平成14年第回臨時議会(自516日 至521日)

世田谷区議会会議録

2002年5月21日 肝炎ウィルス検診への賛成討論


平成14年  5月 臨時会
平成十四年第一回臨時会
世田谷区議会会議録第七号
五月二十一日(火曜日)


○新田勝己 議長 これより意見に入ります。
 なお、意見についての発言時間は、議事の都合により十分以内といたします。
 発言通告に基づき、発言を許します。
 五番木下泰之議員。
   〔五番木下泰之議員登壇〕


◆五番(木下泰之 議員) ただいま上程されました世田谷区手数料条例の一部を改正する条例についてですが、単に賛成するだけでは問題の所在と私が賛成する真意が区民に伝わりませんので、賛成の立場からの討論を行います。
 手数料条例の一部改正の内容は、本年から区が医師会に委託して実施する肝炎ウイルス検診について、千円を受診者から徴収するというものでありますが、これは検診医療費の一部に使われますので、手数料というよりも、実質的には検診医療費の一部負担という性質のものであります。
 さて、私は、この千円の一部負担について、この条例案が区から示された際、反対しようと当初は思いました。それは、千円を払うことになる検診が、世田谷区医師会、玉川医師会に委託して行う肝炎ウイルス検診であったからであります。
 三月の予算委員会の審議では、内部告発の手紙をもとに、私と下条議員が追及したことによって、区が医師会に委託して実施する老健法に基づく基本健康診査が、保険診療の四割増で行われていることが明らかになりました。あわせて、区は、世田谷区医師会、玉川医師会と基本健康診査以外の検診事業の契約においても、保険診療に比して四割増しで、すなわち、保険点数一点十円で換算しているのに対して、保険診療の一点を十四円で換算して契約していました。平成十四年度は〇・三円引き下げて一点十三・七円としましたが、この換算率が医師会との契約関係において基礎となっていることが明らかになりました。
 世田谷区のこの法外な検診医療報酬については、朝日新聞の家庭欄での特集でも取り上げられることともなり、全国の注視のもと予算審議が行われましたが、結局、当局は、検診は自由診療だからと居直り、割り増し予算を撤回しようとはしませんでした。
 今回実施されることになる肝炎ウイルス検診は、老健法の基本健康診査対象者のうち、検査受診を希望する者――一万八千人が予定されているそうですが――に対して行うとされているものであります。そういった経緯からして、当初は一点十三・七円で、つまり、三割七分増しで行われるのかと思いました。そうであれば、医師会に不当利得を与えておきながら、受診者から負担金を取るのは筋違いであるとして、反対しようと思っていたものであります。
 ところが、担当者を呼んで話を聞いてみて驚きました。区は医師会とどのような委託契約を結ぶのかを担当者にただしたところ、保険診療と同じく一点十円の契約だというのであります。これは明らかに区の方針の転換ということになります。これに反対するいわれはありません。賛成いたします。三月の予算議会での私たちの闘いが一角を崩すことになったのであります。一つの勝利であります。
 さて、ところで、区の担当者は今回の肝炎ウイルス検診を医師会と一点十円で契約することにより、他の検診を十三・七円で計算することとの矛盾が生ずることとなるわけであります。住民に一部負担をしてもらう以上は、一点十三・七円は取れないということになるでしょうが、そもそも他の医療検診は税金から支出されているのだから三割七分増しでよいなどということは決してないはずであります。
 ただより怖いものはないということわざがありますが、まさにただを隠れみのにして、行政が医師会と癒着し、医師会が不当利益を得る温床となっている現実、そして、膨大な国家予算における医療費の増大、そういったことについて現実を直視していかなければなりません。その是正につながる流れとして賛成いたしますが、逆に、区民に受益者負担を一部求める以上、その他の検診の診療報酬も即刻保険診療と同等の一点十円に改めることを強く要求した上での賛成討論といたします。


○新田勝己 議長 以上で木下泰之議員の意見は終わりました。
 これで意見を終わります。


     <本案件は可決>  
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