平成13年第1回臨時会(自516日 至521 日)

世田谷区議会会議録

2001年5月21日 監査委員選任への質疑・反対討論、監査委員挨拶


○山内彰 議長 これより追加日程第一を上程いたします。


   〔河上次長朗読〕


△追加日程第一 同意第一号 世田谷区監査委員選任の同意


○山内彰 議長 木村幸雄議員には、除斥の規定により、しばらくの間退場を求めます。
   〔二番木村幸雄議員退場〕


○山内彰 議長 本件に関し、提案理由の説明を求めます。大場区長。
   〔大場区長登壇〕


◎大場 区長 ただいま上程になりました同意第一号「世田谷区監査委員選任の同意」についてご説明申し上げます。
 本件は、議員選出監査委員の鈴木昌二委員から辞職願が五月十七日に提出され、これを受理し、欠員となっておりますので、新たに議員選出監査委員として世田谷区上野毛一丁目十四番七号木村幸雄氏を選任いたしたく、地方自治法第百九十六条第一項の規定に基づき、ご提案申し上げた次第でございます。
 何とぞ慎重にご審議の上、ご同意賜りますようお願い申し上げます。


○山内彰 議長 以上で提案理由の説明は終わりました。
 これより提案理由に対する質疑に入ります。
 なお、質疑についての発言は、議事の都合により答弁も含めて十分以内といたします。
 発言通告に基づき、発言を許します。
 五番木下泰之議員。


◆五番(木下泰之 議員) 今、監査委員の選任についての提案があったわけですけれども、新しい監査委員を選ぶに当たっては監査委員の欠員に伴う後任者の選出ということであります。欠員が生じたこと自体に非常に疑義がございますので、先任の鈴木委員の辞任についてお伺いいたします。

 鈴木監査委員の辞任はいかなる理由によるものかという問いでございます。自治法百九十八条には「監査委員は、退職しようとするときは、普通地方公共団体の長の承認を得なければならない。」としております。

 自治法百九十七条は、監査委員の任期は「議員のうちから選任される者にあつては議員の任期による。」とされており、百九十七条の二は「普通地方公共団体の長は、監査委員が心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認めるとき、又は監査委員に職務上の義務違反その他監査委員たるに適しない非行があると認めるときは、議会の同意を得て、これを罷免することができる。」というふうにされております。この場合においては、議会の常任委員会または特別委員会において公聴会を開かなければならない。また、二として「監査委員は、前項の規定による除名を除くほか、その意に反して罷免されることがない。」とされており、その職責の重さから身分が保障されております。

 そして、百九十八条の三は「監査委員は、その職務を遂行するに当たつては、常に公正不偏の態度を保持して、監査をしなければならない。 2 監査委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。」となっており、公正不偏というからには、議員としても特別の位置にあると言わなければなりません。監査委員である議員がやめるに当たって承認するかどうかは、見識が問われるはずであります。退職の承認についてはどのような調査、審査を行ったのかをお聞かせいだたきたい。

 鈴木委員の辞任は恣意によるものではないかというふうに思います。見解を問いたいと思います。これにつきましては、先ほど議会運営委員会で、自民党の大場幹事長の方から恣意についてのいろいろ問い合わせがあったところ、私はたらい回しということで二年という取り決めがあるのではないかということをお聞きしたところ、それについては知らないというふうにもお答えになっておりますけれども、議会でたらい回しが行われているということについては、ある意味で議会人及び地方行政に携わる者にとっては常識であります。

 ちなみに、東京では、東久留米市以外はほとんどがたらい回しが行われているという事態であります。そういった状況ですので、しっかり答えていただきたいと思います。

 大きい二番目に、監査委員は四名でありますけれども、自治法上は一名を区議とすれば足りるわけであります。また、監査委員自体を三名とすることもできるわけであります。今の監査委員の人数について、あるいは二名区議を監査委員にしていることは改めるつもりはないのかをお聞きしたいと思います。

 それから三番目、外部監査制度の導入についての考え方を問いたいと思います。たらい回しが常態化している以上、このようなたらい回しをするようでは、議員を地方自治法の要件により一名多く雇う必要はないと思います。むしろ三名に減らし、外部監査制度の導入に踏み切ったらいかがか、このことについてご見解をお聞きしたいと思います。
 以上です。

