平成14年第2回定例会(自612日 至620 日)

世田谷区議会会議録

2002年6月20日 世田谷区安全安心まちづくり条例(案)及び共産党修正案等の区民生活委員会審議の委員長報告


平成14年  6月 定例会
平成十四年第二回定例会
世田谷区議会会議録第十一号
六月二十日(木曜日)


○新田勝己 議長 次に、
△日程第十二から


△第十四に至る三件を一括上程いたします。
   〔河上次長朗読〕
 日程第十二 議案第七十七号 世田谷区安全安心まちづくり条例外議員提出議案二件


○新田勝己 議長 本三件に関し、区民生活委員長の報告を求めます。
   〔四十九番西村孝議員登壇〕(拍手)


◎区民生活委員長(西村孝 議員) ただいま上程になりました議案第七十七号、議員提出議案第三号及び第四号の三件につきまして、区民生活委員会における審査の経過とその結果についてご報告申し上げます。
 まず、議案第七十七号「世田谷区安全安心まちづくり条例」及び議員提出議案第四号「過去にサリン等を発散させる行為によって無差別大量殺人行為を行った団体の行為による区民生活への被害及び影響の防止等に関する条例」の二件について一括して申し上げます。
 議案第七十七号は、区民の生活の安全を図る施策を推進するため提案されたものであります。また、議員提出議案第四号は、過去にサリン等を発散させる行為によって無差別大量殺人行為を行った団体の行為による区民生活への被害及び影響の防止及び軽減を図るための必要な事業を行っていくため提案されたものであります。
 初めに、議案第七十七号についての質疑の内容について申し上げます。
 まず、第五条に示される無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の規定により処分を受けている団体等の「等」及び「生活することが妨げられるおそれ」の「おそれ」についての考え方が問われたのに対し、理事者より、同法の規定による観察処分が終了した団体も、不安が解消されなければ、その対象に含むことができるようにしたものであり、それ以外の団体を想定したものではない。また、「おそれ」については、現実にさまざまな不安がある中で、実際の被害等が確認できていない状況を想定しており、これについても拡大解釈をするものではないとの答弁がありました。
 また、本条例での適用団体の判断についてただされたのに対し、理事者より、団体の決定に際しては、区には調査機関がなく、同法により観察処分を受けている団体とすることが最も適当と考える。なお、ある団体の行為など実質的な判断が区に迫られる場合は、特別委員会を初め議会との調整を図りながら、区として判断していきたいとの答弁がありました。
 続いて、過去の自警団のように住民が住民を監視することを奨励しかねない内容が含まれているとの指摘に対する区の考え方が確認されたのに対し、理事者より、区、区民、事業者のそれぞれが、みずから安全で安心な町をつくるということが大前提であり、これを前文としている。第一条から第四条は、区の取り組み姿勢を示したものであり、区民の責務としたものではない。また、第五条、第六条に関しては、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の規定による処分を受けている団体等ということが基本となっており、住民同士の監視には当たらないとの答弁がありました。
 さらに、団体規制法による観察処分が解除された後の対応が問われたのに対し、理事者より、観察処分が解除された直後については、区の判断により、引き続き同様な対応をとりたいとの答弁がありました。
 続いて、議員提出議案第四号についての質疑の内容について申し上げます。  まず、現アレフに対する観察処分が継続されなかった場合の条例適用が確認されたのに対し、提案者より、本議案では、団体規制法と関係なく、現アレフの規約、あるいはアレフ自身が表明しているさまざまな言動や行動などにより、区が独自に判断するものであるとの答弁がありました。
 また、現アレフが名称や代表者を変えた場合の対応がただされたのに対し、提案者より、結局は区と議会が判断しなければならない問題だと考えるとの答弁がありました。
