平成15年第1回定例会(自33日 至328日)

世田谷区議会会議録

2003年3月28日 討論


○新田勝己 議長 これより意見に入ります。
 意見の申し出がありますので、順次発言を許します。
 なお、意見についての発言時間は、議事の都合により一人十分以内といたします。

 五番木下泰之議員。

   〔五番木下泰之議員登壇〕

◆五番( 木下泰之 議員) 一人会派無党派市民は、大場区政不支持の立場から、すべての予算に反対いたします。この立場から意見を表明いたします。

 大場区政二十八年が終わります。一九七三年には自然面率が四二・七%、緑被率が三三・九%だったのが、一九九七年には自然面率二八・四%、緑被率二〇・五%まで減少しました。一九九七年以降も自然面率は数%減少しております。

 この統計一つ見ても、非常に大きく、一九七五年から現在まで変わってきているというふうに思います。そして、一九六〇年代の終わりごろから一九七〇年代の中ごろにかけては、公害問題が盛んに議論された時期でした。この時期に大場区政が誕生してきたわけであります。

 一九七五年に大場区長が就任されてからこの間、残念ながら、環境を守るために区長が奔走してきたとは言いがたいと思います。そして、一番問題なのは、区長に小田急線の問題等でこのことについて聞いても、このことを世の流れ、仕方がなかったというふうに表現される、そのことが非常に問題であります。

 そういった中で、小田急線の問題というのは、都市計画をめぐる、ある意味で大きな結節点でありました。高架反対、地下化推進という声がふつふつと区民の間から沸き上がってきまして、そしてこの区議会も全会派一致で地下を推進する、高架反対という決議が上がりました。そういった中に区長は登場したわけですけれども、残念ながら、その声に耳を傾けなかった。

 バブルのころには高架推進ということでその計画が出てきたわけですけれども、実はこの高架計画、バブルのころは、まさにこのバブルを推進するような、そういった計画であったわけです。第三セクターをつくり、そこから民間資金を導入するためにそういった仕掛けをつくったわけですけれども、そのことによりまして、単に鉄道の高架、地下という選択だけではなくて、むしろ高架にすることによって周辺に道路をどんどんどんどんふやしていく。そして周辺に大規模再開発をしていく。経堂では数棟もの超高層ビルを建てるというような計画があり、また沿線をどんどん開発していく、そういう流れがあったわけです。

 三軒茶屋、二子玉川にしても、そういった同じ流れの中にございました。とうとう最近では外かく環状が復活してくる。しかも、外かく環状は、第二東名がなくなる、もうつくらない、そういった状況の中で、あえてまた外かく環状が浮上してくる、そういった状況になってきたわけであります。そういったことに対して、残念ながら、きちっとした対応を区長はとってこれなかった。

 絶対高さ制限を今回提唱されました。これはまさに羊頭狗肉を売るものだというふうに言わざるを得ません。絶対高さ制限というのであれば、まさに絶対であって、それ以上は絶対つくってはいけない、それが普通国語の意味からする絶対高さ制限でしょうけれども、幾らでも抜け道がある。しかも、これは住宅街に限っていて、そして、商業地域には適用しない、そういったものです。そして、住宅街でも、少なくとも二十メートルを超える高層ビルというのはまだそれほどない。一%程度の建物、そして人口比にして五%ぐらいしかまだ住んでいない。そこに三十メートル、四十五メートルという高さ制限を持ってきても、逆にそちらに誘導することはあっても、今の環境を守れないというふうに思います。

 私は、世田谷区というのは、東京の中で住宅地域として非常に注目されてきた地域だと思います。この住宅地域の中で新しい政策を打ち立てない限りは、東京を変えることはできないというふうに思います。

 東京、今やはり環境問題が一番大きな問題です。そして、世界的にいっても温暖化の問題、そういったことも含めまして、まさに二十一世紀は環境の世紀というふうに言われているわけであります。しかし、そのことに対して、世田谷区は確かに緑、八十万緑化運動、そういったことは言いますけれども、きちっとした対抗策をとってこなかった。

 私は、今回の予算議会の中でビオトープのことを問題にしました。ビオトープ、これは学校で今盛んにはやっておりますけれども、どうもそれを箱物行政的にあちらこちらにつくればいいみたいな話に聞こえるわけです。しかし、質疑を通じてわかったことは、学校ビオトープは、そのことだけしか限定的に教育の配慮でつくっているとしか言わないで、じゃ、学校の生態系をどうしていくのか、周辺との生態系をどうしていくのか、あるいは八十万緑化の問題で世田谷の生態系をどうしていくのか、そういう視点は全くないわけであります。

 そういった中で、市民側は、小田急線の問題で一年半前に裁判で勝利をいたしました。このとき裁判所は、まさに生態系のことも考えて、そして市民側が対案をきちっと出している。つまり、成城学園から新宿まで一挙に地下鉄にしたらどうか、そして、もうできてしまった高架についてはそこに屋上緑化の技術を生かして緑道をつくっていったらどうか、これはまさに多摩川、あるいは、国分寺崖線と神宮の森を結ぶコリドーとして構想したわけです。

 まさに、そういう政策が今、東京では必要になってきております。そういったことについて何度も聞きましたけれども、区長は何にも反応を示さない。緑を都会に回復していくということは、まさに公共事業の大転換を含めてのことなわけであります。ただ単に緑、緑と言っているだけでは回復しません。そういった、ある意味で裁判所のそういった今の大転換を必要とされているものについてもむとんちゃくである。

 夜間の騒音の問題がございました。その夜間騒音の問題についても本来は区長に権限があり、いろいろ指導しなければいけないのに、そのことも一切やってこない。とうとう、恐らく裁判所で近々これについては一つの指導があるでしょう。それで和解という形で夜間騒音について、あるいは突貫工事について、やめさせるというような状況になってくるでしょう。しかし、そういうことについて一切区長は何もなさってこなかった。そういった状況に今、区政がある。そして二十八年、今その区政が終わろうとしているわけであります。

 もっと早くおやめになるべきだったというふうに私は思います。そして、市民の方もどうも寄りかかって、住民参加や緑の問題等で何か区政と結びついていれば、何がしかをやったかのように思っている。そういった状況がずっと続いてきた。もっと早くやめて、違う区長にかわって政策について洗い直しをする、そういう機会が必要だったと思います。いよいよそのときがやってまいりました。二十八年間、長過ぎたと思います。今度おやめになって、今度の選挙はいろいろございますけれども、いずれにせよ新しい時代を迎えます。市民が時代をつくる、そういった状況になってまいりました。

 いずれにせよ、区政と癒着した市民、あるいは区政と癒着した環境問題、そういったことでは革新は生まれないと思います。ぜひ私も再度戻ってきて、新しい流れをつくっていきたいということを申し上げまして、今回の予算に対する反対の表明とさせていただきます。


○新田勝己 議長 以上で木下泰之議員の意見は終わりました。

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