1995年11月16日 決算特別委員会質疑<都市整備領域>小田急問題


○(宇田川委員長) 引き続きまして、日本社会党、どうぞ。

◆(木下委員) それでは、質問させていただきます。

 本会議でも小田急線の問題については何度か取り上げたんですけれども、この前の本会議の際に、私は、住民団体がチラシを配っているということについてご報告いたしました。その件に関しまして、早速世田谷区と、それから東京都と小田急電鉄の三者連名で「沿線の皆様へ」というチラシが配られました。これは交通対策特別委員会で報告がありましたけれども、この件に関しましては、企画でも相談を受けているということですので、川瀬助役にお伺いしたいと思います。

 このチラシの件についてですが、つまり、下北沢地区について、地下だということで閣議了解をされているということが市民団体のチラシに書かれていたんですが、それに対抗する形でこのチラシがつくられたということでございます。ところが、このチラシをよく読みますと、「現在、地表式で都市計画決定されており、地下式に変更された事実はありません」という、そういったことが書かれているだけなんですね。ある意味で、これは非常にむだなチラシの出し方だというふうに思いますし、市民が本当に知りたいことを書いていないと思います。それについて、ご見解をお伺いいたします。

◎(川瀬助役) 今ご指摘の点については、私ども、市民の方々が配られたビラの内容について、都市計画局の施設計画部に問い合わせをいたしております。その中で連絡のあった事項につきまして言いますと、ビラの内容について、建設省、運輸省、小田急電鉄に確認した結果、以下のとおりであり、事実無根である。建設省、下北沢地区について特段の動きはなく、閣議了解などされている状況にない。運輸省、下北沢地区は現在地表式となっており、地下式として決定したとは小田急電鉄からも聞いていない。閣議了承などされていない。小田急電鉄、下北沢地区の構造形式については今後検討することになっているという回答を得ております。

 こういう状況の中で、東京都から、八日の日だったと思いますが、道路整備部の方に、文面を添えまして、こういうことで事業の施工者として住民に周知したいという協議があったようでございます。その点について、文面を見たところ、妥当な内容であるという判断をして了解をした、こういう報告を受けております。

◆(木下委員) 閣議了解をもし受けていないとするのであれば、もしチラシを配られる広報活動であるとすれば、閣議了解を受けていないというふうに書かれたらいかがでしょうか。

◎(川瀬助役) この文面につきましては、東京都の方で原文をつくりまして、区の方にこの内容でどうだろうかという問い合わせがあったわけです。意思の主体者は東京都でございますので、東京都の方の書いてある内容について、特に妥当性を欠いたものでないという判断をして、所管部の方からは了解を与えたというふうに報告を受けております。

◆(木下委員) このチラシには、東京都、世田谷区、小田急電鉄株式会社と三者連名になっているんですよ。ですから、これは、あくまでも世田谷区にとっても非常に責任のある文書ではございませんか。

◎(川瀬助役) 世田谷区連名でやりたいという申し入れにつきまして、この表現について報告を受けましたが、私も、不当なものであるというふうには思っておりません。妥当な範囲内で、しかも表現方法としては、かなり遠慮した表現の方法として書かれていると、私個人はそう思っております。

◆(木下委員) 国が何らかの形で下北沢地域の地下化について都に対して了解を与えていた、そういう事実があったとしたらどういたしますか。

◎(川瀬助役) それは仮定の問題でありまして、世田谷区としては、そういうことは一切聞いておりません。

◆(木下委員) それでは、世田谷区が東京都に対して、この下北沢地域について今どういう働きかけをしているかについてお聞きいたします。

◎(川瀬助役) 下北沢地域につきましては、議会からもご要望がございまして、都庁が移転をしてきた、そういうことも含めると、新宿までの複々線化についても検討する必要があるのではないか。そういうことも視野に入れて、早急にこの構造形式を決めてもらうべきだというご意見がございました。それを受けまして、私どもの方としては、新宿までの複々線化をターゲットにして、構造形式を早く決めてほしいということを申し入れているという状況でございます。

◆(木下委員) 平成二年の第三回定例会のあいさつで、大場区長が「新宿への輸送力増強を視野に入れた、新しい視点での検討が必要であると考えております。連続立体化の早期実現に向けて、区議会各会派の皆様の強い要望を踏まえ、高架方式のみにとらわれず、立体化の方式について広く調査してまいります」と。そして「一日も早い都市計画決定の実現を目指して、都や国に働きかける」ということになっております。

