2001年3月15日予算委員会質疑<区民生活委員会所管>


○新田 委員長 引き続きまして、無党派市民、どうぞ。

◆木下 委員 日本の経済の先行きがいよいよ見えなくなってきたという時代なわけですけれども、こういった状況の中で、日本の経済も本来は低成長期に入った七〇年代から八〇年代にかけて転換の大きなチャンスがあったわけですね。それをバブル経済にしてしまった。とりわけ、中曽根政権のころにアーバンルネッサンス等を訴えて、東京のオフィスビルをたくさんふやすとか内需拡大ということを含めて、そこでおかしくなってきたわけなんですけれども、環境の世紀と言われる二十一世紀に入ったということがよく言われていますが、経済の建て直しとの両立について、環境を担っている区の担当者の方々はどういうふうに考えますか。

◎溝口 環境課長 今お話がございましたように、二十一世紀が環境の世紀というふうに言われております。実は昨年の一月の段階でも、二十一世紀を前にして日本の国のいろんな大企業の社長さん方は、やはり企業活動の中で環境への投資が非常に大事な時代になってきていると言われておりまして、そういう傾向が今非常に強くなってきています。民間あるいは役所も含めまして、私どもが今取り組んでいる環境ISOなども含めて、事業活動における環境面をどう配慮していこうか、そういう面からの社会的責任をどう果たしていくか、そんなふうな時代になってきていると認識をしております。

◆木下 委員 ある種の模範解答のようにも見えますけれども、そうであれば、世田谷区の環境セクションを縮小することではなくて、部は部として、去年、部から室に格下げされてしまったわけですけれども、きちんと部として定立して、それで企画部とあわせて環境を主軸にした一つの政策というものを世田谷は打ち出していく必要があると思うんですね。

 とりわけ平成十三年度の予算要望で無党派市民として提出しておきましたけれども、私の出したものについて、どういう評価をされますか。

◎溝口 環境課長 改めて目を通させていただきまして、選択的成長計画というふうなお言葉を使っておりました。ここでは経済部門を資源と環境に負荷の大きいダーティーセクターとその対極のクリーンセクターに分類をして、ダーティーを抑制し、クリーンセクターを伸ばすというふうなお話がございました。これは実は私どもの方でも区で環境基本条例をつくっておりまして、その中で、豊かな環境を将来の世代に引き継ぐとか、環境負荷の少ない社会を築いていく、それから、日常の事業活動の中で環境を守り育てるというふうなところと軌を一にするものだなと考えております。

◆木下 委員 実は予算要望の骨子となったのは、選択的成長という、これは七〇年代にティンバーゲンというオランダの経済学者で、第一回のノーベル経済学賞をとった方なんですけれども、この方が選択的成長という概念を出しているんですね。クリーンセクターとダーティーセクターに分けて、クリーンセクター、つまり、環境重視の経済成長に持っていこうという努力が必要だということをもう七〇年代に言っているわけですね。

 それで、政府も、例えば循環型社会形成推進基本法などをつくりまして、まさに大方の方向では循環社会というごみのリサイクルの問題に関してはそういったような一つのビジョンが出てきているわけなんですが、そうであればこそ、例えばリサイクル一つをとっても、今度家電リサイクル法ができましたけれども、容器等についても本来はそれを生産したところが全部引き取る、そこが収集、運搬もすべてするというようなことが必要だと私は思っているんですね。よく民間委託、民間委託と言われますけれども、今の行政がやっている機能を民間が代行するというだけでは足りないと思うんです。むしろ、生産したところが引き受けることによって、ごみを出さない、つまり、ペットボトルで商売したら損をしてしまう、瓶にかえなければいけない、そういうふうにすべきだと思います。それから、今、政府で予定されている車のリサイクルについても、いろんな意見が上がってきていますけれども、これもやっぱりヨーロッパ型にすべきだと思うんですね。そういう方向性を見きわめて、特にリサイクルの問題等については区の政策も考えていかなければいけない。

 だから、私は、東京都から全部そのまま同じような仕方で世田谷に清掃が移管されてくるときに注文をつけなさいということを申し上げたことがあると思うんですね。これはやはり区がそういうリサイクル事業を代行すべきでない。むしろ、民間がすべて処理するような形にして、行政は昔やっていたように、ごみというのはもともと衛生問題から始まっていますので、生ごみの収集というレベルにぐっと縮小すべきだと考えているわけなんですよ。そういった基本姿勢についてはどのようにお考えですか。

◎山崎 ごみ減量課長 先ほどお話がございました循環型社会形成推進基本法におきまして、拡大生産者責任の原則が示されておりますけれども、本区におきましては、その法律の制定前にいち早く当区の一般廃棄物処理基本計画でありますごみゼロプラン2000に取り入れて、こうした取り組みを促進することを位置づけております。また、委員ご指摘のように、分別収集の中で施設の整備、運営など、処理に要するコストが区の負担となっておりまして、特に容器包装廃棄物の回収や再資源化に要する経費負担のあり方については、拡大生産者責任の考え方に基づき、自治体と事業者の間で適正な役割分担が必要であるというように考えております。

 そこで、特別区長会としましては、昨年の八月に資源の回収、再資源化に当たり事業者処理責任の強化を求めることやデポジット制度の法制化を行うよう国に対して要請を行ったところでございます。今後とも、拡大生産者責任の原則の具体化に向けて努力してまいりたいと考えております。

◆木下 委員 そういった意味から、新しくできる焼却炉でプラスチックが燃やせるからといって、それを燃やすようなことは絶対してはいけないと思うんですね。やはり循環型社会を形成するために、できることは区からどんどん提言していかなければいけないと思っています。

 それから、選択的成長ということで言えば、私がかねてから主張している小田急線の問題、これも地下化することによって、上をコリドーにしようという、ある意味で壮大なプランが専門家から秋に提出されたわけですけれども、下北沢が今度地下になるということで、まずはその上を、新宿の明治神宮から下北沢まで緑道で結ぶ、そういったことを目指してやっていただきたい。とりわけ環境セクターを担当している方々は、まさに日本の経済の仕組みを変えるというような気概を持って、そういうことも提起していただきたい、そのことを要望しておきます。ご感想はありますか。

◎永山 環境・災害対策室長 お話しの緑のコリドー計画というのは、非常におもしろいという感じは受けておりますけれども、今後の小田急の中でどういうふうに進展していくか、見守りたいと思っております。

◆木下 委員 終わります。

○新田 委員長 以上で無党派市民の質疑は終わりました。

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