   〔大場区長登壇〕


◎大場 区長 鈴木監査委員の辞任についてはいろいろな理由があると思いますが、辞任の理由につきましては一身上の理由ということでございますので、私どもは承知いたしました。

 また、四名であるという、地方自治法の一名を区議とすれば足りるというお話でございましたが、木下議員の一つの見識かと思われますが、地方自治法第百九十六条に基づきまして、議員のうちから選任する監査委員の数は、監査委員の定数が四人のときは二人または一人、三人以内のときは一人とするものとするという規定がございますので、ただいまご提案いただきました件については議会側とも相談をしてまいりたい、このように考えております。

   〔水間助役登壇〕


◎水間 助役 お答え申し上げます。

 外部監査制度の導入についての考え方をお聞きになりました。当区では、平成八年に監査委員に弁護士を登用いたしますとともに、平成九年度からは財政援助団体等の監査に公認会計士を活用してまいりました。

 また、平成五年度から行政監査を実施いたしておりまして、監査の充実に積極的に取り組んできたところでございます。外部監査制度の導入につきましては、他の自治体での実施状況の検証でございますとか、監査委員のご意見等々をお聞きしながら、今後も検討してまいりたい、このように思っております。
 以上でございます。


◆五番(木下泰之 議員) 答弁があったわけですけれども、区長からは一身上の理由ということを鈴木監査委員から聞いたというふうに答弁がありました。しかし、一身上の都合、また、その前にいろいろな都合があるというふうに言いました。問題は、条例上、心身の故障のため職務の遂行に堪えないということが認められるときには、あるいは監査委員たるに値しない非行があると認められたときには議会の同意によってこれを罷免することができると書いてあって、その上で承認事項になっている以上は、その理由についてきちっと調査する必要があると思うんですね。一身上の都合という以上、恣意性を脱し得ないと思うんですよ。恣意的な辞任だというふうに受け取らないんですか。

 区長のお答えになった、いろいろ事情があるように聞いております、一身上の理由というふうに聞いております、それだけでは、何ら説明したことにならぬわけですよ。つまり、区長の承認案件である以上、区長は鈴木委員がどういうことで辞任するかについて、きちっとそのことについて検証する必要がある。そうでないと、これはもう二年ごとにかえていくんだ、一年ごとにかえていくんだ──最近は二年に改めたようでございますが、たらい回しというものが常態化していて、そのことによってやめたということは、まさに恣意性じゃないですか。このことについてどういうふうにお答えになるんですか。ぜひお答えください。

   〔大場区長登壇〕


◎大場 区長 ただいま退職の承認についていろいろなお話がございました。

 監査委員の任期につきましては、議員の任期により規定されておりますが、この運用の解釈については、自発的に退職しようとするときは特別の理由がない限り承認を与えることを拒むことはできないと解釈されております。この考え方に立って退職を承認したわけであります。

 鈴木委員の辞任は意欲的であるものではないかというご見解でございますが、鈴木委員がよくよく考えてのことと思っておりますので、意欲的なものと考えておりません。(「意欲って何ですか、それ。議長」と呼ぶ者あり)鈴木議員の考え方を今申し上げているわけであります。(「恣意的と言っているんですよ。読めないんですか」と呼ぶ者あり)恣意的なもので結構で……。


◆五番(木下泰之 議員) 恣意的という言葉もわからないで今お答えになっているんですよ。意欲というふうにお読みになったんですよ。そういうことで区長が務まりますか。また、この答弁にきちんと答えているとは思えない。

