平成12年第3 回定例会(自920日 至10 19日)

世田谷区議会会議録

2000年10月19日 平成11年度決算認定への反対討論


○山内彰 議長 これより意見に入ります。
 意見の申し出がありますので、順次発言を許します。
 なお、意見についての発言時間は、議事の都合により一人十分以内といたします。
 五番木下泰之議員。
   〔五番木下泰之議員登壇〕


◆五番(木下泰之 議員) きょうは極めて驚くべきことが起きました。昨日の議会運営委員会では、私の九月二十一日の本会議での一般質問発言の取り消し動議が出ていました。ところが、共産党の発言取り消し動議が提出されたところ、自民党が動議を取り下げたのであります。この共産党の動議は、世田谷区議会の民主主義を考える上で極めて深刻な問題をはらんだ動議であることを冒頭申し上げ、注意を喚起しておきたいと思います。まだ時間はあります。動議は撤回すべきですし、他党も問題点をよく考えて判断していただきたいと、冒頭に申し上げておきたいと思います。


 平成十一年度決算四件に反対の立場から討論を行います。

 今回の議会では、一般質問と決算委員会審議を通じて、(二字削除)駅周辺街づくり協議会(二字削除)の公害防止条例違反と同役員の建築違反、これとまちづくり協議会のあり方、松原の六棟現場の小規模宅地開発問題、野沢の緑地保全地区の森林伐採の問題の三つの問題を現在の世田谷の建築行政、都市計画行政を象徴する事件としてとらえ、世田谷区政が陥っている開発優先行政のありようを明らかにしようと努力してまいりました。

 まちづくり協議会の役員については、都市計画法に基づいた地区計画の原案を作成する公的な存在として、都市計画や建築基準、環境災害対策にかかわる課題との関係では実名を出して議論すべき存在と考え、(二字削除)、役員の公法違反の実態究明とその是正指導を区に求めてまいりました。

 果たせるかな、鉄筋コンクリートづくりの堅牢な違法構築物については、違法部分については壊してやり直しますとの回答が、口頭ではありますが、十月十七日の早朝に、施工業者をして近隣にもたらされたそうです。鉄筋コンクリートでつくった違法部分を壊す、なかなかないことです。その証拠に、該当建築物の隣地には容積率などの違反で問題となった建て売り住宅の木造建築物が二棟、違法部分を残したまま建っている。以前この本会議で指摘もし、当時の建築指導主事とやり合ったが、もう建ち上がっているという理由で、違法部分を残したまま建築が強行されて今に至っているわけであります。

 世田谷区の建築行政は、はっきり言ってよどんでおります。この十年を振り返ってみましょう。平成二年、小田急線の連続立体事業に第三セクターを導入したのがこの年の九月の議会です。ちょうど十周年。インターネットで議事録を検索したところ、意外な事実に気がつきました。八月に当時の谷田部建設部長が葬儀への部下の出席に絡んで、その費用捻出のために指示を与えて、カラ出張をさせていた事件について、先輩でもう亡くなられた園田集先生が指摘しておられる。しかし、遺憾に思うと指摘しただけであります。答弁は要らないとしております。

 その後、インターネットで検索を繰り返しました。ところが、八月に起こった事件なのに、九月議会では園田先生以外だれも取り上げていない。結局、十一月に戒告処分を受けているが、十一月の議会でもだれも取り上げない。これは異常なことです。八月は新聞が大きく取り上げている。

 こういったいわば破廉恥な行為を起こしても、首にも降格にもならない。だれも追及しない。このときは下条先生が休場していたときですが、共産党も行革一一〇番も全く追及していない。その後、谷田部部長は、井奥代議士に向島の料亭接待を受け、厳重注意を受けております。このときは下条先生や私などの一人会派と共産党が追及したものの、交渉価格を漏らしてしまった重大事件であるにもかかわらず、百条委員会の設置もならず、厳重注意どまり。結局、谷田部部長は降格もせず、異例の技術職出身の区長室長へと出世しているのであります。建築土木行政が区長室をのっとったと言っても過言ではないでしょう。重要な事件で処分を受けるたびに出世する。こんな組織は民間にはありません。そういった例があるとすれば、これはやくざの世界ということになるでしょう。