 引き続き意見に入りましたところ、自由民主党より「議案第七十七号に賛成する。議員提出議案第四号については、議案第七十七号では自警団のように住民がお互いに監視することになるとの理由で提案してきたことはおかしい。また、観察処分が解除された以降の対応が不明確であり、反対する」、公明党より「議案第七十七号については、質疑の中での『等』の問題に関し、区民が納得できるよう慎重に運用していくことを要望し、賛成する。また、議員提出議案第四号については、オウム問題に特化されており、これまで党として、世田谷区全体としての安全、安心を確保していくための条例制定を求めてきた経緯から、反対する」、民主党・無所属クラブより「区民の安全、安心を守るための条例として明文化されたことは評価する。ただし、第五条において『等』もしくは『おそれ』といったあいまいな表現がある。特に『等』については、拡大解釈されることがなく、また、区民がこの『等』に脅かされることがないように強く要望し、議案第七十七号に賛成し、議員提出議案第四号に反対する」、日本共産党より「議案第七十七号については、自警団的な内容が第一条から第四条に含まれている点及び第五条における『等』の拡大解釈がなされ得る余地があるという点から、反対する」、生活者ネットワークより「議案第七十七号については、本来、条例のつくり方として、もう少し時間をかけ、議論を重ねるべきと考えるが、現に住民の生活が脅かされているのが実情である。一日も早く問題解決に向けて取り組む必要があり、その一つが本条例の制定だと認識している。本条例の施行に当たっては、対象団体や行為が拡大解釈されないよう慎重に運用することを要望し、賛成する。また、議員提出議案第四号については、一つの団体を特定していることが明確な条例であることに疑問があり、反対する」、新風21より「設立される安全安心まちづくり協議会については、構成員に十分配慮し、実効性あるものにすることを要望し、議案第七十七号に賛成し、議員提出議案第四号に反対する」との表明がありました。
 引き続き表決に入りましたところ、議案第七十七号は賛成多数で原案どおり可決と決定いたしました。また、議員提出議案第四号は賛成少数で否決と決定いたしました。
 次に、議員提出議案第三号「世田谷区住民基本台帳ネットワークシステムに係る個人情報の保護に関する条例」について申し上げます。
 本件は、住民基本台帳法に規定する事務のうち、住民基本台帳ネットワークシステムに関する事務処理についての適正な管理のために、区長が講じるべき事項等を定め、区民の個人情報の保護を図るため提案されたものであります。
 委員会では、まず区に対し、住民票記載事項の漏えいまたは不適正な利用に対する区の姿勢や対応が問われました。これに対し、理事者より、平成十一年に住民基本台帳法が改正された際に、本案の第四条あるいは第五条と関連する規定が追加されているが、これは必要な措置を講じなければならないというような抽象的な規定となっている。今後、セキュリティー対策基準あるいは緊急時対応計画に基づき、各自治体が必要な規程の整備あるいは具体的な行動計画を定めていく必要があると認識しているとの答弁がありました。
 また、個人情報保護条例の今後の取り扱いについての区の考え方がただされたことに対し、理事者より、今回の住民基本台帳ネットワークシステムについては、個人情報が国の行政機関等へ、また、第二次施行では、ほかの市区町村とのやりとりがある。既存の個人情報保護条例では想定していない部分があり、規程の整備が必要と考えるとの答弁がありました。
 その後、意見に入りましたところ、自由民主党より「国は必要な対策を講じていると考え、反対する」、公明党より「今の国の情勢を見ると危惧されることが現実に起こっており、やはり区として何らかの対応は必要と考える。議案の第四条、第五条における対応は必要であるが、まずは個人情報保護条例の一部改正等による対応について区で検討することを要望し、本案に反対する」、民主党・無所属クラブより「これまで住民基本台帳ネットワークシステムを運用していく上で、既存の個人情報保護条例での管理に疑問を持ち、システムに対応する保護条例の制定を要望してきた立場であるが、現時点でようやく推進協議会から指針や計画書等が示された段階である。八月の一次施行の先送りを要求しつつ、今後、区がこの内容を精査し、しっかりと個人情報を保護していくための住基ネット条例の制定に向けて検討を行うことを要望し、本案には反対する」、生活者ネットワークより「住民基本台帳ネットワークシステムのセキュリティー対策に関する指針が出されること自体に、本システムは問題を含むものと考えている。また、国は、個人情報保護法を整備しないまま、八月に施行しようとしていることも問題である。今回、本案が提出されたが、理念条例としての必要性は認めるが、条例等を制定するならば、具体的な対策を示していくことが必要である。今後の区の取り組みを要望し、反対する」、新風21より「本案では具体的な対応が不明であり、この内容で条例化することに疑問がある。既存条例での課題を明らかにしていくべきであり、反対する」。
 引き続き採決に入りましたところ、議員提出議案第三号は賛成少数で否決と決定いたしました。
 以上で区民生活委員会の報告を終わります。(拍手)


○新田勝己 議長 以上で区民生活委員長の報告は終わりました。

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