、研究機関の報告、提案や各委員の意見、議論を整理して基本構想をまとめていくということでございます。したがいまして、自分が率先して委員会を一定の方向にリードするということではございません。

 それから、研究機関の役割は、委員会の事務局として──これは委員長の事務局ではございません。委員会の事務局として、研究、調査だとかヒアリング等を行いまして、専門的な情報収集、事例研究の成果等を踏まえまして、資料を作成あるいは会議録の作成等を行いまして、最終的に基本構想報告書を作成するということになっております。これは本来、教育委員会の建設担当課のスタッフがその人数だとか専門的な知識で充実していれば果たせるものであります。しかしながら、こういった臨時的な仕事をこなすほどの体制はできておりませんので、契約をする、委託をしている、こういうことでございます。したがいまして、研究機関と建設担当課が共同で事務局機能を果たしているということでございます。

 このような体制で会議を進めていく中で、東側、西側の両案を検討したわけでございます。最初に東側案を主張しましたのは教育委員会でございまして、これは、これまでの四校の改築工事あるいは改築計画の経験を踏まえて、東側の方が総合的に見てすぐれていると判断したからでございます。したがいまして、これが委員会の検討の結果、成案となったものでございまして、委員長、研究機関がこれをリードしたものではございません。教育長が午前中答えましたように、この委員長と研究機関は別人格でございまして、法的には契約上の問題はないというふうに認識をしております。

 それから、研究機関のジェフルとアルコムの関係でございます。これにつきましては、全く役割が違うわけでございまして、二つのコンサルタントに同じ仕事をお願いしたわけではございません。この基本構想検討委員会の事務局として、先ほど説明しましたジェフルという研究機関が入っていまして、これは委員会の資料をつくったり、あるいは概念図、大きな図面をつくったり、報告書をつくったりというふうな仕事がございます。

 もう一方、アルコムの方は、この委員会の結果を受けて将来的に基本設計に入っていくわけですけれども、その基本計画の図面をつくるということで、例えば配置図とか平面図とか断面図といったような、まさしく設計事務所でなければできないようなそういう図面をつくってもらうわけでございます。したがいまして、上位下位という関係でいけば、研究機関が上位ということになりますでしょうか、そういう関係になります。この委員会にアルコムが参加していましたのは、将来的な基本設計に、あるいは基本計画をつくる際の参考としてもらうために、オブザーバーみたいな立場で参加したわけでございます。

 それから、平成七年の三月にアルコムが、委託しました基本計画の図面を出してきたわけですが、それを正式に受け取る前に実は西側の案が出てまいりまして、これは検討委員会の結果の東側の案で行かなきゃいけないところに西側が出てまいりまして、これは本来そもそもの契約とは違反する行為でございます。区がお願いし、あるいは検討委員会の結果でもってつくるべきものを、西側が出てきましたので、これは契約違反ですから、東側で出してくださいということで出し直してもらったものがその図面でございます。でも、それが情報公開の対象になりまして、私どもとしては正式に受け取ったものじゃないので、どうかということで検討したんですが、そういうものでも情報公開すべきであるということで、最終的には公開いたしました。したがって、この評価というのは非常に難しいんですが、私どもは……。

○(鈴木昌二議長) 以上で木下泰之議員の質問は終わりました。