 いいですか。先ほど、解釈としてそういうことはできるというふうにおっしゃいましたけれども、ここに地方自治法質疑応答集という第一法規から出ているコピーがあります。これはきょう、区のお役人からもらったんですけれどもね。これは百九十八条関係について「監査委員の退職申出に対する長の拒否の可否」と。「地方自治法第百九十八条は、『監査委員は、退職しようとするときは、普通地方公共団体の長の承認を得なければならない。』と規定しているが、監査委員から退職の申出があつた場合において、地方公共団体の長は、その退職を拒否し、承認しないことができるか。正当な理由があれば長は退職を拒否することができるとすれば、その正当な理由とは何か」というふうに尋ねられた答えについて、「同条においては、監査委員が自己の恣意によつてみだりに辞職することを抑止するため、必ず普通地方公共団体の長の承認が必要であるとしている。この場合、普通地方公共団体の長の承認は、監査委員の退職の効力発生要件に他ならない」として、その要件として「全くの恣意によるものであることが明らかに認められるとき」は、これは拒否することができる。また、「その退職により監査の職務執行上、重大な支障を生じると認められるとき」には、やはり拒否することができると書いてあるんです。

 つまり、議員が半期でやめて、その後、守秘事務を抱え込んだまま、また政党に戻っていろいろな活動をするということ自体が監査に支障を来すじゃないですか。また今度……。


○山内彰 議長 以上で木下泰之議員の質疑は終わりました。(「議長、大事なところですから、これについては答えさせてください」と呼ぶ者あり)お座りください。
 ここで、委員会付託の省略についてお諮りいたします。
 本件は、会議規則第三十八条第二項の規定により、委員会付託を省略いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
   〔「異議あり」「異議なし」と呼ぶ者あり〕


○山内彰 議長 ご異議がございますので、採決は起立によって行います。
 本件は、会議規則第三十八条第二項の規定により、委員会付託を省略することに賛成の方の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕


○山内彰 議長 起立多数と認めます。よって本件は委員会付託を省略することに決定いたしました。

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○山内彰 議長 これより意見に入ります。
 なお、意見についての発言は、議事の都合により十分以内といたします。
 発言通告に基づき、発言を許します。
 五番木下泰之議員。
   〔五番木下泰之議員登壇〕


◆五番(木下泰之 議員) 先ほどの質問で一番大事なポイントについて区長は誤解しているんですよね。恣意性という言葉がわからない。わからないで答えているんですよ。そんなことで区長が務まりますか。

 また、今回の監査委員については、このたらい回しというのは大問題ですよ。東京二十三区及び市区町村の中で、監査委員──ごめんなさい、先ほどちょっと質問の中で間違えましたけれども、議長のたらい回しをやっていないところは東久留米市だけだそうですよ。監査委員についても、これからまた議長のたらい回しがあるやに聞いておりますけれども、その前哨戦です、これは。

 監査委員についてだって、二十三区及び東京都内の区市町村でこのようなたらい回しが常態化しているわけですよ。そういう大事な問題についてお聞きしたときに、鈴木委員は要するに一身上の都合でおやめになったと。いろいろな理由があるというふうにはお聞きしているけれどもというふうに言った。これは議会運営委員会の中で、大場幹事長がたらい回しについて、そういうことについては知りません、そういうふうにおっしゃいました。しかし、これは常識ですね、たらい回しにしているというのは。一年が二年に延びただけですよ。

 そういった中で、もし恣意性じゃないとしたら何なんですか。これは、そういう取り決めによってやめたという理由しかないじゃないですか。ただ、そういう取り決めによってやめるということだって、こういう取り決めをすること自体は違法ですよ。特に議長のたらい回しについては、また後で問題になるとは思うけれども、これは自治省からの通達も出ている。監査委員についてだって同じでありますよ。そういったことについて、委員長はとにかく恣意性という言葉をわからずにお答えになった。こんなめちゃくちゃなことはないと思います。

 そして、先ほど紹介いたしました地方自治法質疑応答集、第一法規の、地方自治制度研究会編著と書いてあります。これによると、まさに監査委員の退職申し出に対する長の拒否の可否については、できると書いてあるんですよ。「その退職により監査委員の職務を行なう者が一人もいなくなるとき」、一人もいなくなるときというのはないでしょうけれども、二番目として「その退職により監査の職務執行上、重大な支障を生じると認められるとき」、三番「全くの恣意によるものであることが明らかに認められるとき」、この三つを要件にしているわけですよ。一番目は別として、二番目の「退職により監査の職務執行上、重大な支障を生じると認められるとき」、これに該当するんじゃないですか。

