平成13年第1回定例会(自31日 至329 日)

世田谷区議会会議録

2001年3月9日 消費者訴訟資金貸付条例廃止への反対討論


○山内彰 議長 これより意見に入ります。
 なお、意見についての発言時間は、議事の都合により十分以内といたします。
 発言通告に基づき発言を許します。
 五番木下泰之議員。
   〔五番木下泰之議員登壇〕


◆五番(木下泰之 議員) 第三十三号、三十四号、三十五号については関連する条例案であります。本三件に反対の立場から討論を行います。

 私は、この条例案についての説明を受けて、賛成するか反対するか、大分いろいろ検討いたしました。それで、実態として、商品テストセンターが使われていないこと、それから訴訟も一件も起こされていないこと、そういう報告も受けました。だから、これは廃止してしまえというのが皆さんの意見でもあると思いますが、しかし、よくよく考えてみますと、また担当者からいろいろお話も聞きましたけれども、昭和四十年代には商品テスト室は十分活用されていたということでありました。これは、区政の中における、行政の中における化学的な知識を持った方の活用の仕方といいますか、その方の資質といいますか、それによって大きく商品テスト室のようなものが左右されるのではないかというふうに私は考えました。

 四十年代といいますと、公害問題が非常に盛んになったころであります。また、消費者運動も日本で草分け的な動きがあったわけです。そういった中でいろんな努力を市民もして、そういったものを助けたのが、大体お役人さんの中で化学的知識を持ってそういったことに従事していた方々だったわけです。例えば、国の機関であれば厚生省であったりしたわけです。世田谷区にもそういう存在がかつてはあったわけです。そういった方がいたときには、この商品テスト室も十分活用されていた。

 それで、説明の中では、極めて最近、商品テストといっても、機能が複雑化していて対応が追っつかないんだ。それはそういうことはあるでしょう。だけれども、大事なことは、化学を志した方の目ききといいますか、そういったものが非常に大事なんじゃないかと思います。簡単なテストでも、入り口で一つの方向を出すということは不可能ではないと思うんです。そういうことが実は初歩的な身近な区政の中では、商品テストなどに従事するお役人さんには非常に大事なことではないかというふうに思っております。

 ところが、最近はもうそういった化学的な専門家の方も従事することがなくて、ほとんど倉庫みたいな形で商品テスト室がある、そういう形になっているそうであります。先ほど、環境セクションが部中部になってしまったことについて私は批判をしておりますが、やはり行政が市民と結びついて仕事をするといったときに、消費者問題も含めて、やはりきちっと目のつけどころがよければ市民に活用される、そういった化学的知識を区政の場が提供する、そういったことは必要だし、今でも必要とされている課題だというふうに私は考えております。

 それからまた、訴訟についても、これはほとんど活用されていないというか、一件も活用されていないということでありますけれども、私は区が市民の訴訟に支援をする制度があるということを実はよく知りませんでした。今回、この条例案を聞いて、なるほどこういったところでは区が訴訟にも支援をする姿勢を見せていた、そういうことが初めてわかりました。せっかくこういった市民を支援するような、裁判を起こしたときにお金を貸し付ける、そういう制度があるわけですから、やはりこれは使ってもらうようにいろいろ工夫しなければいけないんじゃないかというふうに思います。

 それから、行政の中立性といいますけれども、市民と企業との間には非常に大きな隔たりがあります。ですから、市民が裁判を起こすというときに、裁判は別に悪いことをするわけじゃないわけですから、日本の制度にのっとって一つの方向性を進めていくわけですから、そういったことを支援するということは非常に大事なことだと思います。せっかくそういう芽があるのに、それを活用しないで、今までそれを活用するところがないからやめてしまえというのは非常に暴論だというふうに思います。まずは、そういうふうに成り立った経過について非常に反省して改めていくべきだと思いますし、訴訟については積極的に活用できるように運用上改めていく、そういったことをやっぱりすべきではないか、そういうふうに思います。

 世田谷区にも消費者運動はあるわけですし、生活ネットもそういった中から出ていらした勢力でありますし、世田谷は非常に消費者運動は強いはずなんですけれども、なぜ世田谷区のそういった施設が使われずに、また訴訟の支援の申し出もなかったのかと非常に不思議なわけでありますが、いずれにせよ、こういった極めて世田谷区が大場区政の黎明期にいろんなことをおやりになって、それで、それなりに市民のことを考えてつくった制度が生かされてこなかった。聞くところによりますと、東京都や国の機関に全部げたを預けているそうなんですが、世田谷区は独立をするというような独立宣言までしているわけですから、そういった総合性を持って、少なくとも化学に明るい役人を育てて区民の相談に資する、そういった姿勢を示すべきだというふうに私は今でも考えます。

 ですから、今回の三つの条例について、安直に改正してなくしてしまう、そのことはよろしくない。そういった意味から、三案について反対いたします。
 討論を終わります。


○山内彰 議長 以上で木下泰之議員の意見は終わりました。
 これで意見を終わります。