 そして、平成三年の六月十日の第二回定例会の小畑議員の質問に答えて「下北沢駅周辺について、新宿方面の輸送体系を視野に置いた広域的見地から早期実現を念頭に置いて、高架式や地下式など適切な立体形式の方策について、関係方面の協力を得て、本年度、調査を実施いたします。その結果を踏まえまして、立体形式や今後の取り組み方策等につきまして議会にお諮りしながら、本事業の促進を都並びに国へ強力に要望してまいりたい」、そういう説明をしたということでございます。

 これを素直に理解いたしますと、世田谷区がこの調査を行って、その結果を区議会に報告し、そして相談をした上で、世田谷区の独自の立場を前面に押し出して、そして都や国に働きかける、そういうことではなかったんでしょうか。

◎(川瀬助役) 調査について、まず一般的に作業の手順を申し上げておきたいと思いますが、区は、今、委員がご質問の中に述べられたような考え方で、議会の要望を受けて調査を行いました。こういう調査を行いますと、調査機関に、こういう調査をご委託申し上げまして検討してもらいます。調査機関が、ほぼこういう考え方でどうだろうかということをまとめますと、そのことをもとに、この調査段階で参加していない関係機関であるとか事業者について、この内容でどうだろうかということの最終の調整に入ります。残念ながら、下北沢以東について調査した結果については、渋谷区、新宿区、東京都等が関係してまいりますので、協議に入りましたところ、いまだにその意見調整がついておりません。したがって、最終的な結論を得る至っていない。(「都市整備でやれ」と呼ぶ者あり)そういうことで、現在まで議会に報告をしていない、できないという状況でございます。そのように議会側の方にも申し上げております。

◆(木下委員) 私が企画総務関係のこの決算委員会で取り上げますのは、この問題は、世田谷全体にかかわる大きな問題でございます。そしてまた、区との調整、区と都との調整、区と国との調整、あるいは渋谷区や新宿区との調整、そういった世田谷区政が外交的な観点からいろいろやらなければならない、そういった問題があるからこそ、この企画総務の担当分野で取り上げているのでございます。

 そして、お聞きしますが、今お答えになりましたが、結局、世田谷区は独自の立場をこの調査によって打ち出して、都や国に働きかけていく、そういうことではなかったんでしょうか。

◎(川瀬助役) 世田谷区が独自に主体的な意見を申し上げる場合には、議会のご了解も得た上で、初めて世田谷区という自治体の意思が決まるわけでございます。したがって、議会の中での私どもの調査の結果は、今申し上げた事情で報告ができない、全体の調整ができないという状況にあるということをご報告しておりますし、この件については、住民の方々からさまざまな請願等が出ておりまして、議会においても結論が出るに至らず、継続審査になっております。そういうことを考えますと、執行機関だけで、世田谷区の意思であるということでご意見を申し上げることができないという状況にあるのが現状だというふうに私は理解しております。

◆(木下委員) 川瀬助役は、都が行いました六十二年度と六十三年度の調査につきまして、これがまだ世田谷区に報告されていないということに対して、法廷の場でこういうふうに語っていますね。私個人としては、そういうものが調査されたものであれば、私どもの自治体であれば、税金を使って調査したものは一般に公開しておりますから、僕は、公開した方がいいんではないかなというふうにも思いますが、というふうに答えているわけです。そして、弁護士さんが、住民に対しても情報を提供すべきだというふうには考えられませんか、というふうに質問したのに対して、そういうものが提供されれば、私どもの自治体の立場からすれば、当然ほかの調査も公表しておりますから、公開していくことになると思います、そういうふうに答えております。

 つまり、税金を使ってコンサルタント会社に幾つも調査を委託しているわけであります。その調査報告書については、公開されてしかるべきではないでしょうか。

◎(川瀬助役) 今のお話は、東京都が調査をして、そして結論を出して、報告書を東京都としてまとめ上げている、そういうものについてですから、公開していいと思うし、住民にも公開すべきだと。この考え方は変わりません。しかし、委員が今おっしゃっている件については、先ほど申し上げたような事情があって、結論が出し切れないという性質のものでございますから、まだ調査の過程、検討の過程にあるものでございますから、おのずから取り扱いは異なるということがあり得ると私は思っておりますし、区の情報公開条例の規定その他に照らし合わせても、そのような措置をすることが妥当であるというふうに存じております。