 つまり、議員である者が任期中その監査委員をずっと続けていることが求められれば、やはり監査委員になった方はそれに専念して監査を続けるべきなんですよ。しかも、監査委員に選ばれた以上は、まさに不偏不党の立場から行動しなければいけないし、また、監査委員には絶大な権限も与えられているわけです。しかも、財務監査だけではなくて、最近は一般行政事務に関しての監査もできることになっているわけですよ。そんな強大な権限を与えられている方が途中でおやめになる。しかも、おやめになる理由については一身上の都合と言って、いろいろな理由があるかもしれないけれども、その理由はわからないというふうに区長はおっしゃった。少なくとも、おやめになるという以上は、心身について何か病気でもしたんですか、議員はおやめになるんですかと、そういうことだって聞かなければいけないと思いますよ。つまり、監査委員はやめて、のうのうと区議会議員の職は全うできる。区議会議員の職はできるのに監査委員ができないわけないじゃないですか。

 逆にこういうこともありますよ。監査委員の職責は非常につらい、大変だ、そういう能力が自分にはない。難しいですよね。区会議員には票ではなれても、監査をするというのはそれなりの専門的な能力が必要とされるわけですよ。そういうことで、もし私には能力がないからやめさせてくださいというんだったら、それは一つの理由だ。しかし、そういうことでもないらしいじゃないですか。一身上の都合というその理由について、区長は調査も何にもしていないじゃないですか。こんなことが許されるんでしょうか。

 また、私は、これを人事の問題だからといって委員会付託を省略して、それで決めるということに先ほど反対いたしました。こういうことが常態化しているわけですよ。まさに、こういう問題についてはこんなあり方でいいのかどうか、そのことをきちっと調査し、そしてどういうふうにするかみんなで決めていく。議会全体で考えていく。そのことが議会改革でもあるし、地方行政の改革でもあるんじゃないでしょうか。今、国会で小泉内閣が出発して、改革内閣というふうに言われていますよ。だけど、この世田谷の区議会では、まさに旧態依然としたたらい回しが行われている。こんなことでは区民の信頼は得られないというふうに思います。

 そういった意味から、私は今回も、新任の方がどうのこうのというのではありません。まさに、こういうふうにたらい回しすること自体が非常に問題である、そのことを申し上げて反対討論といたしたいと思いますが、もう一つ、先ほど質問の中でも申し上げましたように、外部監査制度の導入についてでありますけれども、この外部監査制度についてはやはりきちっと導入すべきだと思います。また、監査委員については、自治法上は一名を区議とすれば足りるわけであります。しかも、四名今いる世田谷の監査委員は三名にすることができるわけです。三名に減らして、そのかわり外部監査制度の導入をして、きちっと外部から監査を受ける、そういう制度に改めない限り、区民からの信頼は得られない、そのことも申し添えておきます。
 反対討論といたします。


○山内彰 議長 以上で五番木下泰之議員の意見は終わりました。
 これで意見を終わります。
 これより採決に入ります。採決は起立によって行います。
 お諮りいたします。
 本件を同意と決定することに賛成の方の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕


○山内彰 議長 起立多数と認めます。よって同意第一号は同意と決定いたしました。
 除斥の議事が終了いたしましたので、木村幸雄議員の再出席を求めます。
   〔二番木村幸雄議員入場〕


○山内彰 議長 ただいまの同意に伴い、新旧監査委員からあいさつがあります。


◎鈴木昌二 旧監査委員 ごあいさつをさせていただきます。
 私は、この二年間、監査委員という重要な役職を無事務めさせていただきました。これもひとえに皆様方のご厚情のおかげと、心から感謝と御礼を申し上げます。
 簡略措辞でございますが、これをもちまして退任のごあいさつとさせていただき、心から感謝と御礼を申し上げます。
 ありがとうございました。(拍手)


◎木村幸雄 新監査委員 ただいまは監査委員選任の同意を賜りまして、心より感謝を申し上げます。もとより重大な職責であります。甚だ微力ながら、持てる全力をもってその職務に取り組む覚悟でございます。皆様方におかれましては、一層のご助言、ご指導を賜りますようお願いを申し上げ、簡略でございますが、ごあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
 ありがとうございました。(拍手)


○山内彰 議長 以上であいさつは終わりました。

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