 しかし、こんなことは世の中が許しません。二十一世紀を前に、やっとそういう世の中がかいま見えてまいりました。全政党勢力と県官僚の全一支配を打ち破った田中康夫長野県知事の誕生であります。オリンピック招致に関する重要資料が焼却されても、だれも逮捕されないのが現代日本の姿だったわけであります。これからメスが入るでしょう。

 世田谷に関する事件では、小田急線線増連続立体事業について、水面下ではあるけれども、今、大きなうねりが司法から発信されております。決算議会で既に報告しておきましたけれども、小田急線高架事業認可取り消し訴訟で東京地方裁判所の行政部が建設大臣に対して、高架、地下の比較がなされていないこと、複々線部分が建設大臣の認可を受けずに工事がなされていることの違法性について、疑義を問うて求釈明をしました。しかも、異例にも文書で求めたという事態を迎えているのであります。第三セクターの解散にしても、東京高裁で進行中の住民訴訟の中で、裁判所が重大な関心を持って見詰めているということもあります。

 補充質問の際、原部長とのやりとりでお気づきでしょうけれども、第三セクターの導入の法的根拠としていた一二八号線の二十メートル掛ける二十五メートルのいわゆる座布団道路。この座布団道路を使って第三セクターが参入できる、そういう根拠をつくっていたのですけれども、これは解散してしまった。ところが、その参入する根拠であった座布団はまだつくっていない。結局は、この座布団について東京都が施行するという、そういうことであるそうです。そうであれば、これこそ、比喩として使いますが、詐欺的行為と言うのではないでしょうか。

 小田急線線増連続立体交差事業について、法的破綻があらわになってきたというのが小田急問題の現在なのであります。これは見直ししかないというのが、ちょっと先が見える方々の意見になりつつあります。

 公共事業の見直しは、地方のダムや干拓、河口施設の問題だけでは片がつきません。東京のど真ん中の小田急高架事業の見直しが行われなければ、本物ではありません。見直しの方策はあります。緑化は今や都市の安全や環境の必須の公共財です。現在できつつある高架橋をも利用しながら、緑をつくり、なおかつ小田急線を地下にもぐらせることは可能であります。近々専門家の方々から東京を、世田谷を再生させるすばらしいプランが公表されることになるでしょう。

 日本経済の再生は日暮れて道遠しの感がありますが、人をわくわくさせる大きな夢が必要です。近々発表されるプランは、そういった胸をわくわくさせる都市政策の一つの提示になる、そういうふうに思います。これは予告をしておきます。小田急線の高架見直し運動はまさにこれからだと申し上げておきます。

 決算審査を通じて明らかになったことは、世田谷区政の開発行政は一向に改まっていないということであります。緑保全と言いながら、みずから定めた緑地保全地区を全然保全しようともしない。世田谷区の統計でさえ、小規模宅地開発要綱に該当する現場の約半分が要綱を守っていない。法律であるところの建築基準に関しても極めて甘い。しかも、主体性が全くない。小田急線複々線化・連続立体交差化事業について、世田谷区出資分については何にどれだけ使われているのか、幾ら問いただしても質問に一切答えられない。また、なぜ平成十一年度から繰越明許をやめたのかという問いにも、具体的には答えられない。区が広報に載せた進捗率四六%という数字は、東京都が出した当初の事業総予算一千九百億の執行率にすぎないのに、この数字を進捗率として挙げて平然としているのであります。

 鉄建公団が複々線事業の事業主体であるということはもうわかり切ったことであるのに、いまだに世田谷区の担当者は、この部分については小田急が事業主体であるというふうに言い張っているのであります。このような決算審議での答弁は、区民を愚弄するものにほかなりません。

 このような区の姿勢では、すべての決算認定に反対せざるを得ないのであります。
 以上を申し上げて、無党派市民の決算認定の反対討論といたします。


○山内彰 議長 以上で木下泰之議員の意見は終わりました。

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