◆(木下委員) それでは、これについてはいつ報告されるんですか。

◎(川瀬助役) 今いつということは、先ほど申し上げたように相手方があるわけですから、相手方は協議にのらないと言っているわけでございますから、私からいつということはお約束することはできません。相手のあることであるということをご理解いただきたいと思います。

◆(木下委員) 下北沢の複々線化及び立体化につきましては、これは世田谷区民が非常に望んでいるところでございます。今工事を進めているところだけでは、複々線化は完成しないわけであります。一刻も早く連続立体化を実現するということであれば、これは、下北沢地域を一刻も早く進めていかなければならない。そういった立場に立てば、いまだに調整がついていないということは非常に遅いんじゃないでしょうか。そう思いませんか。

◎(川瀬助役) 先ほど委員がお読み上げになったように、区の立場、考え方は区長がご答弁申し上げていることと全く同じでございます。ただ、そういう気持ちで区はおりますけれども、そのことについて、関係方面との間のすり合わせができないということでございます。したがって、私どもは、引き続き東京都に対して早く結論を出すようにということは、再三申し上げているように、要望してまいりたいと思います。

◆(木下委員) 具体的に調整をしているところを挙げてください。

◎(川瀬助役) 今いろいろご答弁申し上げておりますが、調査の時期というのは、ちょうど私が所管を離れた六十三年以降の問題でございます。それは報告を求めた結果でお話を申し上げているわけでございますが、所管は、当然のことながら、道路整備部が所管をいたしております。

◆(木下委員) 平成三年度にその調査は始まっているわけですけれども、平成三年度から今まで、さまざまな小田急線の連続立体化事業に関する調査が行われております。その調査について、平成三年度からどんな調査が行われたか教えてください。

◎(川瀬助役) 所管が私どもでないので、不正確なところが出てくるかもしれない。平成三年度ですか、六年度以降ですか。

◆(木下委員) 平成三年度以降です。

◎(川瀬助役) 平成三年度以降ということになると、(「所管が違うから答えない方がいいよ」と呼ぶ者あり)平成三年度から四年度に小田急線の立体化推進調査というのを行っていて、平成五年度に梅ケ丘以東の交通施設及びまちづくりに関する調査というのを行っているようでございます。ちょっと所管でございませんので、資料が不十分かもしれません。

◆(木下委員) 今はっきりしているだけで、平成三年度から八件ものコンサルタント会社への委託の案件がございます。例えば平成三年度には、小田急沿線交通施設及びまちづくり調査等をやっておりますし、その中には、例えばパシフィックコンサルタンツに委託しているようなものもございます。

 それでは、先に進みます。平成六年度に行われている調査はどんな調査がございますか。これは佐藤企画部参事にお答えいただきたいと思います。

◎(佐藤企画部参事) 平成六年度の調査は、都市整備領域の方で二件ほど進めているというふうに聞いております。詳しくは存じておりません。

◆(木下委員) 佐藤企画部参事から午前中にお聞きしました。それを確認しようと思って今質問したわけですけれども、お聞きしているのは、成城学園前及び経堂駅交通施設整備方針検討調査、これは委託先はパシフィックコンサルタンツでございます。それから、経堂駅周辺地区整備検討調査、これは委託先がランドブレインというということになっております。

 そこで、二重調査問題についてお伺いいたします。平成三年度にやった調査が二重調査でないか、このことが指摘されております。都市計画協会に委託したということをこの前の本会議で川瀬助役はおっしゃっていますけれども、実際にはパシフィックコンサルタンツに委託されていた。そのことについてどういうふうにお考えになりますか。

◎(川瀬助役) 再三ご報告申し上げたとおり、また情報の公開もいたしましたとおり、委託先は都市計画協会でございます。

◆(木下委員) 東京都がやった調査と歩調を合わせるような結論を出そうとするのであれば、それは、逆にパシフィックコンサルタンツに頼まなければ困るんじゃないですか。

◎(川瀬助役) これは所管の方が判断して委託したものでございますから、私なりの考え方を申し上げたいと思いますが、同じコンサルタントであっても、調査をお願いしている内容というのは全く違います。東京都がやっているのは、小田急の連続立体交差事業の鉄道部分についてお願いをいたしております。世田谷区の場合は、この連続立体交差事業、鉄道事業に伴う駅周辺を含む交通施設、例えば駅広であるとか、自動車の駐車場であるとか、駐輪場であるとか、そういうものをどういうふうにつくっていくことが妥当であるかということを調査したわけです。しかも委託先は、私どもの方は都市計画協会に委託をいたしました。したがって、その内容は、一部そういう交通施設については、都市計画協会が専門であるパシフィックコンサルタントを使ったようでございますが、そのほかの駅周辺のまちづくりの調査については、それぞれ別のコンサルタントを都市計画協会がやって調査をしている。その結果は委員会で議論をされている。そして物事をまとめていった。そういうふうに報告を受けておりますので、二重調査ではないと私は存じております。

◆(木下委員) これは、大野課長が、パシフィックコンサルタンツに委託した、そういうことを明言しておるものですから、そのことを指摘したわけでございます。そしてまた、平成六年度調査においても、経堂の調査をパシフィックコンサルタンツに委託している。そういったことがございます。また、調査会社にこういうふうに丸投げするような形で世田谷区の政策というのは立つものでしょうか。

◎(川瀬助役) 私は、大野課長がどういう表現をしたのか存じ上げません。しかし、委員もご案内のとおり、私も経験がありますが、法廷でのお話というのは大変緊張する環境の中にあります。したがって、この問題については、私は予断を避けたいと存じます。二重であるかどうかについては訴訟をなさっていらっしゃるわけですから、私は、その訴訟の結論をまちたいと思いますし、所見を述べることは差し控えさせていただきます。

◆(木下委員) 世田谷区が争っているのは、これについては区がしたものである。その形式要件についてまず争っているということでございます。

 それから、平成三年度に行われた調査、これは平成四年の三月には報告書が出ておりますが、実際に区議会に報告された報告書は、この報告書とは違った報告書が作成されて出ております。これは平成五年の一月に出た報告書と違う。このことについてはどういうふうにお考えですか。

◎(川瀬助役) これも私が所管ではございませんが、一般論を申し上げます。

 先ほど申し上げたように、調査機関が物事をまとめて委員会にかけます。委員会ではいろんな議論が出てまいりますが、そこですべてまとめることは難しいので、多くの場合は、あと細部にわたっての部分の妥当、不妥当については、参加していない関係機関等との調整も必要になるから、委員長一任、事務局整理ということは必ず起きます。そのことを一任された委員長のもとに行いまして、最終のまとめを行って報告書をもらいます。そのことを区の方でさらに判断をして、政策的にこれで大丈夫だ、区として物が言えるということをもって最終報告書とするというのが一般の作業でございます。

 したがって、委員会に提出された段階での調査報告書をもって最終の報告書ということはできません。したがって、情報公開をさせていただいたのは、この中間段階のものでございまして、当然こういうことについては相違が出てくるということは、当然であろうというふうに私は理解しております。

◆(木下委員) 検討委員会はいつまで存続していたんですか。

◎(川瀬助役) 所管でございませんので、所管の領域のところでご質問を賜りたいと存じます。

◆(木下委員) 問題は、東京都のやった調査に対して、こういったものは税金を使ってやるのであるから公開するべきである、そういうふうに川瀬助役はおっしゃっているわけです。そして、今問題になった平成三年度の調査も、これは検討委員会を世田谷区が設置して、鈴木信太郎さんという立派な委員長を立てて、それで報告書をまとめたわけでございます。それを、そのまとめた報告書を出さずに、それに手直しをして出すということについては、これは極めて不可解である、そのように思います。

 それからまた、この問題については監査請求になり、裁判にもなってございますが、監査委員は、これが同一の、つまり、市民側は、平成五年一月に出た報告書が報告書そのものである、そういう認識に立って監査請求を行ったわけでございます。そういう事情を考えますと、監査委員はこれについて、同一であるかどうか、そういったことを初歩的なこととして調べなければならない。そういったことを怠っていたのではないでしょうか。監査事務局にお聞きいたします。

◎(根津監査事務局次長) これは監査委員の判断で決まったことですので、今、事務局でお答えすることはできません。

◆(木下委員) 私は、佐野助役さんが、区議会に報告して、そして議会の意見も承りながら東京都や国に働きかけていきたい、そういったことを小田急線の調査の問題で申したことをもう一度頭に浮かべたいと思います。そういうことを考えるときに、やはりそういった約束をたがえるような形で進めてはならない、そのように思います。

 本日は、私の持ち時間がこれまでですので、また改めてご質問させていただきたいと思います。